中国人女性の入国拒否問題、汚職委員会が調査へ

【セパン=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール新国際空港(KLIA)で中国人女性旅行客が入国を拒否された上に入国するためのワイロを出入国管理局員に要求されたと主張しており、マレーシア汚職摘発委員会(MACC)が調査を開始した。一方で、現場に駆け付けて女性の解放に奔走したティオン・キンシン観光・芸術・文化相に対しても職権乱用ではないかとの非難の声が上がっており、汚職疑惑が思わぬ方向に飛び火している。

入国拒否された中国人女性は、6月29日に中国・深圳からの国際線でテレビ局幹部である上司と共にKLIAターミナル1に到着したが、必要な旅行書類はすべて所持していたものの入国審査で入国を拒否されたばかりか、数千リンギを要求されたと主張している。

一方、現場の出入国管理局職員からは、「女性が宿泊先を明かさず、帰国の航空券の提示も拒んだため入国拒否は正当だった、ワイロ要求の事実はない」とする反論の声が上がっている。

出入国管理局のルスリン・ジュソー局長は、事件に関してあらゆる側面から調査を行うと言明。MACCのアザム・バキ議長やアンワル・イブラヒム首相、アンソニー・ローク運輸相も調査を行うと述べた。

■ティオン大臣の職権乱用疑惑も■
この件を巡っては、中国・広州のマレーシア総領事館経由で通報を受けたティオン大臣が空港に駆け付け、立ち入り禁止エリアに入って女性の解放に向けて何ごとか交渉を行っている動画がソーシャルメディアに流出。同相の行為が規則違反であり越権行為ではないかとの指摘することが上がった。

官公労連会議(CUEPACS)も、閣僚の行政官のよる公務への介入が越権行為に当たるとして非難声明を発表した。

ティオン大臣はこれに対し、出入国管理局からは言葉の問題があったと説明を受けたが、女性解放を同局に命じたことはないと主張。禁止エリア立ち入りも閣僚として通行パスを持っており違法性はないとし職権乱用疑惑を否定している。

火災発生のミッドバレーメガモール、18日より営業再開

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール(KL)の大型ショッピングモール「ミッドバレー・メガモール」で17日午前、火災が発生。火元はモール内にある電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の変電所で、一時激しく燃え上がったが、消防車両が緊急出動し、12時44分に消し止められた。死傷者はなかった。

市消防救助局副局長(業務担当)のM.ファッタ氏によると、変電所で変圧器冷却に使用されていた1万2,400リットルの冷却油から火が出たと考えられるという。10時32分に通知を受け、10時40分頃にパンタイ消防署の消防士が最初に現場に到着。その後、職員45人、消防車3台、救急車2台、水槽車2台などが出動し消火活動が行われた。

TNBは、火災の影響により同日10時51分から近隣地区への電力供給が中断したが、10時55分より復旧を開始し、1時間半以内に段階的に復旧が完了したと発表。火災の影響を受け、ミッドバレー・メガモールおよび隣接するガーデンズ・モールは17日の営業を停止したが、18日朝から営業を再開している。

17日には、KLセントラル駅直結のショッピングモール「ニュー・セントラル」でも想定外の停電が発生し、営業を停止したが、18日朝から営業を再開した。TNBはKLセントラル駅とは別系統のため、交通システムには影響がなかったとしている。

バタンカリで大規模地滑り、死者行方不明者が30人超に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 セランゴール州バタン・カリ近郊のキャンプサイトで16日午前2時24分ごろ大規模な地滑りがあり、午後1時時点で16人の死亡が確認され、17人あまりが依然行方不明となっている。

大雨の影響で高さ30メートルの斜面が崩れ、3エーカー(約1万2,140平方メートル)が土砂で埋まった。消防レスキュー局のほか、市民防衛隊、保健省、マレーシア特別災害支援救助隊(SMART)などが駆け付けて救助・捜索活動にあたっており、これまでに61人が救出された。負傷者はセラヤン病院、クアラ・クブ・バル病院、クアラルンプール(KL)病院に搬送された。

現場はバタン・カリからゲンティン・ハイランドに向かう道路沿いのファーザーズ・オーガニック・ファーム付近で、3カ所のキャンプサイトがあり、宿泊名簿には94人の名前があった。スクールホリデー期間中であったため宿泊者の中には20人以上の教師とその家族が含まれているという。キャンプサイトは営業ライセンスを取っていなかった。

 

6千億リンギの公金横領疑惑、ムヒディン元首相らを聴取へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は、国民同盟(PN)率いる前政権時代の6,000億リンギの公金横領疑惑に関連して、当時のムヒディン・ヤシン首相、テンク・ザフルル財務相、カイリー・ジャマルディン保健相の3人を呼んで事情聴取を行う模様だ。情報筋の話として英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」などが報じた。

アンワル・イブラヒム首相率いる与党連合・希望同盟(PH)は、総選挙で勝利した際には前政権の公金横領に関する疑惑を追求する考えを示していた。国民信任党(Amanah)のサニー・ハムザン議員は横領が2020年3月から2021年8月にかけてのムヒディン内閣時代に行われたと主張して警察に告発。MACCから要請があれば収集している証拠を提出する用意があると述べていた。

一方、ムヒディン氏は横領の疑惑を否定した上で、問題となっている6,000億リンギの数字の出所がおそらく総額5,300億リンギの8件の経済刺激策だろうが、直接の管轄権のない自分が私的に流用することは不可能だと主張。仮に自身の銀行口座に入金されれば、会計監査で指摘されたはずだと述べた。

エアアジア、ランサムウェア攻撃で500万人分の乗客データ漏洩

【クアラルンプール】 世界のデータ漏洩事件を報告するサイト「データブリーチーズ」によると、エアアジア・グループが11ー12日にかけて、米サイバー攻撃グループ「ダイシン・チーム」によるランサムウェア攻撃を受けた。

ランサムウェア攻撃は、悪意あるソフトウェアをインストールさせ、コンピュータに保存されたファイルを暗号化し開けなくした上で、元に戻すための身代金を要求するもの。ダイシン・チームはヘルスケア企業や公衆衛生機関などに対し、システムの脆弱性を突いたランサムウェア攻撃を繰り返している。

ダイシン・チームはエアアジアに対する攻撃を行い、乗客500万人と全従業員の個人データを入手したとデータブリーチーズに通知。データブリーチーズがダイシン・チームにチャットでコンタクトしたところ、証拠として乗客および従業員情報が含まれたサンプル2ファイルが送られてきた。ダイシン・チームは、身代金の金額やエアアジアからの支払いの有無、データの復元や流出データの削除、攻撃ポイントをエアアジアに知らせたかどうかなどについては明らかにしなかったという。

一方、データ漏洩のニュースが流れたにも関わらず、エアアジアの親会社であるキャピタルAの23日の株価は下落せず横ばいで取引を終えた。

オンライン証券の楽天トレードのビンセント・ラウ株式営業部長は、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、マレーシアの上場企業を巻き込んだサイバー攻撃は今回が初めてではなく、セキュリティ強化が必要ではあるものの、各国が国境を再開したことで航空会社の業績は回復傾向にあるため今回のデータ漏洩がキャピタルAの財政や経営に深刻な影響を与えることはないと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月24日、エッジ、11月23日)

LRTケラナジャヤ線、14日朝に全面再開

【クアラルンプール】 16駅間で運休していたクアラルンプール(KL)首都圏軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線は14日午前6時に全面再開した。当初は15日まで運休の予定だった。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアによると、LRTを運営するラピッドレールとLRT車両製造会社のタレス・グループが各種テストを実施。公共陸運局(APAD)が自動列車制御装置(ATC)の安定性を確認し、14日からのサービス再開を承認した。ウィー・カション運輸相も12日、5分間隔で列車38台の走行テストを行った上で信号や通信システムに問題が生じていないことから早期の運転再開が可能という見方を示していた。

プラサラナのモハマド・アジャルディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、今後も運行状況の監視を続けるとし、予定より2日早い再開により道路混雑の緩和を期待していると述べた。

プラサラナはまた、14ー20日までの1週間、乗車料金を無料にすると発表。30日乗り放題のMy50パスも更新時に7日間無料期間を付与する。

LRTケラナ・ジャヤ線は、5日からATCの不具合により再三にわたりトラブルが発生。抜本解決のため、9日にアンパン・パークーケラナ・ジャヤ間の16駅について7日間の運休が発表された。運休は2万人以上の通勤客に影響し、首都圏の交通渋滞も悪化していた。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月14日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、11月13日、エッジ、11月12日)

LRTケラナジャヤ線運休、代替バス配備へ

【クアラルンプール】 9日に発表された、クアラルンプール(KL)首都圏の軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線16駅の1週間の運休による混乱が続く中、代替輸送計画が相次いで発表された。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアは9日、主要駅に無料の代替バスを配備すると発表した。73台のバスを利用し、5路線で運行、影響を受けた16駅すべてをカバーする。

系列のラピッドバスは10日、無料バスサービス、スマート・セランゴールおよびマラ・ライナーから各20台の支援を受け、無料フィーダーバスの運行を83台に増強すると発表した。最終的に100台超を配備する。

ウィー・カション運輸相は政府を代表し、国内で最も利用されている路線に前例のない混乱が生じたことを謝罪し、原因究明に向け運輸省はプラサラナと緊密に連携していると述べた。プラサラナはLRT装置メーカーのタレス・グループがカナダから到着するのを待つ間、第三者コンサルタントとの間で解決に向け議論しているとし、利便性のために安全性を犠牲することはできず、事故再発を防ぐためにも徹底して原因を追求するとした。

■消費者団体はプラサラナを批判■
一方、マレーシア・イスラム消費者協会のナジム・ジョハン会長は、24年間LRTを運行している会社が適切な管理計画を持っていないのは容認できないとし、不測の事態をあらかじめ想定しておくべきだと指摘。1週間の運休は2万人以上の通勤客に影響し、交通渋滞も悪化すると厳しく非難した。

マレーシア消費者協会連盟(FOMCA)のサラバナン最高責任者も、経済の中心地にある16駅が1週間も運休するのは経済に打撃を与える大問題だとし、代替バスを運行しても超満員で乗ることが難しく、また道路渋滞で到着に時間がかかりすぎるため役に立たないと述べた。政府は公共交通機関の利用を進める政策を行っているが、このような問題のせいで公共交通機関への信頼が失われているとした。
(ザ・サン、ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月10日、エッジ、ベルナマ通信、11月9日)

LRTケラナジャヤ線で大規模故障、16駅で15日まで運休

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 再三にわたってトラブルが発生していたクアラルンプール(KL)首都圏の軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線について、運行を手掛けるラピッドKLは9日朝、アンパン・パークーケラナ・ジャヤ間(16駅)について、15日までの7日間運休すると発表した。他21駅に関しては運行するが、23時までの短縮営業となる。

同線では5日午前10時34分頃、自動列車制御装置(ATC)の電子機器で不具合が発生。リセット処理により問題が解決し、また同日深夜にソフトウェア・アップデートを行ったことで一旦はシステムの安定が確認された。

6日に運行を再開したが、翌7日午前10時38分および午後8時39分に誤動作が再発生したため、列車の運行を停止。ラピッドKLはカナダのOEM(相手先ブランド生産)提携先タレス・グループと協力の上根本原因を調査し、8日午前5時30分にATCシステムの安定化に成功、その後運行を再開した。しかし同日午後3時過ぎに再度技術的問題が発生し、KLCCーケラナ・ジャヤ間で運行が停止された。駅が突然封鎖されたことにより一時乗客があふれ、混乱が生じた駅もあったという。

行き場を失った利用者が自動車利用に向かったため、8日夕刻、9日朝には帰宅や出勤の車の増加で首都圏各地で大渋滞が発生した

MH17便墜落、蘭・豪の対ロ責任追及にマレーシアも参加

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 2014年にマレーシア航空機がウクライナ上空で撃墜された事件で、豪州とオランダの両政府がロシアの法的責任を問う方針を明らかにしたことを受け、ウィー・カション運輸相は、マレーシア政府も国際民間航空機関(ICAO)の審議に参加すると発表した。
ウィー氏は審議への参加は国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づいたものだとした上で、事件の責任者に対する責任を問う国際法の下で行われる司法手続きにコミットすると述べた。
同事件は7月17日にオランダ・アムステルダムからマレーシア・クアラルンプール(KL)に向かって飛行中の「MH17便」がウクライナで地対空ミサイルの攻撃を受けて墜落。乗客乗員298人全員死亡したというもの。
ウクライナ側はロシアの支援を受けた親ロシア分離主義組織の犯行、ロシア側はウクライナ軍の犯行と互いに主張。親ロシアの支配地域であったことから調査は難航したが、最も被害者数が多かったオランダが主導する合同調査団(JIT)は2018年、ロシア供与のミサイル攻撃によるものと結論付けた。
オランダやマレーシアが国際裁判所の設置を国連で提案したが、ロシアが拒否。オランダ検察は独自に事件の責任者と特定したロシア軍人など4人を殺人罪で起訴する一方、オランダ政府はロシアを欧州人権裁判所にかけると宣言。さらにオランダに次いで被害者が多かった豪州と共にロシアの責任を問う訴えを起こすと発表していた。

スリアKLCCでマスク不着用の白人女性、保健省が捜索へ

【クアラルンプール】 保健省は、クアラルンプールのショッピングモール「スリアKLCC」内の小売店入店時に外国人女性がマスクの着用を拒否した件について、さらなる情報を求めていると発表した。
ツイッターで27日、マスクを着用していない白人女性がスリアKLCCにあるディオールの店舗に入店しようとし、スタッフに止められている映像が大きな話題となった。女性は「ここは自由の国であり、オーナーでもないスタッフが私の入店を止めることはできない」と主張し、「マスクの使用を義務付けているマレーシアは共産主義の国だ」と激しく非難した。映像は広く拡散され、「KLCC」がマレーシアでのトレンド・ワードとなった。
それに対し、カイリー・ジャマルディン保健相は、「郷に入れば郷に従え。マレーシアではマスクをしてください、他国のルールには関係なく」とツイートし、保健省は本件についてのさらなる情報を求めていると述べた。
昨年8月よりマレーシアでは公共の場でのマスク着用が義務化されており、違反者には1988年感染症予防管理法に基づき1,000リンギの罰金が科せられる。
(マレー・メイル、10月27日)