ジョホール州議会補選、与党連合擁立候補が圧勝

【クアラルンプール】 ジョホール州議会マコタ選挙区の補欠選挙の投開票が9月28日に行われ、与党連合・希望同盟(PH)と協力関係にある国民戦線(BN)が擁立したサイド・フセイン・サイド・アブドラ氏(統一マレー国民組織=UMNO)が79.21%の得票率で地滑り的勝利をおさめた。

同補選は8月2日にシャリファ・アジザ・サイード・ザイン議員(享年63、UMNO)が病気で死亡したことを受けたもの。野党連合・国民同盟(PN)が擁立したモハメド・ハイザン・ジャアファル氏(統一プリブミ党=PPBM)との与野党一騎打ちとなったが、ハイザン氏は20.79%の得票にとどまった。

2022年3月12日に行われたジョホール州議会選挙では、マコタ選挙区はPH、PN、BN――の3政党連合が擁立した候補による三つ巴の争いとなったが、BNに所属する故シャリファ氏が得票率45.86%で当選していた。BNは、2022年11月の総選挙後にPHを率いるアンワル・イブラヒム政権の樹立に協力し、現在は与党連合と共闘関係にある。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、9月28日)

在マ日本大使館、来年3月24日から旅券発給体制を変更

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 在マレーシア日本大使館は、旅券の偽変造対策を強化するため2025年3月24日から人定事項ページにプラスチック基材を用いた旅券の発給を開始すると発表した。

新旅券は日本国内で作成され大使館まで配送されることとなるため、最短でも2週間、場合によっては4週間の日数を要することになる。具体的な交付日については旅券申請時に予定時期を伝えるが、交付準備が整った段階で再度連絡する。従来の旅券は申請から交付まで最短4営業日で行っていた。

発給に要する日数が長くなるため大使館では、有効期限を確認した上で早めの旅券切替申請を求めると共に、滞在許可事実確認のためのマレーシア入国管理局での手続きに要する日数などを勘案し、出張や旅行のスケジュールを立てるよう呼びかけている。

なお大使館は、旅券の発給申請についてすでにオンライン申請を開始しており、オンライン申請の場合、手数料のオンライン決済(クレジットカード払い)が可能となるほか、来館は交付の際のみとなる。

現地のゲームデベロッパーとの協業を計画=バンダイナムコ

【東京】 ゲームソフト制作のバンダイナムコスタジオ・マレーシアは、マレーシアのゲームデベロッパーとの協業を計画している。

番屋修平最高執行責任者(COO)はベルナマ通信との会見で、ゲームデベロッパーのパッション・リパブリックおよびバーチャス・クアラルンプールと複数回、協議を持ったことを明らかにした。バンダイナムコスタジオ・マレーシアは2016年の設立で、鉄拳やソウルキャリバーなどバンダイナムコのビデオゲームをはじめとしたネットワークコンテンツを開発している。職場ではマレーシア人のほか、インドネシア人、シンガポール人などがクリエーターとして働いている。

番屋氏によれば、マレーシアスタジオはマレーシア文化に対応した、またマレーシア要素を含んだゲーム、コンテンツの開発を企図している。番屋氏は「子ども向け、大人向けのコンテンツを創造する。世界中の人をつなぐ、面白くて楽しいゲームの製作をわれわれは意図している」と語った。
(ベルナマ通信、9月28日)

ペトロナスと日系6社、東京湾対象のCCS調査事業に採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)子会社のペトロナスCCSソリューションと日系6社は30日、東京湾域の複数産業から排出されるCO2を対象とした二酸化炭素回収・貯留(CCS)バリューチェーン構築の実現可能性調査に採択されたと明らかにした。

同調査はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2024年度の事業として公募していたもので、採択されたのはペトロナスCCSのほか、▽三菱商事▽ENEOS▽JX石油開発▽JFEスチール▽コスモ石油▽日本触媒――の6社。

東京湾(京浜地区・京葉地区)周辺の複数産業から排出されるCO2の分離・回収、液化、海上輸送、貯留の各セグメントにおいて最適な各種設備設計について検討すると共に、CCS社会実装の実現に向けたコスト試算及び課題の抽出、実現可能性検証などを実施する予定。域内で回収するCO2の規模は年間3百万トン程度を想定しており、将来的には年間6百万トン程度のCO2回収を目指し検証を進める。

東京湾域を排出源とするCO2を対象とする海外CCSバリューチェーン構築に関する覚書は今年3月に4社で締結しているが、このほどJFEスチール、コスモ石油、日本触媒の3社が参加した。

7社は、2026年度までの最終投資決定、2030年度までの事業開始を目指し、それぞれの専門性を活かして事業化に必要なバリューチェーンの構築や関連技術検証などを検討する。

【イスラム金融の基礎知識】第553回メイバンク・イスラミック、フィリピンでイスラム銀行業務を開始

メイバンク・イスラミック、フィリピンでイスラム銀行業務を開始

Q: メイバンク・イスラミックがフィリピンでイスラム銀行業務を開始しましたが?

A: マレーシア資本のメイバンクは8月、フィリピンのザンボアンガ支店にイスラム窓口を(イスラミック・ウィンドウ)設置した。同国にとって外国銀行によるイスラム銀行業への参入は初の事例となる。

本連載でもこれまで触れてきたように、フィリピンでは2019年にイスラム銀行法が施行され、市場が民間に解放された。これを受けて今年1月にローカル資本のCARD銀行が、初のイスラム銀行業専業支店を設けた(第535回)。また中央銀行関係者からは、CARD銀行の後に続く銀行が複数存在し、そのうちの一つがマレーシア資本のメイバンクであると示されていた(第543回)。

中央銀行やメインバンクの関係者の話によれば、今年7月にメイバンクが、イスラム銀行業を営めるイスラム銀行部門の設立許可を取得、翌8月にはザンボアンガ支店内にイスラム窓口を設置した。業務は、当面の間は普通預金と当座預金の預金業務のみとし、十分な資金が確保できたところで融資業務を行うとしている。同銀行は、ムスリムと非ムスリムの双方が利用できるとしており、支店に両者が足を運べるような形となっている。ザンボアンガ支店は、ミンダナオ島最西部のザンボアンガ空港からほど近い場所に位置する。首都マニラよりもスールー諸島やボルネオ島の方がはるかに近く、またCARD銀行のコタバト支店とは200kmほどの距離にある。

開設式でメイバンク・フィリピンのアビゲイル社長兼CEOは、「フィリピンへの進出は単に自社の利益拡大だけでなく、公明性、透明性、地域社会の福祉に対するコミットメントを示すものである」とし、ムスリムが多く住む地域でイスラム窓口が設置することの社会的意義を強調した。中央銀行は他にも市場に参入する銀行があることを明らかにしており、今後の動向にますます注目が集まるだろう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。