Talkative 5S

★海外で5Sを指導する

筆者は、20年以上、海外で5Sの指導も行なってきました。そうした経験を通じて海外で現地社員に5Sを実践してもらうためには、以下の3点が大切であると痛感します。

  • 5S全体とそれぞれのSについて目的を理解させる
  • 5Sを通じた最終ゴールを理解させる
  • 率直に問題を話し合う

上記は、日本でも同じ条件とは言えます。ただ、そこに海外独特の3つの阻害要因が邪魔をします。

  • トップマネジメントの指揮でしか動かない
  • 完全な分業意識である
  • マニュアルのない仕事に慣れていない

 

★相矛盾する中での格闘

5Sは全社活動です。全員が主体的に参加して実現できることは言うまでもありません。しかし、海外は個人主義の発想が強いため、他の職場に関する理解や、逆に他の職場に踏み込まれることを嫌います。

5Sを行うためには、日本の職場と正反対のベクトルです。そんな背景もあって、個人の成果を強調するSix Sigmaが展開されたものと推察します。

しかし、そうした異なった職場文化を持つ海外だからこそ、5Sを進めていく甲斐もありますし、意外と日本人が持たないような知恵も生まれるというものです。

 

★語る5S

また、日本のような「察する」文化のない海外では、「語って」5Sを理解させることが肝要です。

5Sの目的について語り尽くしたように思っても、まだ語り尽くしたと早計していけないところが、海外で5Sを指導する特徴です。日本では黙々と行われる5S活動も、海外でおしゃべりな5Sが求められます。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 https://yuasatadao.com/about-us/presidents-greeting/【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)