パナソニック製造、7ー9月期は93%の大幅減益

【クアラルンプール=アジアインフォネット】  パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアは11月29日、同社2024年度第2四半期(2024年7ー9月)の純利益が247万リンギにとどまり、前年同期比92.6%の大幅減益となったと発表した。為替差損と原材料費の上昇が響き、3年ぶりの低水準となった。

売上は前年同期比0.1%減の2億3,607万リンギ。空質空調社(HVAC)は長引く暑い気候により国内や域内でのファンの売上が大幅に増加したものの、シャワー製品の不振が響き、売上が2.2%増にとどまり減益となった。くらしアプライアンス社(LASC)は、掃除機製品の輸出売上減少などにより9.6%の減収、53%の大幅減益となった。

対米ドル・リンギ高による為替差損が1,640万リンギに拡大(前期は60万リンギ)。厳しい環境により特に利益率の高い製品で販売が減少し、銅とアルミニウムの材料費が上昇したことも利益を押し下げた。

上半期(4―9月)決算では、売上が前年同期比1.6%減の4億5,703万リンギ、純利益は62.2%減の2,026万リンギとなった。

同社は今後について、世界経済は、緩やかなインフレ、堅調な労働市場、先進国における予想を上回る需要に支えられ、2025年も安定を維持すると予測されるが、地政学的緊張の高まりや主要経済における貿易政策の変化による潜在的なリスクがあると指摘。今年度の事業環境は不安定になると予想しているとした。

伊藤忠テクノ子会社、セキュリティ監視センターを開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、本社・東京都港区)は2日、マレーシア法人、CTCグローバル(マレーシア)がセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を開設したと発表した。
顧客のセキュリティ機器の状況を24時間365日の体制で遠隔監視する。マレーシア及び東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国における日系企業や現地法人に向けてシステムセキュリティの強化を支援する。

リアルタイムに次世代ファイアウォールやIPS(不正侵入防止装置)、EDR(エンドポイントでの検知と対応)などのセキュリティ機器を監視し、収集した情報をもとに顧客のシステムにおける脅威を分析。不正アクセスやウイルス感染など異常を早期に検知して顧客の情報資産を保護する。

セキュリティ機器からの通知やログ情報をベースにセキュリティアナリストが通信経路や攻撃手法を分析し、リスク要因と対応策を顧客に報告。サイバー攻撃といった緊急の場合には暫定的に通信の遮断を含めた対応作業を実施する。また平時の運用業務においてはセキュリティ機器の設定変更やファームウェアバージョンアップなどの追加対応も行う。

CTCは2014年に日本国内で「CTC-SOC」を開設し、現在まで多くのサービスを提供している。

北東モンスーン12月8―14日に強まる、気象局が大雨予想

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア気象局は、12月8日から14日にかけて北東モンスーンが強まり、マレーシア半島東部で降雨が続く恐れがあると警告した。半島部では11月下旬から続く断続的な大雨により広範囲で洪水が起きている。

気象局はまた、12月3日の午後から12月4日の早朝にかけて、半島東部クランタン州とトレンガヌ州で風の収束帯が形成されると予想されるとし、雷雨や大雨が発生する可能性があるとしている。

気象局は公式ウェブサイト(www.met.gov.my)で最新情報を定期的に確認して欲しいと呼びかけている。

マレーシア半島部の広範囲で発生した10年ぶりの大洪水は、1日正午時点では避難民が15万3,411人に達したが、その後は小康状態となり3日午後4時時点での避難民は8万4,902人まで減少、避難民が一時9万7,131人に達したクランタン州も、5万7,055人にまで減少している。

入国自動ゲート対象60カ国に拡大、QRコード審査も検討へ

【クアラルンプール】 入国審査時の自動ゲート利用対象国が新たに53カ国増え、計60カ国に拡大された。シャムスル・アヌアル副内務相が2日、下院質疑で答えた。

新たな対象国として挙げられたのは、欧州連合 (EU) 加盟国含めたヨーロッパの43カ国、中東6カ国に加え、カナダ、香港、中国、台湾の4カ国。2023年2月時点では日本を含めた10カ国、今年7月時点では36カ国としていた。

また出国時の自動パスポートスキャン機としては1,568台が設置されているという。さらに入国審査プロセスの迅速化のため、クアラルンプール国際空港(KLIA)でのQRコードによる審査システムの運用についても検討していく
(ベルナマ通信、12月2日)

多くの国民は生成AIに肯定的、ジョブストリート調査

【クアラルンプール】 オンライン職業斡旋サイト、ジョブストリートは生成AI(人工知能)に対する世界の人々の姿勢、懸念に関する調査結果を公表した。マレーシアはほかの国よりAIに受容的で、回答者の50%は生成AIを使ったことがあると答えた。用途は、情報入手、技能開発、翻訳。生成AIになじみがない、との回答は40%だった。

年齢・職業種別では、18-24歳の年齢層は45歳以上の層より生成AIを利用する可能性が50%高い。生成AI採用に肯定的なのはデジタル化、データサイエンス、情報技術、マーケティング・メディアの労働者で、物流・運輸、法務関連では受け入れ派は40%と少ない。

職に関する懸念では、仕事内容に何等かの変化がある(回答者の79%)、重大な影響がある(28%)だった。法務、医療関係は懸念度が低い。

AI採用に伴い労働者には技能習得が必須になるが、57%はAI導入による変化に対応するため技術を取得する用意があると回答。失職を懸念している、との回答は5%だった。

しかし、生成AIを実際に利用する際の困難もあり、55%はプロンプト作成で困難を感じると回答した。
(ザ・サン電子版、11月27日)

積極的差別是正措置には透明・包括性が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11月30日、マレー・カレッジOB会の夕食会における演説で、政府施策はより包括的になり、ほかの民族への許容性を増しマレー人の利益を損なっているとの懸念がマレー人社会にあることについて「見当違いだ」と一蹴。現政権でマレー君主、マレー人の特権、国語としてのマレー語の地位が危うくされたことはないと言明した

また現政権が国内最大級の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」を外国企業から取り戻した際、少なくとも50エーカーはマレー人にとり置くことを決定したが、独立以来のことだと強調した。

先住民・マレー人を優遇する積極的差別是正措置は以前実施された際、縁故主義にまみれ、党幹部らの利益追求に乱用されたことがある。

これを踏まえアンワル氏は、より包括的で透明性のある積極的差別是正措置が現在必要だと指摘。都市の貧困層、過疎地住民を含めすべてのマレー人に恩恵がいきわたるようにすべきだと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、12月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、11月30日)

洪水避難民は減少傾向、クランタン州は4日の第2波を警戒

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア半島部の広範囲で発生した10年ぶりの大洪水は、1日正午時点では避難民が15万3,411人に達したが、同日午後4時には15万482人に減少、2日はさらに午後4時時点で11万9,254人に減少した。

小康状態となっているものの今後も各地で断続的に大雨が降ることが予測されるため、最も被害が大きいクランタン州政府は、4日にも洪水の第2波が来るとして州民に警戒を呼びかけている。同州政府は1日、「注意!クランタン州は12月4日に洪水の第2波に見舞われると予測されている」とソーシャルメディアに投稿した。

避難民の数がピークとなった1日正午時点で避難民が出ているのは▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダ▽パハン▽ネグリ・センビラン▽ジョホール▽マラッカ▽ぺルリス▽セランゴール――の9州となり、クランタン州の避難民は9万7,131人となった。2日午後4時時点で避難民が出ているのは▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダ▽パハン▽ネグリ・センビラン▽ジョホール▽ペラ▽ぺルリス▽マラッカ――の9州となり、クランタン州の避難民は7万7,761人にやや減少した。

一方で死者は増加し、2日午後4時時点で5人となった。

ジェトロの日系企業実態調査、マレーシアは今年黒字が7割

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は11月28日、「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」結果を発表。マレーシアは2024年の営業利益見込みを「黒字」とする回答率が70.8%に上り、前年調査の67.9%を2.9ポイント上回った。マレーシアは「均衡」が15.8%。「赤字」は13.5%で、前年の14.6%を1.1ポイント下回った。

同調査は北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業を対象に8月20日から9月18日にかけて行ったもので、マレーシアからは調査対象917社のうち359社が回答した。

2024年の営業利益見込みが前年比で「改善」とする回答は、マレーシアは38.2%で、「横ばい」は35.6%、「悪化」は26.1%だった。改善理由については「現地市場での需要増加」が49.6%と高かった。

2025年見通しについては、「改善」が41.9%、「横ばい」が45.9%、「悪化」は12.3%だった。改善理由については「現地市場での販売体制強化」が43.2%と高かった。

2024年の景況感を示すDI値(「改善」と回答した企業の割合から「悪化」と回答した企業の割合を差し引いた数値)は、マレーシアはプラス12.1で、2025年についてはプラス29.6となった。

事業拡大を検討している企業はマレーシアでは48.9%に上り、今後1―2年で事業を拡大する理由については「現地市場ニーズの拡大」が62.6%、「輸出の増加」が35.7%だった。拡大する機能については、「販売」が70.1%と最も高かった。脱炭素化への取り組みについては、「すでに取り組んでいる」が43.2%、「今後取り組む予定」が40.3%だった。

マレーシアの投資上のメリットとしては「言語上の障害の少なさ」が75.3%でトップ。投資上のリスクについては「人件費の高騰」が72.3%で最も高かった。

【イスラム金融の基礎知識】第557回 グリーンピースからみたイスラム金融

第557回 グリーンピースからみたイスラム金融

Q: グリーンピースはイスラム金融をどう評価していますか?

A: グリーンピースといえば、国際的な環境保護団体であり、特定の宗教・宗派、イデオロギーに依拠せず環境保全の活動を行うNGOとして、世界的に知られている。そのグリーンピースは、イスラム金融についてどのような考え方をもっているのだろうか。11月に更新された同団体のウェブサイトに、イスラム金融についての認識を示す興味深いエッセーが掲載された。

「イスラム金融:気候変動対策のための強力な解決策」と題するエッセーでは、まずイスラム諸国における環境問題、特に水に関する問題を指摘する。すなわち、パキスタンにおける洪水、インドネシアにおける海面上昇による沿岸部の村落水没、中東・北アフリカでの干ばつ・水不足である。また、気候変動は食の安全保障の問題を生み出し、宗教実践をゆがめている。例えばソマリアでは、食糧不足がラマダン月の断食の適切な実践を妨げているとしている。

これらの課題に取り組むことができる存在として、グリーンピースはイスラム金融を挙げた。イスラム金融には、公正さ、社会的責任、環境保護を推進するイスラムの教義があり、これに基づいて金融ビジネスを展開している。その成功例の一つが、マレーシアにおけるグリーン・スクーク・インシアティブ(環境保護に取り組む企業を優先して社債を発行する取り組み)だとしている。また、2027年には世界のイスラム金融の資産残高が6.7兆米ドルに達するため、そのうち5%でも振り向けることができれば、2030年までに4,000億米ドルを環境問題への解決に向けて費やすことができるだろうと期待を寄せている。

グリーンピースは、イスラム金融を倫理的原則と地域社会への責任に根ざしている存在だととらえた上で、その独自の活動を通じて環境問題に成果を出すことに期待しているといえよう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

アニメイトがマレーシア初店舗、ららぽーとBBCC内に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産が運営するクアラルンプール(KL)市の「ららぽーとブキ・ビンタンシティセンター(BBCC)」に29日、日本のアニメ専門店アニメイトが開業した。マレーシア初進出で、さらに12月には、ストリート系など3つのファッションブランドも進出を予定。来年1月のBBCC開業3周年を前に、日本の若者カルチャー発信スポットとしてますます注目が高まっている。

アニメイトはアニメやゲーム、キャラクターグッズなどを販売し、日本国内の約120店舗のほか、中国やタイなど10カ国以上でも展開している。オープン初日は、KLを拠点に活動するアイドルグループKLP48のメンバーが参加してイベントも行われた。

12月に開業するのは、日本国内で約170店舗を展開する「WEGO」、原宿を拠点とするストリートブランド「9090」、10ー20代の男女に人気の「Younger Song」。オープンを記念したセールなども予定されている。