キャピタルA子会社、カンボジアで航空機整備の免許取得

【クアラルンプール】 格安航空業務などを展開するキャピタルAのエンジニアリング部門子会社、アジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)はカンボジア民間航空庁から整備機関としての認証を受けたと発表した。航空機整備・補修サービスに携わる。

認証を受けたのはADEと現地企業シビライ・アジアとの合弁会社ADEカンボジア。プノンペン国際空港を拠点に業務を行う。ADEがマレーシア以外で事業免許を得たのは初めて。5月初旬に運航を開始したエアアジア・カンボジアやほかの航空会社の機体の整備に当たる。エアアジア・カンボジアもエアアジアとシビライ・アジアの合弁事業。

ADEのマヘシュ・クマル最高経営責任者(CEO)は、将来的にカンボジアのほかの空港でも保守・修理サービスを提供すると意欲を表明した。
(エッジ、5月20日)

国営企業と米系投資会社の企業連合、空港運営MAHBの買収を提案

【クアラルンプール】空港運営の政府系マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は15日、政府系投資会社カザナ・ナショナル、従業員積立基金(EPF)、空港運営で経験豊富な米系投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)、アブダビ投資庁で構成される企業連合から買収提案を受けたと発表した。

連合名はゲートウェイ・デベロップメント・アライアンスで、4社合わせてMAHB発行済み株式の約41.1%を保有しており、残余株(同58.78%)を1株11リンギ、総額122億9,800万リンギで取得する。買収提案価格は過去3カ月間の平均株価に15.2%のプレミアムを上乗せした。

買収後の持ち株比率は、カザナが40%、EPFが30%、外資側が計30%。企業連合は第4四半期をめどにMAHBの上場を廃止するが、マレーシア政府は特別株を保持し、会長、最高経営責任者(CEO)には引き続きマレーシア人が就任する。

買収は空港施設、旅客サービス、長距離便の接続性の改善が狙いで、企業連合はクアラルンプール国際空港の旅客手荷物処理システムの改善、運休しているエアロトレインの再開、混雑緩和、小売店・飲食施設の拡充に取り組む。また新たに航空会社を誘致し、長距離、域内便の接続性を高める。
(ザ・スター、5月16日、マレーシアン・リザーブ、エッジ、5月15日)

補助金削減実施は「適切な時期」に=アンワル首相

【ドーハ】 カタールを訪問中のアンワル・イブラヒム首相は、同地で行われた対話セッションに出席し、マレーシアの燃料補助金削減について「適切な時期」に行う必要があるとの考えを改めて強調した。

「カタール経済フォーラム」の特別セッション「マレーシア首相との対話」に出席したアンワル首相は、政府債務水準を削減するために過剰な補助金の削減を含む無駄な支出を削減する必要があると述べた上で、削減の実施時期については「やるべきことではあるが、慎重に行う必要がある」と強調、補助金廃止の実施期限については明言を避けた。

アンワル首相は、「貧困層に負担を強いることなくどうやってこの改革に着手していくか、それが私の考えでは非常に重要な点だ」と言明。「適切な時期にそれ(補助金削減)を行うつもりだ」と述べた。

マレーシアは現在、燃料や食用油の価格の多くを政府が補助金として負担しており、昨年の補助金負担額が810億リンギに上ったと推定されている。このため政府は今年、誰でも公平に享受している現行の補助金制度を対象を絞った補助金制度に切りかえ、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を2023年の5%から今年は4.3%まで縮小することを目指している。

アンワル首相は任期初めに、マレーシアの財政状況を改善し、政府債務を現在のGDPの60%を超える水準から削減すると約束していた。
(ザ・スター、5月15日、フリー・マレーシア・トゥデー、ブルームバーグ、5月14日)

ジョホール経済特区、イスカンダルプテリやペンゲランが対象地域に

【ジョホールバル】 計画中のジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)開発プロジェクトについて、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ首相はイスカンダル・プテリや石油コンビナートのあるペンゲランが対象地域に含まれると明らかにした。

オン・ハフィズ首相は12日に行われた州議会の質疑の中で、JS-SEZ対象地域はジョホールバル、イスカンダル・プテリ、パシル・グダン、クライ、コタ・ティンギの州内5つの自治体にまたがると言明。州と国家に社会経済的な利益をもたらすと期待される16の経済セクターへの注力を提案しており、州内の世帯収入月額1万3,000リンギを目標としていると述べた。

注力セクターとして提案されているものには、電気・電子、医療、製薬、航空、特殊化学品、物流、保健・教育、金融・ビジネスサービス、エネルギー、デジタルエコノミー、観光、食品、農業技術、クリエイティブ、ハラル(イスラムの戒律に則った)産業などが含まれている。

JS-SEZについては、2024年1月11日にマレーシア・シンガポール間で推進覚書(MoU)が締結されており、シンガポールとの正式な交渉セッションは6月に始まる見通し。年内に両国の間で正式な合意が結ばれる予定だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月13日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、5月12日)

独VWがマレーシアの域内拠点化を計画=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 独フォルクスワーゲン(VW)がマレーシアを域内輸出拠点にすることを目指しており、マレーシア国内で電気自動車(EV)組立を行う計画だ。テンク・ザフルル投資貿易産業相がX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。

マレーシア法人、VWグループ・マレーシア(VGM)幹部と協議を行った際、VGM側がマレーシア国内でエンジン車およびEVを製造する意向を表明したという。ザフルル氏は「これまでVWのモデルはもっぱらマレーシアに輸入されていたが、現在は一部のモデルがマレーシアで組み立てられている。 注目すべきは、『トゥアレグ』が欧州以外で初めて国内で組み立てられていることだ」と述べた。なおどのEVモデルが組み立てられるか、いつ開始されるのかについては言及はなかった。

現在、「アルテオンRライン」、「ゴルフGTI」、「ティグアン・オールスペース・バリアント」、「トゥアレグRライン」がパハン州ペカンのハイコム工場で組み立てられている。
(ポールタン、ビジネス・トゥデー、5月9日)

「対米ドルでのリンギ相場は実体を反映せず」中銀副総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアドナン・ザイラニ副総裁は9日、「国家経済フォーラム(NEF)2024」のパネルディスカッションで、「対米ドルでのリンギ相場について多くが取りざたされ、多数がこの相場をマレーシア経済運営の指標とみなしているが、リンギの全体における位置、国内経済の強さ・先行き見通しを無視した不当な評価だ」との見解を示した。

実際、2022年初頭以降、リンギは円、台湾ドル、韓国ウォンに対し値上がりしている。しかし中国人民元、インドネシアルピア、インドルピーに対してはわずかながら値下がりした。

アドナン・ザイラニ氏は「現在は強い米ドルという循環にあり、リンギの価値が低いという話ではない」と指摘。中国経済の先行き不透明感と地政学上の危機が安全資産としての米ドルに対する需要増を招いており、米国の高金利も当分続くとした。

輸出業者も外貨保持の姿勢が強く、リンギ安の要因になっている。こうした状況を打破するため中央銀行として過度な値下がり防止を目的に市場介入を行っている。政府系企業に外貨収入の送金も働き掛けているという。

民間企業は海外における再投資の認可手続きを省くため、在外外貨を保持する傾向があるが、中銀としては本国送金を望んでおり、外貨をリンギに両替した企業には、海外における再投資に対し認可を簡略に済ませるイニシアチブを検討しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月10日)

通信アシアタ、インドネシア法人をシナールマス子会社と合併か

【ジャカルタ】 通信大手アシアタのインドネシア法人とインドネシアのコングロマリットであるシナール・マスの通信事業部門がインドネシア政府に合併許可を求めている模様だ。インドネシアのブディ・アリー・セティアディ通信情報技術相が明らかにした。

ブディ大臣はロイター通信の取材に対し、両社の合併により、インドネシアの通信部門は3大企業に統合されるとし、まだ協議中の段階ではあるが、規制当局としてサービスの質の向上につながる合併計画を支持すると述べた。年内にも合併が合意に達する可能性があるとしている。ロイターはアシアタとシナール・マスにコメントを求めたが、回答はなかったという。

ブルームバーグも、情報筋の話として両社の合併により35億ドルの事業体を設立する計画があると報じていた。

インドネシアの通信最大手は国営企業テルコム・インドネシア傘下のテルコムセル。カタール・香港資本のインドサットがそれに続き、アシアタの現地法人XLアシアタは第3位で、5800万人にサービスを提供している。

(ザ・スター電子版、5月8日、ロイター、4月25日)

VSTECS、米AWSのディストリビューターに認定

【クアラルンプール】 情報通信技術(ICT)製品の販売に携わるVSTECSは8日、100%子会社のVSTECS KUが米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の国内初のディストリビューターに認定されたと発表した。AWSの各種クラウド・サービスを国内で販売することが可能となる。

VSTECSのJHソーン最高経営責任者(CEO)は、AWSの認定ディストリビューターとなることで、取り扱うクラウド・サービスの幅が拡大し、プライベート、パブリック、ハイブリッドなど、クラウドのあらゆる要件に対応できるようになると言明。クラウド・ソリューションにおける同社の専門知識を通じて、あらゆる規模の企業がクラウドを活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させることができると述べた。

VSTECSは米マイクロソフトのノートパソコン「サーフェス」、半導体設計の米クアルコム・テクノロジーズのノートパソコンとタブレット、米スペースXが提供する衛星インターネット接続サービス「スターリンク」などの国内販売にも携わっている。

(エッジ、5月8日)

資格試験の英ピアソンVUE、KLにテストセンターを開設

【クアラルンプール】 コンピュータ受験(CBT)資格試験運営の英ピアソンVUEは、クアラルンプール(KL)に試験実施施設(テストセンター)であるピアソン・プロフェッショナル・センター(PPC)を開設したと発表した。

PPCはアジア公認銀行協会(AICB)施設内に設置された。ID管理やIDチェック(手のひら静脈認証技術を含む)、署名パッド、施設全体への監視カメラ設置、目視と監視カメラを両用しての試験監督、受験者用ロッカーなどのセキュリティ対策が施されている。ピアソンVUEは2002年以来、世界180カ国以上、テストセンター5,600カ所で資格試験を実施している。

ピアソンVUEのクレイグ・マクファーレン豪州・東南アジア担当副社長は、マレーシアでは多くの産業分野で急速な専門化が進んでいるとし、ピアソンVUEは現地の認証機関に信頼性の高い試験を提供していくと述べた。
(ザ・サン電子版、5月7日)

デジタル銀行のGXバンク、チューリッヒと共同で保険商品開発へ

【クアラルンプール】 配車サービス大手のグラブが主導するデジタル銀行GXバンクは、スイス系保険会社チューリッヒ・マレーシア(チューリッヒ損害保険マレーシアとチューリッヒ生命保険マレーシアの2社)との間で、10年間の独占的提携契約を締結したと発表した。

GXバンクはテクノロジーやデータに基づく洞察から顧客の悩みを特定し、チューリッヒ・マレーシアと協力の上、シンプルで使いやすく、手頃な価格のデジタル保険商品を共同開発する。第1号となるデジタル保険商品は今年第3四半期に導入する予定で、サイバー犯罪による不正取引や電子詐欺メッセージによる取引から個人を保護することを目指す。

英プライスウォーターハウスクーパースの2023年の調査によると、マレーシアの無保険人口の84%は18ー34歳で、成人の58%が生命保険やタカフル(イスラム保険)に加入していない。また、マレーシアではサイバー犯罪が増加しており、オンライン詐欺の被害件数は2019年から2023年までの5年間で倍増し、2023年1ー11月の被害額は推定約13億リンギとなっているという。
(ソヤチンチャウ、5月7日、チューリッヒ・マレーシア発表資料)