ペナンの「シリコン島」、初の工場が27年に操業開始へ

【ジョージタウン】 建設が進められているペナン島南岸沖の人工島「シリコン島」プロジェクトについて、ペナン州政府は同人工島初の工場の建設が2026年中に開始され、2027年に操業を開始する見通しだと明らかにした。

2023年9月に着工した「シリコン島」の総面積は2,300エーカー。埋立作業全体は2032年までに完了する予定で、プロジェクト完了までには25年かかる見通し。
ペナン州政府によると、これまで40エーカーの埋立工事が終わっており、2025年末までに埋立面積が1,000エーカーに達すると見込まれる。近く最初の建物が建設される予定だ。

先ごろ同州のチョウ・コンヨウ首相は、最初の建物が2026年までに完成する予定だと述べていた。
(ビジネス・トゥデー、8月9日)

AI開発・利用の指針、科学技術省が年内に発表へ

【ジョージタウン】 科学技術革新省とデジタル省は共同で、人工知能(AI)の開発・利用に関する行動規範の策定を進めており、年内に発表の予定だ。チャン・リーカン科学技術革新相が9日、ペナンAI教育ハブの開所式で明らかにした。

行動規範の名称は「AI統治・倫理」で、AIの産業利用に関する規範とし、責任ある開発・利用を確保するという。チャン氏はマレーシアがAI関連投資先としての魅力を増していると強調した。米マイクロソフトや、ティックトックを運営する中国系バイトダンスによる投資計画が好例だという。

半導体製造の米エヌビディアはAI開発につながるデータセンターの建設を計画しており、最近では米バンテージ・データセンターズがサイバージャヤにアジア太平洋地域最大のデータセンターを建設すると発表した。クラウドとAIに注力する見通しだ。

チャン氏は「こうした投資は重要な技術移転をもたらし、マレーシアの基盤整備、人材育成につながる」と期待を表明した。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、8月9日)

テスラ代表と22日にも投資計画について会合=投資貿易相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 米テスラがマレーシアを含む東南アジアでの電気自動車(EV)工場建設計画を断念したと報じられたことを受け、テンク・ザフルル投資貿易産業相は、8月22日にテスラ本社代表とマレーシアにおける投資計画について話し合うと明らかにした。

10日の声明の中でザフルル氏は、テスラ代表との会談後に公式声明を発表し、これまでの公約の継続を確認すると言明。「テスラの今後の計画を知りたい。現時点でテスラの既存のサービスセンターは通常通り営業を続けている」と述べた。

ザフルル氏の声明に先駆けてアンワル・イブラヒム首相は9日、ザフルル氏がテスラの最新状況に関する直接の情報をテスラから受け取ったことを公表した上で、テスラの計画見直しの理由が中国との競争に勝てないからであって、マレーシア側に問題があったわけではないと説明。そもそもテスラがマレーシアで計画していたのは充電設備事業の拡大であって、EV工場の建設計画があったというのは誤解だと主張した。

ただ昨年のテスラによる一連のマレーシア投資に関する政府発表に関しては、創業者のイーロン・マスク氏との直接会談も含めアンワル首相が大々的に成果として喧伝していたのは事実であり、テスラに対し輸入許可証(AP)制度の適用を免除するなど特別扱いしていた経緯もあり、ネット上では「マスク氏に完全に騙された」、「投資欲しさにテスラにおもねったものの見返りは得られなかった」などと嘲笑する声も上がっている。「成果」として発表したマスク氏とのネット会談もわずか25分間で、大した内容はなかったと指摘されている。

奇瑞汽車、年内にシャアラム工場からASEANへの輸出開始

【クアラルンプール】 中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)のマレーシア子会社、チェリー・オート・マレーシアは、年内にセランゴール州シャアラムの自社工場から、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域への輸出を開始する計画だ。テンク・ザフルル投資貿易産業相が7日、フェイスブックで明らかにした。

ザフルル大臣は、6日にチェリー自動車と会談を行い本件について協議したとし、シャアラム工場からの輸出は、チェリー自動車がマレーシアをASEANにおける輸出ハブにする計画の一環だと述べた。チェリー自動車の成功により、他の自動車会社もマレーシアを主要生産拠点にすることを期待するとしている。

シャアラム工場は今年6月に開設。傘下の「JAECOO」ブランドのプレミアム・スポーツ車(SUV)「J7」の現地生産を担当する。また、敷地内には右ハンドル化を目的とした研究開発センターとテストコースも建設される予定で、ASEANに加え、英国や豪州なども対象とした右ハンドル車を開発していくという。
(ポールタン、8月8日)

データセンター産業、2025年までに売上高36億リンギ達成へ

【クアラルンプール】 テオ・ニーチン副通信相は6日、国内データセンター産業が「2025年までに売上高36億リンギを達成する」という目標達成に向け、順調に推移しているとの考えを明らかにした。

テオ副相は、同日開催された「クラウドテック・データセンター・カンファレンス2024」の基調講演で、2021―2023年にデータセンター・クラウドサービス分野で1,147億リンギの投資を承認し、2,325人以上の高付加価値雇用が創出されたと言明。さらに、投資貿易産業省がマレーシア投資開発庁(MIDA)を通じて、2021―2024年3月にデータセンター関連投資として760億リンギを承認したと述べた。

具体的には、米グーグル、米アマゾン・ウェブ・サービシーズ(AWS)、中国バイトダンス(字節跳動)、中国GDS IDC(万国数据)、シンガポールのブリッジ・データ・センターズ(BDC)などの海外企業や国内企業のYTLデータセンターがデータセンター建設に向け、多額の投資を行っているという。

テオ副相はまた、多くの企業がデータセンター事業に新規参入し、既存のデータセンター企業も事業拡大を続けているとし、データセンター・クラウドサービスのエコシステムが構築されることで、サプライヤーも増え、国内に高付加価値の雇用をさらに創出できると述べた。
(ザ・サン電子版、エッジ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月7日)

東南アジア最大の集積回路設計ハブ、セランゴール州で開設

【プチョン】 セランゴール州プチョンで、6日、東南アジア最大規模の集積回路(IC)設計パークが正式に開設された。

4月の「KL20サミット2024」でアンワル・イブラヒム首相が発表していたもので、総面積は6万平方フィート。ソフトバンク傘下の英アーム、仏ウィーロック、台湾ファイソン子会社のマイストレージ、中国・深セン芯邦科技(チップスバンク)、スカイチップ、センソレム・テックなどが入居する。5―10億リンギの経済効果が期待されている。

発表会に出席したラフィジ・ラムリ経済相は、輸入に頼り続けるのではなく、国内で半導体設計能力を開発する必要があるとし、特に相手先ブランド設計・製造(ODM)分野が重要だと言明。将来的には国内データセンターへの国産半導体チップ導入を目指すと述べた。経済省では、国内でのIC設計を拡大させるための取り組みを他にも進めているとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、8月6日)

プロトン初のEVを「e.MAS7」と命名、早ければ年内発売

【シャアラム】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは2日、同社の電気自動車(EV)ブランド「e.MAS」から近く発売を予定している最初のモデルの名前が正式に「e.MAS7」に決まったと発表。早ければ2024年末にも発売開始すると明らかにした。

「e.MAS7」はCセグメント・スポーツ車(SUV)で、サイズは全長4,615ミリメートル(mm)、全幅1,901mm、全高1,670mm。その他のスペックや価格については明らかにされていないが、プロトンに出資している吉利汽車が5月に発売した「ギャラクシーE5」をベースとしているとみられる。

プロトンのロスラン・アブドラ副最高経営責任者(CEO)は、発売を早めるため、中国で生産した完全組立(CBU)モデルを輸入するとし、現地組立(CKD)モデルへの移行にはマレーシアのエコシステムの開発が必要で、これは将来の目標だと述べた。またプロトンのEVはより広範なマレーシア市場に対応するという使命に沿って、手頃な価格のセグメントをターゲットにしていると言明。長期的に市場に浸透する持続可能な製品を投入していくつもりだと強調した。

プロトンは今年6月に「e.MAS」ブランドを発表し、EV5車種を発売予定であることを公表。当初18カ所だったプロトンのEV販売子会社プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(プロネット)の販売店は現在、29カ所に増加している。
(ザ・スター電子版、ポールタン、エッジ、ベルナマ通信、8月2日)

不動産開発のヨンタイ、マラッカのマリオットホテルを売却か

【クアラルンプール】 不動産開発のヨン・タイは、マラッカ州で運営するホテル「コートヤード・バイ・マリオット・マラッカ」を売却するもようだ。経済紙「エッジ」が情報筋の話として報じた。

情報筋によると、交渉は最終段階に入っており、買い手は物流会社となる見込み。売却価格は1億6,000万―1億7,000万リンギと推定されている。同ホテルは米マリオット・インターナショナルの中価格帯ブランド「コートヤード・バイ・マリオット」系列の4つ星ホテルで、客室数は248室。2023年4月に営業を開始し、開業初年度の平均客室稼働率は65%だった。

ヨン・タイのブー・クアンルーン最高経営責任者(CEO)は「エッジ」の取材に対し、コメントを控えるとしている。

ヨン・タイの主要事業は不動産開発および観光業だが、いずれも新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受けている。2019年度から毎年赤字を計上しており、2022年度には純損失額が3億4,663万リンギにまで拡大したが、2023年度には2,167万リンギまで縮小した。「コートヤード・バイ・マリオット・マラッカ」の売却により負債が削減され、他プロジェクトに取り組む余裕が生まれると見込まれている。
(エッジ、7月29日)

キャピタルAの上半期業績、格安航空部門の旅客数が10%増に

【クアラルンプール】 エアアジア・グループの親会社であるキャピタルAは、今年第2四半期(4―6月)の業績を発表。格安航空部門ではエアアジア・アビエーション・グループ(AAG)5社(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア)の旅客数は1,564万8,711人で、前年同期比で10%増加した。新型コロナ前の水準の84%まで回復した。

座席数は7%増の1,738万2,712席となり、新型コロナ前の81%まで回復した。ロードファクター(有償座席利用率)は2ポイント上昇し、90%となった。6月末時点での保有機材は8機増えて218機となり、168機が運用されている。中国・インド線が好調で、2023年末に中国とインドからの旅行者に対するビザなし渡航が実施されたことを受けて、年初6カ月の座席利用率は91%となった。

飲食部門のサンタンは、機内食部門の売上が6%増。貨物・物流部門であるテレポートは、貨物輸送量が33%増となって6万トンを超え、配送部門は年初6カ月で2023年度の総配送量を上回る3,000万個を記録した。

配送アプリから旅行プラットフォームへと移行したエアアジアMOVEは、ウェブサイトの月間アクティブユーザー数(MAU)は13%減少したが、アプリのMAUは10%増加した。決済サービス「ビッグペイ」は、エアアジアMOVEとの連携により新規ユーザー4万5,000人以上が登録した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、7月25日、キャピタルA発表資料)

19日のIT障害は国内で政府機関5機関、民間企業9社に影響

【プトラジャヤ】 ゴビンド・シン デジタル相は24日、19日に発生した世界規模のITシステム障害について、マレーシアで影響を受けたのは政府機関5機関と民間企業9社だったと述べた。

同障害は、米クラウドストライクの業務用セキュリティ・ソフトウェア更新に欠陥があったために生じたもので、世界中で850万台のウィンドウズ・パソコンに影響が出た。

ゴビンド大臣は、マレーシア政府機関で影響を受けたのは、運輸省、教育省、地方地域開発省、国立保健研究所、ケダ州ザカート(喜捨)委員会の5機関で、民間企業9社は、航空、銀行、医療分野の企業だったと述べた。

ゴビンド大臣は、システム障害による政府機関のデータ漏洩はなく、データの完全性に関する問題も確認されていないとした一方、障害発生中にフィッシング詐欺の試みが確認され、それを防ぐことに成功したと述べた。

同氏は米マイクロソフトとクラウドストライクの代表者と会い、セキュリティレベルを強化するよう告げたとし、損害を被ったマレーシア企業への補償も検討するよう申し入れたとしている。損害を受けた企業に対しても、損失額を記載した詳細報告書の提出を求めているが、まだ受領していないという。

ゴビンド大臣は、今回はあくまでクラウドストライクのミスから生じた問題であり、サイバー攻撃ではないものの、デジタル省は問題を深刻に受け止めているとし、万が一再発すれば甚大な被害や損失につながる可能性があると指摘。デジタルプラットフォームの管理におけるガバナンスの重要性が明らかになったとし、デジタル省は、「2024年サイバーセキュリティ法」や「2010年個人情報保護法」の改正などを通じてガバナンス強化に継続的に取り組んでいくと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ボルネオポスト、7月24日)