トランプ前大統領返り咲きはリンギ安に、銀行関係者見通し

【クアラルンプール】 ドナルド・トランプ氏が次期米国大統領に決まったことは短期的にリンギ安をもたらすと銀行関係者はみている。米国が輸入品に高率の関税を課せば物価上昇圧力になり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げのペースをゆるめる可能性があるからで、米国とマレーシアとの金利差が縮まらず、強いドルとの流れが予想されるからだ。

ホンリョン・インベストメント・バンクは関税以外にトランプ氏の移民政策にも言及。労働力が縮小し労働者の取り合いになり、賃金上昇、物価高を招くとした。ホンリョンは年末の相場を1米ドル=4.05-4.50リンギから4.50-4.58リンギに修正した。

シンガポール大手行OCBCのクリストファー・ウォン氏によれば、ドル高と高関税への懸念がすでに相場に影響しており、米ドルに対しリンギは8月以降の最低に値下がりした。しかしウォン氏は「トランプ氏が掲げた関税政策が実施までどのくらいの期間がかかるか、本当に実施されるのかはわからない」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、11月8日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月7日)

バティックエアとフライドバイ、インターライン契約を締結

【クアラルンプール】 バティック・エア・マレーシアとフライドバイ(アラブ首長国連邦=UAE)は8日、インターライン契約を締結した。インターライン契約を結ぶと、両社のネットワークが拡大するだけでなく、予約は一度で済むほか、相互の便を乗り継ぐ際に再度チェックインする必要がなくなり、乗客の預け荷物もスルーで目的地まで運ぶことができるようになる

インターライン契約に基づき、バティック・エアは、アフリカ、南ヨーロッパと中央ヨーロッパ、中東、コーカサス地域などフライドバイのネットワークの38の目的地にアクセスできるようになる。これによりバティック・エアのネットワークはエンテベ、イスタンブール、ベルガモ、ザグレブなどに拡大する。

フライドバイの乗客は、クアラルンプール新国際空港(KLCC)経由でバティック・エアのネットワークの40以上の目的地にアクセスできるようになる。これによりフライドバイのネットワークは、ハノイ、香港、ジャカルタ、大阪、シドニーなどに拡大する。
(エアロタイム、エッジ、ベルナマ通信、11月8日)

配車アプリ「Bolt」がマレーシアでサービス開始

【クアラルンプール】 欧州エストニア発祥の配車アプリ「Bolt」が、このほどマレーシア公共陸運局(APAD)から認可を取得。首都圏クランバレーでサービスを開始する。東南アジアではタイに次いで2カ国目の進出となる。

利用方法は先行するグラブなどとほぼ同様で、ユーザーはアプリ上でスマホ番号を事前に登録。出発地と行き先、車両タイプを指定し、支払いは事前登録したクレジットカードまたは現金で行う。現時点では電子ウォレットには対応していない。アプリはアップルストアまたはグーグルプレイ・ストアでダウンロードできる。

マレーシア進出記念として新規ユーザー向けのプロモーションを実施する。マレーシア全土における移動では2024年11月16日までは乗車7回を上限に50%割引(割引上限は15リンギ)、首都圏内の移動であれば2024年11月14日までは乗車20回を上限に50%割引の適用をそれぞれ受けられる。

「Bolt」は欧州を中心に45カ国でサービスを展開している。マレーシア国外ではスクーターや電動自転車のシェア、フードデリバリー、食料品配送、レンタカー、企業向けモビリティなどのサービスを行っているが、マレーシアでも導入するかどうかは明らかにしていない。
(ポールタン、マレー・メイル、ザ・サン電子版、11月7日)

一等地オフィス入居率が上昇、多国籍企業の本部設置で

【クアラルンプール】 不動産サービスのナイト・フランク・マレーシアは、多国籍企業によるクアラルンプールでの地域本部開設需要が極めて多く、一等地オフィスの入居率、資産価値が高まっているとの分析を示した。オフィス市場の先行きは引き続き明るいという。

ナイト・フランクによると、多国籍企業はマレーシア、特にクアラルンプールでの拠点開設に意欲的で、賃貸費の低さ、ビジネスを歓迎する環境が誘因になっている。

アジア太平洋地域の第3四半期のオフィス賃貸料は前期比0.1ポイント下落した。中国本土にある都市の賃貸料が前年同期比11%下落したのが主因。域内全体の入居率は14.8%で、前期比0.2ポイントの低下だった。世界的な経済の先行き不透明で入居者は出費に慎重になっており、賃借契約更新やオフィス統合を好む傾向が強くなっているという。

バンク・ムアマラット・マレーシアは、クアラルンプールのオフィス需要増は賃貸料の上昇を招くが、フレキシブル勤務を利用すれば必要なオフィス面積を減らせるため経費を抑制できるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、11月6日、ビジネス・トゥデー、11月5日)

米国で破綻のTGIフライデーズ、マレーシア事業に影響なし

【クアラルンプール】 米レストランチェーンのTGIフライデーズが2日に破産申請を行ったが、TGIフライデーズ・マレーシアは、マレーシア事業は継続すると発表した。TGIフライデーズ・マレーシアのマスターフランチャイジーはテクナX子会社のクレイビアット・インターナショナル。

TGIフライデーズ・マレーシアは、TGIフライデーズ・フランチャイザーLLCとのフランチャイズ契約に基づいて運営されており、TGIフライデーズとは別で米国の再編の影響はないとしている。11月にはミッドバレー・メガモールに新店舗を開業する予定もあるという。

TGIフライデーズ・フランチャイザーは41カ国・56社のフランチャイジーとフランチャイズ契約を結んでいるが、米国外のこれらのフランチャイズはすべて独立所有であるため、米TGIフライデーズが申請した米連邦破産法11条の適用は受けないという。

米TGIフライデーズは、新型コロナ禍で休業を迫られたことや客足が遠のいたことが原因で経営が悪化していた。世界41カ国で460店舗以上を展開し、米国では39店舗を所有・運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、11月5日)

マレーシア航空、機内無料Wifiサービスの機材を拡大

【クアランプール】 マレーシア航空は年内に、全乗客へのデータ通信量無制限の無料Wi-Fiサービスを、ボーイング737-8型機内でも提供する。

同社は昨年11月から、クアラルンプール―成田、クアラルンプール―大阪(関西国際空港)路線などに使われる、一部のワイドボディ機で同様のサービスを導入。好評だったことを受け、ナローボディである最新鋭のボーイング737-8型機内にも拡大する。

同社では現在、同型機4機を保有。2026年までにさらに25機の配備を予定している。
(ザ・スター、11月4日、ソヤチンチャウ、11月1日)

マレーシア国鉄、1月から都市部中心に完全キャッシュレス化

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は、首都圏クランバレーや地方の都市部を中心に2025年1月1日より完全キャッシュレスのチケット購入システムを導入すると発表した。

年末までの移行段階では、公式ソーシャルメディ、駅での宣伝資料の配布、電車内でのアナウンスなど、さまざまなチャンネルを通じて、特に高齢者や障害者にキャッシュレス決済への移行について周知徹底を求めていく。

地元の銀行と協力して、デビットカードを持っていない人を支援する。駅職員は、KTMBモバイル (KITS) アプリまたは「コミューターリンク」カードへの登録を奨励し、アプリまたはカードでチケットを購入するよう案内していく。また自販機でのチケットを購入するサポートも行う。

キャッシュレス決済の普及をさらに促進するため、KTMBはKITS登録者先着1,000人に500のポイントを付与するほか、1,000枚の「コミューターリンク」 カードを無料配布している。

統計によると、現在、乗客の約82%がKITS経由で高速電車鉄道(ETS)と「シャトル・テブラウ」のオンライン決済方法を利用しており、首都圏および北部のKTMコミューター・サービスに対するキャッシュレス決済システムの利用率も71%に上っている。
(ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、11月1日)

6月時点の家計債務はわずかに増加、GDP比83.8%に

【クアラルンプール】 6月末時点の家計債務は1兆5,700億リンギで、昨年末の1兆5,300億リンギより増加した。財務省が議会に書面で回答した。

債務の内訳は、61%が住宅ローン、13.5%が自動車ローン、12.4%が消費者ローン、残りがその他(クレジットカード、証券金融、住宅以外の不動産ローン)。対国内総生産(GDP)比で83.8%に相当する額だが、引き続き安全な水準にあるという。月収に対する月々の返済額の割合の中央値は35%。新たに認可されたローンでは、この割合は41%だった。

政府は消費者信用法案の国会提出を目指しており、品物を先に受け取り、後で代金を支払う後払い決済の提供者など、ノンバンクの規制に乗り出す。若者や低所得者による過剰な借り入れを抑制するためだ。
(マレー・メイル、10月29日)

LRT3号線計画、5駅復活も総工費は当初計画以下に

【クアラルンプール】 首都圏軽便鉄道(LRT)3号線計画で復活した5駅の工事費は、推定53億リンギとなる見通しだ。ハスビ・ハビボラ副運輸相が下院審議での答弁で明らかにした。

アンワル・イブラヒム首相が昨年の予算案上程に際し示した額(47億リンギ)を上回るが、それでも全体の工事費は219億3,000万リンギと、当初予算計画(316億5,000万リンギ)以下になるという。

LRT3はバンダル・ウタマとクラン地区ジョハン・セティアを結ぶ延べ37キロメートルの路線。国民戦線(BN)が政権を掌握していた2015年に計画されたが、2018年の希望同盟(PH)政権時代に見直しが行われ、財政ひっ迫を理由に総工事費の166億3,000万リンギへの削減と5駅(トロピカナ、ラジャ・ムダ、テマシャ、ブキラジャ、バンダル・ボタニック)の廃止が決められた。

工事は95.6%が完了しており、2025年第3四半期に運行を開始する。5駅の駅舎建設は同年第4四半期に始め、2027年第4四半期に完工の予定。運用開始は2028年第2四半期。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、10月28日)

エアアジアグループ5社、1―9月の旅客数が4500万人超

【クアランプール】 キャピタルAは24日、今年第3四半期(7―9月)の業績を発表。格安航空部門のエアアジア・アビエーション・グループ(AAG)5社(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア)について、年初9カ月の旅客者が4,500万人を突破したと明らかにした。ロードファクター(座席利用率)は90%と高い水準を維持した。

第3四半期でみると、5社の旅客数は前年比8%増の1,585万5,155人で、ロードファクターは89%だった。エアアジア・マレーシアの旅客数は13%増の758万3,348人に上り、ロードファクターは89%となった。スバン空港(セランゴール州)へのジェット機乗り入れ再開を受けて8月下旬に開設されたサバ・サラワク州への路線の搭乗率は92%に達した。

旅行アプリ「エアアジア・ムーブ」を使ったエアアジア以外のフライトとホテルの予約が急増した。決済サービス「ビッグペイ」でも、第3四半期のカード利用者は前年同期比8%増の157万3,987人となった。新規ユーザーの44%がムーブ経由だった。

また貨物・物流部門であるテレポートは、貨物輸送量が前年同期比31%増の7万7,341トンに達し、貨物、配送部門ともに力強い成長軌道を維持した。
(ベルナマ通信、10月28日、キャピタルA発表資料)