【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて3.00%とすると決定した。
BNMは長く3.25%で維持していたOPRを2019年5月以降、段階的に1.75%まで引き下げていたが、2022年5月以降、段階的に2.75%まで引き上げた。中銀はその後金利を据え置いており、今回も据え置き予想が支配的だった。
BNMは声明の中で、国内経済の見通しが底堅く推移していることから、金融緩和策の正常化に踏み出すのに適時であると判断したと述べた上で、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う危機に対応するために実施してた金融緩和策を撤回することを決定したと説明。金融政策のスタンスにおいて現在の金利水準は依然として緩和的であり、経済成長を下支え続けているとした上で、今後もインフレ率や経済成長の見通しとのバランスを考慮して金利を調整するとした。
国内経済については、昨年通年の好調な成長に続き、今年第1四半期もさらに成長が加速すると予想。輸出減速が見込まれるものの、内需が経済成長を牽引し続けるとした上で、失業率低下に伴う家計支出の拡大や外国人観光客増加による観光産業の成長、複数年にわたって実施されている大型プロジェクトによる投資活動の下支えが上振れ圧力となるとした。その一方で、世界経済の成長が予想を下回る可能性、世界金融市場の不安定さが成長リスクとなるという。
インフレ率については、今年は2.8ー3.8%と穏やかな上昇率にとどまるとの見込みを示した。
世界経済についてBNMは、力強い労働市場に支えられた内需や中国経済の力強い回復に牽引されたものの、コスト圧力の高まりや金利の上昇により圧迫されており、インフレ率の上昇率は緩やかになってきているが、今後も利上げが行われると予想。その上で、今後も地政学的緊張の高まり、予想を上回るインフレ率の上昇、急激な金融引き締めなどが依然下振れリスクとなるとした。