【クアラルンプール】 バス・トラック会社が運転手不足に直面しており、存立が脅かされている。全マレーシア・バス運行業者協会のモハマド・アシュファー・アリ会長が明らかにした。当局が2人の運転手を乗せていない長距離バス会社の摘発を強化していることが背景にある。
アシュファー会長によると、貨物トラック、高速バス、工場労働者・学生・観光客向けの輸送車両など、影響を受ける陸運セクターは約5,000人の運転手不足に直面している。特にバスに関しては、多くの会社が長距離旅行に2人目の運転手を提供するのに苦労しているという。
道路交通局(JPJ、RTD)は昨年12月26日、2人目の運転手を必要とする規則に従わなかったとして、25台の高速バスとツアーバスの運行会社に出頭命令を出した。2人目の運転手を乗せる規則は、300キロメートル(㎞)を超える長距離もしくは4時間を超える運転時間の高速バスに適用される。
アシュファー会長は、運転手不足は根深い問題であり、いくつかの課題により悪化していると指摘。「マレーシアのバスやトラックの運転手の大半は定年が近づいている。他の業界に移ったり、給与の高いシンガポールに異動したりする人が多くいる」と述べ、運転手志望者にとっての高額な参入コストも障壁になっているとした。大型車両を運転するためのeライセンス、公共サービス車両ライセンス、貨物運転ライセンスの取得には4,000―5,000リンギかかる。このため新たな人材を引き付けることが難しくなっているという。
マレー半島マレー高速バス事業者協会のライリ・イスマイル会長は、「政府の支援があれば運転手不足は解消され、質の高い運転手を選抜できるようになる」と指摘。コスト上昇によりバス事業者間の不健全な競争が生まれ、多くの事業者が乗客を引き付けるためにチケット価格を下げざるを得なくなっているとした上で、「政府が支援しなければ、多くの高速バス事業者は廃業せざるを得なくなる。そうなれば、何千人もの従業員と運転手が生計を失うことになり、バスサービスが提供する利便性と接続性を国民から奪うことになるだろう」と述べた。
(ザ・サン、1月2日)