5つ星のアイコニックマージョリーホテル、ペナン州で開業

【クアラルンプール】 マリオット系列の5つ星ホテル「アイコニック・マージョリー・ホテル」がこのほど、ペナン州バヤンレパスにオープンした。

同ホテルは、米マリオット・インターナショナルの中でも、個性的な独立系に対する「トリビュートポートフォリオ」というブランドに属する。ペナンのプラナカン文化の優雅さと、現代的なデザインが融合させた298室からなる。

運営するのは、不動産開発アイコニック・グループの子会社アイコニック・ペナン。グループにとっては2つ目のホテルとなる。ホテルに隣接する42階建ての「アイコニック・リージェンシー」では、500―850平方フィートの家具付き住戸268戸も提供。「東洋のシリコンバレー」として知られるバヤンレパス工業地帯の一角に位置し、さまざまなビジネスニーズに対応する。ホテルと合わせて1億8,000万リンギを投資した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ペナン・プロパティ・トーク、12月29日)

持続可能なパーム油基準改良版、1日に発効

【クアラルンプール】 持続可能なパーム油の新たな基準「マレーシア持続可能なパーム油基準2.0(MSPO2.0)」が1日、発効した。マレーシア独自の基準で、2013年に導入されたMSPO基準をさらに厳格、包括的なものに改め、環境持続性、社会的責任、統治面で国際基準に沿ったものにした。

基準策定機関のマレーシア・サステナブル・パームオイル(MSPO)は声明で「MSPO基準審査は独立した第3者機関により行われており、最高水準の信用を確保している」とした。

MSPO2.0はMSPO基準をベースに持続可能性の要素を高めており、責任あるパーム油生産におけるマレーシアの指導的地位の維持に貢献するという。製造から消費に至るまでの追跡可能性ではディーラーにも認証取得を義務付けており、サプライチェーンのあらゆる面で透明性が確保されるという。

ジョハリ・アブドル・ガニ農園一次産業相は「新基準の導入でマレーシアパーム油産業の未来を確かなものにする」と語った。
(ザ・スター、ボルネオ・ポスト、1月2日、ベルナマ通信、1月1日)

ジョホール州公務員、週末公休日移動に伴い1月6日を休日に

【ジョホールバル】 ジョホール州政府は、今月からの週末公休日の土・日曜への移行を円滑に行うため、1月6日を州公務員の特別振替休日とすると宣言した。6日は学校も休校となるが、実施中のマレーシア教育修了試験(SPM、高等中学卒業試験)は予定通り行われる。

州投資・貿易・消費者問題・人材委員会のリー・ティンハン議長(国政の閣僚に相当)は、移行が行われる1月第1週に6日間勤務する必要があるため、6日を公務員専用の代替休日に指定することを明確にする新たな指令を出したと説明した。

これまで金・土曜となっていた週末公休日の変更は、2024年10月に同州スルタン摂政のトゥンク・イスマイル皇太子が発表した。同州では建国以前から金・土の公休が実施されていたが、1994年に土・日に変更。ムスリムにとって金曜日が重要であることへの敬意と、イスラム教を州の宗教として認める印として、2014年に再び金・土に変更されていた。ジョホール州の再々変更により、金・土を公休日としているのはケダ州、クランタン州、トレンガヌ州だけとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、1月2日)

軽便鉄道KLCC駅で火災、一時混乱もけが人なし

【クアラルンプール】 首都圏軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線KLCC駅で2日午後4時15分ごろ、火災が発生した。火はすぐに消し止められたが、列車が緊急停止し、一時的に駅が閉鎖されるなど混乱した。けが人はなかった。KLCC駅は同日午後5時半過ぎに運用を再開した。

消防レスキュー局によると、地下のポンプ配電盤付近が燃えており、詳しい原因を調べている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、1月2日)

【総点検・マレーシア経済】第512回 2025年のマレーシア経済の見通しは

第512回 2025年のマレーシア経済の見通しは

2025年1月、トランプ政権が発足します。様々な点で米国の経済政策がどうなるか不透明な中、マレーシア経済の2025年はどうなるでしょうか。

マレーシア政府は2025年の経済成長率を4.5%〜5.5%と予測しています。2024年の経済成長率が5.0%を少し上回りそうな中、政府としては2024年とほぼ同様の経済成長率を見込んでいると言えます。

一方で、世界銀行は2025年のマレーシアの経済成長率を4.5%、IMFは4.7%と予測しています。これは、マレーシアの政府の予測の下限に近いものです。筆者も現在のところ、2025年のマレーシアの経済成長率は政府予測の下限か、それを少し下回るのではないかと考えています。4.2%〜4.7%程度ではないかと予想します。

理由は以下の通りです。まず、現在のマレーシア経済は民間消費が徐々に減速する中で、投資が二桁の伸びを示して経済を支えています。産業別に見ると製造業もサービス業も強いとはいえない状況の中で、建設業が20%近い伸びを示しています。世界経済についての不透明感が強まる中で、これ以上の速度で投資が伸びる可能性は低いと筆者は考えます。

そうなると、これまでのように民間消費や投資が経済を支えつつも、輸出が伸びていかなければ5%台の経済成長は難しいことになります。そこで障害となるのがトランプ政権の関税政策の不透明性です。

図1はマレーシアの国別輸出のトップ3であるシンガポール・中国・米国向けの輸出の推移です。次期大統領がトランプ氏になる可能性がでてきた10月、それが決まった11月と、米国向けの輸出が大幅に伸びていることが分かります。

図2はマレーシアの米国向けの輸出の過去3年間について比較したものです。10月は前年同月比32.5%、11月はと57.3%もの伸びを示しています。つまり、減速気味だったマレーシアの輸出が直近で持ちこたえているのは、トランプ政権の関税引き上げを見越した米国向けの輸出の「前倒し」がひとつの要因になっていることが分かります。

こうした米国向け輸出の「前倒し」はいつまでも続くものではありません。いずれ、前倒しの反動が出る時期がやってきます。つまり、2025年のマレーシアの米国向けの輸出は、通年では2024年第4四半期のように大幅に伸びることは期待できません。

本連載509回で述べたように、トランプ政権の関税政策がマレーシア経済に与える影響はそれほど大きくなることはないと考えられます。しかし、その不確実性が世界経済にマイナスに作用する中で、2025年マレーシア経済は減速気味に推移するものと考えられます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp