Too much incentives spoils you

★企業買収その後

昨年、英国企業に買収された、かつてクライアントだったシンガポールの某日系企業男性工場責任者に近況を確認しました。

「今の会社(英国企業)は、ボトムアップだね。あと、色々なイベントがあって、
社員を大切にしているという印象がある」

誤解がないように説明を加えますと、彼は買収前からも第一線でメンバーを引っ張ってきた優秀な人材で、日本企業の文化を賞賛していた人物です。また、同社も改善活動を実施してきました。

それでも、改善活動がボトムアップの象徴に映らなかったのは、民族性の違いに
求める以外にないのかもしれません。

★楽しむ場の確保

マレーシアでも同様ですが、現地社員の目線では、仕事のやり方・進め方に自分の意思が反映するかどうかで、その企業の風通しの良さを判断しません。

むしろ、職場でメンバー同士が友人のような関係になるかどうかが、自分の意見を言いやすい職場なのかどうかと関連します。

一方で、仕事とは指示をされたことだけを行うという考え方が一般的です。

仕事を自らの主体的に行うということが、現地社員から見れば、社員の意思を尊重しているという点にカウントされない傾向があります。

★気づきを促す

もっとも、職場のフレンドリーな雰囲気だけを醸成するだけでは、仕事力の向上には繋がりませんから、やがて、ドライな大量解雇という形で、幻想から目を覚ますことになります。

結局は、どの会社に属するかではなく、自らの能力を、日々の仕事の中で高めていくしかないことにしか、生き残る道はないことに気づかせることも肝要です。

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお) アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。 【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)