My50パス、TNG eウォレットでの更新が可能に

【クアラルンプール】 ラピッドKL、軽便鉄道(LRT)、大量高速輸送(MRT)など首都圏の鉄道・バスが30日間、50リンギで乗り放題の「My50パス」と、eウォレットのタッチ・アンド・ゴー(TNG)が近く統合される。

eウォレットのユーザーは決済機能で「My50パス」を更新できるため、駅窓口に並ぶ必要がなくなる。アンソニー・ローク運輸相が、公共輸送機関所有者のプラサラナ・マレーシアを訪問した際の会見で明らかにした。

政府はプラサラナを通じ「My50パス」利用者を金銭的に支援している。2019年の導入時の利用者は月9万8,000人だったが、現在は同22万人。公共輸送機関の利用者を増やすのが狙いの計画だが、生活費の軽減にも貢献しているとローク氏は語った。TNGのeウォレットは1,700万以上のユーザーを抱える。

ローク氏によれば、3-4カ月後には統合作業が完了する。月50リンギの料金は、通勤代として計算すると1日当たり2リンギ弱の負担で、オートバイ利用より安いという。アンワル・イブラヒム首相は新年度予算案で「My50パス」計画に対し2億1,600万リンギの予算を組んでいる。
(ザ・スター、10月25日、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、10月24日)

KLセントラル駅再開発、2025年に開始=ローク運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、クアラルンプール(KL)の主要交通ハブであるKLセントラル駅の再開発に関する交渉が年内に完了し、2025年にも開始される見通しだと明らかにした。同プロジェクトについては昨年8月に閣議で了承されていた。

現在、プロジェクトのデベロッパーであるマレーシアン・リソーシズ・コーポレーション(MRCB)と首相府の官民パートナーシップ(PPP)部門が、再開発プロジェクトの民営化条件について最終調整している段階。ローク運輸相は「交渉が2―3カ月内に完了することを期待している。順調にいけば年末か来年初めまでにプロジェクトを開始できるだろう」と述べた。

KLセントラル駅の再開発費用は10億リンギと見込まれているが、公的資金は使わずMRCBが全額負担することになる。その見返りにMRCBは駅ビルの開発権と隣接地での複合開発権を得ることになる。

KLセントラル駅は、面積29.14ヘクタールの国内最大の交通ハブで、KL新国際空港(KLIA)、プトラジャヤ、首都圏のその他の主要経済地域を結ぶ鉄道が乗り入れている。10億リンギ以上の開発費をかけて2001年に開業し、当初は1日あたり10万人の乗客が利用していたが、現在は1日あたり約20万人が利用している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、10月24日)

JTBのツアーバスがペラ州で追突事故、女性1人が死亡

【クアランプール=アジアインフォネット】 日本人観光客らを乗せたツアーバスが24日午後1時45分、ペラ州タイピン近郊の南北高速道路(NSE)上り線で、前を走っていたトレーラーに追突。乗員乗客13人が死傷し、うち70歳代の日本人女性1人が死亡した。

乗っていたのは、50ー80歳代の日本人観光客11人(女性8人、男性3人)と、現地の運転手とツアーガイド。死亡した女性は夫婦で参加していた模様で、搬送されたタイピン病院で亡くなった。25日午後1時時点で4人が入院している。警察で事故原因や女性の死因を調べている。現地報道などによると、現場はタイピンとクアラカンサーの中間にある直線の緩やかな上り。

日本人観光客はJTBが主催した10月21日関西空港発の周遊型募集ツアー(添乗員なし、7日間)に参加しており、ペナン観光を終えて、パハン州のキャメロンハイランドに向かう途中だった。

JTBの山北栄二郎社長は、25日午後1時過ぎ(日本時間)に会見を開いて事故を謝罪した上で、マレーシアの周遊型募集ツアーについて原因究明と安全性が確認されるまで当面催行を見合わせると発表した。

電力のシンガポールへの供給、3社が資格審査を通過

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)による電力をシンガポールに供給するため今年6月に実施した試験プロジェクト入札で、応募した3社が要件を満たした。

シンガポールなど近隣国に売電するためのマレーシア・エネルギー取引所(ENEGEM)を通じた電力融通で、エネルギー移行・水利転換省によると、シンガポールの2社が100メガワット(MW)の電力確保に成功した。現在、国境を超えた送電を実現するための交渉を持っている。送電には既存の2国間送電線を利用する。

ENEGEMの設立は域内での電力融通と、マレーシアのエネルギー移行の推進が狙いで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に沿ったもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月24日、ベルナマ通信、エッジ、10月23日)

リコー、DX支援のための新拠点をKLに開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 リコーは、 東南アジアにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の中核拠点として、クアラルンプール市における「リコー・ビジネスサービス・アジアパシフィック」(RBS)の開設を発表した。

RBSは、同社のアジア太平洋地域販売統括会社であるリコー・アジアパシフィックが開設した。マレーシアについては「地理的にも、人材的にも、東南アジアで戦略的優位性がある」と位置づけ。外国投資を奨励するマレーシア政府の支援政策も要因だったという

RBSにより、ITや財務、人事、サプライチェーン管理などの重要機能を一元化し、より質の高いシェアードサービスの推進体制が整ったとする。今後、東南アジア地域全体でDXによる変革の取り組みを加速させ、効率性の向上を進める。

テクスケムの小西雄馬・新CEOが正式就任

【クアラルンプール】 化学品製造や食品加工などを手掛ける日系多角企業、テクスケム・リソーシズの小西雄馬専務取締役(46)が、23日付けでグループ最高経営責任者(CEO)に正式就任した。

雄馬氏の昇格はヤップ・キーキョンCEOの退任にともなうもので、テクスケムは同日発表した声明で、「雄馬氏は組織を近代化し、活性化させる」と述べた。
雄馬氏は創業者である小西文彦会長の息子。以前はグループ・ポリマーエンジニアリング部門の社長兼CEOを務めていた。

テクスケムは1973年創業。1993年にブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)二部(当時)に上場し、1995年には飲食業に進出。2001年6月にはメイン市場に昇格した。▽化学品製造▽ポリマー・エンジニアリング▽食品加工▽飲食(すし金など)――など幅広く手掛けている。
(マレーシアン・リザーブ、10月24日)

極貧の定義、今後は世帯収入ではなく個人収入で=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、現在、世帯当たりの収入を基準としている極貧の定義について、今後は1人当たりの収入に切り替えると述べた。以前の方法よりもより正確な状況を把握できるという。

22日の下院議会の質疑の中でアンワル首相は、世帯所得の調査でいくつかの問題に気付いたと表明。「世帯当たりの月収が2,000リンギであれば、4人家族の場合は1人当たりの平均所得がわずか500リンギとなる」とし、より正確で子供や扶養家族の数も考慮にいれた1人当たりの収入に移行すると述べた。

昨年1月31日時点で世帯主12万6,372人が極貧カテゴリーに入れられた。今年7月29日までに解決されたが、8月1日から新たな登録申請受付を開始したことから、再申請も含めて2万2,893人が登録されたという。

アンワル首相はまた、極貧をなくすための補助金などの諸政策において民族差別はないと強調。極貧者に対する支援がマレー系だけを対象にしているというのは真実ではないと述べ、「極貧者の大多数は確かにマレー系だが、かなりの数のインド系の極貧者もおり、人口比でみると高い」と述べた。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、10月22日)

JBICの前田会長ら、アンワル首相を表敬訪問

【クアラルンプール】 国際協力銀行(JBIC)の前田匡史会長率いる代表団が22日、アンワル・イブラヒム首相を表敬訪問した。

アンワル氏は自身のフェイスブックページへの投稿で、JBIC代表団はさらに多くの日本からの投資を推進すると表明した。JBICは現在、マレーシア企業と活発な協議を持っているという。

アンワル氏は「一層の、高品質の投資を実現するため、両国間の友好と協力を強化する重要性を強調した。エネルギー分野の投資を特に望む」とした。
双方はグリーンエネルギー開発、再生可能エネルギー、エネルギー市場についても意見を交換した。
(ベルナマ通信、10月22日)

日本・マレーシア次官級協議、9年ぶりにプトラジャヤで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本の外務省は22日、第16回日本・マレーシア次官級協議がプトラジャヤで開催され、日本側から船越健裕外務審議官、マレーシア側からアムラン・モハメド・ジン外務次官が出席したと発表した。

今回の協議は、昨年12月に両国首脳が本協議を再活性化させることで一致したことを受け、9年ぶりに開催したもの。両国の「包括的・戦略的パートナーシップ」を強化するために、安全保障や経済、環境、人材育成の分野における幅広い協力の深化のあり方について具体的な議論を行った。

また東・南シナ海、ミャンマー、ウクライナ、中東情勢を含む地域・国際情勢についての幅広く意見を交換。来年、マレーシアが東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務めることも踏まえ、ASEAN主導の枠組における両国の連携を一層強化していくことを確認した。

船越外務審議官は、マレーシアのモハマド・ハサン外相とラジャ・ヌシルワン国家安全保障会議事務局長を表敬し、両国間の意思疎通をさらに重層的にすることで一致した。

プロドゥア初のEV発売計画、投資貿易産業省が支援

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、第2国民車メーカーのダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)が掲げる、2025年末までにマレーシア初の電気自動車(EV)を10万リンギ以下の廉価で発売する計画を支援すると述べた。

ザフルル氏は同省によるプロドゥア支援の理由について、同社の初EVを手頃な価格にしたいためだと説明。「プロドゥアと協議を続けており、2025年末までに目標を達成するという同社の計画を楽観視している」と述べた。

プロドゥアの同社初EV「EMO-1」は、今年5月に開催された「マレーシア・オート・ショー2024」で試作車が展示された。プロドゥアのBセグメント・ハッチバック「マイヴィ」をベースにしたもので、バッテリー容量は55.7キロワット時(kWh)。最高出力68PS(50kW)、最大トルク220ニュートンメートル(Nm)、航続距離350キロメートル(km)を発揮するとされる。ただその後の変更については明らかにされておらず、開発の進捗状況も不明だ。

ザフルル氏はまた、バッテリー式EV(BEV)の新車登録台数が9月時点で約1万6,000台に達し、2023年通年の約1万3,000台を上回ったと公表。「2030年までに新車販売全体の20%をEVにするという目標に近づいた」と述べた。

充電インフラについては、わずか3カ月間で565基の充電チャージャーが新たに設置され、9月末時点で公共充電ステーションの総数は約3,200カ所に達した。政府は2025年末までに公共チャージャーを1万基設置し、充電器とEVの比率を1対9にすることを目指しているという。
(ザ・スター電子版、ポールタン、マレー・メイル、エッジ、10月21日)