東南アジアは中国より米国を信頼、シンクタンク調査

【シンガポール=アジアインフォネット】 東南アジアの市民は中国より米国に信を置いていることが、シンガポールのシンクタンクISEASユソフ・イシャク研究所の調査で分かった。調査期間は米トランプ政権による関税引き上げ前の1月3日-2月15日であるため、現在同調査が行われれば逆の結果になる可能性もある。

調査対象は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と東チモールで、東チモールの回答は集計結果には含まれていない。質問内容は「世界平和、安全保障、繁栄、統治のために米国・中国が正しいことをすると、どの程度確信しているか」で、学術者、民間セクター代表、一般市民、非政府組織代表、政府職員ら計2,023人に聞いた。

米国、中国のいずれかと緊密に協力せざるを得ない場合、米国を選ぶと回答したのは52.3%。カンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ベトナムで、米国を選ぶとの回答が多数を占めた。前年調査ではシンガポール、タイ、ベトナム以外の国すべてで、中国と協力するとの回答が多数を占めた。

ASEAN10カ国の米国に対する信頼は47.2%(前年は42.4%)に上昇。不信は37.6%から33.0%へ縮小した。マレーシアの米国に対する信頼は23.3%(前年は23.1%)で、不信(56.3%)を大きく下回った。中国に対する不信が信頼を上回ったのは6カ国で、中国に対する信頼が不信を上回ったのは4カ国(ブルネイ、カンボジア、ラオス、タイ)にとどまった。マレーシアの中国に対する信頼は31.7%(前年は32.0%)で、不信(40.5%)を下回った。

トラブル時3カ国語による指差し「支援ボード」を公開=日本大使館

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 在マレーシア日本国大使館は7日、日本人がトラブルに遭遇した時用の「コミュニケーション支援ボード」をウェブで公開した。日本語、マレー語、英語の3カ国語で記載され、警察に届け出をする際、指を差しながら説明ができる。

支援ボードは、盗難被害、落とし物、交通事故のほか、最近増加している詐欺被害の4つのシチュエーションごとに対応できるようになっている。

マレーシアには現在、2万人を超える日本人が居住し、2024年は約30万人に上る日本人が訪れている。大使館は「万が一被害に遭った場合に備え、このボードを印刷や、携帯端末にダウンロードするなどして活用してほしい」としている。

URLは、https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_07042025.html

ビーインフォマティカ、マレーシアのデジタル貸金業免許を取得

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中小企業向け金融サービスを手掛けるビー・インフォマティカ(本社・東京都渋谷区)は、2025年3月付でマレーシアのデジタル貸金業ライセンスを正式に取得したと発表。ライセンス取得を受けて、自社開発のデジタル融資プラットフォームを正式にスタートした。

ビー・インフォマティカが開発したデジタル融資プラットフォームは、AIを活用した分析処理で時間を短縮しており、申請から最短、当日中に資金提供が可能(最短で2―3時間)。定量データが弱い中小企業向けに、定性データを活用する独自スコアリング評価を採用しており、CTOS、E-KYC、電子署名、銀行振出フォーム連携、Curlecなどを活用し申請の手間を大幅削減した。

ビー・インフォマティカは、マレーシアのデジタル貸金業ライセンスが2020年から政府により導入され、これまで20数社のみが実質的に運営している希少性の高いライセンスだとし、デジタルライセンス取得により、マレーシア全土での営業展開が可能となり、E-KYC・電子署名プロセスを含む全てのプロセスが完全にデジタル化されることで、ユーザーや運営の双方の利便性が大きく高まるとしている。

米国の関税措置、米国向けE&Eの半分が影響=投資貿易産業相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国政府がマレーシアからの輸入品に24%の「相互関税」を課すと発表したことについて、マレーシアの米国向け電気・電子(E&E)製品輸出の半分が影響を受けるリスクがあると述べた。

ザフルル氏は、マレーシアの米国向け輸出の60%がE&E製品で構成されていると指摘。E&E製品の半分は半導体で「相互関税」の対象外だが残りの半分は非半導体であるとし、「したがって相互関税を免除されるのは米国向け輸出の30%のみ」と述べた。

またザフルル氏は、米国向けE&E製品の輸出の大半は在マレーシア米国企業によるものだとした上で、「マレーシアから米国に輸出している米国企業は中間財を輸出しており、完成品は米国で生産されている」と指摘。マレーシアに拠点を置く米国企業には地元企業が供給しているため、サプライチェーンへの影響と、それがマレーシアの産業や企業にどのような影響を与えるかを検討する必要があると述べた。

その上でザフルル氏は、マレーシアの経済及び輸出セクターに与える影響を緩和するため5つの主要措置をとると明らかにした。

政府がとる措置は▽アンワル・イブラヒム首相を座長とする国家地政経済調整評議会(NGCC)の発足▽業界関係者や利害関係者からのフィードバックを集めるための専門タスクフォース結成▽東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚特別会議での共同対応策定▽既存の貿易投資枠組み協定(TIFA)を通じた米国との継続的折衝▽輸出市場の多様化に向けた取り組みの継続――。

ザフルル氏は、米国輸入品に課せられた実際の平均関税率が米国が主張する47%ではなく5.6%程度だったと指摘。米国側に計算方法の明確化を求めているとした上で、外交的解決に向けて努力していると述べた。