異教徒による「アラー」の使用禁止通達の無効化判決、政府が控訴

【クアラルンプール】高等裁判所が、非イスラム教が神を「アラー」と表現するのを禁止した政府通達は無効との判断を示したことについて、政府は控訴裁判所に控訴した
高裁のノル・ビー裁判官は、マレー語を話すキリスト教徒、特にサバ州、サラワク州に住むキリスト教徒は数世代にわたり神を「アラー」と表現してきたとした。
高裁に提訴したのはサラワク州メラナウ族の女性、ジル・アイアランド氏で、「アラー」との表現が含まれたCDを所持していたところ、セパンの格安航空ターミナルで内務省職員に没収された。
その後、1986年の閣議決定を根拠に、アラー、カーバなど4つのイスラム教に重要な言葉の異教徒による使用を禁じた通達が出されたが、通達の署名者が大臣ではなく内務省職員であったことから、ノル裁判官は通達は無効との判断を示した。
マレーシアではこれまでにも、異教徒による「アラー」の使用をめぐり裁判が起こされた。
(エッジ、3月15日)

コロナ新常態、マレーシアでは体重減が体重増上回る

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」で自宅で過ごす時間が多くなったことで多くの国で肥満が増加しているが、肥満率が高いことで知られるマレーシアでは反対に体重が減る傾向が高いことが市場調査会社・仏イプソスの調査で分かった。

世界平均では体重が増えたとの回答が31%で、増加体重の平均は6.1キログラム、「体重が減った」は20%にとどまった。しかしマレーシアでは「増えた」との回答は19%にとどまり、増加体重の平均も4.8キログラムにとどまった。また「減った」は36%と世界平均を大きく下回った。

「新常態」における日常のルーティンについては、世界平均では「運動を増やした」が27%にとどまったのに対してマレーシアでは36%とより活動的になったことが分かった。

減量を行ないたいとの回答は世界平均が43%、マレーシアは45%と大きな差はなかったが、方法に関して「砂糖入り飲料を控える」が世界平均が44%だったのに対し、マレーシアは64%と高かった。「ダイエット」や「運動」も世界平均よりマレーシアの方が高かった。

「世界人口レビュー2019」によると、東南アジアの成人の肥満率はマレーシアが15.6%と最も高く、ブルネイ(14.1%)、タイ(10.0%)、インドネシア(6.9%)と続いた。マレーシアの調査でもマレーシア人の肥満と過体重を合計すると50.1%に達した。

制限令違反の罰金上限引き上げ、3月11日より1万リンギに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 行動制限令(MCO)違反者に対する罰金の上限が、3月11日より1万リンギに引き上げられることが分かった。連邦政府が2月25日に官報掲載した。
罰則強化は「2021年緊急事態(感染症予防と管理)命令」改正に基づくもので、1,000リンギ以下となっていた個人の罰則について改正第25条では、十倍の1万リンギ以下に引き上げられた。
また新たに法人の違反における経営責任を問う内容が第22条(A)に盛り込まれ、最高責任者、取締役、マネジャー、秘書、その他の管理責任者に対する責任を問うことになった。改正第25条では個人と法人の罰則が区別して盛り込まれており、違反企業の罰金は個人の5倍の5万リンギ以下となっている。
また一般の罰則に関する改正第24条では、罰則が明確に示されていない法律違反に関する罰則が罰金10万リンギ以下、あるいは禁固7年以下とする内容が盛り込まれた。
また第15条には、当局が感染した人あるいは可能性が高い人に対して追跡装置(リストバンドなど)の装着を命じることができる旨が盛り込まれた第15条(A)が追加され、追跡装置を破損(リストバンド除去など)や改竄について違反を問うことができるようになっている。

ナジブ元首相夫人の太陽光汚職事件、公判維持が決定

クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ナジブ ラザク元首相の夫人であるロスマー・マンソル氏(69)に対する太陽光発電設備設置事業に絡む汚職裁判の公判維持が決まった。クアラルンプール(KL)高等裁判所は18日、検察側が提出した3件の起訴内容を妥当だと認め、ロスマー被告に反証を命じた。
被告側の反証は6月9日から7月15日にかけて延べ9日間にわたっておこなわれる。ロスマー被告側はロスマー被告自ら証言台に立って証言するほか、5、6人の被告側証人を召喚する方針。法廷には1MDB汚職事件で訴追されている夫のナジブ被告も顔をみせた。
ロスマー被告は、サラワク州の学校369カ所で実施されることになった太陽光発電設備設置プロジェクト(総額12.5億リンギ)の入札に関して、2016年1—4月にかけてジェパク・ホールディングスの受注を保証する見返りとして1億8,750万リンギの賄賂を同社社長に要求。2016年12月に500万リンギ、2017年9月に150万リンギをそれぞれ受け取った罪に問われている。3件ともに有罪となれば禁固20年以下及び収賄額の5倍の罰金が科される。
ロスマー被告はこのほか、1MDB汚職事件に関する資金洗浄や収賄罪でも訴追されている。

標準的運用手順に違反、建設現場15カ所に業務停止命令

【クアラルンプール】建設業開発局(CIDB)は行動制限令(MCO)の標準的運用手順(SOP)に違反した建設現場15カ所に業務停止を命じた。
ファディラ・ユソフ上級相(公共事業相)の発表によると、1月13日にMCOが再導入されて以降、1,022の建設現場を立ち入り検査し、15カ所で違反を確認したという。
住環境、相手との物理的距離、マスク着用で違反があった。ファディラ氏によると、建設業における陽性反応者の過半はSOPに違反していることが分かっており、汚い宿舎、過密が原因だ。建設会社にはSOP厳守が求められるという。
パンデミック第三波の昨年9月20日から今年2月12日までの期間に852カ所のクラスター(集団感染)が発生しており、うち527カ所が職場クラスターだ。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、2月15日)

 

ホテル「ロイヤルチュランブキビンタン」、11日で営業停止

【クアラルンプール】クアラルンプール市中心部のゴールデン・トライアングルにある4つ星ホテル、ロイヤル・チュラン・ブキビンタン(418室)が11日付で業務を終了した。
正面玄関には「当ホテルは2月11日をもって完全に営業を停止する」との掲示があった。廃業の理由は明らかではない。
ホテル所有者はバウステッド・ホテルズ・アンド・リゾーツで、ロイヤル・チュラン・ホテルズ&リゾーツのブランドのほかのホテルはこれまで通り営業を継続する
バウステッド・ホテルズ・アンド・リゾーツは先に、ホテル・ロイヤルに同ホテルを売却する契約を交わしており、今月、譲渡が行われる予定だったが、この契約がどうなったかは不明。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月12日)

新型コロナ感染者の29.2%、職場でのクラスターで感染

【ペタリンジャヤ】 2020年12月7日から2021年2月4日までの新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は15万8,789人となり、うち29.2%(4万6,411人)が工場や建設現場、警備会社などの職場でのスクリーニング・プログラムにより確認されたクラスターだった。
1月1日より外国人労働者の強制スクリーニングがスタートしたことで、新規感染者数は増加し、行動制限令(MCO)が再導入された。
その他は、6.1%(4万6,411人)は刑務所や入管収容所でのクラスター、8.1%は州をまたいだ旅行、家族での会合、懇親会が原因となるクラスターだった。その他はクラスターに関連しない帰国者や感染源が不明な感染者だった。
保健省によると、昨年から今年2月5日まで、641万4,565件の検査が実施された。うち333万2,554件はリアルタイムRT-PCR法で行われた。年初からは118万8,284件のPCR検査、189万3,727件の迅速抗原検査が実施された。
マラヤ大学の免疫学者、アワン・ブルギバ・アワン・マハムド教授は、職場での感染拡大を防ぐために労働者の間で標準的作業手順(SOP)が順守されているか調査する必要があると述べた。1990年労働者住宅・設備法(第446法)が改正されたが、実際に宿舎に法律が反映されるには時間がかかると指摘。労働者以外にも感染源が不明な感染者数も昨年9月以降増加傾向にあり、無症状の感染者を懸念していると述べた。
(ザ・スター、2月9日)

移民労働者をホテルに収容、宿舎での感染拡大を抑制

【クアラルンプール】政府は、客がほとんどいないホテルに移民労働者を一時的に収容するプログラムに着手した。職場におけるクラスター発生による感染拡大を抑制するためだ。
観光芸術文化省の6日の声明としてブルームバーグが伝えたところによると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるとともに、客が急減し経営が困難な状態にあるホテルを助けることにもなるという。
人的資源省によれば、マレーシアには正規の外国人労働者が150万人余りいるが、91%は住居の最低基準を満たさない宿舎に寝泊まりしている。こうした宿舎が感染の温床になっており、医療システムの負担が増しているという。
マレーシア・ホテル協会によれば、約1年前にウイルス禍が発生して後、100軒余りのホテルが廃業した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月7日)

ヘアサロン&洗車&夜市、5日より営業再開を容認

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は4日、サラワク州を除く全土に発令している行動制限令の第二弾(MCO2.0)が2月18日まで再延長されたことに関連し、▽ヘアサロン▽洗車サービス▽夜市——の営業再開を5日より認めると明らかにした。

標準的運用手順(SOP)の遵守が営業再開の条件。営業時間は午後10時までで、ヘアサロンについてはカットのみが認められる。また顧客毎に消毒することが求められる。

サブリ上級相は再開許可の理由について、これらの業種で新たな新型コロナウイルス「Covid-19」感染クラスターが発生していないことを考慮したと説明した。

一方、中国正月期間中における大人数による会食や寺院参拝などの行事は認めない。ドラゴンダンスやライオンダンスも認めない。集団での寺院参拝は5人までに制限する。

新型コロナ感染拡大を受けて、政府は昨年3月の発令以来となるMCOを今年1月13日より2週間の期間限定で再発令。国民生活への配慮から前回に比べると大幅に経済活動を認める内容となっていたが、その後も新規感染者数が高止まりしていたため2月4日まで延長していた。

SOP違反の罰則を強化へ、ロックダウン回避の代わりに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相は4日にテレビ演説を行ない、「1988年感染症予防及び管理法」を近く改正すると言明。経済への配慮から完全なロックダウンを回避する代わりに標準的運用手順(SOP)違反の罰則を強化すると述べた。

ムヒディン首相は、政府が事業継続を求める産業界の声に耳を傾けてきたとした上で、新型コロナウイルス「Covid-19」の抑え込みと経済のバランスをとることが重要だと指摘。経済活動をストップさせないためにも、これ以上感染を増やさないようSOPを厳守するよう産業界に呼び掛けた。

その上で、ロックダウンなしにSOPを遵守させるためには罰則の強化が不可欠だと指摘。初犯者に対する1,000リンギ以下の罰金額はそのまま維持するが、再犯者や一度警告を受けた者にはより厳しく対処すると述べ、具体的な数字は明らかにしなかったものの罰金引き上げや禁固刑、業務停止命令を含めた厳罰化の意向を明らかにした。

■2月末にもワクチン接種開始■

またムヒディン首相は、2月末にも全国的なワクチン接種プログラムを開始すると公表。調整担当大臣にカイリー・ジャマルディン科学技術革新相を指名したことを明らかにした。

国民の80%に相当する2,650万人に接種を行なう計画で、マレーシア国民には無料で行なう。第1フェーズの対象は保健・医療関連の最前線で働く人たち50万人で、4月中に終える予定。4—8月にかけて行なう第2フェーズでは高齢者、障害者、基礎的疾患のある人々などが対象で、5月から開始する最終の第3フェーズでは18歳以上の成人が対象となる。ワクチン保管センターとワクチン接種センターが全国600カ所に開設される。