今年の航空旅客数は新型コロナ前を上回る見通し=運輸相

【クアラルンプール】 マレーシア航空委員会(MAVCOM)は今年のマレーシアの航空旅客数が前年比8.4―15.6%増となり、1億580万―1億1,290万人に達すると予測しており、新型コロナパンデミック前の2019年に記録された1億930万人を上回る見通しだ。アンソニー・ロ―ク運輸相が明らかにした。

ローク氏は、2024年の航空旅客数・貨物量の実績と2025年の見通しに関する記者会見で、昨年の航空旅客数が前年比14.3%増の9,710万人と大幅に回復し、パンデミック前の水準の90%にまで回復したと述べた。東南アジア諸国連合(ASEAN)と世界全体の成長率はそれぞれ19.8%と38.9%だったという。

その上でロ―ク氏は今年の航空旅客の成長の要因として、前年比15.8%増が見込まれる座席数の増加、前年比21.1%増と見込まれる国内旅行のほか、前年比4.5―5.5%と見込まれるマレーシアの堅調な国内総生産(GDP)成長、通貨リンギ・レートが1米ドル=4.45リンギで安定するなど、マクロ経済環境が良好であることを挙げた。

航空貨物部門も成長の兆しを見せており、MAVCOMは、経済回復と電子商取引の拡大に支えられ、今年の貨物量が前年比4.5―8.5%増加すると予測している。2024年の航空貨物量は前年比8.3%増の10億3,410万キログラムとなった。

マレーシアの航空旅客数は2020年にパンデミックに伴う移動制限により2,670万人に急落し、国境が閉鎖された2021年にはさらに悪化していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、1月15日)

輸出成長率は4%に減速、シンクタンクSERCが予想

【クアラルンプール】 シンクタンクの社会経済研究センター(SERC)は、今年の輸出は昨年の推定5.1%増から4%増に減速すると予想している。経済見通しに関する会見でリー・ヘングイエ専務理事が表明した。

トランプ次期米国政権が関税引き上げを示唆しているためで、トランプ氏は特に中国に対する高関税を言明しているが、中国企業や多国籍企業が調達先を中国からマレーシアに変更する可能性もあり、マレーシアへの影響は軽減されるという。

リー氏は、チャイナプラスワン(中国に一極集中していた海外拠点の分散)や台湾プラスワンによる調達先の再編でマレーシアは優位な立場にあるが、マレーシアがどの程度恩恵を受けるかは、マレーシア企業の能力にも左右されると述べた。

政府が計画している、永住権を持たない外国人社員に対する従業員積立基金(EPF)加入義務付けについて、リー氏は雇用者の負担を増すだけと否定的だ。

最低賃金引き上げ、外国人労働者雇用税の複層化、EFP義務化がすべて実施された場合、新規雇用の外国人については月454リンギ、既存の外国人社員については同267リンギ、雇用者負担が増すという。
(SERC報道資料、エッジ、1月15日)

村田製作所の現法、ミルクラン方式の越境トラック輸送を開始

【イポー】 村田製作所のマレーシア現地法人、ムラタ・エレクトロニクス(マレーシア)は、貨物ターミナルを運営するイポー・カーゴ・ターミナル(ICT)を利用し、部品・商品の越境トラック輸送を開始した。複数の調達先を巡回し、部品を集荷する巡回集荷(ミルクラン)方式となる。

ムラタ・マレーシアの岸上幸生代表によると、タイ、イポー、シンガポールにある村田の拠点間のトラック輸送で、タイからマレーシア、シンガポールへの一方通行。ムラタ・マレーシアは村田グループ企業に働き掛け、復路での貨物積載も目指す。ベトナムを巡回先に含めることも検討する。

ムラタ・マレーシアは24年から、税関局、ICTなど利害関係者と越境輸送に関する調整を進めてきた。

ICTのロスナワティ氏は、ICTは村田の商品がより早く顧客の元に届くことを確保すると述べた。ICTでは税関申告が可能で、マレーシアからの輸出であれば商品に税金はかからない。
(ベルナマ通信、1月15日)

ウズマ、マレーシア初の高解像度地球観測衛星を打ち上げ

【クアラルンプール】 石油・ガス(O&G)サービスのウズマは15日、マレーシア初の商用超高解像度地球観測衛星「UzmaSAT-1」の米カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からの打ち上げに成功したと発表した。マレーシアの人工衛星としては13機目となる。

ウズマの人工衛星は民間航空宇宙産業、米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の「ファルコン9」ロケットを使用したライドシェアミッション「トランスポーター12」によって他の衛星と共に米国時間14日に打ち上げられ軌道に乗った。

ウズマが開発した「UzmaSAT-1」は重量45.4キログラムで、サブメートル(1ピクセルあたり最大50センチメートル)の高解像度画像やデータを配信する。

「UzmaSAT-1」からの1枚の画像には最大1ギガバイト(GB)のデータが含まれており、カバー範囲は50平方キロメートル、解像度は50センチメートルに向上している。これにより農業、プランテーション、エネルギー、防衛、災害対応、監視アプリケーションなど、さまざまな分野での活用が見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、1月15日)