サステナブルフードアジア、イベント参加の食品企業など募集

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 新たな食材開発などに取り組む「サステナブル・フード・アジア」(本社・東京都渋谷区)は、クアラルンプール(KL)で4月に開催する「サステナブル・フード・キャンプ2025(SFC2025)」に参加する食品関連の企業などを募集している。

SFCは東南アジアのフードテック企業と日本企業を結ぶことを目的に2023年から開催されている。前回は9カ国から113社が参加した。今年は「フューチャー・フーズ 今日のイノベーション、明日の持続」をテーマに、4月22日に開催される。食品関連の企業のほか、研究者、金融機関などが一堂に介し、糖尿病や肥満などの生活習慣病対策や、食の多様性、資源循環などについて議論し、協業を目指す。最後に、チームごとにアイデアの発表が行われ、優勝チームには賞金やアイデア実現に向けた支援が予定されている

2022年創業のサステナブル・フード・アジアは、教育開発や創業支援などを手がける「リバネス」(東京都新宿区)のグループ企業。
SFC2025の詳細は https://sustainablefood.camp/

昨年の公共交通機関の利用者数、 1日平均118万人=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は17日、公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアの2024年の業績報告を発表。鉄道・バスを利用した乗客は1日当たり平均118万人で、前年比24%増となった。2025年はさらに20%増の140万人が目標という。

乗客増加の背景として、新型コロナ・パンデミックから経済が回復傾向にあることや、2023年3月の首都圏大量高速輸送(MRT)プトラジャヤ線の開業などが挙げられた。乗客が最も多かったのは、12月31日の154万人だった。乗客数の増加などでプラサラナの収入は5%増加したという。

一方、列車が5分以上停止するなど運行が中断されたケースは71回で、前年の118回から40%減った。ローク運輸相は「平均すると現在、20万―40万キロメートルごとに1回の中断のところ、2026年までには100万キロメートルごとに1、2回に減らしたい」とし、人工知能(AI)を活用するなど「予防保守」に重点を置く考えを示した。

また2025年の乗客増加要因として、建設が進められている首都圏軽便鉄道(LRT)シャアラム線(旧LRT3)で9月30日までに最初の20駅の開業が予定されている。残りの5駅は2028年12月31日までに開業予定。

利用者のニーズに応じて柔軟に運行するオンデマンド型交通(DRT)についても、現在首都圏クランバレーで運行している20台から、2月には新たに300台増やす。新型ディーゼルバスも3月下旬から段階的に310台が納入される予定で、ローク運輸相は「これによりMRTとLRTの利用をさらに促進していきたい」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月17日)

外国人専用の納税者支部をKLに開設=内国歳入庁

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB、LHDN)は17日、外国人専用の納税者支部(CPCA)をクアラルンプール(KL)のLHDN事務所に開設したと発表した。

CPCAは、これまでKL、プトラジャヤ、セランゴール州の各事務所で扱っていた外国人、非居住者、源泉徴収税に関する税務情報を引き継いで一元管理し、業務の効率を高めるのが狙い。サービスの質の向上にもつながるという。

すでに1月1日から稼働しており、窓口は月曜―金曜の午前8時―午後5時まで、電子予約(https://ejanjitemu.hasil.gov.my/)も可能。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、1月17日)

佐賀大、PDでハイブリッド海洋温度差発電施設を開所

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 佐賀大学は20日、ネグリ・センビラン州ポートディクソンでハイブリッド海洋温度差発電(H-OTEC)の実験施設を開所した。

OTECは、海の表層部の温かい海水(摂氏25-30度)と、深層部の冷たい海水(摂氏5-7度)の温度差を利用し、蒸気を発生させてタービンを動かして発電する仕組み。中でもH-OTECはクローズドサイクルとオープンサイクルという2つの方式を組み合わせ、効率的に発電することができる。H-OTECは佐賀大学が特許を持つ世界初の技術。

海中の温度差が大きい熱帯地域の方が適していることから、佐賀大学ではマレーシア工科大学(UTM)、プトラ大学(UPM)などと共同で研究を行ってきた。日本で作った装置を昨秋にマレーシアのポートディクソンのUPM内に移設し、試運転を実施していた。

H-OTECは発電と合わせて、飲料水となる淡水を生み出したり、ミネラルを多く含んだ海洋深層水の農業や水産業への活用も期待されており、引き続き実証実験を続けていく。将来的には、サバ州などでの実証を目指すという。

H-OTECは、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の共同による「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」にも採択されている。

ユーモバイル、15-18カ月以内に5Gネットワークを開始

【クラン】 マレーシア第2の第5世代移動体通信(5G)ネットワーク事業者に選定されたユーモバイルは、15-18カ月以内に5Gネットワークサービスを開始する方針だ。ベルジャヤ・グループ創始者のビンセント・タン会長が明らかにした。

資金不足のために追加のパートナーが必要だと報じられていることについてタン氏は、5Gネットワーク展開のために政府資金や新たな現地パートナーは必要としないと明言。融資に前向きな銀行もあるとし、自己資金だけでなく銀行からの資金で実施できるとの考えを示した

また機器サプライヤーの選定に関しては、技術面の優位性から華為技術と中興通訊の中国系2社で検討していることを公表。これらのサプライヤーが資金を提供する可能性もあると述べた。

RHBインベストメント・バンクは先ごろ、ユーモバイルが2番目の5Gネットワークアクセスプロバイダーに選ばれたことを受けて、30億―40億リンギと推定される5G設備投資(CAPEX)を捻出するためにネットワーク提携に踏み切る可能性が高いと報じた。ネットワークインフラを共有することでサイトの展開が加速し、より迅速に人口をカバーすることができるという。

一方、タン氏は、ユーモバイルを2025年末までにブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場する計画であることを公表。今後数カ月以内に上場を申請する考えを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月17日)

【総点検・マレーシア経済】第513回 マレーシアの「トランプ関税」を見据えた駆け込み輸出の状況

第513回 マレーシアの「トランプ関税」を見据えた駆け込み輸出の状況

2024年11月のマレーシアの輸出は前年同月比3.7%増となりました。10月に0.4%減となってから2カ月連続で増加し、持ち直しているように見えます。しかし、実際には米国向けの輸出が異常に伸びていることが大きく影響しており、輸出全体は低調だと言えます。

 

図はマレーシアの2024年の月別の輸出額を全輸出(青線)と米国向けを除いた輸出(橙線)で示したものです。全輸出では10月以降、マレーシアの輸出は持ち直しているように見えますが、米国向けを除いた輸出を見ると、9月以降マイナス幅を徐々に拡大しており、全く異なる傾向が見られます。

米国向けの輸出が大幅に伸びているのは全世界に対して米国が一律に10%〜20%の関税を課すといういわゆる「トランプ関税」のリスクに対し、各企業が輸出の前倒しで対応しているためであると考えられます。その結果、マレーシアの対米輸出は10月は前年同月比32.5%増、11月は57.3%増と異常な伸びを示しています。

表はマレーシアの2024年11月の対米輸出上位10品目の前年同月比での変化を見たものです。輸出額1,2位の集積回路と記録メディアがそれぞれ153.5%増、458.4%増とすさまじい伸びを示していることが分かります。ちなみに上位10品目で唯一減少となっている「半導体デバイス」をより詳しく見ると、大幅に減少しているのは「太陽光発電モジュール」であることが分かります。これは、米商務省がマレーシア、ベトナム、タイ、カンボジアの4カ国の主に中国企業に対してアンチダンピング関税を10月1日から課している影響であると思われます。

以上のように、マレーシアの現在の輸出は米国向けの駆け込み輸出によって支えられており、これは2024年のGDP成長率を押し上げると同時に、2025年のいずれかの時期で反動が生じ、経済成長率を押し下げる要因になると考えられます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

KLのインター校パインヒルズ、日本事務局を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 クアラルンプール(KL)近郊で5つのキャンパスを展開するパインヒルズ・インターナショナルスクールは16日、日本からの入学を希望する家族へのサポート体制を強化するため東京都渋谷区に日本事務局を開設したと発表した。

2001年創業の同スクールは、幼稚園から高校(4―18歳)の生徒を受け入れている。同校では「HENKAN(変換)」という独自のメソッドを掲げ、少人数制で英国式教育を提供。また、在籍する生徒の15%がスペシャルニーズを持つ生徒といい、専用のコースを設けるなど手厚いサポートでも知られる。

日本事務局開設の背景として、マレーシアは日常的に英語が使われ比較的物価が安いなどの理由で教育移住先として人気が高いことが挙げられる。同校では各家庭のニーズに合わせ、長期留学のほか、短期留学、交換留学、グループ研修などさまざまなプログラムを提供しており、入学前の相談や手続き、現地での生活サポートを日本語で行うことで、保護者や学生が安心して学べる環境を整備するとしている。

高砂熱学工業、マレーシア日本国際工科院と連携協定

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 高砂熱学工業(本社・東京都新宿区)は17日、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)と高砂熱学工業の冠講座である「高砂熱環境システム講座 」の共同運営継続及びサテライトラボの設置などについて合意したと発表した。

高砂熱学とMJIITは2014年に包括連携協定を結び、2015年は教育研究基金に関する契約、2020年には同社冠講座の契約を4年間延長し、人財の育成、研究の連携を進めてきた。今年1月16日にはマレーシア現法のT.T.Eエンジニアリング(M)を合わせた3社間で連携継続で合意し、2024年度より3年間の協定を締結した。

連携協定における主な活動内容は、▽高砂熱学の冠講座の共同運営、サテライトラボ設置▽人財採用、インターンシップ学生の受け入れ――。高砂熱学の講座は、熱力学、流体力学および環境科学・工学の分野、特に再生可能エネルギーや省エネ技術の領域で研究活動を行うもので、MJIITの20ある講座(研究室)のうち、唯一の企業冠講座となっている。新連携協定では、T.T.Eの参画に加えてサテライトラボも設置することで、教育研究支援の多角化や新たな研究の立ち上げも期待されるという

石川県フェアをKL市内で開催、1月25日まで

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 石川県及び石川県食品協会は1月17日―25日の日程で、県産の水産物や農産品を使った特別メニューを期間限定で提供する「石川フェア」をクアラルンプール(KL)市内の日本レストランで開催する。

石川県が令和6年度にマレーシアなど9カ国で実施する、県産品の輸出拡大支援に向けた「石川フェア」事業の一環。KLの会場は「鮨和」で、同店の日本人シェフが考案したメニューによるコース料理となっている。料金は1人598リンギ(税抜き)。

石川県産の鮮魚、ズワイガニのほか、源助だいこん、ハト麦茶豆腐、くるみ、中島菜、能登柿之助、とり野菜味噌、五郎島金時(さつまいも)などが供される。

第4四半期のGDP成長速報値は4.8%、通年は5.1%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は17日、2024年第4四半期(10ー12月期)のマレーシア国内総生産(GDP)成長率の速報値を発表。前期(7ー9月期)のプラス5.3%を下回るプラス4.8%と予測した。正式発表は2月14日を予定している。

セクター別では、牽引役のサービス業は、前期のプラス5.2%からやや改善しプラス5.3%の堅調な成長を維持。卸売・小売業、輸送・倉庫、情報・通信のサブセクターが貢献した。

製造業は前期のプラス5.6%から減速したもののプラス4.3%成長を維持した。電気・電子・光学製品、石油、化学、ゴム・プラスチック製品、植物性・動物性油脂、食品加工品の増加が貢献した。

農業は天然ゴムが二ケタの成長を遂げたもののアブラヤシや林業の減速が響いて、前期のプラス3.9%から0.6%のマイナス成長に転落した。 鉱業・採石業は原油・コンデンセートの生産が減少したものの、天然ガスの生産増に下支えされて前期のマイナス3.9%からマイナス1.4%に持ち直した。

建設業は住宅及び非住宅建設の成長に支えられ、前期のプラス19.9%からほぼ横ばいのプラス19.6%となった。

2024年通年のGDP成長率速報値はプラス5.1%で、前年の3.6%を上回った。セクター別ではサービスがプラス5.3%、建設がプラス17.2%、製造業がプラス4.2%、鉱業・砕石がプラス0.8%、農業がプラス3.0%と、いずれもプラス成長となった。