ボーイング、マレーシア合弁を買収し完全子会社化

【クアラルンプール】 航空機製造大手の米ボーイングは、マレーシアにおける部品製造合弁会社、エアロスペース・コンポジット・マレーシア(ACM)の未保有株式を合弁相手先のへクセル・コープから先ごろ買収し、完全子会社化したと発表した。買収額については明らかにされていない。

ACMはボーイングとヘクセルの合弁会社として設立され、2001年に操業を開始。2023年12月にボーイングによるヘクセル持株の買収が完了した。ケダ州ブキ・カユ・ヒタムに総面積4万7,200平方メートルの工場を保有している。従業員数は約1,000人。

ボーイングによると、ACMは複合材や補助翼(エルロン)、フラットパネルなどの部分組立品などを供給しており、現在のボーイング民間航空機すべてに使用されている。ACMによると、2005年にはB-737ネクストジェネレーション(NG)民間航空機用エルロン部品の世界唯一のメーカーになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、1月22日)

電子インボイス、50社が参加して5月に試験運用

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始する。参加企業の会計システムとIRBのシステムとの統合がスムーズに行くか検証する。

ベルナマ通信との会見で税務部のラシダ・チェ・ロスリ政策担当者は「さらに多くの企業の試験運用への参加を歓迎する。これを通じ直面する問題が分かり、対処に役立つ」と語った。

8月1日からは、年商1億リンギ超の企業4,000社は電子インボイスを採用しなければならない。ラシダ氏は「ほとんどの企業が電子インボイスの用意がある」と語った。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

年商が2,500万―1億リンギの企業は2025年1月からの採用を求められる。電子インボイスの完全施行は同年7月1日。

電子インボイスとは、インボイス(適格請求書)制度において、請求書や領収書を電子データでやり取りするための仕組み。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月20日、マレーシアン・リザーブ、1月19日)

イスラム開発局、ハラル申請プロセス簡素化に向けAIシステム開発

【クアラルンプール】 マレーシア・イスラム開発局 (JAKIM) は、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証申請の承認プロセスを簡素化するための人工知能 (AI)システム開発を進めていることを明らかにした。

ハラル管理部門のモハマド・ザムリ・モハメド部門長は、AI技術は特に食品の成分分析において役立つと期待されていると言明。承認作業で最も複雑な点は、製品に含まれる成分の確認だとし、「たとえば、ホテルのハラル食品認証の申請では、チェックする必要があるメニューは数百種類あり、食材は数千種類ある。手作業ではかなりの労力が必要となるため、AI の活用は大きな助けとなるだけでなく、承認のスピードアップにもつながる」と述べた。

ザムリ氏は、マレーシアのハラル認証は世界的に認知されており、10年連続で81カ国の中でトップの座を確保していると指摘。高い信頼性や基準の厳格な順守を維持することが、マレーシアのハラル認証が全世界で尊重されるために重要であると強調した。
(ザ・サン電子版、ボルネオ・ポスト、ベルナマ通信、1月18日)

プロドゥアがEV開発、2025年末にも発売=投資貿易産業相

【ペタリンジャヤ】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は自身のフェイスブックの投稿で、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)が、国際的な自動車メーカーと提携し手頃な価格の電気自動車(EV)のプロトタイプ開発を行っていると明らかにした。提携先の企業名については触れていない。

ザフルル氏は、「新産業マスタープラン2030(NIMP2030)」に基づき、マレーシア国内における手頃な価格のEVの生産をリードするというプロドゥアの取り組みの一環だと指摘。手頃な価格のEVの発売は2025年末に予定されていると明らかにした上で、「マレーシアのEV技術の進歩と国内の持続可能なモビリティの促進を支援してくれたプロドゥアに感謝する」と述べた。

プロドゥアのザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は昨年11月、EVとハイブリッド車の販売比率を2030年までに最大20%にすることを目指していると述べていた。

現地組立のEVに対する物品税と売上税の免除は2027年12月31日まで有効となっており、輸入EVに対する輸入税と物品税の免除は2025年12月31日まで延長されている。EVに対する道路税も2025年末まで免除されている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ポールタン、1月17日)

政府系カザナ、印ファストフードチェーンに2億リンギを投資

【ニューデリー】 政府系投資会社カザナ・ナショナルが、インドを拠点とするファストフード・チェーン「ワオ!モモ」の株式15%を4,200万米ドル(1億9,706万リンギ)で買収した模様だ。インドのメディアが17日に報じた。

「ワオ!モモ」によると、カザナに加え、インドの投資会社OAKSアセット・マネジメントからも720万米ドル(3,378万リンギ)を調達した。事業拡大や初期投資家へのリターンに充てるという。

「ワオ!モモ」の共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のサガル・ダルヤニ氏は、カザナのような著名なファンドが、同社の次段階の成長に向け投資してくれたことを誇りに感じていると述べた。

「ワオ!モモ」は2008年創業のモモ(蒸し餃子)を中心としたファストフード・チェーン。インド・コルカタに本社を置いている。「ワオ!チャイナ」、「ワオ!チキン」という2ブランドも展開しており、3ブランド合計でインド国内35都市に約630の店舗を構えている。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月17日)

AIの基礎を無料で学べる学習サイト、アンワル首相が発表

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は16日、国民のデジタルリテラシー向上に向けた「国民のための人工知能(AI)プログラム」を発表した。

同プログラムは、AIとは何かについて学べるオンライン自己学習プラットフォーム(https://ai.gov.my/)で、4つの言語(マレー語、英語、中国語、タミール語)で提供される。利用は無料。半導体大手の米系インテル・マレーシアがプログラム開発に協力した。「AIとは何か」、「AIを評価する」の2つのモジュールで構成され、自分のペースでプログラムを修了できる。

首相と共にプロジェクトを監督しているラフィジ・ラムリ経済相は、本プログラムはデジタルリテラシーの格差を解消するための取り組みで、特に学生がAIの基礎を学ぶことで将来のキャリア開発につなげることを目的としていると述べた。生成AIの活用で、国内総生産(GDP)の25%に相当する約1,134億米ドル(5,250億4,000万リンギ)が生み出せる可能性があるという。年内に100万人のプログラム利用を目標として掲げている。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、ベルナマ通信、1月16日)

KL国際モーターショーを6年ぶりに12月に開催、名称変更も

【クアラルンプール】 マレーシア自動車協会(MAA)は16日、今年6年ぶりに開催するクアラルンプール国際モーターショー(KLIMS)について、日程などの詳細を発表した。

12月5ー11日にクアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催する。ショーの名称も今回より「クアラルンプール国際モビリティショー(KLIMS)」に変更する。

MAAのモハマド・シャムソール会長は、名称は変更されたものの、自動車ブランド主導のショーであることは変わりないと述べた。

KLIMSは2018年に開催されたのが最後で、▽ホンダ▽トヨタ▽レクサス▽プジョー▽シトロエン▽起亜▽三菱自動車▽プロトン▽プロドゥア▽フォード▽現代(ヒョンデ)▽日産ーーという12の自動車ブランドが参加。MAAは2023年7月に「2024年にKLIMSを再開する」旨の発表を行っていた。
(ポールタン、1月16日)

国内最高層ビル「メナラ・ムルデカ118」の点灯式を開催

【クアラルンプール】 国内最高層となるクアラルンプール(KL)の超高層ビル「メナラ・ムルデカ118」の点灯式が10日夜に開催された。

高さ678.9メートル、118階建てで、オーストラリアの建築家フェンダー・カツァリディスが設計を担当した。世界でもドバイのブルジュ・ハリファ(828メートル)に次いで2番目に高い超高層ビルとなる。

ショッピングモールが7階分を占めるほか、オフィススペース、5つ星ホテルの「パークハイアット・クアラルンプール」、東南アジアで最も高い展望台「ザ・ビュー・アット118」などを有する。国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の100%子会社PNBムルデカ・ベンチャーズが運営する。

点灯式に出席したアブドラ国王は、「メナラ・ムルデカ118」は、独立の紆余曲折を乗り越え、多様で多文化的な国家を築き上げたマレーシアの成功の象徴だと述べた。

PNBムルデカ・ベンチャーズは、1957年に開設され、2005年10月に国家遺産に認定されたサッカースタジアムのムルデカ・スタジアムも所有しており、今年第2四半期までに修復を終え、一般公開が再開されるとの見通しも明らかにした。同スタジアムは1957年にアブドル・ラーマン初代首相による独立宣言、1963年にマレーシア連邦成立宣言がなされた歴史的に重要な場所。修復に向け、2016年以降閉鎖されていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月10日)

ボルボマレーシア、昨年の販売台数は16%減の2694台

【クアラルンプール】 ボルボ・カー・マレーシア(VCM)は、2023年通年の新車販売台数が2,694台となったと発表した。前年の3,194台からは16%減少したが、電気自動車(EV)販売台数は37%増加した。

マレーシアでは、リチャージ(完全電動車とハイブリッド車を指すボルボ独自の呼称)の販売比率が71%と突出しており(全世界平均は38%)、リチャージ販売上位15カ国・地域にランクインした。EVのみの販売比率は18%だった(全世界平均は16%)。

VCMのチャールズ・フランプ社長は、2023年は、EVの未来に向けた転換の年だったとし、ボルボの完全電動モデルが同社サイトで直接オンライン購入できるようになり、購入プロセスの安全性や透明性が増し、手間もかからなくなったと言明。前年比での販売台数は若干減少したものの、新車種の発売がなかった上でシェアを維持できたことを誇りに思うと述べた。

VCMは2024年に電動スポーツ車(SUV)の「EX30」および「EX90」をマレーシア市場に投入する予定だ。
(ポールタン、1月9日)

海外投資を国内に回すよう政府系企業に指示=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府系投資会社(GLIC)や政府系企業(GLC)に対して、海外投資を減らしてその分を国内投資に回すよう指示したことを明らかにした。ただし必要性があれば海外投資を認める柔軟性を維持していくという。

9日の財務省会議に出席したアンワル首相は、「海外投資を行う理由が、国内投資に魅力がないというのであるなら、我々がマレーシアに外国投資家を誘致するキャンペーンを行う根拠はない」と言明。その上で、財務省とパンタウ・マダニに対し、GLICとGLCが「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」と「エネルギー移行ロードマップ」に沿って戦略的投資を実施できるよう、取り組みを調整するよう求めた。パンタウ・マダニは、政府の政策やイニシアチブの実施状況を監視するために2023年12月に設立された独立機関。官僚や専門家、非政府組織(NGO)の代表で構成される。

アンワル首相は、「GLICやGLCのプログラムが政策に則って実施されていることを確認するために、指導者と直接対話することも求めている」と言明。「例えば、エネルギー転換とデジタル変革はこの国にとって非常に緊急かつ重要であり、全員の関与が必要だ。教育システムや企業統治の変革がなければ、遅れを取ることになる」 と述べた。
(ザ・スター、1月10日、エッジ、ベルナマ、1月9日)