【クアラルンプール】 ドナルド・トランプ氏が次期米国大統領に決まったことは短期的にリンギ安をもたらすと銀行関係者はみている。米国が輸入品に高率の関税を課せば物価上昇圧力になり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げのペースをゆるめる可能性があるからで、米国とマレーシアとの金利差が縮まらず、強いドルとの流れが予想されるからだ。
ホンリョン・インベストメント・バンクは関税以外にトランプ氏の移民政策にも言及。労働力が縮小し労働者の取り合いになり、賃金上昇、物価高を招くとした。ホンリョンは年末の相場を1米ドル=4.05-4.50リンギから4.50-4.58リンギに修正した。
シンガポール大手行OCBCのクリストファー・ウォン氏によれば、ドル高と高関税への懸念がすでに相場に影響しており、米ドルに対しリンギは8月以降の最低に値下がりした。しかしウォン氏は「トランプ氏が掲げた関税政策が実施までどのくらいの期間がかかるか、本当に実施されるのかはわからない」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、11月8日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月7日)