三重県、水産物商談会をクアラルンプールで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三重県は15日、クアラルンプール(KL)市内で三重県の水産物関連会社と地元バイヤーによる水産物商談会「みえの水産物輸出商談会」を開催した。

三重県がマレーシアとシンガポールの両国で企画している水産物商談会の一環として行ったもので、三重県農林水産物・食品輸出促進協議会水産部会と弊紙発行元であるアジアインフォネットの共催。11月に予定されているオンライン商談会に先駆けて、日本産水産物の輸入実績が豊富なマレーシア側のバイヤー5社を招いて対面で行った。

日本側の売り込み商品は、小売り及び飲食店向けの▽冷凍伊勢エビ▽冷凍タツイカ▽冷凍ブリチーズカツ▽乾燥ノリ▽冷凍カキ・加工品▽アコヤ貝柱▽マダイ生ハム▽焼き串ひもの▽海鮮魚串▽さつま揚げ▽ブリトロ▽フレーバーオイル(わさび、ゆず)――など20数品目。

同日の対面による商談会の三重県側の参加者は▽A-LINE▽福井▽丸善水産▽山藤▽TA西村▽交洋――の6社で、▽若松屋▽尾鷲物産▽辻製油――の3社はオンラインで参加することになっている。

JOGMEC、ペトロナスとメタン排出管理実証設備設立で連携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、本部・東京都港区)は15日、マレーシアの国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)との東南アジア諸国連合(ASEAN)メタン排出管理実証設備設立に向けた連携を発表した。

マレーシアで開催されたASEANエネルギー・セクター・メタン・リーダーシップ・プログラム(ASEAN MLP) 2.0」の公表の場で明らかにした。ASEAN地域初のメタン排出管理実証設備となる東南アジアMETECを設立する。ASEAN MLP2.0は2023年6月から実施されていたASEAN MLP1.0に続くプログラムで、メタン排出管理におけるASEAN地域での連携を実施している。

ASEAN地域でのメタン排出管理は、地域の気候やASEANに多くみられる海上の天然ガス生産設備に適した手法を検討する必要がある。東南アジアMETECでは、ペトロナスおよびペトロナス工科大学(UTP)、ペトロナス石油技術研究所(INSTEP)と連携し、ASEAN地域の天然ガス生産設備の特徴を踏まえた排出実証設備の設立を目指す。

同設備では各地域の企業と連携し、メタン排出の測定・モニタリング・報告・検証プロセスについて検討し、ASEAN地域全体のメタン排出量削減を支援する。これにより石油ガス開発の事業者がメタン排出対策を行う際に、事前にメタン測定技術を評価する場を設けることで、計画策定の効率化を図ることができるようになる。

マレーシア航空、来年3月に米国線を共同運航で再開

【クアラルンプール】 マレーシア航空(MAS)は、アメリカン航空とのコードシェアを通じて2025年3月から米国線を約11年ぶりに再開する。両社は共にワンワールド・アライアンスのメンバーで、パリ経由となる。

航空運航情報のエアロルーツによると、マレーシア航空は来年3月22日からエアバスA350-900型機を使用して、クアラルンプール新国際空港(KLIA)―パリ(シャルル・ド・ゴール空港)線を運航する。3月28日までは週4便運航し、3月29日からは毎日運航に増やす予定。

アメリカン航空は同日からパリ―米国線を運航する。コードシェアとなるパリ―米国路線にはシカゴ・オヘア国際空港、ダラス・フォースワース国際空港、マイアミ国際空港、ニューヨーク・ケネディ国際空港線が含まれる。

マレーシア航空は1980年代からロサンゼルスやニューヨークなど米国の複数の目的地に飛んでいたが、経営難に陥ったことから2014年に事業再編計画の一環として米国線から撤退していた。ロサンゼルスへは2012年まで台北経由で、その後2014年まで東京経由で、ニューヨークのニューアーク・リバティー国際空港へは2004年までドバイ経由で、その後2014年までストックホルム経由で飛んでいた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月14日、エアロルーツ、10月11日)

2023年度の政府会計は改善=会計検査院報告

【クアラルンプール】 会計検査院(AG)は14日、2023年度政府会計の監査報告を下院に提出した。予算収支の赤字は前年度より約86億リンギ減少し、国内総生産(GDP)比での赤字の比率は5.5%から5.0%に低下した。一方、政府債務は1兆4,920億リンギに6.6%増加しており、AGは懸念を表明した。

政府系企業など13社の債務に対する政府保証も前年度比1.5%増の227億4,000万リンギになった。受け取った配当は460億リンギで、同17.5%の減少だった。

国債発行残高は対GDP比で60.2%から64.3%へ増加。ほかの返済責任も含めた政府債務はGDP比で78.0%から81.8%へ増加した。

受取勘定は約983億6,700万リンギで、内国歳入庁(IRB)の分が35.2%を占めた。うち6年間、未収だった額は284億リンギで、全体の28.9%を占めた。償却分は16億3,500万リンギ。

政府会計の改善に向けAGは、▽税収源の多様化を通じた歳入増と支出監視の強化▽新規借り入れの自制▽政府系企業の財務改善――などを勧告した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月15日、エッジ、ベルナマ通信、ボルネオ・ポスト電子版、10月14日)

RON95ガソリン補助金実施を遅らせる可能性=経済相

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は、予想を上回る経済成長とリンギ高により財政にゆとりが生じていることから、懸案となっているレギュラーガソリン「RON95」の補助金合理化計画の実施を遅らせる可能性があると述べた。

ラフィジ氏は18日に国会に提出される2025年度予算案の中に「RON95」の補助金合理化計画が盛り込まれるかとのメディアの質問に対し、マレーシアの予想を上回る経済成長とリンギ高により、財政再建目標を達成するための政策の柔軟性が高まったと言明。詳細は予算案発表を待つべきだとした上で、いくつかの状況が変わったため数カ月猶予期間をもつことが可能になったと述べた。

ラフィジ氏は、「経済成長が加速すれば、財政健全化目標を達成するための余裕が若干増える」、「リンギ上昇は補助金圧力が減ることも意味する」と述べ、「究極の目標は我が国の財政をより持続可能なものにすることだ。そして政府が採用できる政策オプションはいくつかあると思う」と、経済成長との間でバランスをとりながら財政再建が可能との考えを示した。

政府は6月にマレーシア半島部を対象にディーゼル燃料に対する一括補助金を廃止したが、世界銀行は先ごろ、マレーシア政府が2024年の国内総生産(GDP)の4.3%という財政赤字目標を達成するために、今年までにガソリン補助金支出を削減する必要があると指摘していた。
(エッジ、10月14日)

GST再導入は3-4年後に検討、所得増を優先=首相

【ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は13日、「物品・サービス税(GST)は最も透明で効率的な税システムだと認識している」と再導入に前向きの姿勢を示した上で、現時点では時期尚早との考えを表明。「3-4年の時間が必要との考えを示した。

アンワル氏はマレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)年次総会のあいさつで、「GSTを施行すれば税収は増える。しかし富裕層も貧しい人も課税対象になる。今は導入の時期でない」と指摘。「まず最低所得を3,000リンギ、4,000リンギにすることが先決で、その時点で段階的導入が可能になる」と述べた。現在の最低賃金は1,500リンギ。GSTを導入したほかの国を見ても、まず最低賃金を引き上げているという。なおマレーシアでは最低賃金は2年に1度見直されることになっているが、改定の年である今年はまだ発表されていない。

マレーシアではGSTは税率6%で2015年に当時のナジブ・ラザク政権が導入したが、3年後、希望同盟(PH)連立政権が廃止し、売上・サービス税を導入した。税収だけを比較すると、2021年の売上・サービス税収入は279億リンギで、2017年のGST収入440億リンギを大きく下回っている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月13日)

相続税の導入はない、運輸相が憶測を否定

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は13日、与党連合・希望同盟(PH)構成党、民主行動党(DAP)クアラルンプール大会における演説で、新年度予算で政府は相続税など新税を導入するとの情報について、憶測にすぎないと否定した。マレー語紙は先に銀行アナリストの話として、政府は相続税、不健康食品税、炭素税、高額品税、人工知能(AI)税を導入する見通しだと報じていた。

ローク氏は「閣議でそうした話題を聞いたことはない。DAP議員にも新税導入を信じている者がいるが、アナリストはあらゆる憶測を立てる」と指摘。さらに「政策決定者は政府、内閣であり、政策は銀行アナリストではなく、議会に承認されて初めて正式なものになる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月14日、フリー・マレーシア・トゥデー、10月13日、マレー・メイル、10月11日)

社会人教育のアル―、UniKLと海外派遣研修で提携

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 社会人向け教育サービスのアル―(本社・東京都千代田区)は10日、クアラルンプール大学(UniKL)と海外派遣研修業務に関する業務提携で合意したと発表した。

アル―は、2011年からグローバル人材の育成をめざし、実際のビジネスの場で価値を発揮できる人材育成に重点をおいた海外派遣型の研修を提供してきた。

海外派遣型研修では受講者が海外の現場で現地の人たちとチームを組み、自社のグローバルビジネス拡大を目指し現地のニーズを発掘したり、実際の社会課題解決に取り組んだりする。今回の実践重視の教育を行っているUniKLとの提携により、受講者は質の高いバディと組んで課題に向き合い、学びを深めることができると期待されるという。

「TikTok」人員削減、コンテンツ監視業務には影響はなし

【クアラルンプール】 動画共有アプリ「TikTok」を運営する中国のバイトダンスがマレーシアを含む各国拠点で大幅な人員削減を行うことについて、ファーミ・ファジル通信相は、マレーシアにおける同社のコンテンツ監視業務には影響はないとの見方を示した。

ファーミ氏は、バイトダンスが特にコンテンツやライブセッションに関する調査や審査の面でマレーシア当局に協力していると言明。マレーシアで481人が解雇されたものの依然として約3,700人もの従業員を抱えているとし、クラウドコンピューティングやデータセンターなど、いくつかの新しいサービスを提供するため、いくつかの新しいポジションを開設し、従業員数を増やす予定だと述べた。

また人員削減対象となっているモデレーション部門については、「バイトダンスはどこで事業を展開していてもモデレーションチームは維持すると発表している」と指摘。「マレーシアでの事業に悪影響はなく、マレーシア王立警察(PDRM)や通信マルチメディア委員会(MCMC)との協力にも影響はない」と述べた。

ファーミ氏によると、人工知能(AI)技術への移行により、手動でモデレーションを行っている人員が解雇された。一方で通信省は、中国語とタミル語のコンテンツやライブセッション、特に誹謗中傷が増える深夜に手動のモデレーターを増員するようTikTokに要請しており、特コンテンツ監視プロトコルを改善するよう求めているという。
(ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、10月12日)

【イスラム金融の基礎知識】第554回メイバンク、比でイスラム銀行業務拡大を目指す

メイバンク、比でイスラム銀行業務拡大を目指す

Q: フィリピンで業務を開始したメイバンクのイスラム銀行部門の現状は?

A: 前回は、マレーシア資本のメインバンクが8月にフィリピンでイスラム銀行業務を開始したことを紹介したが、その後の状況と今後の計画が同国のメディアを通じて明らかになった。

メインバンクは今年7月、フィリピンでイスラム銀行部門(IBU)を設置して預金や融資などイスラム金融商品を取り扱えるライセンスを、中央銀行から取得した。これを受けて8月にザンボアンガの支店内に初のイスラム窓口を設けた。このことからおよそ2カ月が経過したが、同銀行幹部がフィリピンのメディアに語ったところによると、開設以来すでにおよそ2,000万ペソ(約5,000万円)の預金を集めた。これは、同銀行が掲げていた2024年末の預金残高1,500万ペソという当初の目標を、すでに上回っていることを意味しているという。

また、このザンボアンガでの経験をふまえて、さらにイスラム窓口を増やす計画を明らかにした。それによると、まず今年中にイスラム窓口を持つ支店を7カ所に増やす計画を立てており、特にセブ、ダバオ、マニラ首都圏にある各支店がその対象だとしている。そして最終的には、現在国内60ほどの支店網をさらに拡大して、全ての州(81州)にイスラム窓口を設けたいとしている。

幹部によれば、この目標を達成するにはシステム上の問題だけではなく、従業員教育が重要だとしている。現在、イスラム銀行商品の販売やサービス方法についての知識の向上のための教育を、従業員に対して行っているところであるとしている。

イスラム銀行業務について、幹部によればイスラム銀行部門の売上は、2025年の収益予測に織り込むには時期尚早としていたが、現在の状況では銀行の収益への貢献が早まるだろうという期待を示した。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。