「再生可能エネルギーが今年も注目株」、メイバンク投資銀

【ペタリンジャヤ】 今年の電力産業は、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー(RE)が引き続き注目を集めるとメイバンク・インベストメント・バンクは予想している。国がREへの移行を推進しているからで、具体的には第5次大規模太陽光発電(LSS5)プログラムが業界を潤す見通しだ。

同プログラムでは発電枠2ギガワット事業の入札が最終選考の段階に入っており、今年中頃から落札者が決まるもようだ。発注総額は推定70億リンギ。

太陽光モジュールの価格は低水準にとどまる見通しで、太陽光発電業者にはプラスだ。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2024年の全世界の太陽光モジュール生産能力は同年の需要の2倍以上に当たる1,100ギガワット超と推測される。IEAは、中国は主要生産国としての地位を維持する見通しのため、モジュール価格はこの先数年、低水準にとどまるという。

太陽光以外のREによる発電はまだ業界の関心が低い。太陽光発電以外の低炭素発電プログラムが導入され、400メガワットの発電枠が24年2月に設定されたが、応募は0.4メガワットにとどまっている。
(ザ・スター、1月7日)

ジョホール・シンガ経済特区の覚書締結、100事業の実施目指す

【プトラジャヤ】 ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)協定締結に向けた覚書が7日、取り交わされ、アンワル・イブラヒム首相とマレーシアを訪問中のシンガポールのローレンス・ウォン首相が立ち会った。JS-SEZ地域において向こう10年で100件のプロジェクト実施を目指す。

両首脳は共同会見を行い、アンワル首相は2国がチームを組んで1つのプロジェクトで両国への投資を促進するのは「非常に稀」と指摘。ウォン首相は「両国は競争力を高め、価値提案を強化し、共同でより多くの投資を国内に呼び込むことができる」と述べた。

ラフィジ・ラムリ経済相は先日行ったメディア説明会で、「両国は最初の5年間で50件のプロジェクトを推進し、10年間で100件のプロジェクト実施を目指す」と言明。最初に参入する企業は地政学的リスクを管理しようとしているグローバル企業を想定しているとし、エネルギー転換を図る企業が経済圏の主なターゲットになるだろうとの認識を示した。

マレーシア政府はインフラ支援を目的とした基金を設立し、シンガポール政府は経済特区におけるシンガポール企業の拡大を促進するための資金援助を計画する。マレーシア政府はまた、シンガポールとJS-SEZにおける多国籍企業の連携事業の可能性も検討する。

JS-SEZは、ジョホール州南部のイスカンダル・マレーシアとペンゲランを網羅し、面積はシンガポール全土の4倍を超える広さの35.7万ヘクタール。2024年12月9日に協定締結式が予定されていたが、ウォン首相が新型コロナに感染したため延期となっていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月7日)

今年も経済は好調を維持、政府は持続可能性に力点

【クアラルンプール】 マレーシア経済は今年も好調を続けると、エコノミストや金融機関は予想している。内需が成長をけん引する、というのが共通認識だ。
マスターカード経済研究所は今年の経済見通し報告で、4.7%の国内総生産(GDP)成長を予測。家計の購買力が高まり、個人消費が成長をけん引するとみている。

MIDFアマナ投資銀行は4.6%の成長を予想。雇用の増加、賃上げ、観光業の活況を背景に個人消費が増加し、さらに公務員賃金引き上げ、低所得層への現金給付が経済拡大をもたらすとした。

政府施策の最近の特徴は持続可能性重視で、ここ数年、多様な措置を導入した。パリ協定で国として約束した、50年までのネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)達成のためだ。

地球温暖化ガスの排出で2位(排出割合は10%)は製造業。排出削減を主導しているのは投資貿易産業省で、再生可能エネルギー(RE)やクリーンエネルギーへの移行を産業界に働きかけている。それがグリーン産業の創出につながることも目指す。国産電気自動車は好例だ。

政府は、グリーン投資税控除、グリーン所得税免除など奨励措置を導入しグリーン投資を促している。
(マレーシアン・リザーブ、1月6日)

バス会社が運転手不足に直面、長距離運転手2人制が影響

【クアラルンプール】 バス・トラック会社が運転手不足に直面しており、存立が脅かされている。全マレーシア・バス運行業者協会のモハマド・アシュファー・アリ会長が明らかにした。当局が2人の運転手を乗せていない長距離バス会社の摘発を強化していることが背景にある。

アシュファー会長によると、貨物トラック、高速バス、工場労働者・学生・観光客向けの輸送車両など、影響を受ける陸運セクターは約5,000人の運転手不足に直面している。特にバスに関しては、多くの会社が長距離旅行に2人目の運転手を提供するのに苦労しているという。

道路交通局(JPJ、RTD)は昨年12月26日、2人目の運転手を必要とする規則に従わなかったとして、25台の高速バスとツアーバスの運行会社に出頭命令を出した。2人目の運転手を乗せる規則は、300キロメートル(㎞)を超える長距離もしくは4時間を超える運転時間の高速バスに適用される。

アシュファー会長は、運転手不足は根深い問題であり、いくつかの課題により悪化していると指摘。「マレーシアのバスやトラックの運転手の大半は定年が近づいている。他の業界に移ったり、給与の高いシンガポールに異動したりする人が多くいる」と述べ、運転手志望者にとっての高額な参入コストも障壁になっているとした。大型車両を運転するためのeライセンス、公共サービス車両ライセンス、貨物運転ライセンスの取得には4,000―5,000リンギかかる。このため新たな人材を引き付けることが難しくなっているという。

マレー半島マレー高速バス事業者協会のライリ・イスマイル会長は、「政府の支援があれば運転手不足は解消され、質の高い運転手を選抜できるようになる」と指摘。コスト上昇によりバス事業者間の不健全な競争が生まれ、多くの事業者が乗客を引き付けるためにチケット価格を下げざるを得なくなっているとした上で、「政府が支援しなければ、多くの高速バス事業者は廃業せざるを得なくなる。そうなれば、何千人もの従業員と運転手が生計を失うことになり、バスサービスが提供する利便性と接続性を国民から奪うことになるだろう」と述べた。
(ザ・サン、1月2日)

「マレーシア観光年2026」、キャンペーンがスタート

【セパン】 「ビジット・マレーシア・イヤー2026(VM2026、マレーシア観光年2026)」のキャンペーンが6日開始され、ロゴやマスコット、テーマソング、航空機用の塗装が披露された。出発式にはアンワル・イブラヒム首相、アハマド・ザヒド副首相、ファディラ・ユソフ副首相、ティオン・キンシン観光芸術文化相らが出席した。

絶滅危惧種でありマレーシアの野生生物保護への取り組みの象徴であることから、マレーグマの2頭(ウィラとマンジャ)がキャンペーンの公式アイコンとして選ばれ、テーマソングは「Surreal Experiences(非現実的な体験)」に決まった。

アンワル首相は、マレーシアをユニークで持続可能、かつ調和のとれた目的地として強調し、豊かな多文化遺産を紹介すると言明。「我々は2026年までに3,560万人の外国人観光客の誘致を目指している。これが達成できれば1,471億リンギの観光収入が見込まれる」と述べた。

同日は、マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)、エアアジア、バティックエア、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス、ファーウェイ、マスターカード、シャングリラ・クアラルンプール、シャングリラ・ホテルズ&リゾーツ、マリオット・インターナショナルなどの主要な戦略的パートナーとの間で協力覚書が交わされた。

2月8日にはVM2026キャンペーンの一環としてクアラルンプールのペトロナスツインタワーで「マレーシア・サロン・ミュージック・ラン2025」が開催される予定で、2万人を超える参加者が見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月6日)

スシロー、2月7日にマレーシア1号店オープン

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 回転寿司「スシロー」を運営するフード&ライフ・カンパニーズ(F&LC)のマレーシア子会社、スシロー・マレーシアは2月7日、マレーシア1号店をクアラルンプール(KL)市内のスリアKLCC内にオープンすると明らかにした。

スシロー・マレーシアはF&LCの100%子会社である「スシローGHシンガポール」の子会社として、マレーシアにおける「スシロー」展開に向け、2024年4月5日に開設された。同月16日にはより具体的な店舗進出に向けた取り組みを行うため、99万9,999リンギの増資を行うことを決定したと発表した。うち49%をスシローGHシンガポール、51%を現地パートナーが引き受ける。増資後の資本金は100万リンギ。

スシロー・マレーシアのフェイスブックによると、スシローは日本国外では韓国(10店舗)、台湾(47店舗)、中国(45店舗)、香港(32店舗)、タイ(30店舗)、シンガポール(12店舗)、インドネシア(5店舗)に進出している。

今年の物価上昇率は昨年以上に、エコノミスト予想

【ペタリンジャヤ】 今年の消費者物価指数(CPI)の上昇率は加速するとエコノミストは予想している。レギュラーガソリン(RON95)の補助合理化、売上・サービス税の適用対象拡大、公務員賃金と最低賃金の引き上げ、および近く発足する米トランプ政権が導入する可能性のある輸入関税引き上げが主因だ。

ケナンガ投資銀行は今年のCPI上昇率を2.7%と予想している。トランプ米次期大統領が掲げる関税措置は取引手段の可能性が高いが、実施された場合、価格上昇につながる。しかし長期的には中国の輸出先が変わり、域内にデフレ圧力がかかるという。

CIMB証券は、個人消費奨励型の施策が理由の需要増大はインフレを誘発する可能性があるが、国内総生産(GDP)を0.4ポイント押し上げる効果が見込め、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が翌日物政策金利(OPR)を引き上げる可能性が高まるとみている。

2023年11月のCPIは前年同月比1.8%と市場予想の2.1%を下回った。しかし12月は必需品以外の支出が増えるため、やや高めが推測されるという。
BNMが立てた通年のCPI上昇率予想は24年が2%、25年が3.5%。
(ザ・スター、12月24日)

5つ星のアイコニックマージョリーホテル、ペナン州で開業

【クアラルンプール】 マリオット系列の5つ星ホテル「アイコニック・マージョリー・ホテル」がこのほど、ペナン州バヤンレパスにオープンした。

同ホテルは、米マリオット・インターナショナルの中でも、個性的な独立系に対する「トリビュートポートフォリオ」というブランドに属する。ペナンのプラナカン文化の優雅さと、現代的なデザインが融合させた298室からなる。

運営するのは、不動産開発アイコニック・グループの子会社アイコニック・ペナン。グループにとっては2つ目のホテルとなる。ホテルに隣接する42階建ての「アイコニック・リージェンシー」では、500―850平方フィートの家具付き住戸268戸も提供。「東洋のシリコンバレー」として知られるバヤンレパス工業地帯の一角に位置し、さまざまなビジネスニーズに対応する。ホテルと合わせて1億8,000万リンギを投資した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ペナン・プロパティ・トーク、12月29日)

持続可能なパーム油基準改良版、1日に発効

【クアラルンプール】 持続可能なパーム油の新たな基準「マレーシア持続可能なパーム油基準2.0(MSPO2.0)」が1日、発効した。マレーシア独自の基準で、2013年に導入されたMSPO基準をさらに厳格、包括的なものに改め、環境持続性、社会的責任、統治面で国際基準に沿ったものにした。

基準策定機関のマレーシア・サステナブル・パームオイル(MSPO)は声明で「MSPO基準審査は独立した第3者機関により行われており、最高水準の信用を確保している」とした。

MSPO2.0はMSPO基準をベースに持続可能性の要素を高めており、責任あるパーム油生産におけるマレーシアの指導的地位の維持に貢献するという。製造から消費に至るまでの追跡可能性ではディーラーにも認証取得を義務付けており、サプライチェーンのあらゆる面で透明性が確保されるという。

ジョハリ・アブドル・ガニ農園一次産業相は「新基準の導入でマレーシアパーム油産業の未来を確かなものにする」と語った。
(ザ・スター、ボルネオ・ポスト、1月2日、ベルナマ通信、1月1日)

ジョホール州公務員、週末公休日移動に伴い1月6日を休日に

【ジョホールバル】 ジョホール州政府は、今月からの週末公休日の土・日曜への移行を円滑に行うため、1月6日を州公務員の特別振替休日とすると宣言した。6日は学校も休校となるが、実施中のマレーシア教育修了試験(SPM、高等中学卒業試験)は予定通り行われる。

州投資・貿易・消費者問題・人材委員会のリー・ティンハン議長(国政の閣僚に相当)は、移行が行われる1月第1週に6日間勤務する必要があるため、6日を公務員専用の代替休日に指定することを明確にする新たな指令を出したと説明した。

これまで金・土曜となっていた週末公休日の変更は、2024年10月に同州スルタン摂政のトゥンク・イスマイル皇太子が発表した。同州では建国以前から金・土の公休が実施されていたが、1994年に土・日に変更。ムスリムにとって金曜日が重要であることへの敬意と、イスラム教を州の宗教として認める印として、2014年に再び金・土に変更されていた。ジョホール州の再々変更により、金・土を公休日としているのはケダ州、クランタン州、トレンガヌ州だけとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、1月2日)