【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は10日、2022年通年の国内総生産(GDP)成長率について8.7%だったと発表した。民間消費や輸出に支えられ、政府の目標(6.5ー7%)を上回り、2000年以来過去22年間で最も高い成長率となった。

産業別では、外国人観光客に増加などに支えられてサービス業は4期ともプラスとなり、通年で10.9%。前年(1.9%)から大幅に回復した。製造業も全四半期でプラスを維持し、通年で8.1%となったものの、前年の9.5%からは減速。昨年は0.3%成長だった鉱業は3.4%に改善した。また、マイナス5.2%だった建設業は、5.0%のプラスに回復し、農業もマイナス0.2%から0.1%のプラスに転換した。

通年の国内需要は前年の1.7%から9.2%に改善。民間消費は1.9%から11.3%に、民間投資は2.6%から7.2%に回復した。公共消費は5.3%から3.9%に減速したものの、公共投資はマイナス11.3%からプラス5.3%に転換した。輸出と輸入はそれぞれ12.8%、14.2%のプラスで、共に前年の15.4%、17.7%プラスからは鈍化した。

第4四半期(10ー12月)のGDP成長率は、民間消費や民間投資、電気・電子機器などへの需要などに支えられプラス7.0%となったものの、前期(プラス14.2%)を下回った。
主要産業5部門全てでプラス成長を維持し、建設業のプラス10.1%を筆頭に、サービス業、鉱業、製造業、農業はそれぞれ、8.9%、6.8%、3.9%、1.1%とプラスとなった。

中銀のノル・シャムシア総裁は、今年のGDP成長率について、4ー5%に減速すると予想。成長リスクとして、地政学的な緊張の高まり、サプライチェーン(供給網)の混乱、各国の金融引き締めなどを挙げて、世界経済の減速に伴い成長のペースは穏やかになるものの、内需が成長を下支えするとして、景気後退には陥らないとの見解を示した。