東京ゲームショウ、マレーシアパビリオンの成約額は6700万ドル

【クアラルンプール】 先ごろ開催された「東京ゲームショウ(TGS)2024」(開催期間9月26―29日) で、「マレーシア・パビリオン」に関連する成約が6,700万米ドルに上った。

「マレーシア・パビリオン」はマレーシア・デジタル経済公社 (MDEC)とマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)が開設。マレーシアの大手ゲームスタジオ10社が参加した。4日間の会期中に日本のゲーム会社と150件を超える商談が行われたという。

「東京ゲームショウ」は国内外のゲーム関連企業が一堂に会す世界的イベントで、今年は44カ国・地域から過去最多の985企業・団体が出展。来場者数は27万4,739人に上ったという。

MATRADEのモハメド・ムスタファ最高責任者(CEO)は、TGSへの参加は2025年大阪万博に向けて勢いをつけるだけでなく、世界のクリエイティブコンテンツ産業におけるイノベーションと創造性のハブとしてのマレーシアの地位を強化することにもなる」と述べた。

マレーシア政府は2021年、デジタル経済の拡大を目指す「マイデジタル青写真」を発表。デジタルコンテンツについては年率8%の輸出成長を目標に掲げている。
(ビジネス・トゥデー、10月17日)

2025年度予算案発表、予算規模は4210億リンギに拡大

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は18日、下院議会に2025年度(2025年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。

来年の国内総生産(GDP)が世界貿易の改善と電気・電子(E&E)の需要増に支えられて4.5―5.5%成長するとの見通しを背景に、予算規模は4,210億リンギと今年度の3,938億リンギ(補正後は推定4,075億リンギ)を上回り、過去最高となった。

経常予算は3,350億リンギで、今年度の当初予算3,038億リンギを上回った。省庁別では教育省が150億リンギで最も多く、国防省が123億リンギ、保健省が69億リンギで続いた。一方開発予算は860億リンギで、今年度の当初予算の900億リンギを下回った。

歳入予想は3,400億リンギで、今年度の見通しである3,220億リンギ(当初予想は3,080億リンギ)を上回る見込み。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2022年の5.5%、2023年の5.0%、2024年(見込み)の4.3%を下回る3.8%に収まる見通しだ。政府の借入金は800億リンギで、2024年の850億リンギを下回る見通し。

売上税(SST)は2025年5月1日付けで課税対象を拡大する。ただ国民生活への影響を考慮し、主要食品は課税対象からを外す。サーモンやアボカドのような高級輸入食材はSST課税対象とする。またサービス税の適用範囲は、手数料ベースの金融サービスなどの事業を含む商業サービスに拡大する。

10万リンギ超の配当所得を対象に2%の配当税を課す。但し従業員積立基金(EPF)配当金や海外での所得は対象外とする。

注目されていたレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度については、当面現状維持するが、2025年半ばをメドに対象を絞った補助金制度を導入する。詳細は明らかにされていないが、上位15%の高所得者層のみが影響を受けることになる見通し。

最低賃金は来年2月1日付けで現在の1,500リンギから200リンギ引き上げて1,700リンギとする。ただし従業員5人未満の事業所に対しては8月まで6カ月の猶予期間を設ける。人的資源省は賃金の参考とするため、工場・生産技術者の初任給は2,290リンギ、機械エンジニアの初任給は3,380リンギ、クリエイティブコンテンツデザイナーの初任給は2,985リンギ、といったような初任給のガイドラインを発表する。

EPFについては、外国人労働者も段階的に加入を義務化する。

また外国人労働者の人頭税について、2025年半ばをメドに多層式課税システムを導入する。外国人労働者への依存を減らすための措置で、税収は自動化・機械化導入の補助に充てる。

鉄鋼業・エネルギー業界を対象に、2026年から炭素税を導入する。税収はグリーン研究・技術プログラムに充当する。

肥満などの生活習慣病増加による医療費支出削減に向け、現在、1リットル当たり50センとなっている砂糖入り飲料に対する物品税を、段階的に40セン引き上げる。
電子インボイス制度の導入に伴う、2年内のICT機器、ソフトウェア導入費用やコンサル費用について加速償却を認める。

マレーシア人訪日者数、9月は前年比44.9%増の約4万人

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年9月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は3万9,900人となり、前年同月比で44.9%の大幅増となった。

JNTOによると、査証免除措置による訪中旅行への人気の高まり、機材繰りなどに伴う一部航空会社の運航規模縮小などあるものの、スクールホリデーや連休等の影響もあり、訪日外客数は9月として過去最高を記録した。 クアラルンプール―羽田間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月を上回っている。なお、新型コロナ感染拡大前の2019年同月との比較でも38.6%の大幅増加となった。

9月の世界全体の訪日者数は、前年同月から31.5%増の287万2,200人、2019年同月からは26.4%増となり、8カ月連続で同月の過去最高を記録した。 東アジアでは中国、東南アジアではマレーシア、欧米豪・中東地域では米国などで訪日外客数が増加したことが押し上げ要因となった。1―9月の累計では 2,688万人となり、前年同期を上回った。

店舗網拡大と既存店のてこ入れが柱=イオンマレーシア社長

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)の岡田尚也社長は「ビジネス・トゥデー」との単独会見に応じ、店舗拡大と既存店のてこ入れを経営の柱とすると語った。

岡田氏は「イオンは過去数十年間に大きく成長した。しかしその成長を再び加速する時が来た。店舗拡大だけでなく、既存店を改装し再活性化する」と述べた。

岡田氏はまた、イオンは大衆向けに衣・食・住をすべて満たす商品を取り扱う総合スーパー(GMS)を展開するが、GMSモデルからの脱皮を図り、今後はユニクロや豪州系ハーベイ・ノーマンが競争相手になると語った。ハーベイ・ノーマンは、家電、家具、コンピューターなどを扱う小売業者。

これまで重視しなかったプライベートブランドに力を入れる。大きな潜在性が見込めるためで、特にハラル(イスラム教徒向け)食品の調達に注力する。こうした転換は日本事業がモデルだが、日本モデルをそのまま取り入れるのではなく、マレーシア市場に合った手法にして取り組むという。
(ビジネス・トゥデー、10月16日)

ジェトロの海外スタートアップ支援事業、日系5社が来馬

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、日系スタートアップの海外展開支援プログラムの一環として17―18日に参加企業5社がマレーシアを訪問し、現地企業や支援機関、投資家・ビジネスパートナーとのマッチングを行うと発表した。

ジェトロがマレーシアの財閥系サンウェイiLABSと提携して実施している、オープンイノベーション推進に向けた日本企業と海外企業のデジタル技術(DX)などを活用した連携・協業を支援するアクセラレーションプログラムで、6回目となる今回は、マレーシアで注目を集める「グリーントランスフォーメーション」の分野で革新技術を有する日本企業に特化したプログラムとなっている。

プログラムは8月よりスタートし、参加企業5社に対してオンラインでマレーシアのエコシステム情報の提供や個別メンタリングを繰り返し、各社のマレーシア展開戦略をブラッシュアップしてきた。

サンウェイiLABSはネットワークを活かし、東南アジア諸国連合(ASEAN)・マレーシア企業とのアライアンス(業務提携・技術提携・出資・合弁事業設立など)やM&Aにより、ビジネス開発や新規事業創出を目指す日本企業に対し、協業先候補の発掘から事業化に向けたメンタリングまで伴奏する一貫支援プログラムを提供する。

ペナン国際空港の拡張工事スタート、28年までに完成予定

【ジョージタウン】 空港運営のマレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、ペナン国際空港(PIA)の拡張プロジェクトを開始し、プロジェクトを監督するチームを任命したことを明らかにした。総事業費は10億リンギ。正式な着工式は後日開催される。

同州観光クリエイティブ経済委員会のウォン・ホンワイ議長(国政の閣僚に相当)によると、同プロジェクトは▽建物工事および関連工事▽エプロンおよび空港施設工事▽メインターミナルビルおよび関連工事――の3つの主要パッケージで構成され、2028年までに完了する予定。完成すれば旅客取扱能力は年間1,200万人に拡大する。MAHBはまた、公共交通資産を運営管理するMRTコープと連携し、メインターミナル近くに軽便鉄道(LRT)駅を建設する計画だ。

国際線の出発ホールと到着ホールの両方に電子ゲートを10カ所設置する。出入国手続改善のためのインフラ工事は2024年11月に開始し、4カ月で完了する予定。出入国管理局はすでに、外国人訪問者の支援のために、国際線到着ホールに「マレーシア・デジタル」アライバルカードのヘルプデスクを設置しており、11月末までに30人以上の管理官を同空港に配置する。

ペナン国際空港の旅客取扱数は2023年には700万人。今年年初9カ月ではすでに555万人となり、前年同期の520万人から6.78%増加しており、通年では780万人に達すると予想されている。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、10月16日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第885回:高齢化社会との向き合い方(12)学びたければ、人に教えよう

第885回:高齢化社会との向き合い方(12)学びたければ、人に教えよう

前回は、高齢者へのICTの普及に向けて、習得した知識を他人に教えることによる自己効力感を活用することを提案しました。

他人に教えることは、それ自体、教える側の学習効果を高める可能性があります。認知科学者は、人々が情報を理解し、それを他の人が理解できるようにしなければならない状況に置かれたときに学習が強化されることを主張しています。

例えば、Nestojkoら(2014)による実験では、56人の大学生が無作為に2つのグループに分けられ、あるテキストを読んで暗記するように求められました。実験に先立ち、2つのグループは、テストが近づいているかのように勉強するか(グループ1)、他の生徒に教えるかのように勉強するか(グループ2)のどちらかの指示を受けました。実験の結果、グループ2はグループ1よりも正確に内容を記憶することができました。

この論文の著者は、結果の違いが、人々が他人に教えなければならないと思うときに、自然に物事を要約しようとするために生じたものかもしれないと考察しています。同様の結果は、124人の大学生の参加者を対象としたKohら(2018)の研究でも示されました。著者らは、以前に記憶した情報を他の人が理解できる形で思い出すことが記憶を強化するのに役立つ可能性があると主張しています。

このように、高齢者が高齢者を教えるという循環の確立は、費用対効果に優れるだけでなく、学習効果の点でも高い成果をあげる可能性があります。

 

Koh, A. W. L., Lee, S. C., & Lim, S. W. H. (2018). The learning benefits of teaching: A retrieval practice hypothesis. Applied Cognitive Psychology, 32(3), 401-410. https://doi.org/10.1002/acp.3410

Nestojko, J. F., Bui, D. C., Kornell, N., & Bjork, E. L. (2014). Expecting to teach enhances learning and organization of knowledge in free recall of text passages. Memory & Cognition, 42, 1038-1048. https://doi.org/10.3758/s13421-014-0416-z

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、東北大学客員准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、産業創出学の構築に向けた研究に従事している。
この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

三菱自(M)、新型ピックアップトラック「トライトン」発表

【クアラルンプール】 三菱モーターズ・マレーシア(MMM)は16日、9年ぶりにフルモデルチェンジとなった2024年型ピックアップトラック「トライトン」を発表した。

第6世代「トライトン」のバリエーションと保険なし価格は、それぞれ▽シングルキャブ(10万1,980リンギ)▽MT GL(11万4,980リンギ)▽AT GL(11万6,980リンギ)▽ATプレミアム(14万5,980リンギ)▽アスリート(16万5,980リンギ)――。最上位バージョンの「アスリート」は12月までに予約した場合は5年間、走行距離無制限の保証、他の4バリエーションは5年間、走行距離20万キロメートルの保証が付く。

パワートレインは、「アスリート」が直列4気筒2.4リットル4N16型2ステージ・ターボディーゼルエンジンを搭載。最大出力204PS(150kW)、最大トルク470Nmを発揮する。他のバリエーションは直列4気筒2.4リットル4N16型ターボディーゼルエンジンを搭載。最大出力184PS(135kW)、最大トルク430Nmを発揮する。

車体カラーは「アスリート」が、ヤマブキオレンジ、ジェットブラックマイカ、ホワイトダイヤモンドの3色。「プレミアム」がホワイトダイヤモンドとグラフィックグレーの2色、「GL」2車種がソリッドホワイトとブレードシルバーの2色。
(ポールタン、モタオート、10月16日)

サンウエイREIT、モントキアラのショッピング施設買収完了

【クアラルンプール】 ショッピングモール、オフィス、ホテル、大学キャンパスなどを所有するサンウエイ不動産投資信託(REIT)は、クアラルンプール北西部の高級住宅街、モント・キアラのショッピングモール「163リテール・パーク」の買収手続きを完了した。「サンウエイ163モール」の名称に変更し運営する。

入居率は99%で、100余りの店舗・ブランドが入居している。サンウエイは2億1,500万リンギで購入した。投資利益率は6.5%を見込んでいる。将来建設される大量高速輸送(MRT)環状3号線のスリ・ハルタマス駅はサンウエイ163から徒歩圏内に建設される予定だ

同REITを管理するサンウエイREITマネジメントのクレメント・チェン最高経営責任者(CEO)は「長期計画としてテナント構成やフロア構成を変更する」と語った。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月11日)

来年度は拡大予算の見通し、初の4千億リンギ超も=専門家予想

【クアラルンプール】 18日にアンワル・イブラヒム首相が下院議会で発表する予定の2025年度予算案について、多くのエコノミストは順調な経済成長を背景に歳出規模が拡大すると予想しており、初めて4,000億リンギを超えるとの見方も浮上している。
経済紙「エッジ」がエコノミストを対象に行ったアンケート調査によると、政府は経常支出を増やす一方で、開発支出を抑制する方針をとるとみられ、貧困対策をメインとした多額の現金給付、既存および新規インフラプロジェクトへの支出、公務員給与の増額が盛り込まれるとみられている。

政府は年間80億リンギの削減効果が期待されるディーゼル燃料補助金合理化を打ち出す一方で、公務員給与引き上げで100億リンギの支出を見込んでいる。エコノミストらは、物価上昇を背景とした低所得者向け一時金支出などもあり、来年度の経常支出は前年度の3,038億リンギを上回る3,140億リンギになると予想している。
一方で開発支出については、エコノミストらは前年度の900億リンギから870億リンギ程度に削減されると予想している。ただ注目度の高い東海岸鉄道線(ECRL)などのインフラ事業は継続されるとみている。

歳出拡大にともなう財政赤字の対国内総生産(GDP)比については、開発支出削減にも関わらず経常支出増額により上昇するとみられており、エコノミスト11人の予想平均は3.8%で、第12次マレーシア計画(12MP)中間見直し時の目標である3.0―3.5%を上回っている。

こうしたことからエコノミストらは、支出増を賄うための財源として新税導入の代わりに、砂糖入り飲料への課税引き上げなど、既存の税の範囲を拡大するとみている。また物品・サービス税(GST)再導入も来年はないとみている。
(エッジ、10月15日)