【クアラルンプール=アジアインフォネット】 政府系ファンド、ワン・マレーシア・デベロプメント(1MDB)に絡む一連の汚職事件における、ナジブ・ラザク元首相(別件で収監中)が1MDBから22億7,000万リンギ相当の資金を不正受給した件に関する裁判で、クアラルンプール高等裁判所は30日、検察側が提出した証拠が不十分だとするナジブ被告側の主張を却下。裁判の継続を決定した。

高裁のコリン・ローレンス・セクエラ判事は、検察側が出した証拠は刑事訴訟法に基づく法的基準をすべて満たしていると指摘。ナジブ被告側に検察側の主張に対して反証を行うよう求めた。反証が不十分だと判断されれば、先のSRCインターナショナルの件に続き本件でもナジブ被告が有罪判決を受けることになる。ナジブ被告は本件で職権乱用とマネーロンダリングに関する25件の罪状に問われており、有罪判決を受けた場合、最高20年の禁固刑が科される可能性がある。

ナジブ被告側は、元1MDBの元会長や最高財務責任者(CFO)AMバンクの元マネジャーらの検察側証人の証言が伝聞に基づく信用できないものだと主張したが、セクエラ判事は、「これらの証言は一貫しており、証言の信頼性は損なわれていないと判断する」と述べた。

ナジブ被告側は、1MDB事件で国外逃亡中の実業家ロー・テックジョー(通称ジョー・ロー)容疑者とは共謀関係にはなく、ロー容疑者らに騙されたものであって事件の首謀者ではないと主張。自身の口座に入金された多額の資金については、1MDBの資金とは知らずサウジアラビアからの寄付だと信じていたとしていた。
1MDBに関わる一連の汚職事件を巡っては、SRCインターナショナルから4,200万リンギがナジブ被告のAMイスラミック・バンクの個人口座に振り込まれた背任(CBT)や職権乱用など7件の罪状に問われた件では、2022年8月に有罪が確定し、ナジブ氏は即日収監されている。

ナジブ被告はこれ以外にも、SRCインターナショナルの2,700万リンギの資金洗浄とアラブ首長国(UAE)の国際石油投資会社(IPIC)に支払われた66億リンギの政府資金に関する横領の罪の2件でも告発されている。