格安ホテル、運営コスト上昇で最大40%値上げも=業界団体

【クアラルンプール】 マレーシア・バジェット・ビジネスホテル協会(MyBHA)は、運営コストの上昇に伴い、格安ホテルが今後数カ月以内に宿泊料金を30ー40%値上げする可能性が高いと警告した。

MyBHAのガネーシュ・ミシェル会長は、ホテル経営者は、光熱費、ランドリーやメンテナンスの費用、ソフトウェア使用料などの運営コストに基づいて宿泊料金を調整するとし、3月にサービス税(SST)の6%から8%への引き上げが行われ、また今後電子請求書システムの使用義務も課されるため、運営コストは上昇すると述べた。格安ホテルの料金を維持するためには、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)が特別料金を設定するなど、何らかの支援が必要だとしている。

ガネーシュ会長は、宿泊料金の値上げ幅はホテルの格付けによって異なるとし、コストをカバーするためにすでに料金を引き上げているホテルもあるとした。また、無許可の宿泊施設が格安ホテルを脅かしているとして、その規制について国内取引物価省に働きかけるとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・バイブス、4月15日)

近隣諸国とのグリーン電力取引を行う「エネルギー取引所」を設立

【クアラルンプール】 エネルギー移行・水利転換省(PETRA)は15日、近隣諸国とのグリーン電力取引を促進するため、「マレーシア・エネルギー取引所(ENEGEM)」を設立すると発表した。

PETRAの声明によると、ENEGEMではまず試験プロジェクトとして、マレー半島とシンガポール間の既存の相互接続インフラを利用し、シンガポールに対して合計100メガワット(MW)の送電を行う。入札が可能なのはシンガポールで発電・小売ライセンスを保有している再生可能エネルギー(RE)事業者で、入札開始前に資格審査が行われる。16日よりPETRAのウェブサイトなどから登録を受け付ける。

ENEGEM上での取引は、エネルギー委員会による「越境電力販売ガイド(CBES)」最新版に基づき行われる。また、ENEGEM管理のために、電力会社の政府系テナガ・ナショナル(TNB)から半島部の電力計画と調達を管理する機能を切り出し、電力供給全体を管理する唯一の組織(シングルバイヤー)として独立させる。

PETRAは、ENEGEMの設立は、マレーシアのエネルギー移行や、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国間で送電網をつなぐ「ASEANパワーグリッド(APG)構想」に沿ったもので、まずはシンガポールなど、二国間ベースで地域を接続し、その後徐々に拡大を図りながら東南アジア全域を統合した送電網を構築していくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、4月15日)

半導体重要拠点としてペナンに脚光、WEFが評価

【ペタリンジャヤ】 世界経済フォーラム(WEF)がビジネス特化型SNS「リンクトイン」のページにペナンに関する動画を投稿し、半導体チップの新たな重要拠点と評価した。アンワル・イブラヒム首相は自身のフェイスブックアカウントでこの動画を共有し「技術革新を動力とする、ハイテクの未来を構築する」とした。

WEFは動画で「世界では1,000億個の半導体が日常的に利用されているが、半導体製造が特定の地域に集中しているためサプライチェーンがぜい弱性を増している。マレーシアは新たな選択肢を探している企業が目指す場所になっている」とした。ペナン州に対する2023年の外国からの直接投資は128億米ドル。うちインテルは新工場の建設に70億米ドルを投じた。

外国メディアもペナン州を取り上げており、過去数年、ペナン州に投資した企業として、米系ラムリサーチ、テキサス・インスツルメンツ、マイクロン・テクノロジー、独系インフィニオン・テクノロジーズ、ボッシュ、台湾系日月光半導体(ASE)を挙げた。マレーシアはチップ組み立て、テスト、パッケージングなど後工程で強みを持つ。設計では内資のオプスター・テクノロジーが注目を集めている。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、4月12日)

グラフジェット、米ネバダ州にグラファイト生産施設を設立

【クアラルンプール】 マレーシアで設立されナスダックに上場しているグラフジェット・テクノロジーは8日、米国ネバダ州に黒鉛(グラファイト)生産施設を設立すると発表した。投資額は1億5,000万―2億米ドル(7億1,350万―9億5,134万リンギ)を予定しており、2026年の稼働を目指すとしている。

グラフジェットは農業廃棄物からグラファイトとグラフェンを製造する特許を保有しており、農業廃棄物であるアブラヤシ核殻を最大3万トン使用して、マレーシア国内でハードカーボンに加工し、ネバダ工場に輸送する。ネバダ州の生産施設は年間10万台のEVに供給できるバッテリーグレードのグラファイト1万トンを生産する。

中国は世界トップの黒鉛の生産・輸出国だが、米国は電気自動車(EV)用バッテリー部品の中国への依存を減らすことを目指している。

グラフジェットのエイデン・リー最高経営責任者(CEO)は、「グラファイトの商用生産の早期開始に向けて尽力しており、新生産施設における取引に関連して数社と協議している」と述べた。
(ザ・スター、4月9日、エッジ、4月8日、グラフジェット発表資料)

水素技術は成熟、120億リンギの収益目標達成は十分可能

【プトラジャヤ】 チャン・リーカン科学技術革新相は、マレーシアでは水素燃料自動車技術がすでに確立されており、「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」の「2030年までに120億リンギの収益」という目標は、グリーン水素の輸出によって十分達成できるという期待を示した。

チャン氏は1日、同省で行われた移動式水素燃料補給ユニット及び水素燃料車のデモンストレーションに出席し、「水素燃料に関する技術はすでに成熟しており、車両も入手可能だ。我々がしなければならないのは需要と供給の両方を生み出すことだ」と言明。需給の創出や強固なエコシステム実現に向け、モビリティ分野での利用技術と供給側のグリーン水素生産の両方を促進したいと述べた。移動式水素燃料補給ユニットは年末までにプトラジャヤに設置される予定だという。
その上でチャン氏は、水素燃料車のメリットとして燃料補給時間が3ー5分と電気自動車(EV)より短いこと、航続距離が700―1,000キロメートルと長いこと、車両重量が軽いことを挙げた。

一方、チャン氏は、詳細な水素燃料車の実用化計画はまだ策定されていないと言明。水素が商用化され大量生産されるようになればガソリンと競合できるだろうが、マレーシアでは多額の

補助金が出ているためガソリンが非常に安価となっていると指摘した。
同日のデモにはアンワル・イブラヒム首相も出席し、チャン氏と共に首相府庁舎までトヨタの水素燃料自動車「ミライ」に試乗。チャン氏によると、アンワル首相は水素燃料自動車に大変関心を持っている様子で、第一印象としてエンジンがとても静かだったと述べていたという。
(マレー・メイル、ザ・サン電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、4月1日)

ペナンLRTが閣議決定、2030年に完成予定

【プトラジャヤ】 アンソニー・ローク運輸相は3月29日、ペナン州政府から連邦政府が引き継いだ、ペナン軽便鉄道(LRT)の建設について、閣議決定が行われたと発表した。政府系MRTコープが開発運用を担当し、2030年までの運行開始を目指す。

ペナンLRTは3期に分け開発され、第1期は埋め立て工事中のシリコン島からジョージタウンのコムターまでの区間で、建設・エンジニアリング大手のガムダが60%所有するSRSコンソーシアムが工事を担当する。SRSは2015年8月に州政府が実施した公開入札で工事業者として指名されており、すでに環境影響・社会影響評価、予備技術調査や設計を自前の資金で実施している。今後MRTとSRSとの間で交渉を進め、半年程度で契約内容を確定させ、工事を開始するという。

ローク運輸相は、第2ー3期については別途公開入札を行うと言明。LRTの車両基地についてはスンガイ・ニボンのタパック・ペスタ統合型交通開発と共に建設するとし、運賃以外の追加収入を得ることを目指すと述べた。

ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、ローク運輸相の発表を歓迎するとし、州政府はスンガイ・ニボンの車両基地に加え、シリコン島内にもう1カ所車両基地を建設することを提案していると述べた。

ペナンLRTは全長29キロメートルで、ジョージタウンの市街地やペナン国際空港、埋め立て中のシリコン島を結ぶ。北の終点をコムターからタンジュンブンガまで延伸することも検討されている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレー・メイル、3月29日)

サービス税免除の対象を拡大、自由区・指定区間の輸送も

【クアラルンプール】 財務省は物流業と建物保守に対するサービス税免除の内容を改めた。国民生活への影響を考慮したという。アミル・ハムザ第2財務相が3月31日、発表した。

財務省は3月11日にサービス税免除対象の拡大を発表したが、今回さらに対象を拡大した。企業間物流サービスでは、混載業者、海運・空運業者、コールドチェーン業者など1(a)項目に分類される物流業者は、1(b)項目に属するデリバリー、配布、運送サービスの入手に対しサービス税を負担する必要がない。以前は1(a)と1(b)のサービスは別個の課税対象だった。

また自由商業区や自由工業区など特別区と指定区間の物流サービスもサービス税を免除される。ポート・クラン自由区、ウエスト・ポート、ジョホール州のパシル・グダン港などが適用を受ける。ただし、通関業者が提供するサービスは引き続き課税対象。

海上貨物輸送運賃では、マレー半島とサバ州、サラワク州、ラブアン間の輸送、およびサバ州、サラワク州、ラブアン間の輸送が免除対象。

住宅建築物の保守では、デベロッパー、共同管理組合・住民組合が行う建物自体、およびエレベーター、空調機器、湯沸かし器など建物に付随している設備の保守・修理サービスが免除対象。
(ザ・スター、4月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月31日)

新たな輸出額目標は1.7兆リンギ、MATRADEは達成に自信

【クアラルンプール】 輸出額が3年連続して1兆リンギを大幅に上回ったことから、政府は1兆7,000億リンギを新たな目標に掲げた。2025年までの達成を目指す。マレーシア貿易開発公社(MATRADE)のリーザル・メリカン長官が3月27日、ラマダン(断食月)の行事で明らかにした。

輸出額は2022年が1兆5,000億リンギ、2023年が1兆4,600億リンギだった。リーザル氏は、目標達成を確信していると述べた。

ラマダン行事は病気治療などで困窮している公社職員や孤児を招いてのもので、MATRADEが集めた資金を与えた。
(ベルナマ通信、エッジ、3月27日)

マレーシア、ECRLをタイ国境まで延長することを検討

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は、27日の上院質疑で、 東海岸鉄道線(ECRL)をタイ国境まで延長することを検討していると明らかにした。

ECRLは、クランタン州コタバルとセランゴール州クラン港を結ぶ全長665キロメートル(km)の電化複線化路線で、2027年までの完成を予定している。現時点で終点とされているコタバルはタイ国境から40km離れている。

タイは、マラッカ海峡とシンガポールを迂回する貿易ルートであるランドブリッジ構想を推進しているが、ローク運輸相は、お互いをライバル国と見なすのではなく両国が協力していくべきだとし、貨物・旅客輸送網の両国間の接続性を強化していくと述べた。ラオスを経由して中国と鉄道網を結ぶ協力についても検討中であり、地域の経済統合を後押しする可能性があると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月27日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、3月25日)

KLの「ホリデイインエクスプレス」、ウィンボンドが売り出し

【クアラルンプール】 不動産会社コリアーズ・ホテルズ&レジャーによると、クアラルンプール(KL)市中心部にある「ホリデイ・イン・エクスプレス・ホテル」が現所有者のウィボンド・グループにより売りに出されている。現在はインターコンチネンタル・ホテル・グループ(IHG)の「ホリデイ・イン・エクスプレス」ブランドで運営されている。

売り出されているのは、全384室ある15の客室フロアを含む21階建ての本館と4階建ての別館。本館と別館にはオフィスや店舗スペースがあり、賃貸可能面積は1万7,957平方メートル。現在、その一部が専門レストラン経営者に貸し出されている。

コリアーズは最低提示価格を明らかにしていないが、購入希望者は4月26日までに機密保持契約に署名し、関心表明(EOI)を出す必要があるとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月28日、エッジ、3月27日)