【クアラルンプール】 マハティール・モハマド元首相は、1982年に自身が導入した東方政策(ルックイースト政策=LEP)が現在もマレーシアにとり重要だと改めて述べた。
7日に開催された「東方政策40周年書籍出版&マレーシア・日本フォーラム」でマハティール氏は、LEPがマレーシアと日本の両国関係の基礎となり、日本はインフラ構築支援や技術知識の伝達の他、1997年の金融危機やコロナ禍での支援などでマレーシアの経済発展を支えてくれたと言明。2018年の首相就任時には、故・安倍晋三首相(当時)と協力し、LEP2.0として二国間協力を活性化させたと述べた。日本人の労働倫理、規律、誇り、失敗を恥とする感覚はマレーシア人にも取り入れてほしい価値観であり、マレーシア人が同じ姿勢や倫理観、労働文化を持つようになれば、日本人のように成功すると信じているとした。欧州の旧植民地諸国では、西洋文化を優れたものとして扱う傾向があり、マレーシアでも植民地時代の文化を払拭するのは困難だったが、LEPはこれまで一定の成功が得られたとして、今後も継続して西洋文化とのバランスを取る役割を果たしてほしいと述べた。
またマハティール氏は、経済・軍事大国としての中国の急速な台頭や米中関係の悪化がマレーシアの外交政策や国際関係に影響を与えていることにも触れ、中国につくか日本につくかでASEAN(東南アジア諸国連合)地域内で意見が割れ、分裂の危機も生じているが、マレーシアと日本は、長年の良好な関係を見失わないことが重要だと主張。個人的にも両国間の人的交流が永続的な絆として花開き、両国を結ぶ役割を果たし続けることを願っていると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月8日)