【シンガポール】 多角経営のサイム・ダービーは24日、政府系ファンドのペルモダル・ナショナル(PNB)からUMWホールディングスの株式61.2%を買収し、UMW傘下のUMWトヨタ・モーターとダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)を傘下に収める計画を明らかにした。
サイム・ダービーは同日、PNBとの間で条件付き株式購入契約(SPA)を締結しており、11月の臨時総会で株主の同意を得る予定だ。2024年2月までの買収完了を目指す。買収額は35億7,000万リンギ。買収資金は銀行からの借入金と内部資金で賄う。買収条件が解除されれば、UMWの上場を廃止し、UMWの残余株38.8%の公開買い付け(GO)を行う考えだ。
サイム・ダービー・グループのジェフリ・サリム・デビッドソン最高経営責任者(CEO)によると、サイム・ダービーは、自動車事業子会社のサイム・ダービー・モーターズを通じて高級車ブランドのBMW、ロールスロイス、ポルシェを取り扱っており、買収が実現すれば取り扱い車種のポートフォリオが拡大し、同グループが国内シェアの60%を掌握することになる。UMWはすでに52%の国内シェアを獲得しており、買収によって55%に拡大すると期待されるという。
またサイム・ダービーの自動車事業の収益バランスはマレーシア、中国、豪州で現在15対37対35となっているが、これがUMW買収によって均等になるため、サイムは地政学的なリスク・ヘッジになると期待している。
ジェフリCEOは、買収完了後もPNBがサイム・ダービーの筆頭株主であるため、資本比率の観点からブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の出資基準は維持されると指摘。さらにトヨタとプロドゥアのベンダーとサプライヤーのエコシステムも維持されると述べた。
これに先立ちロイターは、PNBがサイム・ダービー・モーターズとプロドゥアの合併について検討していると報道。両社の合併が実現すれば100億リンギ規模の巨大自動車メーカーが誕生すると伝えていた。
サイム・ダービー・モーターズは最近、中国・比亜迪汽車(BYD)の電気自動車(EV)販売独占契約を締結したほか、子会社であるイノコムが中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)の現地組立を開始していた。
(ベルナマ通信、ロイター、ザ・スター、エッジ、8月24日)