【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン内閣が提出した2021年度予算案が26日、第2読会を経て下院議会を通過した。3月にムヒディン内閣が国会承認を経ないまま誕生してから初の予算案であり、事実上の内閣信任投票という側面もあって行方が注目されていた。

テンク・ザフルル財務相による総括演説に続き、午後3時半にアズハル・アジザン・ハルン議長の呼びかけで発声採決が行なわれた。立ち上がって反対を主張したのは13人だけで必要数の15人には届かなかったため、野党議員が激しく抗議する中、アズハル議長が記名投票なしでの可決を宣言した。法案は30日に委員会レベルでの審議が行なわれ、最終的に上院に回される。

修正内容には、与野党議員から要求のあった従業員積立基金(EPF)第1口座からの引き出しを1万リンギまで認める内容やローン返済期限の自動延長、医療関係者への支援、感染者が最も多いサバ州への支援などが盛り込まれた。また批判の的となっていた特別問題局(JASA)への予算8,550万リンギについても、30日の委員会審議で撤回される見通しだ。

ムヒディン内閣を支持する与党勢力の現有議席数が過半数をわずかに上回っているだけであった上、PNと共闘する国民戦線(BN)内からもムヒディン首相に批判的な議員が少なくなかったため予算案可決が危ぶまれていた。しかしBN所属議員らの要求に受け入れて予算案を一部修正。最終的にBN所属議員全員が予算案への支持に回った。