KLセントラル駅再開発、2025年に開始=ローク運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、クアラルンプール(KL)の主要交通ハブであるKLセントラル駅の再開発に関する交渉が年内に完了し、2025年にも開始される見通しだと明らかにした。同プロジェクトについては昨年8月に閣議で了承されていた。

現在、プロジェクトのデベロッパーであるマレーシアン・リソーシズ・コーポレーション(MRCB)と首相府の官民パートナーシップ(PPP)部門が、再開発プロジェクトの民営化条件について最終調整している段階。ローク運輸相は「交渉が2―3カ月内に完了することを期待している。順調にいけば年末か来年初めまでにプロジェクトを開始できるだろう」と述べた。

KLセントラル駅の再開発費用は10億リンギと見込まれているが、公的資金は使わずMRCBが全額負担することになる。その見返りにMRCBは駅ビルの開発権と隣接地での複合開発権を得ることになる。

KLセントラル駅は、面積29.14ヘクタールの国内最大の交通ハブで、KL新国際空港(KLIA)、プトラジャヤ、首都圏のその他の主要経済地域を結ぶ鉄道が乗り入れている。10億リンギ以上の開発費をかけて2001年に開業し、当初は1日あたり10万人の乗客が利用していたが、現在は1日あたり約20万人が利用している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、10月24日)

電力のシンガポールへの供給、3社が資格審査を通過

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)による電力をシンガポールに供給するため今年6月に実施した試験プロジェクト入札で、応募した3社が要件を満たした。

シンガポールなど近隣国に売電するためのマレーシア・エネルギー取引所(ENEGEM)を通じた電力融通で、エネルギー移行・水利転換省によると、シンガポールの2社が100メガワット(MW)の電力確保に成功した。現在、国境を超えた送電を実現するための交渉を持っている。送電には既存の2国間送電線を利用する。

ENEGEMの設立は域内での電力融通と、マレーシアのエネルギー移行の推進が狙いで、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に沿ったもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月24日、ベルナマ通信、エッジ、10月23日)

新たな投資優遇政策は来年初頭発表、租税免除以外の措置に

【クアラルンプール】 投資貿易産業省は、アンワル・イブラヒム首相が2025年度予算案で明らかにした新たな投資優遇措置の枠組みを、2025年第1四半期に発表する。2025年からグローバル・ミニマム課税を導入することに備えるもので、テンク・ザフルル投資貿易産業相は「租税免除のような税制面の優遇措置での投資誘致はもはやできない」と語った。

GMTは企業が最低限負担すべき法人税の割合を15%に定める仕組みで、多国籍企業の最低税率がマレーシアで満たされない場合、マレーシア当局はトップアップ税を課し不足分を補う。付加価値の高い投資に的を絞って優遇措置を提供する。二酸化炭素排出の少ない分野への投資のみ認める。

ザフルル氏は、外国からの投資は地元企業を潤し、高度な職の機会を提供するものでなければならないと強調。人材育成、環境配慮にかかわる投資を優遇すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月22日、エッジ、ビジネス・トゥデー、10月21日)

プロドゥア初のEV発売計画、投資貿易産業省が支援

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、第2国民車メーカーのダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)が掲げる、2025年末までにマレーシア初の電気自動車(EV)を10万リンギ以下の廉価で発売する計画を支援すると述べた。

ザフルル氏は同省によるプロドゥア支援の理由について、同社の初EVを手頃な価格にしたいためだと説明。「プロドゥアと協議を続けており、2025年末までに目標を達成するという同社の計画を楽観視している」と述べた。

プロドゥアの同社初EV「EMO-1」は、今年5月に開催された「マレーシア・オート・ショー2024」で試作車が展示された。プロドゥアのBセグメント・ハッチバック「マイヴィ」をベースにしたもので、バッテリー容量は55.7キロワット時(kWh)。最高出力68PS(50kW)、最大トルク220ニュートンメートル(Nm)、航続距離350キロメートル(km)を発揮するとされる。ただその後の変更については明らかにされておらず、開発の進捗状況も不明だ。

ザフルル氏はまた、バッテリー式EV(BEV)の新車登録台数が9月時点で約1万6,000台に達し、2023年通年の約1万3,000台を上回ったと公表。「2030年までに新車販売全体の20%をEVにするという目標に近づいた」と述べた。

充電インフラについては、わずか3カ月間で565基の充電チャージャーが新たに設置され、9月末時点で公共充電ステーションの総数は約3,200カ所に達した。政府は2025年末までに公共チャージャーを1万基設置し、充電器とEVの比率を1対9にすることを目指しているという。
(ザ・スター電子版、ポールタン、マレー・メイル、エッジ、10月21日)

経常黒字は今年と来年は増加、財務省経済見通し

【クアラルンプール】  財務省は18日に発表した「経済アウトルック2025」の中で、経常収支の黒字が2023年に282億リンギと26年ぶりの低水準に落ち込んだが、今年と来年は増加が見込めるとの予想を示した。

経常収支の今年の黒字は434億リンギ、来年は491億リンギが見込めるという。国民総所得(GNI1)比でそれぞれ、2.3%、2.4%になる。

サービス収支はインバウンド需要で赤字の縮小が見込める。所得収支は直接投資の増加で赤字継続が予想される。上半期の経常黒字は192億リンギで、下半期は242億リンギが見込めるという。

今年通年の貿易黒字は1,151億リンギの予想。工業品や農産物、天然ガスなど鉱業品の輸出増以上に、輸入が増加する見通しのためだ。来年は1,256億リンギが見込める。

旅客運賃の受け取り・支払い、外国人旅行者・海外旅行者の宿泊費の受け取り・支払いなどサービス収支の赤字は今年、204億リンギ、来年は168億リンギに改善するという。旅行収支が改善するためだ。

直接投資収益など対外金融債権・債務から生じる利子・配当金の収支を示す第一次所得収支の赤字は今年、488億リンギに改善し、2025年は565億リンギが予想されるという。
(エッジ、10月18日)

バティックエア、来年第1四半期までに東ティモールに就航

【プノンペン】 バティック・エアは、クアラルンプール(KL)と東ティモールの首都ディリを結ぶ路線を2025年第1四半期までに就航する計画だ。アマルジット・シン在マレーシア・東ティモール大使が明らかにした。ディリ乗り入れはマレーシアの航空会社では初めて。バティック・エアは、ディリに就航する航空会社としては5番目となる。

マレーシア・東ティモール両国は今年6月に航空サービス契約に署名。マレーシア運輸省とマレーシア航空委員会(MAVCOM)はバティック・エアの就航をすでに承認しており、フライトスケジュール、運輸権(トラフィックライト)、就航時期に関する協議が最終段階にある。現在、両国の当局者が就航に向けた最終手続きを行っている。

クアラルンプールとディリ間のフライト時間は約4時間となる見込み。アマルジット大使は旧正月(1月29日)前になると見込んでいると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、10月17日)

2025年度予算案発表、予算規模は4210億リンギに拡大

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は18日、下院議会に2025年度(2025年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。

来年の国内総生産(GDP)が世界貿易の改善と電気・電子(E&E)の需要増に支えられて4.5―5.5%成長するとの見通しを背景に、予算規模は4,210億リンギと今年度の3,938億リンギ(補正後は推定4,075億リンギ)を上回り、過去最高となった。

経常予算は3,350億リンギで、今年度の当初予算3,038億リンギを上回った。省庁別では教育省が150億リンギで最も多く、国防省が123億リンギ、保健省が69億リンギで続いた。一方開発予算は860億リンギで、今年度の当初予算の900億リンギを下回った。

歳入予想は3,400億リンギで、今年度の見通しである3,220億リンギ(当初予想は3,080億リンギ)を上回る見込み。財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2022年の5.5%、2023年の5.0%、2024年(見込み)の4.3%を下回る3.8%に収まる見通しだ。政府の借入金は800億リンギで、2024年の850億リンギを下回る見通し。

売上税(SST)は2025年5月1日付けで課税対象を拡大する。ただ国民生活への影響を考慮し、主要食品は課税対象からを外す。サーモンやアボカドのような高級輸入食材はSST課税対象とする。またサービス税の適用範囲は、手数料ベースの金融サービスなどの事業を含む商業サービスに拡大する。

10万リンギ超の配当所得を対象に2%の配当税を課す。但し従業員積立基金(EPF)配当金や海外での所得は対象外とする。

注目されていたレギュラーガソリン「RON95」の補助金制度については、当面現状維持するが、2025年半ばをメドに対象を絞った補助金制度を導入する。詳細は明らかにされていないが、上位15%の高所得者層のみが影響を受けることになる見通し。

最低賃金は来年2月1日付けで現在の1,500リンギから200リンギ引き上げて1,700リンギとする。ただし従業員5人未満の事業所に対しては8月まで6カ月の猶予期間を設ける。人的資源省は賃金の参考とするため、工場・生産技術者の初任給は2,290リンギ、機械エンジニアの初任給は3,380リンギ、クリエイティブコンテンツデザイナーの初任給は2,985リンギ、といったような初任給のガイドラインを発表する。

EPFについては、外国人労働者も段階的に加入を義務化する。

また外国人労働者の人頭税について、2025年半ばをメドに多層式課税システムを導入する。外国人労働者への依存を減らすための措置で、税収は自動化・機械化導入の補助に充てる。

鉄鋼業・エネルギー業界を対象に、2026年から炭素税を導入する。税収はグリーン研究・技術プログラムに充当する。

肥満などの生活習慣病増加による医療費支出削減に向け、現在、1リットル当たり50センとなっている砂糖入り飲料に対する物品税を、段階的に40セン引き上げる。
電子インボイス制度の導入に伴う、2年内のICT機器、ソフトウェア導入費用やコンサル費用について加速償却を認める。

ペナン国際空港の拡張工事スタート、28年までに完成予定

【ジョージタウン】 空港運営のマレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、ペナン国際空港(PIA)の拡張プロジェクトを開始し、プロジェクトを監督するチームを任命したことを明らかにした。総事業費は10億リンギ。正式な着工式は後日開催される。

同州観光クリエイティブ経済委員会のウォン・ホンワイ議長(国政の閣僚に相当)によると、同プロジェクトは▽建物工事および関連工事▽エプロンおよび空港施設工事▽メインターミナルビルおよび関連工事――の3つの主要パッケージで構成され、2028年までに完了する予定。完成すれば旅客取扱能力は年間1,200万人に拡大する。MAHBはまた、公共交通資産を運営管理するMRTコープと連携し、メインターミナル近くに軽便鉄道(LRT)駅を建設する計画だ。

国際線の出発ホールと到着ホールの両方に電子ゲートを10カ所設置する。出入国手続改善のためのインフラ工事は2024年11月に開始し、4カ月で完了する予定。出入国管理局はすでに、外国人訪問者の支援のために、国際線到着ホールに「マレーシア・デジタル」アライバルカードのヘルプデスクを設置しており、11月末までに30人以上の管理官を同空港に配置する。

ペナン国際空港の旅客取扱数は2023年には700万人。今年年初9カ月ではすでに555万人となり、前年同期の520万人から6.78%増加しており、通年では780万人に達すると予想されている。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、10月16日)

サンウエイREIT、モントキアラのショッピング施設買収完了

【クアラルンプール】 ショッピングモール、オフィス、ホテル、大学キャンパスなどを所有するサンウエイ不動産投資信託(REIT)は、クアラルンプール北西部の高級住宅街、モント・キアラのショッピングモール「163リテール・パーク」の買収手続きを完了した。「サンウエイ163モール」の名称に変更し運営する。

入居率は99%で、100余りの店舗・ブランドが入居している。サンウエイは2億1,500万リンギで購入した。投資利益率は6.5%を見込んでいる。将来建設される大量高速輸送(MRT)環状3号線のスリ・ハルタマス駅はサンウエイ163から徒歩圏内に建設される予定だ

同REITを管理するサンウエイREITマネジメントのクレメント・チェン最高経営責任者(CEO)は「長期計画としてテナント構成やフロア構成を変更する」と語った。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月11日)

2023年度の政府会計は改善=会計検査院報告

【クアラルンプール】 会計検査院(AG)は14日、2023年度政府会計の監査報告を下院に提出した。予算収支の赤字は前年度より約86億リンギ減少し、国内総生産(GDP)比での赤字の比率は5.5%から5.0%に低下した。一方、政府債務は1兆4,920億リンギに6.6%増加しており、AGは懸念を表明した。

政府系企業など13社の債務に対する政府保証も前年度比1.5%増の227億4,000万リンギになった。受け取った配当は460億リンギで、同17.5%の減少だった。

国債発行残高は対GDP比で60.2%から64.3%へ増加。ほかの返済責任も含めた政府債務はGDP比で78.0%から81.8%へ増加した。

受取勘定は約983億6,700万リンギで、内国歳入庁(IRB)の分が35.2%を占めた。うち6年間、未収だった額は284億リンギで、全体の28.9%を占めた。償却分は16億3,500万リンギ。

政府会計の改善に向けAGは、▽税収源の多様化を通じた歳入増と支出監視の強化▽新規借り入れの自制▽政府系企業の財務改善――などを勧告した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月15日、エッジ、ベルナマ通信、ボルネオ・ポスト電子版、10月14日)