ワクチン巡り”フェイク接種”&”過小投与”疑惑が次々浮上

新型コロナウイルス「Covid-19」対策の切り札であるワクチン接種が加速化しており、政府は成人全員への接種目標を10月末に切り上げている。一方では根強い不信感をもって接種を拒否する人も少なくない。最近ではこうしたワクチン不信を助長するかのような、決してあってはならない接種を巡る不正問題が浮上している。

7月9日には、セランゴール州バンティンに仮設されたワクチン接種センター(PPV)で6日に接種を受けた40歳の男性が「中身が入っていない注射器で注射をする振りをされた」と警察に被害届を出した。

男性は自身の接種の様子を動画撮影していたが、それを確認して「フェイク」だと悟り、苦情を言いに行ったところ逆に怒鳴りつけられた。男性が動画をみせたところ幹部職員は絶句していたという。

7月17日にはクアラルンプール(KL)のブキ・ジャリル国立競技場に仮設された接種センターで接種を受けた33歳の男性が警察に被害届を提出した。男性によると、接種ブースで接種コードをスマホでスキャンしてから接種が終わるまで20秒もかからなかった。接種前に注射器を見せることもしなかったという。確かに針が腕に刺さるのは感じたが、注射器のピストンは動かなかった。このため男性が他の職員に注意を促したところ、返ってきた答えは「それが普通」というものだったので二度驚いたとしている。

「フェイク接種」が言いがかりや誤解でない証拠に、ワクチン接種タスクフォース(CITF)は、ケダ州スンガイ・プタニ空軍基地に設置された接種センター(PPV)における「フェイク接種」に関与したとして、先ごろ職員に懲戒処分を行なったことを明らかにした。ソーシャルメディアで出回っている画像には、職員が中身の入っていない注射器を女性の腕に刺す様子が映っていた。

一方、KL世界貿易センター(WTCKL)に設置されたPPVでは、アストラゼネカ製ワクチンの「過小投与」の疑惑が持ち上がり、保健省が調査に乗り出した。ファイザー製は1回の投薬量が0.3ミリリットルだが、アストラゼネカとシノバックは0.5ミリリットルと異なっており、不正でなく職員の人為的ミスである可能性もあるという。

接種に関する不正問題が浮上する中、アダム・ババ保健相はトラブルを防止のために、職員は接種前に注射器を被接種者にきちんと見せるべきであるとした上で、被接種者も疑問に思ったら職員に注射器を見せて欲しいと頼んで構わないと述べている。

(マレーシアBIZナビ編集部)

スカート姿で危うく入場拒否!ペナンの接種センターで

【ジョージタウン】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種センターになっているペナン州ジョージタウンのコンプレックス・マシャラカット・ペニャヤン(KMP)で、膝丈のスカートを着用していった華人女性が入場拒否されそうになる出来事があった。

入場拒否されそうになった女性の友人がツイッター上で明らかにしたところによると、入場しようとしたところで警備員に止められた。女性のスカートはミニではなかったが、別の警備員が仲裁に入ったためようやく入場できたという。

同ワクチン接種センターにはイラスト付きの服装規定が入り口に掲げられており、Tシャツや短パン、ミニスカートはもちろん、ジーンズやサンダルも禁止とされている。女性の短パンやミニスカートはともかく、Tシャツやジーンズまで禁止されていることには疑問の声が殺到。同じペナン州でもバヤン・バルの接種センターではTシャツと短パンでも問題なく入場できており、二重規範ではないかとの批判の声が上がっている。

(星州日報、光明日報、7月18日)

”白旗キャンペーン”が各地で拡大、支援の遅れを反映

新型コロナウイルス「Covid-19」の影響が長期化し、職を失うなどして生活に困窮する人々が増加している中、助けを必要としている人がそれとなく隣人に気付いてもらうようにするために門や玄関に白旗を掲げることを奨励する「白旗キャンペーン」が各地で広がりをみせている。

「白旗キャンペーン」は6月28日にフェイスブック上にグループが立ち上げられ、1日で2,000人以上が参加した。支援を求めている人に対しては「物乞いをしたり、恥ずかしい思いをする必要はありません。ただ白旗を掲げるだけです」と呼び掛けている。

従来型の食糧配給のような政治的・宗教的、組織的なアピール目的の支援でなく、民族や宗教の枠を越えて個人が自分の出来る範囲で困っている隣人を支援しようという点がユニークで、多くの有名人なども賛意を示している。

政府は昨年3月のパンデミック拡大以来、これまでに8回にわたる支援策を発表。特に貧困層を意識して一時金や食糧の直接支援などが盛り込まれたが、支援は遅れがちだ。保健省には今年1月以降に12万2千件ものメンタル相談が寄せられた。1—3月の自殺者数は336件に達している。

政府の支援がアテにできない中、国民同士で助け合おうということで始まった善意のキャンペーンだが、頭越しでこうしたことが行なわれることが自分たちが無能だと言われていると感じたのか、不快感を表明する政治家、宗教指導者などは少なからず出ている。

与党連合・国民同盟(PN)構成党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)幹部からは「敗北を認めるもの」とキャンペーンを批判、代わりにアッラーに祈るよう求める発言が出た。

これはさすがに弱者の気持ちが分からない、空気が読めない発言であり、早速「政府の非効率性と失敗を隠蔽するために祈りとか宗教を持ち出すな」、「あなたが支援するというのなら支援しろ。しないのなら黙っていろ」などと批判が殺到した。

PAS所属のケダ州のムハンマド・サヌシ首相は、政策の失敗を強調するためのに行なわれている政治的宣伝だと主張キャンペーンに参加して白旗を掲げている人には公的支援を行なわないと言い放った。同氏の発言には批判の声が殺到しており、マハティール•モハマド前首相までも批判に加わっている。

またキャンペーンに賛同する意向を示した与党政治家も批判の的になっている。キャンペーンを指示する発言を行なったズライダ・カマルディン住宅地方自治相には「あなたがきちんと仕事をしていればこんなキャンペーンは必要なかった」、「それなのに臆面もなくキャンペーンに便乗しているのは恥ずべき」といった批判の声が上がっている。

政治的圧力なのか、地域によっては住民が白旗を掲げることを警察が取り締まる騒ぎまで起きている。

(マレーシアBIZナビ編集部)

感染疑いの150kg女性、救急車で運べずトラックで移送

【マラッカ】 マラッカ州で26日午後2時頃、新型コロナウイルス「Covid-19」感染の疑いのある自宅隔離中の女性が呼吸困難を訴えたもののビッグサイズのため救急車に乗れず、急遽貨物トラックで病院に搬送する騒ぎがあった。

女性はアイル・モレックに住む体重150キログラムの49歳女性で、女性からの訴えをうけたマラッカ中央病院からの通報を受け、ブキ・カディル消防署のレスキュー隊が駆け付けた。

女性が重いことに加えて新型コロナ感染対策もあって通常の救急車で運べず、15分ほどかけて完全防護の消防署員が3人がかりでトラックの荷台に乗せて病院まで移送したという。

(東方日報、コスモ!、6月26日)

サラワク州先住民、身分証ないためワクチン接種受けられず

【ミリ】 サラワク州の内陸部に住む先住民が身分証カード「MyKad」を持たないことを理由に新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種が受けられないでいる。

先住民の権利団体、バラム住民行動評議会(BPAC)のフィリップ・ジャウ議長によると、バラム地区では身分証を持っていないことを理由にワクチン接種を拒まれたとの苦情が先住民から多く寄せられている。ロング・サンの公営クリニックでは、職員から身分証の提示を求められ、持っていないと立ち入りを拒んでいるという。

ジャウ氏は遠隔地に住んでいることから都市部にしかない国民登録局(NRD)事務所に出生届けを出しておらず、出生証明書やそれに基づいて発行される身分証明書を持っていない先住民はサラワク州だけで少なくとも6万人おり、接種がこの方式で行なわれるのであれば彼らは接種を受けられないことになると指摘。保健当局に配慮を求めた。

身分証を持っていない先住民には密林に住む遊牧民のプナン族がいるが、すでに数十人のプナン族が感染し1人が死亡しているという。

サラワクではこれまでに5万7千人以上の感染者が出ており、死者は366人に上っている。(ザ・バイブズ、6月18日)

SOP違反、6月1日から106カ所の工場が閉鎖

【ペタリンジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、完全ロックダウンがスタートした6月1日から17日までに、標準的運用手順(SOP)違反について496カ所の工場で調査が実施され、106カ所の工場が閉鎖を命じられたと明らかにした。

今年1月14日からは、2万4,928カ所(工場2万2,819カ所、事業所2,109カ所)を調査した。その結果、160カ所の工場と17カ所の事業所に対して閉鎖を命じたという

また17日には、SOPに違反したとして警察が759人を逮捕した。うち711人が罰金処分を受けた。

違反として最も多かったのは敷地や施設内に入る際の個人情報の事前登録義務違反で、140人が逮捕された。そのほかは▽物理的距離の確保違反(136人)▽マスク着用義務違反(135件)▽許可なしでの地区・州越え/外食禁止違反(123件)▽行動制限令(MCO)の順守違反(94人)▽自動車の乗車人数制限違反(55件)▽MCO違反施設(14件)  の順で違反者が多かった。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、6月19日、フリー・マレーシア・トゥデー、6月17日)

感染した外国人を荷台に満載、トラックと工場長を摘発

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」に感染した外国人労働者48人を荷台に満載して走っている不審なトラックが13日午後、ケダ州スンガイペタニで目撃され、通報を受けた警察に摘発される出来事があった。

クアラ・ムダ警察によると、スンガイ・ラランにある鶏肉処理工場で感染者が出たことを受け、同保健所は立ち入り検査を実施。陽性反応が出た135人の外国人労働者にピンクのリストバンドを装着させた上で、専用バスでクアラ・ムダにある病状評価センターまで連れてくるよう雇用主に命じていた。

しかし雇用主はバスの代わりになぜかトラックを手配。トラックは3回に分けて労働者を宿舎から評価センターまで運んだしかしピンクのリストバンドを付けた異様な集団がトラックの荷台に載せられている様子は他のドライバーや通行人の目を引き、彼らによって撮影された動画が拡散し大騒ぎになったらしい。

この騒ぎで工場長は命令に従わなかったとして「1988年感染症予防管理法」違反に問われ、片棒を担いだ格好となったトラックの運転手は「1987年道路交通法違反」に問われている。

ロックダウン中のSOP違反で59の工場に閉鎖命令

【ペタリンジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、6月1日の完全ロックダウン開始以来、標準的運用手順(SOP)違反により59の工場が閉鎖を命じられたと明らかにした。268の工場で検査が実施され、75の工場で罰金支払いが命じられた。

また、警察は6月9日、SOP違反で907人を逮捕し、そのうち877人が罰金処分、28人が再拘留、2人が保釈処分となった。

罪状としては、▽マスク着用義務違反(208件)▽MySejahteraアプリでの個人情報の未登録あるいはチェックイン不履行(148件)▽警察の許可なしでの地区・州越え/外食禁止違反(147件)▽身体障害者規則違反(123件)▽行動制限違反(81件)▽自動車の乗車人数制限超え(79件)▽娯楽施設での活動(28件)▽SOP違反施設(10件)▽その他(83件)――が挙げられる。

一方、5月25日に発表したラブアン入境者に対する追加規制についてサブリ氏は、6月30日まで延長すると明らかにした。ラブアン入境3日前にRT-PCR検査を受ける必要がある。本規則は当初は6月9日までとされていた。

サブリ氏はまた、パハン州、ジョホール州、サバ州、サラワク州、トレンガヌ州のいくつかの地域で、6月12日から6月25日までロックダウンや強化行動制限令(EMCO)が施行されると明らかにした。

具体的には、パハン州テメルローのタマン・テメルロー・ジャヤ、タマン・テメルロー・ジャヤ・インダー、タマン・テメルロー・マクムルの3地区が完全ロックダウンとなる。

EMCOが実施される地区は、▽ジョホール州クルアンのラダン・テレー・ミル▽サバ州プタタンのタマン・パシル・プティファサ1にあるロロン・パシル・プティ1▽サラワク州クチンのカンプン・コロン2▽トレンガヌ州クアラベランのカンプン・タジン――。

一方、EMCOが6月11日終了したのは、▽トレンガヌ州フル・トレンガヌのクアラバラン▽ペラ州マンジュンのシティアワン▽サバ州パパルのカンプン・ムック▽同州ケニンガウのカンプン・バル・ドゥロ▽同州クナのカンプン・スンガイ・ランガス――となった。

(フリー・マレーシア・トゥデー、6月10日)

軽便鉄道事故報告、運輸相が人的ミスと発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 先ごろクアラルンプール(KL)中心部のトンネルで発生した軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線の衝突事故について、ウィー・カション運輸相は10日、標準的運用手順(SOP)違反が事故に繋がった人的ミスだったと結論づける最終報告書を発表した。

同事故は、5月24日午後8時45分頃、KLCC駅からカンポン・バル駅に向かっていた無人運転の列車(TR81)と、本来カンポン・バル駅からダン・ワンギ駅方面に向かう予定の回送列車(TR40)が逆走して衝突したもの。これによって乗客213人を乗せていたTR81は先頭車両前面が大きく壊れ、47人が重傷(うち3人が重体)、そのほかの乗客は軽傷を負った。LRTケラナ・ジャヤ線の衝突事故は1998年の開通以来これが初めて。

事故調査委員会がまとめた報告書によると、TR40ではこの日、2基搭載しているVOBCと呼ばれる自動運転制御装置の1基に故障が発生したため修理のため、車両基地まで回送中だった。しかし2基目のVOBCも故障したため、運転制御センター (OCC)は運転手にダン・ワンギ駅まで手動運転で向かい、VOBCを再起動させて自動運転の回復を試みるよう指示したが、OCCと運転手の間の連絡が不十分だったため手動のまま逆方向のKLCC駅方面に向かって発車したという。

一方、TR81はTR40が故障のため手動に切り替えられたことからKLCC駅で待機していたが、TR40が自動運転に戻ったとの誤った情報を受け取り、カンポン・バル駅方面に向かって出発してしまい逆走してくるTR40と衝突してしまったという。

事故調査委員会は再発防止に向けた23件の勧告をLRTを管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアに行っており、プラサラナは手動運転中の運転手を2人にすることなど、5項目の短期的改善を3カ月以内に実施、11項目からなる中期的改善、7項目からなる長期的改善も6カ月以内をめどに実施する方針を明らかにした。

あれっ許可されてないの?ジョギング中に相次いで罰金

【シャアラム】 完全ロックダウン下でも認められているはずのジョギングについて、標準的運用手順(SOP)違反を理由にジョギング愛好家が罰金を科されるケースがセランゴール州で続発している。

シャアラムでは6日、ジョギング中の9人がそれぞれ500リンギの罰金を科された。ジョギング自体は認められてれているものの、禁じられている公共の公園内でのレクリエーション活動を行ったということで違反に問われた。シャアラム市議会 (MBSA) は、ジョギングは半径5キロメート圏内の自宅付近の路上かコミュニティ公園のみで認められるとしている。

MBSAは同日午前7時半から、シャアラム警察と合同で取り締まり活動を実施しており、5人はタマン・タシク・セクション7、残り4人はタマン・タシク・セクション14でそれぞれ摘発された。

一方、フル・クランでは7日、身分証カードにある住所と異なる住宅地でジョギングをしていたとして、8人が罰金を科された。ジョギングそのものの問題ではなく、移動制限に抵触したというのが理由だ。(フリー・マレーシア・トゥデー、6月7日、ニューストレーツ・タイムズ、6月6日)