RON95補助金合理化、新たな所得分類を近く決定=経済相

【クアラルンプール】 レギュラーガソリン「RON95」の補助金支給対象決定に向けた所得分類方式の見直しについて、ラフィジ・ラムリ経済相は審議の最終段階にあると言明。内閣は数週間以内に新たな方式を正式決定すると述べた。

所得別に最下層40%を占める「B40」、中間層40%を占める「M40」、上位20%を占める「T20」で構成された、これまでの3所得分類を段階的に廃止する。第10次マレーシア計画(10MP、対象期間2010―15年)以来、政府の補助金政策、財政支援はこの分類に基づいて行われてきたが、経済省は純可処分所得に基づく分類への変更を提案していたという

内閣が見直し決定を正式に下した後、政府は補助金の対象となる受給者の特定に着手する。ラフィジ氏によると2,100万人のデータを網羅した世帯別の収入データ「中央データベース・ハブ(パドゥ)」を用いて対象者を特定するが、最近新規登録受付を再開したという。

所得分類の方法については、にカザナ・リサーチ・インスティチュート(KRI)は「T20、M40、B40」方式はもはや国民の実際の経済状況を反映していないとして、上位30%、中間層50%、最下層20%で分類した「T30、M50、B20」を提言している。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、1月9日)

経済成長率は5%超に、第2財務相が強気見通し

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は9日、ブルームバーグとの会見で、経済は昨年の好調を維持し、今年の国内総生産(GDP)成長率は5%超になるとの強気予想を示した。

昨年の財政赤字は当初目標だった対GDP比で4.3%を下回ったようだという。今年は同3.8%への縮小を目指す。アミル・ハムザ氏は「外国からの直接投資は堅調で、多くの活動の成果が現れつつある。今年は良い年になる」と語った。

運用資産が2兆リンギ近くある政府系投資会社は5年間で5,000億リンギを直接投資に配分するのが常だが、今回はさらに1,200億リンギを積み増す。

アミル・ハムザ氏はトランプ次期米大統領の関税に関する発言や貿易戦争について「世界市場は変動に見舞われているが、マレーシアにはそれを切り抜ける強靭さがある」と述べた。

ラフィジ・ラムリ経済相はフォーラムに出席した際、ブルームバーグの取材に対し、経済成長の勢いは維持されるとしたものの、トランプ次期米政権の政策がマレーシアに与える影響を理由に、成長加速には慎重姿勢を示した。
(ザ・スター、1月10日、エッジ、マレー・メイル、1月9日)

石破首相が訪マ、アンワル首相との首脳会議で関係強化を確認

【プトラジャヤ】 マレーシアを訪問中の石破茂首相は10日、アンワル・イブラヒム首相と首脳会議を行い、東シナ海、南シナ海、中東、ミャンマー情勢などで意見を交換。こうした地域的・国際的な問題に対処するために両国の協力関係を強化していくことを確認した。両首脳はまた教育面での協力関係強化でも合意した。

会談後の共同記者会見で石破首相は、両国がこれらの問題に関して緊密なコミュニケーションを維持することに合意し、平和と安定を促進するという共通のコミットメントを強化したとし、「緊密に連絡を取り合うことでアンワル首相と一致した」と述べた。

石破首相はまた、マレーシアが頻繁に洪水に見舞われていることに触れ、災害リスク管理におけるマレーシアとの二国間協力を強化する意向を表明。「マレーシアは洪水による被害にしばしば直面している。災害リスク管理における日本の専門知識と経験を活用し、この問題に対処するために協力することで合意した」と述べた。
このほか石破首相は、4月13日に開幕する大阪・関西万博に触れ、二国間関係の強化と両国間の協力促進の一環としてアンワル首相を個人的に招待する意向を示した。

一方、アンワル首相は、石破首相が初の二国間訪問先としてマレーシアを選んだことを「マレーシアを重要なパートナーとして真剣にみていることの表れ」と評価。石破首相との会談は私が経験した中で最も充実したものの一つだとした。

アンワル首相はまた、二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯蔵(CCUS)事業などマレーシアが進めるクリーンエネルギー政策における日本の役割を称賛した。
(ベルナマ通信、1月10日)

今年のGDP成長率は4.5-5.0%、製造業者連盟が予想

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)は今年のマレーシア経済について、世界的不確実性が高まっているにもかかわらず、堅調な国内需要、活発な投資活動、輸出と観光業の成長に牽引され、着実に成長すると見込んでいる。

FMMのソー・ティエンライ会長は、2024年第2、第3四半期のマレーシアの国内総生産(GDP)はそれぞれ5.9%と5.3%堅調を維持したとし、今年通年の成長率は4.5%から5%の間になると予想されると言明。「中国の回復の鈍化、米国の政策の潜在的な変化、世界的な商品価格の変動、国内のインフレ圧力などのリスクは残っている」とした上で、輸出は今年も好調を維持すると予想されており、電気・電子、半導体、パーム油、機械、化学品などの主要セクターが牽引しているとした。また過去のデータに基づくと、懸念される米国の関税引き上げがマレーシアの輸出に与える影響は限定的になると予想されると述べた。

一方、インフレ率については、最低賃金の引き上げ、外国人労働者に対する従業員積立基金(EPF)の拠出金の見直し、売上・サービス税の適用範囲拡大、補助金合理化などの国内要因の影響を受けて、2025年には約3%に上昇するとみられるとした上で、それでも財務省の目標範囲である2%―3.5%にとどまると予想されると述べた。

通貨リンギについては、堅調な国内需要と観光部門の改善に支えられ、2025年も堅調に推移すると予想しているとした上で、「米連邦準備制度理事会の利下げ、労働力供給の変化、インフレなどの要因がリンギ・レートに影響を与えるだろう」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、1月8日)

四方大使「ルックイーストから”相互ルック”な関係に」

【クアラルンプール】 四方敬之 駐マレーシア日本大使はこのほど、英字メディア「フリー・マレーシア・トゥデー」の単独インタビューに応じ、今後の持続可能な社会のカギをにぎるグリーンテクノロジーや、データセンターなどを中心に、多くの日本企業がマレーシアに関心を示していると語った。

四方大使のインタビューは、9日からの石破茂首相の訪馬に先だって行われた。両首脳の会談が予定されており、政治・安全保障協力、ビジネスパートナーシップ、学術・文化交流など、さまざまな問題が協議される。四方大使は、アンワル・イブラヒム首相が掲げる「マダニ経済」に沿った2国間の貿易と投資の機会の拡大を強調。「将来に向け両国のパートナーシップがより緊密になることを楽しみにしている」と述べた。

また、四方大使は昨年11月の着任後、マレーシアの若者がアニメや音楽など日本文化に関心を持っていることに感銘したという。「マレーシアを訪れる日本の若者がもっと増えるなど、ルックイースト(東方政策)ではなく、”相互ルック”な関係になるよう努めていきたい」と付け加えた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、1月8日)

ホンダマレーシア、「シビック」のフェイスリフトを発表

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ホンダ・マレーシアは9日、Cセグメントセダン「シビック」の2025年版フェイスリフトを発表した。月間1,000台の販売を見込んでいる。

バリエーションは4種で、ガソリン車の▽1.5L E▽1.5L V▽1.5L RS――とハイブリッド車の2.0L e:HEV RS。保険なし価格はそれぞれ▽13万3,900リンギ▽14万4,900リンギ▽14万9,900リンギ▽16万7,900リンギーーで、ベーシックの1.5L Eは2,000リンギの値上げになる一方、1.5L RSは2,000リンギの値下げとなった。

フロントバンパーのデザインが一新され、下部がより突き出したシャープな印象。フロントエンドがこれまでのモデルに比べ3ミリメートル長い4,681ミリメートルとなったが、幅(1,802ミリメートル)、高さ(1,415ミリメートル)、ホイールベース(2,735ミリメートル)をはじめ、基本性能は変わらないものの、運転をアシストする「Googleビルトイン」が搭載された。車体カラーは新たにブルーメタリック系を加えた5色展開となる。

吉村宏信 社長兼最高経営責任者(CEO)は昨年通年の総販売台数が8万1,600台超となり、2014年から11年連続で非国民車部門における1位を維持したと明らかにした。「シビック」は2024年12月の非国民車Cセグメント部門で81%のシェアを獲得したという。

石破首相が訪馬を前に抱負、「両国協力関係を重層化」

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 石破茂首相は9日、同日からのマレーシア訪問に先だって声明を発表し、アンワル・イブラヒム首相との首脳会談では、「包括的・戦略的パートナー」としての協力関係をアップデート・重層化していく考えを明らかにした。石破首相は10日まで滞在する。

石破首相は、今回の訪問でサプライチェーンの強靱化やレアアースといった新たな分野を念頭に、日・マレーシア経済関係の進展を確認する考えを表明。また東南アジアにおいて課題となっている脱炭素化・エネルギー移行に関連し、マレーシアとともに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を通じた脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現を図っていく考えを示した上で、日本の優れた脱炭素技術を導入し、炭素クレジットの創出を通じて両国の排出削減に貢献する二国間クレジット制度(JCM)の協議を加速し、早期署名を目指す考えを示した。

さらにマレーシアで近年問題となっている洪水に関連し、治水に知見のある日本として防災分野でどういった貢献ができるかアンワル首相と議論したいと述べた。

また安全保障関連では、OSA(政府安全保障能力強化支援)、ODA(政府開発援助)及び自衛隊や海上保安庁による協力を通じたマレーシアとの連携強化を継続していく考えを表明。サイバーセキュリティ分野でも協力していきたいと述べた。

パレスチナ問題に関しては、2013年に立ち上げたパレスチナ支援の独自のイニシアティブ、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」の枠組みをマレーシアと共に最大限活用し、中東情勢の安定化に貢献したいとの考えを示した。

ポートクラン、24年コンテナ取扱量で世界10位に=運輸相

【クアラルンプール】 ノースポートとウェストポートの2つの港からなるセランゴール州のポートクランは、コンテナ取扱量に基づく2024年の世界ベスト10コンテナ港にランクインする見通しだ。

ポートクランは2023年、海運専門誌「ロイズ・リスト」の世界トップ100コンテナ港で、前年の13位から2つ順位を挙げ、11位になった。2024年の公式ランキングはまだ発表されていないが、アンソニー・ローク運輸相は7日、内部計算によると10位を獲得すると語った。2023年の年間取扱量1,406万TEU(20フィート標準コンテナ換算)に対し、運輸省はこれまで2024年全体で5.5%増の1,483万TEUになるとの予測を示している。

政府は昨年、ポートクラン3番目となる港の開発計画を発表。セランゴール州のケリー島に280億リンギをかけ、年間3,000万TEUのコンテナ処理能力を備える計画で、2060年までに完成する予定。

ローク氏はジョホール州のタンジョン・プルパス港で今年進められる拡張計画などにも言及。これらの港での燃料補給産業は、年間成長率が4%で、世界市場規模は2030年までに1,600億米ドル(7,180億リンギ)に達するとし、「海洋エコシステムを強化し、成長と革新の機会を創出する」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、1月7日)

JS-SEZへの投資促進で新たな優遇措置発表=財務省

【クアラルンプール】 ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)の協定締結に向けた覚書が正式に交わされたのを受け、財務省とジョホール州政府は8日、投資促進に向けた新たな優遇措置を発表した。1月1日に遡って適用される。

5%の法人税率や、特区内で働く知識労働者に対する優遇所得税率などが盛り込まれた。5%の法人税率の対象となるのは、人工知能(AI)や量子コンピュータ、医療機器、航空宇宙、グローバルハブサービスなどの分野における製造・サービス活動に対し新規投資を行う企業。最長15年間となる。

知識労働者に対しては10年間、15%の優遇所得税率が適用される。そのほかJS-SEZの特定分野で事業展開する企業にも特別優遇措置が予定されているが、詳細は追加で発表される。

アミル・ハムザ・アジザン第2財務相は「質の高い投資を誘致し、高収入の雇用を生み出すことで、国の競争力を強化する」と協調。オン・ハフィズ・ガジ州首相も「これらの優遇措置が、世界的投資ハブとして州の地位を高めると確信する」と評価した。

また、投資プロセスを合理化するため、インベスト・マレーシア・ファシリテーション・センター・ジョホール(IMFC-J)を設立。さらに、州政府は今月からの娯楽税の引き下げにも合意した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、エッジ、1月8日)

テレグラム、ソーシャルメディアのライセンスを取得

【クアラルンプール】 ファーミ・ファジル通信相は、1月1日に発効したソーシャルメディアのライセンス制度について、テレグラム(ロシア)が2日付けでマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)からマレーシアで事業を行うためのアプリケーションサービス・プロバイダー(ASP)Cライセンスを取得したと発表した。

これによりライセンスを取得したプロバイダーは、ウィチャット(WeChat)▽ティックトック(TikTok)と合わせて3つとなった。

ファーミ氏は、フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップ(WhatsApp)を運営する米メタ(Meta)については現在、ライセンス取得に向けていくつかの書類を提出中だとし、近い将来に手続きが完了するとの期待を示した。

一方、グーグル(Google)については、MCMCに引き続き監視を関与するよう求め、通信法に違反する事項があれば措置をとることを伝えたことを明らかにした。傘下のユーチューブ(YouTube)については、ソーシャルメディアの定義に当てはまるかどうか議論が続いているため結論まで時間がかかるとした。

またX(旧Twitter)については、国内ユーザー数がライセンス対象となる800万人のしきい値に達していないと主張していることから議論が続いており、結論までしばらく時間がかかると述べた。
(ザ・サン電子版、エッジ、ベルナマ通信、1月6日)