【クアラルンプール】  米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを鈍化させるとの見方が強まっていることから、アナリストらはこれまで乱高下していたマレーシア通貨リンギの対米ドル為替レートも年間を通じて安定に向かうと予想している。

独立系シンクタンク、エミール・リサーチのジェイソン・ロー・ソンウェイ氏は、リンギの為替レートについて2023年度中に安定推移する可能性が高く、1米ドル=4.15リンギまで上昇する可能性もあるが、 FRBの利上げが減速するという見通しから4.50リンギは超えないと予想。「この予想は米国のインフレ率が年間ベースで6カ月連続減速し、昨年6月に約9%でピークに達した後、12月に6.5%に落ち込んだことに基づいている」と述べた。2022年12月の米国消費者物価指数は前月比0.1%減で、2年半以上ぶりの下落となった。コアインフレ率の上げ幅は2021年12月以来最小となった。

1月20日午後6時時点のリンギの対米ドル為替レートは、前日の終値4.3050/4.3100リンギから 4.2830/4.2875リンギに上昇した。

メイバンク・インベストメント・バンクのアナリストは先ごろ、リンギ為替レートの見通しが今年度はプラスに傾くはずだとした上で、第1四半期に4.40リンギ前後で変動した後、第2、3四半期に4.25から 4.15リンギのレベルとなり、年末には4.05リンギまで上昇すると予想。UOBのエコノミストは、2023年末までに4.35リンギまで上昇する可能性が高いとしている。

またスタンダードチャータード・アジアの外国為替ストラテジストは、コモディティ価格の上昇に支えられるリンギに対し中立的な見通しを保持していると述べ、「6月までに4.25リンギ、年末には4.40リンギ、年間を通じては4.20ー4.40リンギになると予想している」と述べた。
(ザ・サン、1月25日)