【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール新国際空港(KLIA)で出入国管理官から中国人女性が入国を拒否された上で多額のワイロを要求された事件について、ワイロを持ち掛ける「仲介人」の存在が明らかになった。出入国管理官によって継続的かつ組織的に行われていた疑いが高まっており、捜査当局が全貌の解明に向けて捜査を続けている。

6月29日に中国人女性が入国を拒否された上でワイロを要求されたと主張している件では、マレーシア汚職摘発委員会(MACC)とセランゴール州警察が、現場に駆け付けたティオン・キンシン観光芸術文化相や目撃者、出入国管理官ら20数人に対する事情聴取を行った。

MACCの関係者によると、女性にワイロを持ち掛けた「仲介人」の存在が確認されており、捜査当局が行方を追っている。ティオン大臣によると、女性は帰国のための航空券代などで3,000リンギ、再入国手続き費用で3,000リンギ、ビザ手続き費用で1万2,000リンギの合計1万8,000リンギを要求されたという。

女性は必要な旅行書類はすべて所持していたと主張。領事館を通じて連絡を受けたティオン大臣が駆け付けて、出入国管理官の不正を糾弾した。

女性の事件が発覚した後の7月2日には、中国人とみられる男性がKLIAで拘束され、出入国管理官に1万リンギの支払いを求められたと主張する動画がソーシャルメディアに投稿された。男性は香港からの観光客も同じく1万リンギを要求されたと主張している。

マレーシア旅行代理店協会(Matta)のタン・コクリャン会長は、外国人旅行者を標的とした出入国管理官による汚職行為は今に始まったことではないと指摘。当局に指摘しても何も変わらなかったと述ベている。