サラワク州政府、今度は海洋温度差発電の研究を開始

【クチン】 水素生産など再生可能エネルギー(RE)に意欲的なサラワク州政府は、今度は海洋温度差発電に乗り出す計画で、アバン・ジョハリ州首相が経済企画部に事業化調査を指示した。

海洋温度差発電は、海の表層部の摂氏25-30度の温かい海水を温熱源とし、深さ800-1,000メートルの深層部にある摂氏5-7度の海水を冷熱源として使用する発電システム。火力発電や原子力発電と同様に蒸気を発生させてタービンを動かして、発電する仕組み。

アバン・ジョハリ氏はマレー人団体のイベントで「水力、太陽光発電に続く、持続可能なエネルギー源の追求だ。サラワク州は大陸棚が利用でき、マレーシア半島より優勢性がある」と述べた。

米国エネルギー情報局などによると、現在の技術では、表層海水と深層海水との温度差が20度以上ある亜熱帯、熱帯地帯でのみ発電が可能。世界では建設可能な国はおよそ100カ国で、発電ポテンシャルは1兆キロワットに達するという。天候に左右され、連続運転が困難な風力や太陽光に比べ、常に一定の電力を供給できる点が特徴だ。
(ボルネオ・ポスト電子版、ビジネス・トゥデー、フリー・マレーシア・トゥデー、10月26日)

 

エアアジアXマレーシア、第3四半期の旅客数が34%増

【クアラルンプール】 中・長距離格安航空のエアアジアXマレーシアは、ネットワーク拡大と運航頻度の増加により、2024年第3四半期の旅客数が108万4,049人に達し、前年同期の80万7,004人から34%増加したと発表した。

同期の座席数は128万4,871席となり、前年同期の101万4,432席から27%増加した。有効座席キロ(ASK)は51億4,100万席となり、前年同期の44億1,200万席から17%増加。有償旅客キロ(RPK)は42億7,100万席で、24%増加した。ロードファクター(座席利用率)は84%となり、4ポイント改善した。

既存路線の半分で便数が増加したことに加え、新型コロナ禍で非稼働だった航空機の再稼働が貢献。中国・長沙線(週4便)、サウジアラビア・メディナ線(週2便)の運航を開始し、台湾・台北と大阪(週7便)路線を再開した。 また、中国線で最も収益性の高い杭州及び西安線をそれぞれ週6便と週4便に増やした。

9月30日現在の保有機数はエアバスA330型機18機で、16機が稼働中。
(エッジ、10月24日、エアアジアX発表資料)

離任の髙橋大使、日本への投資拡大に期待

【クアランプール】 今月末で離任する髙橋克彦・駐マレーシア日本大使は、「フリー・マレーシア・トゥデー」との単独会見に応じ、マレーシア企業による日本への投資拡大への期待を示した。

髙橋大使は、日本が世界3位の経済大国であることに加え、人材の質の高さや、高度な研究開発環境をアピール。「海外での事業拡大を目指すマレーシアの製造業およびテクノロジー企業にとって魅力的な投資先である」と語った。

また、観光分野でも、マレーシア企業が北海道や京都、沖縄などですでに投資に成功していることを指摘。「日本では質の高い宿泊施設が不足しており、今後もマレーシア企業にとって有利な分野だ」とした。

さらに、過去5年間でマレーシアへの日本食品輸出が倍増したことを挙げ、「ハラル産業で、マレーシアはイスラム諸国とのビジネスの入り口として、日本企業から大きな注目を集めている」と述べた。

そのほか、グリーン経済やデジタル経済分野、物流の分野などでの2国間の可能性も大きいとし、「今後、日本の首相がだれになろうとも、マレーシアとの(良好な)関係は変わらない」と強調した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月26日)

貿易開発公社とハラル開発公社を統合、市場参入機会を拡大

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)とハラル開発公社(HDC)が統合される。投資貿易産業省(MITI)が統合に向け作業委員会を設けた。より強固なハラル(イスラム法で許されたもの)産業を構築するとの意向は、アンワル・イブラヒム首相が新年度予算案の発表に際し言及していた。統合による職員の解雇はない。

MITIによると、統合でMATRADE の輸出能力がHDCの知識で補完され、一方でMATRADE が展開する世界49の事務所を通じ、マレーシアのハラル商品・サービスの海外市場参入が容易になる。

ハラル産業が拡大し、輸出が増加すれば、ハラル業に従事する中小企業にも恩恵が及び、雇用機会が生まれるという。

MITIは、統合による資源の最適利用、生産性の改善を見込んでおり、より強固なハラル産業が構築され、マレーシアの国際認知度も上がるとした。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、エッジ、10月25日)