核エネルギーを導入、発電所建設・運営は民間が主導

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は5日、原子力エネルギーをエネルギー源の一つとして採用する政府方針を明らかにした。第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026―30年)のエネルギー政策に含めるという。

ラフィジ氏は、50年にネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)の国家目標達成は原子力エネルギーの利用なしでは極めて困難と説明。原子力がよりクリーンなエネルギー源であり、燃料使用量が少ないため、石炭火力のように燃料価格の変動にあまり左右されない利点があるとし、従来の原子炉よりも小型の核分裂炉である小型モジュール炉(SMR)が開発されており、安全度は従来型より高いと述べた。

エネルギー移行・水利転換省と科学技術革新省が原子力エネルギーの利用に関する法的・規制の枠組みの策定を開始した。

政府が実行資金を負担するのかとの記者の質問に対し、ラフィジ氏は「現在の発電モデルでは、プロジェクト実施は民間セクターがけん引する」と民間に開発・運営を委ねる意向を示唆した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、11月5日)

合理化でRON95補助金が年80億リンギ節約=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は、来年半ばに実施を予定している対象を絞ったレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度を通じた漏洩防止策により、年間80億リンギの補助金支出が節約できると述べた。

アミル・ハムザ氏は5日の下院議会質疑の中で、支給対象を所得上位15%(T15)以外に絞った新制度は、本来恩恵を受けるべきでない人物を通じた補助金漏洩を軽減するために不可欠だと指摘。データによると外国人や富裕層、商業セクター、密輸活動による補助金付きガソリン消費が総ガソリン使用量の約40%を占めると推定されるとし、「現在のRON95補助金が年間約200億リンギであることを考慮すると、新制度により年間最大80億リンギを節約できる可能性がある」と述べた。

一方、RON95補助金の対象となる世帯収入の決定に関しては、マレーシア統計局(DOSM)が実施する世帯収入調査(HIS)の世帯収入レベルだけに基づくものではないと言明。政府が現在、除外対象となるT15グループを定義するための方策を検討しており、HISの定義に直接拘束されることはないと述べた。

RON95の補助金支給の具体的な仕組みについては、ディーゼル燃料や電気料金の補助金で使用されているモデルに似た、段階的価格設定メカニズムを検討していると言明。スマート身分証「MyKad」と電子ウォレットの使用も検討していると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、11月5日)

プロドゥア偽造潤滑油の販売業者に51万リンギの損害賠償命令

【クアラルンプール】 高等裁判所はこのほど、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)純正と偽った潤滑油を売ったとして、自動車部品・潤滑油販売業、エコ・オート・サプライの経営者リー・ラップキー被告に51万6,777リンギの損害賠償を支払うよう命じた。

訴えていたのは、プロドゥアとプロドゥア・セールスの2社。2019年5月、国内取引物価省による家宅捜索をきっかけに、キー被告の偽造潤滑油の販売が発覚。キー被告は有罪を認め、約5万3千リンギの罰金が科せられたが、それとは別に、2社が損害賠償などを求め民事裁判を起こしていた。

民事訴訟については2022年9月、キー被告によるプロドゥア商標の無断使用の禁止や、日刊紙3紙への謝罪掲載などで和解。損害賠償額については裁判所にゆだねられていたが、今回逸失利益について計1万6,777リンギ、信用と評判の毀損について50万リンギが確定した。
(エッジ、11月5日)

米国で破綻のTGIフライデーズ、マレーシア事業に影響なし

【クアラルンプール】 米レストランチェーンのTGIフライデーズが2日に破産申請を行ったが、TGIフライデーズ・マレーシアは、マレーシア事業は継続すると発表した。TGIフライデーズ・マレーシアのマスターフランチャイジーはテクナX子会社のクレイビアット・インターナショナル。

TGIフライデーズ・マレーシアは、TGIフライデーズ・フランチャイザーLLCとのフランチャイズ契約に基づいて運営されており、TGIフライデーズとは別で米国の再編の影響はないとしている。11月にはミッドバレー・メガモールに新店舗を開業する予定もあるという。

TGIフライデーズ・フランチャイザーは41カ国・56社のフランチャイジーとフランチャイズ契約を結んでいるが、米国外のこれらのフランチャイズはすべて独立所有であるため、米TGIフライデーズが申請した米連邦破産法11条の適用は受けないという。

米TGIフライデーズは、新型コロナ禍で休業を迫られたことや客足が遠のいたことが原因で経営が悪化していた。世界41カ国で460店舗以上を展開し、米国では39店舗を所有・運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、11月5日)