「アッラー」靴下問題、KKマートのCEOらを起訴

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ミニマートチェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていた問題で、同社の創始者であるチャイ・キーカン最高経営責任者(CEO)と妻のロー・シウムイ取締役が26日、セランゴール州シャアラムの初等刑事裁判所に起訴された。両被告とも罪状を否認しているが、有罪となれば1年以下の禁固刑、罰金、もしくは両方が科される。

靴下をKKマートに販売委託していた、ジョホール州バトゥパハのサプライヤー、シン・ジエン・チャン社のソー・チンフアット取締役と妻のコー・リーフイ氏も同日、教唆罪で起訴された。

問題の靴下はKKマートに委託販売していたもので、くるぶしの辺りにアルファベットで「ALLAH」とプリントされていた。バンダル・サンウェイの店舗で消費者によって撮影された画像がソーシャルネット上で拡散。「イスラムに対する冒涜」といった批判の声と共に、KKマートの不買運動を呼び掛ける声がイスラム政党などから上がった。

■KKマートはサプライヤーに損害賠償請求■
KKマートは25日、ブランド毀損および事件を受けての上場中止による損失を被ったとして、シン・ジエン・チャン社とソー取締役を相手取って損害賠償請求訴訟をシャアラム高裁に起こした。

KKマート側は、ブランド毀損による損失額が1,050万リンギ、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)上場中止による損失額が2,030万リンギ、加えて週平均150万リンギの売上減があったと主張。また、シン・ジエン・チャン社にはアームカバーの委託販売を許可したが、靴下の委託販売は許可していなかったとし、KKマートが知らないうちに問題の靴下が店舗に陳列されたとしている。

一方、シン・ジエン・チャン社は、問題の靴下は中国浙江省の製造業者が製造したものだとした上で、「アッラー」文字を入れることは指示していないと主張。製造業者を訴える考えを示している。

KKマートが謝罪、「アッラー」文字入り靴下販売で

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ミニマートチェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが分かり、即時謝罪に追い込まれた。

問題の靴下はミラノソックというメーカーが製造し、KKマートに委託販売していたもので、くるぶしの辺りにアルファベットで「ALLAH」とプリントされていた。バンダル・サンウェイの店舗で消費者によって撮影された画像がソーシャルネット上で拡散。「イスラムに対する冒涜」といった批判の声と共に、KKマートの不買運動を呼び掛ける声も上がった。

これを受けてKKマートは速やかに謝罪を表明した上で、二度と同じ問題を起こさないと約束。その上で問題の商品の販売を中止したこと、製造業者に事情説明を求めたことを明らかにし、建設的な批判を行った消費者に謝意を示した。

同問題を巡っては、与党連合に参加している統一マレー国民組織(UMNO)青年部が、KKマートに対して全188店舗に謝罪の横断幕を掲げるよう求めるなど政治化する動きを見せているが、同党に所属するザイド・イブラヒム元法相は、「意図的に行ったわけではなく、いじめに等しい無体な謝罪要求をすべきではない」とクギを刺した。

検察がダイム元蔵相の妻を起訴、標的はダイム氏

【クアラルンプール】 マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は23日、ダイム・ザイヌディン元蔵相の妻、ナイマ・アブドル・カリド氏(67)を、資産申告を怠った罪で起訴した。ナイマ氏は、「夫の成功を妬んだ者たちによる陰謀であり、夫の名誉を傷つけるための政治報復だ」として無実を主張している。

訴状によると、被告が申告を怠った資産は、▽企業2社▽高級車2台(いずれもメルセデスベンツ)▽不動産8件(クアラルンプールの自宅、土地、建物、およびペナン州の土地)ーー。有罪の場合、最長5年の禁錮と10万リンギの罰金が科せられる。セッション裁判所(重大犯罪の第一審裁判所)のアズラ・アルウィ裁判官は、保釈金25万リンギで保釈を認めた。次回審理は3月22日。

検察の真の標的はダイム元蔵相本人で、世界の著名人による租税回避を暴いた文書、いわゆるパンドラ文書にダイム氏が含まれていたことから捜査を続けていた。ダイム氏は病気で入院中。

パンドラ文書は英領バージン諸島などタックスヘイブンの信託会社、法律事務所から漏出した電子ファイルで、金、権力を持つ世界の大物が資産を隠し、税を回避していたことを示す文書。21年10月から各国のメディアが報道を開始していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、1月23日)

アラスカ航空の破損側壁、米メーカーがマレーシア工場で生産

【クアラルンプール/ワシントン】 アラスカ航空が運航していたボーイングB737MAX9型旅客機の側壁の一部が飛行中に吹き飛んだ事故について、米国家運輸安全委員会(NSTB)は、側壁は米国の航空機部品メーカー、スピリット・エアロシステムズのマレーシア工場で生産されたことを確認した。ワシントン・ポスト、ロイターが報じた。

ジェニファー・ホーメンディー委員長によると、側壁はカンザス州ウィチタの本社工場に輸送され、その後ワシントン州のボーイング組立工場に送られた。

ホーメンディー氏は、問題点は特定できておらず、NSTBは製造工程だけでなく、マレーシアからカンザス州への輸送、ボーイング施設への輸送、ボーイング社の品質管理についても調査しているという。この問題については米連邦航空局(FAA)とNSTBが上院商務委員会でブリーフィングを行っている。

同型機を使用しているのはアラスカ航空とユナイテッド航空で、両社は既に数千便の運航を取り止めている。

事故では、同機はオレゴン州ポートランド国際空港を離陸し、上昇中に側壁が吹き飛んだ。同機は空港に引き返し、乗客乗員177人は無事だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月19日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、1月18日)

SOCSOへのサイバー攻撃が発生も、実害はなく復旧済み

【クアラルンプール】 社会保障機構(SOCSO)は8日、同機構のシステムやデータベース、ウェブサイトが2日以降サイバー攻撃を受けていたと正式に発表した。ハッカー集団が別途「SOCSO登録の個人情報を入手した」と発表したことを受けてのもの。

SOCSOは、ICTチームがシステムをすでに復旧させたとし、加入者へのサービス提供に影響を及ぼすようなダメージは受けていないと説明。サイバー攻撃は、SOCSOのインフラを麻痺させることが目的だったがそれに失敗しており、ハッカー集団が入手したとされる個人情報も不完全で、実際の登録データとは異なる古いものだと述べた。9月にもサイバー攻撃を受けたが、被害が出る前に阻止したとしている。

ファーミ・ファジル通信デジタル相は、政府機関であるサイバーセキュリティ・マレーシア(CSM)、国家サイバーセキュリティ局、個人データ保護局が、SOCSOへの攻撃について詳細調査を行うとし、後日声明を発表する予定だと述べた。アンワル・イブラヒム首相も、政府はサイバーセキュリティを強化する取り組みを行っており、国家安全保障委員会(MKN)やマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が民間企業と協力し、サイバー攻撃を抑制していくと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、12月9日、マレー・メイル、ソヤチンチャウ、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、12月8日)

インターナショナルスクール19カ所に爆破予告

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア警察は、21日にマレーシア国内の私立・インターナショナル・スクール、合計19カ所に爆破予告メールが届いたことを公表。ただ現時点では爆発物などは発見されておらずデマだったとの見方を示しており、脅迫罪で捜査を続ける方針だ。

爆破予告があったのは、セランゴール州で7カ所、クアラルンプール(KL)で5カ所、ジョホール州で3カ所、ペナン州で2カ所、ペラ州で1カ所、ネグリ・センビラン州で1カ所。日本人学校も含まれている。爆破予告を受けた学校では生徒を早退させ、警察による爆発物の捜索が行われたが、いずれも爆発物は発見されなかった。

ラザルディン・フサイン監察官によると、脅迫メールは いずれも電子メールプロバイダー「beeble.com」を使用して、“破壊者”を意味する「Takstorer」というIDを用いたアドレスから送られていた。アドレスは脅迫のために新たに作成されており、英文原稿を翻訳アプリを使ってマレー語に翻訳し送信したと見られている。「beeble.com」のアドレスを使った同様の学校を狙った脅迫メールは中米ジャマイカでも70カ所の学校に送られており、警察ではこれらの関連について捜査を行っている。

パレスチナ支援集会、週末に各地で開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織、ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、パレスチナへの連帯を訴えイスラエル・米国を非難する集会が28、29日に全国各地で行われた。

28日には再びクアラルンプール(KL)で5,000人規模の抗議デモが開催され、KLシティ・センター(KLCC)のモスクから在マレーシア米国大使館までデモ行進を行った。イスラム原理主義野党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首や統一プリブミ党(PPBM)のハムザ・ザイヌディン書記長が参加した。

パハン州ではクランタンのモスクに数千人が集まり、ワン・ロスディ・ワン・イスマイル州首相らがパレスチナ支持を訴える演説を行った。

サバ州では、パレスチナの人々を支援するためにパレスチナ人道平和基金に30万リンギを寄贈する集会がコタキナバルで行われ、1万人が集まった。
サラワク州では、クチン市内のスポーツ複合施設で「パレスチナとのサラワク連帯集会」が開催され、非ムスリムを含む2,500人余りが参加した。

ペラ州では、統一マレー国民組織(UMNO)青年団が40台のバイクで「パレスチナ連帯車列」を組織し、パレスチナ国旗を振りイスラエルの残虐行為を非難しながら、タパー、キャメロン・ハイランド、シンパン・プライなど約150キロメートルにわたって走行した。

29日には、マラッカ州クルボンのスタジアムで5,000人規模の集会が開催され、アブ・ラウフ・ユソー州首相も出席した。ネグリ・センビラン州やトレンガヌ州でも、パレスチナ連帯を謳った集会が開催された。

KLでパレスチナ支持のデモ開催、数千人が参加

【クアラルンプール】 パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織、ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、クアラルンプール(KL)のムルデカ広場で22日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの軍事行動に抗議し、パレスチナを支援するデモが行われた。

非政府組織(NGO)ビバ・パレスチナ・マレーシア(VPM)とヒューマニタリアン・ケア・マレーシア(MyCARE)が主催した「パレスチナに自由を」をテーマにした集会が午前9時から行われ、マレーシア国内に住むパレスチナ人や外国人を含む数千人が集まった。ファーミ・ファジル通信デジタル相も参加した。

参加者は、パレスチナの国旗を振り、反戦の横断幕やプラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げた。イスラム教徒、キリスト教徒、仏教徒のコミュニティーやNGOの活動家らがスピーチし、軍事行動の停止を訴えた。

集会は警察が見守る中、開催され、予定通り午後1時に平和裡に終了した。警察によると3,000人が参加したと見られる。

KLでは13日午後、パレスチナ支持を訴える超党派のグループが、イスラエルを支援する米国に対する抗議活動を行っていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月23日、アルジャジーラ、10月22日)

小型ジェット機が路上に墜落、10人が死亡

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 17日午後2時50分頃、小型ジェット機がセランゴール州シャアラムのエルミナウェスト・タウンシップの路上に墜落した。乗客乗員8人と、道路を走行していた自動車、オートバイの運転者2人、合計10人が死亡した。

墜落した小型飛行機は、プライベートジェット・チャーター・サービスのジェットバレット社が運航する、米ホーカー・ビーチクラフト製の個人客向けビジネスジェット「ビーチクラフト390(プレミアI)」。

マレーシア民間航空局によると、同機は同日午後2時8分にランカウイを離陸し、スバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港)に向かっていた。スバン空港の管制塔と最初に接触したのは午後2時47分で、着陸許可が出たのは午後2時48分。午後2時51分に墜落現場からの発煙が確認された。パイロットからのメーデー (遭難信号)コールはなかったという。

セランゴール州警察によると、死亡した乗客の中にパハン州政府で住宅・環境・グリーンテクノロジー委員会の議長を務めるジョハリ・ハルン議員が含まれていた。墜落機のブラックボックスの一部であるコックピット・ボイスレコーダーも発見されており、墜落原因などが今後解明される予定。墜落事故を受けて、ガスリ回廊高速道路(GCE)からエルミナ・インターチェンジへの出入り口は両方向とも一時閉鎖された。

出入国管理官のワイロ要求疑惑、”仲介人”が存在か

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール新国際空港(KLIA)で出入国管理官から中国人女性が入国を拒否された上で多額のワイロを要求された事件について、ワイロを持ち掛ける「仲介人」の存在が明らかになった。出入国管理官によって継続的かつ組織的に行われていた疑いが高まっており、捜査当局が全貌の解明に向けて捜査を続けている。

6月29日に中国人女性が入国を拒否された上でワイロを要求されたと主張している件では、マレーシア汚職摘発委員会(MACC)とセランゴール州警察が、現場に駆け付けたティオン・キンシン観光芸術文化相や目撃者、出入国管理官ら20数人に対する事情聴取を行った。

MACCの関係者によると、女性にワイロを持ち掛けた「仲介人」の存在が確認されており、捜査当局が行方を追っている。ティオン大臣によると、女性は帰国のための航空券代などで3,000リンギ、再入国手続き費用で3,000リンギ、ビザ手続き費用で1万2,000リンギの合計1万8,000リンギを要求されたという。

女性は必要な旅行書類はすべて所持していたと主張。領事館を通じて連絡を受けたティオン大臣が駆け付けて、出入国管理官の不正を糾弾した。

女性の事件が発覚した後の7月2日には、中国人とみられる男性がKLIAで拘束され、出入国管理官に1万リンギの支払いを求められたと主張する動画がソーシャルメディアに投稿された。男性は香港からの観光客も同じく1万リンギを要求されたと主張している。

マレーシア旅行代理店協会(Matta)のタン・コクリャン会長は、外国人旅行者を標的とした出入国管理官による汚職行為は今に始まったことではないと指摘。当局に指摘しても何も変わらなかったと述ベている。