【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラのアブドル・ラシード総裁は20日、人工知能(AI)を活用して疑わしい金融取引を検出する「国家詐欺ポータル(NFP)」の運用を開始したと発表した。
アブドル・ラシード総裁は、NFPはモジュール設計を採用することで継続的に機能を改善できるようにしていると説明。現在、16の金融機関が参加しているが、さらに多くの機関が近く参加する予定だとした。
同氏はマレーシアでは金融詐欺による損失は金融取引全体から見ると比較的小さいものの、国内の金融システムへの信頼性を確保するためにも、脅威を特定し克服することが必要だと指摘。サイバー犯罪は今後もテクノロジーを悪用することが予想されるため、金融詐欺との戦いは継続するとし、テクノロジーの最適化、官民協力体制の育成、消費者の権利強化という3方面から詐欺撲滅を図っていくとした。
NFPの運用開始により、盗まれた資金を複数の金融機関や決済システムにまたがり追跡する機能が自動化されるため、国家詐欺対策センター(NSRC)の機能が強化される。また、被害者がNSRCホットラインに連絡することで、盗まれた資金のシステム外への移動も防ぐことができるようになり、資金を取り戻せる可能性も高まったという。
(ザ・スター電子版、ベルナマ通信、8月20日)