【クアラルンプール=アジアインフォネット】 石破茂首相は9日、同日からのマレーシア訪問に先だって声明を発表し、アンワル・イブラヒム首相との首脳会談では、「包括的・戦略的パートナー」としての協力関係をアップデート・重層化していく考えを明らかにした。石破首相は10日まで滞在する。

石破首相は、今回の訪問でサプライチェーンの強靱化やレアアースといった新たな分野を念頭に、日・マレーシア経済関係の進展を確認する考えを表明。また東南アジアにおいて課題となっている脱炭素化・エネルギー移行に関連し、マレーシアとともに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を通じた脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現を図っていく考えを示した上で、日本の優れた脱炭素技術を導入し、炭素クレジットの創出を通じて両国の排出削減に貢献する二国間クレジット制度(JCM)の協議を加速し、早期署名を目指す考えを示した。

さらにマレーシアで近年問題となっている洪水に関連し、治水に知見のある日本として防災分野でどういった貢献ができるかアンワル首相と議論したいと述べた。

また安全保障関連では、OSA(政府安全保障能力強化支援)、ODA(政府開発援助)及び自衛隊や海上保安庁による協力を通じたマレーシアとの連携強化を継続していく考えを表明。サイバーセキュリティ分野でも協力していきたいと述べた。

パレスチナ問題に関しては、2013年に立ち上げたパレスチナ支援の独自のイニシアティブ、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」の枠組みをマレーシアと共に最大限活用し、中東情勢の安定化に貢献したいとの考えを示した。