ダークウェブ上で身分証明書の情報が漏えいか、内相は否定

【クアラルンプール】 国民の約48%に相当する1,700万人の身分証明カード(MyKad)の情報が外部に漏れ、ダークウェブ上で売り出されていると、シンガポールに拠点を置くダークウェブ監視会社ステルス・モールが、Xのアカウント「フュージョン・インテリジェンス・センター」で主張している。

ステルス・モールはその根拠として、ダークウェブに掲載されたとする複数枚の身分証明書カードのスクリーンショットを掲載した。ダークウェブとは、一般的な検索エンジンではアクセスできないインターネット空間で、違法なモノや情報が数多くやり取りされている。MyKadには氏名、住所のほかに生体情報が含まれており、なりすまし、不法な金融口座の開設などに悪用される恐れもある。

しかしマレーシア警察によれば、データ漏えいの被害届けはなく、サイバー犯罪捜査部の調査でも漏えい、情報販売の証拠は確認できなかったという。サイフディン・ナスティオン内相も、国家登録局を含め関係当局が徹底的に調べたが、情報漏出の事実はなかったと述べた。
(ベルナマ通信、フィンテックニュース、12月4日、ザ・スター、ザ・サン、12月5日)

ダイム元蔵相が死去、資産公開拒否の罪で係争中

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 1980年代から2000年代初頭にかけてマハティール・モハマド元首相の片腕として活躍し、現在資産公開を拒否した罪で係争中のダイム・ザイヌディン元蔵相が13日早朝、入院中のセランゴール州ペタリンジャヤの病院で亡くなった。86歳だった。

ダイム氏は経済界から政界入り。下院議員初当選は1982年で、2004年まで5期務めた。1984年からマハティール政権下で蔵相を務め、財政建て直し、経済改革で手腕を発揮した。1991年に財政状況改善を理由にいったん辞任したが1999年に返り咲き、2001年までアジア通貨危機への対応などに取り組んだ。

政界を引退していたダイム氏だが、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が2021年10月から公表を開始した租税回避行為に関する機密文書(パンドラ文書)にダイム氏の名前が記載されており、マレーシア汚職摘発委員会(MACC)が捜査を開始。MACCは今年1月、ダイム氏と妻のナイマ・アブドル・カリド氏を資産申告を怠った罪で起訴した。これに対しダイム氏側は、政治的弾圧だと主張。次回公判は11月20日に予定されていた。

プロドゥア偽造潤滑油の販売業者に51万リンギの損害賠償命令

【クアラルンプール】 高等裁判所はこのほど、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)純正と偽った潤滑油を売ったとして、自動車部品・潤滑油販売業、エコ・オート・サプライの経営者リー・ラップキー被告に51万6,777リンギの損害賠償を支払うよう命じた。

訴えていたのは、プロドゥアとプロドゥア・セールスの2社。2019年5月、国内取引物価省による家宅捜索をきっかけに、キー被告の偽造潤滑油の販売が発覚。キー被告は有罪を認め、約5万3千リンギの罰金が科せられたが、それとは別に、2社が損害賠償などを求め民事裁判を起こしていた。

民事訴訟については2022年9月、キー被告によるプロドゥア商標の無断使用の禁止や、日刊紙3紙への謝罪掲載などで和解。損害賠償額については裁判所にゆだねられていたが、今回逸失利益について計1万6,777リンギ、信用と評判の毀損について50万リンギが確定した。
(エッジ、11月5日)

KLIA1で日本人から窃盗、中国籍の男3人に禁固3カ月

【クアランプール】 セランゴール州セパン治安判事裁判所は10月30日、日本人男性のかばんからカードの入った財布を盗んだとして、中国籍の男3人にそれぞれ禁固3カ月を言い渡した。

判決を受けたのは、50代の中国籍の男3人。被害にあった日本人男性は10月21日、セランゴール州ペタリンジャヤのレストランで支払いをしようとした際、かばんから財布がなくなっているのに気づいた。クアラルンプール新国際空港第1ターミナル(KLIA1)で被害にあったとみられる。

また被害男性の知らない場所で、盗まれた財布にあったクレジットカードが使われ、3回に分けて不正使用され計7,622リンギが盗まれたという。男性は翌22日に警察に通報し、3人は25日にKLIA1で逮捕された。
(マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、10月30日)

ナジブ元首相の別の汚職裁判、高裁が継続を決定

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 政府系ファンド、ワン・マレーシア・デベロプメント(1MDB)に絡む一連の汚職事件における、ナジブ・ラザク元首相(別件で収監中)が1MDBから22億7,000万リンギ相当の資金を不正受給した件に関する裁判で、クアラルンプール高等裁判所は30日、検察側が提出した証拠が不十分だとするナジブ被告側の主張を却下。裁判の継続を決定した。

高裁のコリン・ローレンス・セクエラ判事は、検察側が出した証拠は刑事訴訟法に基づく法的基準をすべて満たしていると指摘。ナジブ被告側に検察側の主張に対して反証を行うよう求めた。反証が不十分だと判断されれば、先のSRCインターナショナルの件に続き本件でもナジブ被告が有罪判決を受けることになる。ナジブ被告は本件で職権乱用とマネーロンダリングに関する25件の罪状に問われており、有罪判決を受けた場合、最高20年の禁固刑が科される可能性がある。

ナジブ被告側は、元1MDBの元会長や最高財務責任者(CFO)AMバンクの元マネジャーらの検察側証人の証言が伝聞に基づく信用できないものだと主張したが、セクエラ判事は、「これらの証言は一貫しており、証言の信頼性は損なわれていないと判断する」と述べた。

ナジブ被告側は、1MDB事件で国外逃亡中の実業家ロー・テックジョー(通称ジョー・ロー)容疑者とは共謀関係にはなく、ロー容疑者らに騙されたものであって事件の首謀者ではないと主張。自身の口座に入金された多額の資金については、1MDBの資金とは知らずサウジアラビアからの寄付だと信じていたとしていた。
1MDBに関わる一連の汚職事件を巡っては、SRCインターナショナルから4,200万リンギがナジブ被告のAMイスラミック・バンクの個人口座に振り込まれた背任(CBT)や職権乱用など7件の罪状に問われた件では、2022年8月に有罪が確定し、ナジブ氏は即日収監されている。

ナジブ被告はこれ以外にも、SRCインターナショナルの2,700万リンギの資金洗浄とアラブ首長国(UAE)の国際石油投資会社(IPIC)に支払われた66億リンギの政府資金に関する横領の罪の2件でも告発されている。

JTBのツアーバスがペラ州で追突事故、女性1人が死亡

【クアランプール=アジアインフォネット】 日本人観光客らを乗せたツアーバスが24日午後1時45分、ペラ州タイピン近郊の南北高速道路(NSE)上り線で、前を走っていたトレーラーに追突。乗員乗客13人が死傷し、うち70歳代の日本人女性1人が死亡した。

乗っていたのは、50ー80歳代の日本人観光客11人(女性8人、男性3人)と、現地の運転手とツアーガイド。死亡した女性は夫婦で参加していた模様で、搬送されたタイピン病院で亡くなった。25日午後1時時点で4人が入院している。警察で事故原因や女性の死因を調べている。現地報道などによると、現場はタイピンとクアラカンサーの中間にある直線の緩やかな上り。

日本人観光客はJTBが主催した10月21日関西空港発の周遊型募集ツアー(添乗員なし、7日間)に参加しており、ペナン観光を終えて、パハン州のキャメロンハイランドに向かう途中だった。

JTBの山北栄二郎社長は、25日午後1時過ぎ(日本時間)に会見を開いて事故を謝罪した上で、マレーシアの周遊型募集ツアーについて原因究明と安全性が確認されるまで当面催行を見合わせると発表した。

「アッラー」靴下問題、KKマートとサプライヤーに罰金刑

【シャアラム】 ミニマートチェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていた問題で、セランゴール州シャアラムの初級刑事裁判所は15日、イスラム教を侮辱したとしてKKマートを運営するKKスーパーマート&スーパーストアとサプライヤーであるシン・ジエン・チャン社に対し、それぞれ6万リンギの罰金刑を言い渡した。

一方、KKマートの創始者であるチャイ・キーカン最高経営責任者(CEO)と妻のロー・シウムイ取締役、靴下をKKマートに販売委託していた、ジョホール州バトゥパハのサプライヤー、シン・ジエン・チャン社のソー・チンフアット、ゴー・リーフアイ、ソー・フイサンの3取締役の個人の責任については免責を決定した。

問題の靴下はミラノソックというメーカーが製造し、KKマートに委託販売していたもので、くるぶしの辺りにアルファベットで「ALLAH」とプリントされていた。バンダル・サンウェイの店舗で消費者によって撮影された画像がソーシャルネット上で拡散。「イスラムに対する冒涜」といった批判の声と共に、KKマートの不買運動を呼び掛ける声も上がった。

KKマートに対してはイスラム保守派が抗議の声を上げており、何者かがKKマートの店舗に火炎瓶を投げ込む事件が3件も発生した。
(マレー・メイル、エッジ、7月15日)

KLやペタリンジャヤでまた街路樹が倒木、死傷者はなし

【クアラルンプール】 25日に首都圏で暴風雨が発生し、クアラルンプール(KL)やセランゴール州ペタリンジャヤの数カ所で街路樹が倒木した。KLでは5月7日、13日にも街路樹が倒れる事故が発生している。

セランゴール州消防救助局によると、SPRINT高速道路が倒木により塞がれたため、一部車線が封鎖され、一時2キロメートルの渋滞が発生した。駐車場で倒木の下敷きになった車もあったが、死傷者は報告されていないという。

クアラルンプール市政府(DBKL)は28本の木を「危険性が高い」と判断し伐採する予定で、セランゴール州ペタリンジャヤ市議会(MBPJ)も、市内の老木や危険性の高い木の検査を開始した。
(ザ・バイブス、5月26日、ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月25日)

マクドナルド店内で顧客を脅迫、反イスラエル派5人が逮捕

【クアラルンプール】 外食チェーンのマクドナルド店舗で顧客を脅迫したとして、同店のボイコットを呼びかけていた反イスラエル派5人が逮捕された。ガザ地区に侵攻しているイスラエル軍に同国のフランチャイズ運営会社が無料で食事を提供したとして、イスラム急進派の一部がマクドナルドのボイコットを呼びかけている。

事件はパハン州クアンタンの店内で発生。家族連れで食事をしていた男性に対して、反イスラエル派が侮辱する発言をし殴ると脅迫するなどした。男性は警察に被害届を提出し、自動車セールスマン、銀行員、軍関係者の3人が13日に、建設請負業者と貿易業者の2人が14日にそれぞれ逮捕された。警察の取り調べに対し、1人は容疑を認めているが、4人は否認している。

各国でのボイコット騒動に悩むマクドナルドは先ごろ、イスラエルで225店舗を展開し5,000人以上を雇用しているアロニアル社から、30年間続いた同国のフランチャイズを買収すると発表していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月15、16日)

今度は靴底に「アッラー」文字、警察が1千足を押収

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 バーンズ・ホールディングスが販売していたハイヒールの靴底に入ったデザインがアラビア語で神を表す「アッラー」の文字に似ているとのクレームが上がり、警察は8日、クアラルンプールやジョホール、ケダ、ペナン州の「バーンズ」店舗から1,145足を押収し、同社の創業者であるン・チュアンフー氏を呼んで事情聴取した。

バーンズ・ホールディングスによると、一部のハイヒールの靴底の刻印は、足首を螺旋状に巻いたピンヒールのシルエットを描いていたという。 ただし、デザインの欠陥がロゴの誤解につながった可能性があるとしている。 問題の靴は直ちに販売中止し、すでに購入した顧客には返金する措置を講じたという。

バーンズはソーシャルメディアで、「宗教や信仰を軽視したり侮辱したりすることを目的としたロゴをデザインするつもりはまったくなかった」と説明した上で、 「経営陣は謹んでお詫びし、許しを求めたい」との声明を発表した。

最近では、ミニマートチェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが発覚し、会社創業者らが起訴された。KKマートは意図していなかったとして謝罪しているが、イスラム主義者からの追及は収まらず、KKマートの支店3カ所に火炎瓶が投げ込まれる事件も起きている。