【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ政権と野党連合・希望同盟(PH)が13日に協力覚書を締結したことで、少なくとも2022年7月31日までは議会解散されない見通しとなった。憲法では議会解散後60日以内に総選挙を行なうとされているため、次期総選挙が開催されるのは早くても来年10月となる。
議会解散を先延ばしにすることで合意したと明らかにしたのは、PHの院内幹事を務める民主行動党(DAP)のアンソニー・ローク議員。ただPHのリーダーを務める人民正義党(PKR)のアンワル•イブラヒム党首(元副首相)は、当初政府が約束していたイスマイル内閣の信任投票についてPH側が中止に同意したわけではないと述べ、無条件に政権を支持し続けるわけではないことを改めて示唆した。
覚書に明記された共同で実施する6つの項目に盛り込まれた運営委員会の設立については、メンバーは双方から5人ずつを出すことになるもよう。ただPHはあくまで野党という立場にとどまり、閣外から政府のチェック機能を司ることになる。
与野党協力により進められる制度改革の一環として、議員の政党間のくら替え禁止法制定や「1963年議会サービス法(PSA)」復活が見込まれている。このほか政府も同意を示している、首相任期の10年制限の立法化や選挙権年齢の18歳への引き下げ実施が期待されている。
PHに所属していない野党各党との連携については、与党第一党・統一マレー国民組織(UMNO)書記長を務めるアヌアル・ムサ通信マルチメディア相は、PHと同様の協力覚書を締結する用意があると言明した。サバ遺産党(ワリサン)や祖国戦士党(ペジュアン)、マレーシア統一民主同盟(MUDA)を念頭に置いた発言とみられる。