プロトンの6月の販売台数が前年比23%減、工場閉鎖が影響

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、6月の新車販売台数が1万999台にとどまり、前年同月比23%の大幅減となったと発表した。前月比でも12%の減少となった。

プロトンは、業務改善に向けた1週間にわたる計画的な工場閉鎖が納車に影響をもたらしたと説明している。上半期(1―6月)の累計販売台数は7万3,696台となった。

プロトンは6月の市場総需要量(TIV)が今年最低の5万7,700台、年初6カ月のTIVを38万6,600台と予想しており、自社の推定市場シェアは6月、年初6カ月共に19.1%と推定している。

車種別で6月に販売台数が最も多かったのはAセグメント・セダン「サガ」の5,441台で、これにBセグメント・スポーツ車(SUV)「X50」が1,711台、Cセグメント・セダン「S70」が1,440台、Bセグメント・セダン「ペルソナ」が1,309台で続いた。
その他の車種では、Cセグメント・SUV「X70」の販売台数は481台、Bセグメント・ハッチバック「アイリス」は369台、Dセグメント・スポーツ車(SUV)「X90」は248台となった。

販売会社プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は下半期について、操業停止にともなう業務改善と、プロトン初の電気自動車(EV)の発売が間近に迫っていることや、最近発売された2024年型「X50」により回復が期待できると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月4日、マレーシアン・リザーブ、エッジ、7月3日)

レギュラーガソリン補助金合理化は未定=首相

【クアラルンプール】 ディーゼル油(軽油)に続いて年内にも実施されるとみられているレギュラー・ガソリン「RON95」の合理化について、アンワル・イブラヒム首相は、実施した際のさまざまな影響を依然検討中だと述べ、いかなる決定にも至っていないと強調した。

アンワル首相は2日の下院議会質疑の中で、「私はいかなる可能性も排除しない」と述べた上で、「現在、我々の焦点はディーゼル補助金合理化だ」と強調。これまでに実施した電力料金、鶏肉、ディーゼルの補助金合理化の影響評価に注力していると述べた。

その上でアンワル首相は、「これまでの補助金合理化の影響と国民の反応を見極めた上で、初めてRON95の合理化の必要性について議論することになる」と強調。「重要なのは富裕層や外国人への補助金をやめなければならないということだ。国民に負担がかからないような仕組みを考えなければならない」と述べた。

「RON95」の補助金合理化の実施時期については、金融大手CIMBの調査部門は、10月11日の来年度予算案の上程に合わせ行うとの見通しを表明。独立系シンクタンク、マレーシア経済研究所(MIER)は、「緩やかな調整」が今年7月か10月に行われると予想している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、7月3日)

配車サービスのインドライブ、登録ドライバー数の倍増を予想

【クアラルンプール】 ロシア発祥で米カリフォルニアに本社を構える配車サービスのインドライブは、マレーシア市場で大幅な成長を見込んでおり、現在の1万人の登録ドライバー数も、年内に2倍の2万人に増加すると予想している。

インドライブは、クアラルンプール、ペナン、ジョホールバル、クチン、ミリ、シブ、ビントゥル、コタキナバルなどの国内主要都市でサービスを提供している。
マーク・ローラン社長兼副最高経営責任者(CEO)は国営「ベルナマ通信」の取材に対し、インドライブの配車アプリは昨年マレーシアで4番目に多くダウンロードされた配車アプリだとし、世界では2番目に多くダウンロードされた配車アプリとなったと述べた。独自の料金入札システムに対する関心が高まっているため、今後の成長も期待できるとしている。

配車サービスに加え、宅配や都市間輸送サービスも収益の柱となることも見込んでおり、インドライブアプリ内で修理や家電製品の設置、清掃、ペット関連サービス、トレーニング、情報技術(IT)サービスなどについても依頼できるという。

ローラン社長はまた、市場動向や顧客からの反応を分析した上でサービス内容を拡大していくとし、関係者全員にとって公平な価格を提供できる入札モデルを他サービスにも展開すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月1日)

東南アジアの中央銀行、決済システム連結の第4フェーズに着手へ

【クアラルンプール】 マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの中央銀行4行は、各国の即時決済システムを連携させ、国境を越えた即時決済を可能にする「プロジェクト・ネクサス」の第3フェーズを完了した。マレーシア中央銀行(BNM)が1日、発表した。

プロジェクト・ネクサスは国際決済銀行(BIS)が推進するプロジェクトで、G20が進める国境を越えた決済計画を補完するもの。続く第4フェーズでは各国の即時決済システムを実際に連結する作業に入る。またインド中央銀行がプロジェクトに加わる。インドネシア中央銀行は特別オブザーバーとして引き続き関与する。

BNMのアブドル・ラシード総裁は「世界でも屈指のクロスボーダー決済インフラを提供するもので、連携が参加国だけでなく、世界的な広がりを持つようになる」とした。

BISゼネラルマネジャーのアグスティン・カルステンス氏は「最初に連携する国だけで、ネクサスは17億人の市場をつなぐ潜在性がある。即時決済が低料金で容易にできるようになる」と述べた。

参加国の中銀や即時決済システムが出資して設立する予定のネクサス・スキーム機構が、決済システムの運用に当たる。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月2日、ベルナマ通信、7月1日)

中国・重慶への貨物列車「ASEANエクスプレス」が運行開始

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は、マレーシアと中国・重慶を結ぶ国際貨物列車「ASEAN(東南アジア諸国連合)エクスプレス」の運行を開始した。セランゴール州のコンテナ・ナショナル内陸通関基地(KNICD)からタイ、ラオスを経由して重慶まで9日でコンテナを輸送する。

出発式に参加したアンソニー・ローク運輸相は、海路では14―21日かかるのに比べ、輸送時間を大幅に短縮できるとし、40TEU(20フィート標準コンテナ換算)のコンテナを週2便で輸送すると述べた。使用する機関車や貨車は長期リースによるもので、輸送コストを20%以上削減する。トラック輸送に比べて二酸化炭素排出量が大幅に少ないという利点もあるという。農産物など、生鮮食品の輸送拡大が期待されている。

KTMBは将来的にはデイリー運行に移行する計画で、中国とASEAN市場間で年間約2万TEUのコンテナ輸送を見込んでいる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、6月27日)

サイムダービー、全車種対象の新サービスセンターを開設

【クアラルンプール】 サイム・ダービーの自動車販売・組立部門、サイム・ダービー・モーターズ(SDM)は、全メーカー・全車種を対象とした新サービスセンター「ドライブケア」を立ち上げた。

同社の技術者の専門知識に裏打ちされた競争力のある価格、利便性、快適性を顧客に提供する。「ドライブケア」サービスセンターに直接車を持ち込むだけでなく、センターから半径40キロメートル以内であれば、移動サービスチームによるサービスも受けられる。移動サービスチームでは、定期的なメンテナンスに加えて、ブレーキパッドやタイヤの交換(バランス調整も含む)も行うという。

セランゴール州シャアラムのグレンマリーおよびクアラルンプールのジャラン・チャン・ソーリンの2カ所からサービスを開始し、東アジアやアジア太平洋全域への展開を目指す。

SDMのアンドリュー・バシャム社長は、「ドライブケア」はアフターセールスの新たな基準を打ち立てるもので、手頃な価格で高品質なサービスを提供していくと述べた。

「ドライブケア」の両センターでは、オープンを記念して7月31日までの期間限定で割引キャンペーンも実施する。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、モタオート、6月26日)

中国のEVメーカーBYD、年初5カ月で初めてトップ10入り

【クアラルンプール】 中国の電気自動車(EV)メーカー、BYD(比亜迪汽車)のマレーシアにおける販売台数が、2024年1― 5月までの年初5カ月で初めてブランド別トップ10に入ったことが明らかになった。

BYD車はマレーシア道路交通局(JPJ)の新車登録台数で3,608台となり、ブランド別で10位に入った。内訳はスポーツ車(SUV)の「アット3」が1,451台と最も多く、2月に発売したばかりのセダン「シール」が1,421台の僅差で続いた。最も低価格のハッチバック「ドルフィン」は736台だった。月別では5月の販売台数が1,045台と過去最高となり、「シール」が581台、「アット3」が333台、「ドルフィン」が131台だった。

マレーシア自動車協会(MAA)のデータによると、2023年のBYD車の販売台数は、「ドルフィン」、「アット3」の2車種の合計で3,728台で、国内EV販売台数でトップだった。サイム・ダービー子会社と独占販売契約を結び「アット3」を発売した2022年12月以降の累計販売台数は8,111台で、「アット3」が4,641台、「ドルフィン」が2,049台、「シール」が1,421台となっている。

なお今年年初5カ月の販売台数トップはプロドゥア(14万6,111台)で、以下、プロトン(6万1,353台)、トヨタ(4万9,799台)、ホンダ(3万4,140台)、マツダ(7,364台)、三菱(7,085台)、チェリー(6,420台)と続いている。

(マレー・メイル、6月26日)

石炭火力発電所、2044年までの完全廃止を目指す=副首相

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相兼エネルギー移行・水利転換相は、「ロンドン気候行動週間」イベントのハイレベル対話セッションで講演し、「2035年までに既存の石炭火力発電所を50%削減し、2044年までに完全廃止を目指す、新たな段階的廃止計画を策定した」と述べた。

マレーシア政府は昨年7月に「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」を発表し、2050年までに再生可能エネルギー(RE)による発電率を70%に増やし、2045年までに石炭火力発電所を全廃する目標を掲げており、今回のファディラ氏の発言は目標達成を1年前倒しにする格好となる。

NETRによると、2020年時点で国内の一次エネルギー供給量(TPES)の26.4%を石炭が、42.4%を天然ガスが占めており、再生可能エネルギーは3.9%だった。NETRのエネルギー移行計画では、天然ガスが石炭に代わるエネルギー源と見込まれており、2050年までにTPESの半分以上を占めることになっている。

ファディラ氏は「マレーシアは、世界の排出量のわずか0.8%を占めるにすぎないにもかかわらず、2050年までにネットゼロ排出を達成することを約束している。しかし、気候変動の緩和に向けた我々の取り組みが極めて重要な役割を担っていることを認識し、国内排出量のほぼ半分を占める石炭火力発電からの移行を意識的に進めている」と述べた。
(エッジ、6月25日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、ビルタと協業で域内EV充電網拡大へ

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、子会社のジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、電気自動車(EV)充電のフィンランド企業ビルタと提携した。東南アジア全域でのEV充電網拡大を目指す。

ビルタのデジタル・プラットフォームおよび専門知識、ジェンタリのEV充電インフラの配備・運用能力をともに活用する。また、域内EV充電の相互運用性を可能にするため、第三者機関とも協力する。

ジェンタリは2024年2月から国内で「ジェンタリ・ゴー」プラットフォームによる、高出力のEV直流(DC)充電サービスを開始し、タイとシンガポールにも展開している。現時点では3カ国で2,400カ所以上の充電施設が稼働しており、年内にさらに2,000カ所を追加する計画だ。

ビルタは、欧州で10年にわたりEV充電サービスを展開。同社プラットフォーム上で36カ国、1,000以上の充電網が充電事業の管理を行えるようにしてきた。2022年以降、東南アジアにも進出している。

東南アジアやオセアニアでは、地元メーカーや中国メーカーが手頃な価格のEVモデルを提供することでEVの普及が急速に進んでおり、欧米諸国に比べてEV市場の成長が速いと予想されているという。
(ビジネス・トゥデー、リニューワブル・エナジー・マガジン、ポールタン、6月25日)

「不買運動は地元産業にプラス」国内取引相が容認発言

【クアラルンプール】 イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への侵攻を受けたイスラエル関連ブランドに対する不買運動の呼び掛けが続く中、アルミザン・アリ国内取引物価相は、ボイコットが地元企業に商機を与える効果があったと容認する発言を行った。

同発言は25日の下院議会質疑の中で、ボイコットの影響について明らかにするよう求められたのに対して、アルミザン氏が文書で回答したもので、「ボイコット運動は国産品の需要増加に役立ち、イノベーションを促進し地元経済を強化した」と指摘。消費者がイスラエル関連のブランドを避け、地元ブランドに代替品を見つける傾向があるとした。

アルミザン氏は、「地元の起業家は、これらの機会を利用して消費者に自社のブランドを紹介することができる」、 「地元産品の需要が高まっている。地元企業が研究開発に投資してより競争力のある製品をつくるための優遇措置もある」と述べた。

その上でアルミザン氏は、「これらの地元企業は、消費者からの支持を長期的に維持するために、期待される品質基準を保ち、競争力のある価格での提供を続けなければならない」とも指摘した。

イスラエル関連製品ボイコットは、米国ブランドを扱っているというだけで直接資本関係がないにもかかわらずスターバックスやマクドナルドなどのフランチャイズ企業がターゲットにされて売上減に苦しんでおり、事業縮小に伴って地元の雇用が奪われているとの指摘もある。
(ザ・スター、6月26日)