財政赤字3.8%の目標は守る=第2財務相

【クアラルンプール】 アミル・ハムザ第2財務相は3日、下院で補足歳出案を第2読会に付した際の演説で、政府は今年度の財政赤字を国内総生産(GDP)比で3.8%に引き下げるとの約束を守ると表明した。

アミル・ハムザ氏は「アンワル政権が成立した2022年に引き継いだ政府債務は1兆リンギだった。予算赤字を続ければ債務は増加する。マレーシアは1998年から赤字続きだが、経常支出を賄うためではなく開発事業を推進するための借り入れだった」と説明。財政責任法に示したように、28年には3%への縮小を図ると述べた。

2024年の政府債務は1兆2,000億リンギでGDP比64%。現在の政府には経常支出を賄うだけの歳入があるので、財政赤字は22年の5.5%に対し2023年は5%に縮小。2024年は4.1%で、目標の4.3%を上回った。各年の政府借り入れも減少傾向にあり、2022年の1,000億リンギに対し、2023年は926億リンギ、2024年は770億リンギだった。
(ザ・スター、3月5日、ビジネス・トゥデー、3月4日)

経済成長の勢いは持続する=IMF報告

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)理事会は、マレーシア政府との第4条協議の終了を受け、評価報告書を公表した。短期的に経済成長の勢いは続き、今年の国内総生産(GDP)増加率は4.7%が見込めるという。

IMFは、債務削減、歳出抑制を柱とする財政責任法の制定を評価。同時に、迅速かつ完全な施行を政府に要請した。財政健全化では、電力、ディーゼル油補助など補助合理化に加え、残りの燃料補助も段階的に廃止するのが望ましいとした。

消費者物価指数(CPI)でみたインフレは昨年、1.8%に低下したが、今年はガソリン補助合理化が見込まれるため、2.6%に上昇する見通しだという。経済成長は下振れリスクが大きく、その理由として、主要貿易相手国の成長鈍化、地政学上の紛争激化が挙げられるという。インフレは、世界的な一次産品価格の変動、国内要因では賃金上昇圧力など、上昇リスクが多い。

報告は、政府がとっている中立的金融政策は適切で、銀行も健全性を維持していると評価した。
(ザ・サン、ザ・スター、3月5日、ビジネス・トゥデー、3月4日)

宇宙ベンチャーの天地人、USMとインフラ評価の共同研究

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が出資するスタートアップ企業、天地人(本社・東京都中央区)は4日、マレーシア科学大学(USM)と人工知能(AI)技術と衛星データを活用したインフラ評価の共同研究についての覚書(MoU)を締結したと発表した。

天地人は衛星データとAI技術を活用し、上下水道管の漏水リスクが高いエリアを図示するマッピングサービス「宇宙水道局」を運営し、注目されている。MoUの締結で、宇宙水道局のマレーシアでの展開や、再生可能エネルギーの適地選定などを目指していく。

今回の取り組みは、経済産業省による日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)の委託事業「日本のスタートアップによるASEAN企業との協業を通じた海外展開促進事業」に採択されており、MoUは2月25日に締結された。