リンギは上昇、外国人の株式保有も増加=楽天トレード予想

【クアラルンプール】 米国、欧州で予想される利下げを背景に、リンギ為替は上昇し、年末までに対米ドル相場で4.50-4.55リンギまで値上がりすると楽天トレードは予想している。外国、特にシンガポールなど近隣国からの直接投資もリンギ上昇要因になるという。

13日のオンライン記者会見でケニー・イー調査部長は「米連邦準備制度理事会(FRB)は今年、まだ利下げに踏み切っていないが、この高金利環境を米国があと9カ月間維持することはできない。年内のいずれかの時点で利下げを開始する」と述べた。

イー氏は5回の年内利下げを予想しており、金利の誘導目標を最終的に2%前後にするとみている。現在の誘導目標は5.5%。

有価証券市場における2月時点の外国人の保有比率は19.34%で、コロナ禍さなかの2021年の11.35%を上回った。これまでマレーシア市場は外国人投資家から遠ざけられてきたため、この先保有比率が20%を超えることは確実だという。
(エッジ、3月13日)

中古車仲介「マイトゥカー」が「カロ・マレーシア」に改称

【クアラルンプール】 中古車仲介のオンラインプラットフォーム「マイトゥカー」を運営するカロは、ブランド名「マイトゥカー」を「カロ・マレーシア」に変更すると発表した。米国での上場を視野に入れたもので、数カ月をかけ、段階的に変更を行っていくとしている。

カロは、シンガポールに本社を構え、マレーシア、インドネシア、タイ、日本、台湾に進出している。マレーシアでは、中古車仲介サービスに加え、保険や融資、アフターサービスなども提供しており、国内に販売センター11カ所、検査センター27カ所、整備工場5カ所、改装センター2カ所を構えている。

ブランド名変更記念式典に参加した、カロのアーロン・タン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、同社は最近香港での企業買収を発表しており、今年度はアジアで2地域に新規参入する予定もあると言明。また、米国での上場を見据え、コンプライアンスや管理体制も整備していると述べた。一方、具体的な上場時期については市場環境次第とし、明言を避けた。

カロの2024年度のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は、前年比10倍以上となる4,000万米ドル(1億8,700万リンギ)近くに達しており、過去最高を更新する見込みとなっている。
(ザ・サン電子版、ビジネス・トゥデー、ポールタン、3月11日)

ステランティスが3月1日付けで法人設立、現地組立を強化へ

【クアラルンプール】 多国籍自動車メーカーのステランティスN.V.は、3月1日付けでマレーシア法人、ステランティス・マレーシアを正式に設立したと発表した。ステランティス・マレーシアは、マレーシアにおけるプジョーおよびその他のステランティス傘下ブランドのマーケティング、販売、流通、アフターセールスを管理する。

マレーシアにおけるプジョー車販売は、これまでベルマツ・オートが手掛けていた。ステランティスは、ベルマツから引き継いだプジョーの成長軌道を継続し、販売モデルを他のステランティス傘下ブランドに拡大する。今後はシトロエン、アルファ ロメオ、ジープなどの他のブランドのモデルとともに、新型プジョー「408」 や現地組立のプジョー「ランドトレック」などをマレーシア市場に投入する計画だ。

ステランティスは、ケダ州グルンの工場を域内の製造ハブとして最大限に活用するために20億リンギ以上を投資し、マレーシア国内および東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の市場向けに現地組立を進める計画だ。顧客サポート強化に関しては、マレーシアのプジョー、DS、シトロエンのオーナーに対応するワンストップコールセンターをすでに設立している。
(ビジネス・トゥデー、3月7日)

グッドイヤーが6月末で工場閉鎖、550人が解雇の見通し

【クアラルンプール】 大手タイヤメーカーのグッドイヤーは7日、コスト削減を理由に今年6月30日付けで52年の歴史を持つセランゴール州シャアラム工場を閉鎖すると発表した。工場閉鎖手続きは年末までに完了する予定で、従業員550人は解雇される見通しだ。

グッドイヤー・アジア太平洋地域担当のナサニエル・マダラン社長は、シャアラム工場閉鎖はコスト削減により競争力維持を目指す「グッドイヤー・ フォワード」と称する変革プログラムの一環だと強調。「グッドイヤー・フォワードは事業展開とポートフォリオを最適化し、大幅な利益拡大を実現して企業価値を高めることを目的としたもの。2025年までに年間10億米ドル(47億リンギ)のコスト削減を実現し、競争力を維持するための具体的取り組みが盛り込まれている」と述べた。

なおマレーシア国内での同ブランドのタイヤ販売は、タイ、インドネシア、中国、台湾など他の製造拠点から供給を受けてマレーシア工場閉鎖後も続ける方針だ。

マレーシアとグッドイヤーの関係は、ゴム購買会社の米グッドイヤー・オリエント・カンパニーがマラヤとインドネシアのプランテーションからのゴム購入を目的にシンガポールに設立された1908年に遡る。グッドイヤーのウェブサイトによると、1929年にマラヤに販売拠点を開設し製品販売を開始した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、3月8日、マレー・メイル、エッジ、3月7日)

豪州企業7社が投資拡大の意向を表明、首相公式訪問で

【メルボルン】 豪州企業7社が、マレーシアへの新規投資および既存投資の拡大を行う計画だ。3日夜より4日間の日程で豪州を公式訪問中のアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

 アンワル首相に同行しているテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、5日に開催された豪州企業18社トップとの座談会の場において、マレーシアへの投資計画が伝えられた。座談会には医療機器、金属などの製造業や、データセンター、金融、貿易などのサービス業のトップが参加し、投資や貿易の簡素化、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)、世界貿易におけるマレーシアの役割などについても議論された。7社はすでにマレーシア投資開発庁(MIDA)や関係機関との会合などを行っており、今回の首相公式訪問が最終決定に向けた動きを加速させることが期待できるという。残りの日程でもアンワル首相と他企業との会合が予定されており、最終的な投資誘致結果については後日発表するとしている。

 豪州とマレーシアの2023年の二国間貿易額は185.7億米ドル(846.4億リンギ)で、豪州はマレーシアにとり第10位の貿易相手国となっている。2023年12月時点で豪州からマレーシアへの投資件数は承認ベースで582件、そのうち366件が実現されている。
(マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、3月5日)

仮想通貨取引所のトーラム、証券委員会から仮認可を取得

【クアラルンプール】 仮想通貨取引所のトーラム・インターナショナルはマレーシア証券委員会(SC)から国内6番目のデジタル資産取引所(DAX)として仮認可を得たと発表した。国内2番目のデジタル・ブローカーとしての仮認可も得ている。

トーラムが仮認可から正式な認可に移行するには、SCが定めるコンプライアンス要件を9カ月以内に満たす必要があり、プラットフォームの正式開設は認可取得後となる。

トーラムのゴー・イーフェン最高経営責任者(CEO)は、同社はマレーシアでの仮想通貨取引体験を刷新することを目指しており、次世代ユーザーを取り込むことを最優先していると言明。仮想通貨に対する正しい考え方や理解を持つマレーシア人を育成し、仮想通貨の受容レベルを引き上げることを目指すと述べた。

トーラム・インターナショナルは仮想通貨ソーシャルメディアを運営するトーラム・テクノロジーの一部門。過去6年間の運営実績があり、100カ国・24万人以上の仮想通貨ユーザーにサービスを提供している。

現時点で、トーラム以外にSCに登録されているDAXは、▽ルノ・マレーシア▽MXグローバル▽シネジーDAX▽トークナイズ・テクノロジー▽ハタ・デジタルーーーの5社となっている。そのうちハタ・デジタルがトーラム同様、デジタル・ブローカーとしての認可を得ている。
(ザ・サン、3月1日、リンギットプラス、フィンテックニュース・マレーシア、2月29日)

ジョホール経済特区へのインセンティブを検討=ザフルル投資貿易相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、政府がジョホール経済特区(JS-SEZ)へのマレーシアとシンガポールの企業誘致を促進するための財政的・非財政的インセンティブを検討していることを明らかにした。

ザフルル氏は、2月28日に開催されたアンワル・イブラヒム首相主導の会議でJS-SEZ推進に向けた提案概要を説明したと言明。「連邦政府によるJS-SEZに対する財政的および非財政的インセンティブの迅速な承認と、フォレスト・シティ金融特区におけるインフラ開発の支援が含まれている」と明らかにした。

会議後にアンワル首相はソーシャルメディアの投稿で、経済省に対しJS-SEZに関連する提案の実施に向けた作業委員会レベルでの会議を開くよう要請したことを公表。28日の会議ではインフラや公共施設の改善に向けたさまざまなプログラムやプロジェクトについても議論されたとし、こうしたプロジェクトには、スルタナ・アミナ病院、スルタン・イスカンダル・ビル、スルタン・アブ・バカル・コンプレックスの改修工事やスルタナ・アミナ第2病院の建設が含まれると述べた。
(ザ・サン、3月1日、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月29日)

乱立するEV充電アプリを一元化へ=副投資貿易産業相

【クアラルンプール】 リュー・チントン副投資貿易産業相は2月28日の下院質疑で、電気自動車(EV)充電アプリの一元化に向けた取り組みが始まっていると明らかにした。

現時点では、各充電施設運営企業(CPO)が独自アプリをそれぞれ用意している。リュー氏は「私も7つの異なるEV充電アプリをインストールしており、それぞれ支払い方法が異なるので不便だ」と述べた。政府はアプリをひとつにまとめる計画だが、それにはCPOの協力が必要であり、現在協議を行っているとしている。

リュー氏は、2023年12月時点でのEV充電器設置数は全国750カ所にある2,020基だが、そのうち1,591基は充電速度が遅い交流(AC)充電器で、直流(DC)急速充電器は429基に過ぎず、今後はDC急速充電器の設置に注力すると述べた。

リュー氏はまた、マレーシアは国内に半導体と自動車の2つのエコシステムを有しており、グリーンエネルギーへの移行において近隣諸国よりも進んでいると指摘した。
(マレーシアン・リザーブ、2月28日)

EV購入促進に向け一時支援金の導入を検討=副投資貿易産業相

【クアラルンプール】 リュー・チントン副投資貿易産業相は2月28日の下院質疑で、電気自動車(EV)購入促進に向け、一時支援金の導入を検討していると明らかにした。

リュー氏によると、一時支援金案は国家EV運営委員会(NEVSC)経由で財務省に提出され、現在財務省内で検討段階にある。既に適用されている、EVに対する物品税、輸入税、道路税の減免措置に加えて適用される見込みだという。

併せてEVユーザーの長距離移動における不安を解消するため、直流(DC)急速充電器の拡充を急ぐ。具体的な提案については、マレーシア自動車・ロボット工学・IoT研究所(MARii)や天然資源・環境持続可能性省傘下のマレーシア・グリーン技術・気候変動公社(MGTC)などと協議の上、今年第2四半期のNEVSC会合で議論する予定。従来掲げていた「2025年までにEV充電器1万基設置」という目標に代わる新目標を策定するという。

EV業界団体のゼロエミッション自動車協会(ZEVA)によると、2023年のEV販売台数は1万3,257台に達し、稼働中のEVは1万6,763台。一方、2023年末時点でのEV充電器数は2,020基で、EV8台につき充電器1基の割合となっている。今年のEV販売台数は1万9,000ー2万台に達すると予想されており、国民車メーカーのプロトンとプロドゥアも2025年までのEV発売開始を目指しているため、さらなる充電器設置が急務となっている。
(ポールタン、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、2月28日)

オンライン証券の香港系ムームー、マレーシア市場に参入

【クアラルンプール】 香港系フィンテック(革新的金融技術)企業の富途が展開するオンライン証券サービス「ムームー」が27日付でマレーシア市場に参入した。

ムームー・マレーシアのデニス・ジー最高執行責任者(COO)によると、同社は証券委員会から資本市場サービスライセンスを取得し、マレーシアで証券およびデリバティブの取引および決済業務に従事できるようになった。同社は米国、シンガポール、オーストラリア、日本、カナダでもサービスを展開している。

ジーCOOは、シンガポールでは20ー70歳の25%がムームーを投資プラットフォームとして選んでおり、トレード・アプリの中でダウンロード数第1位となっているとし、マレーシアでも最高の投資プラットフォームになることを目指すと述べた。

オンライン証券会社の競争が激化する中、ムームーは独自サービスを提供することで差別化を図っている。具体的にはマレーシア市場と米国市場の投資管理、銘柄リサーチ、投資家仲間とのコミュニケーション、投資教育などの機能を提供している。株式スクリーナー、マーケット・モニター、機関投資家追跡、リアルタイム・データ、ニュース速報など、人工知能(AI)関連機能もユーザーから好評を得ているという。

ムームーは研究開発に力を入れており、昨年度には1億5,600万米ドルを投資。従業員の60%が研究開発に取り組んでいるとしている。
(ザ・スター、2月27日)