米マイクロン、ペナンに第2工場を開設

【バトゥ・カワン】 米半導体大手、マイクロン・テクノロジーは13日、ペナン州のバトゥ・カワン工業団地に2カ所目となる組立・テスト施設を開設した。同社のペナンにおける新工場設立は、2015年にプライ工業団地に最初の工場を設立して以来となる。

マイクロン・テクノロジーは、昨年12月にペナンにおける第2工場設立計画を公表しており、それによると投資額は10億米ドル(44億リンギ)(削除)で、工場の総面積は150万平方フィートに拡大する。

マイクロンのNAND運用組立・テスト担当のアマルジット・サンドゥ副社長は、新施設の開設によりサイクル・タイムを短縮し、高品質の製品を大規模かつ納期通りに顧客に提供できるようになると述べた。

開所式に出席したチョウ・コンヨウ州首相は、マイクロン・テクノロジーが第1、2工場を合わせて累計20億米ドル(94億6,000万リンギ)(削除)を投資し、合計4,500人分の雇用を創出したと賞賛し、マイクロンによる将来的な投資拡大に期待を示した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月13日)

マレーシアとタイの国境を貿易地域に、首脳会談で合意

【プトラジャヤ】 11ー12日の日程でマレーシアを訪問したタイのセター・タウィシン首相は11日、アンワル・イブラヒム首相と首脳会談を行い、両国国境を貿易地域とすることで合意した。

会談後の共同記者会見でセター首相は、マレーシア北部とタイ南部の安全保障について協議し、国境を貿易地帯に変え、両国の人々に繁栄をもたらすことで合意したと言明。そのほかにも、貿易取引を拡大することでも合意したと述べた。

アンワル首相は、会談では、様々な分野で強力な関係を構築するために、特別委員会を設立することを決めたと言明。特別委員会は、観光や貿易、投資、国境警備、食料安全保障を監督すると述べた。

両首脳は農業、観光、食料安全保障、投資、貿易についても協議した。ハラル(イスラムの戒律に則った)部門や自動車部門、特に国民車メーカー、プロトン・ホールディングスと中国・浙江吉利控股がタイに工場を建設する計画についても話し合いが行われた。

タイとマレーシアの2022年の貿易総額は、前年比17.9%増の1,220.3億リンギ。マレーシアにとり、世界で7番目の貿易相手国となっている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月12日、マレーシアン・リザーブ、10月11日)

DRBハイコムと吉利、自動車ハイテクバレー開発を具体化へ

【クアラルンプール】 国民車メーカー・プロトンの親会社DRBハイコムは11日、中国の浙江吉利控股グループとの間で、ペラ州タンジョン・マリムの「自動車ハイテクバレー(AHTV)」開発に関する基本協力協定書(MCA)を締結したと発表した。

DRBハイコムがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、MCAは、AHTVプロジェクトの基本原則、ガバナンスの枠組み、相互協力事項などを定めたもので、開発および販促活動のための具体的な役割分担も含まれている。今年3月ー4月にアンワル・イブラヒム首相が北京を訪問した際に締結された、総額320億リンギの投資に関する合意書に続くもの。MCA締結式にはアンワル首相も出席した。

DRBハイコムは、AHTVを新エネルギー車(NEV)の国際的な自動車拠点にすることを目指し、自動車本体の生産のみでなく、地元企業によるNEV用部品製造も推進していくとしている。
(ザ・サン、10月12日、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ポールタン、10月11日)

エネルギー効率節約法成立、電力・ガスの大口消費者に順守義務

【クアラルンプール】 エネルギー効率節約法案が11日、下院で承認された。電力、ガスを大量に消費する商工業者にエネルギーの効率的利用を促す内容で、順守すれば電力料金を最大25%削減できるという。

年間電力料金にして240万リンギあるいはガス料金にして100万リンギに相当する、年間2万1,600ギガジュール(1ギガ=10億)のエネルギーを消費する商工業者が適用対象。工業では1,500社、商業では500社が適用を受ける。

また床面積8,000平方メートルかそれ以上のオフィスビルも、国家ビルエネルギーラベルの規定に従い、1平方メートル当たり年250キロワット時以下の電力消費に抑えなければならない。

現時点で300の政府ビルが要件を満たしている。天然資源環境気候変動省は、ホテル、病院も適用対象にする予定だ。推定4,102の建物が同法の適用を受ける。

エネルギー効率節約法は公示から1年後に発効する。この際、適用対象の商工業者は最初の検査を行わなければならない。順守しているかの検査は5年後で、不順守の場合は2万ー10万リンギの罰金が科せられる。検査は公認エネルギー検査員が行う。

ニック・ナズミ大臣によれば、社内でのエネルギー管理者任命、エネルギー節約管理、エネルギー検査など、法順守に年10万ー12万リンギの経費が商工業者にかかる。
(エッジ、10月11日)

国際貿易で脱ドル化を推進、議会答弁でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は10日の下院審議で、中国との貿易の最大28%はリンギ建てになると明らかにした。基軸通貨、交換媒体としての米ドルへの依存を減らす脱ドル化の動きだ。

アンワル氏は、国際貿易の多くは米ドル建てで行われているが、マレーシアは複数の国との貿易で積極的にリンギを使うようにしていると語った。

脱ドル化の件は中国を訪問した際、また9月、ジャカルタにおける東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議でも取り上げた。中国はリンギ使用の提案を歓迎し、インドネシア、タイとの間でも特定の産品の決済をリンギ建てとすることで合意したという。

企業の動きでは、ほとんどの政府系企業と複数の大手民間企業がリンギ建て取引にするための動きをとっているという。

アンワル氏は「経済、投資は好調で、失業率も下がっているのに、リンギが値下がりしている。対米ドルでのリンギ下落はマレーシア経済の基礎的条件を反映していない。米連邦準備制度理事会による利上げが原因」と述べた。

リンギの今年の値下がり幅は6.5%。下落幅が大きいのは円で10.8%。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月11日、マレー・メイル、10月10日)

乳飲料のダッチレディー、来年新工場移転で生産量を倍増へ

【クアラルンプール】 オランダ系乳飲料大手のダッチ・レディー・ミルク・インダストリーズは、ネグリ・センビラン州バンダル・エンステックに5億4,000万リンギをかけて建設中の新工場への本格移転に伴い、2024年には生産量を2倍にする計画だ。

ラムジート・カウル社長によると、新工場の敷地面積は12.9ヘクタールで、セランゴール州ペタリンジャヤ工場の3倍の広さをもつ。8本の生産ラインを設置する予定で、生産は2024年半ばの開始を見込んでいる。新製造ハブには流通センターを併設し、製造から出荷まで一貫して行えるようにする。また輸出向け製品開発のための研究開発(R&D)センターも併設する予定だ。

ダッチ・レディーは2023年8月時点でマレーシアでトップの28.1%の市場シェアを有し、数量ベースでのシェアは34.2%に達する。

ペタリンジャヤ・セクション13にある現工場の敷地は、不動産開発のUEMサンライズに売却しており、UEMサンライズは2024年下半期に工場を取り壊し、2025年にも高層住宅と小売店で構成される複合不動産開発に着手する計画だ。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月8日)

年末には1米ドル=4.3リンギまで回復、MIDFリサーチ予想

【クアラルンプール】 9月に米ドル高の影響を受けて大きく下落したマレーシアの通貨リンギについて、MIDFリサーチは、年末までには1米ドル=4.300リンギ程度まで持ち直すと予想している。リンギ為替は、米ドル高に歩調を合わせる格好で、9月27日には1米ドル=4.708リンギと2022年11月初旬以来の安値を記録。9月平均は前月比1.5%安の4.682リンギとなった。

MIDFリサーチは、安全性を求めて米ドルに流れた資金が落ち着けば、リスク市場に資金が還流し、リンギを含む新興国通貨は恩恵を受けると予想。ファンダメンタルズでみるとマレーシアの国内経済の底堅さが維持されており、経済状況は引き続きリンギを下支えしていると指摘した。

その上で「第4四半期にリンギ為替が上昇に転じるとの楽観的見方を引き続き堅持している。米連邦準備制度理事会(FRB)による金利据え置きなどを考慮し、平均で1ドル=4.48リンギ、年末には4.30リンギまで回復するとの予測を維持する」 と言明。「さらに中国の景気回復が加速することで、ファンダメンタルズが改善することもリンギにとってプラスになるとみている」と指摘した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月4日)

「B10」バイオディーゼル使用義務、産業部門への拡大を検討

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相兼農園一次産業相は3日、パーム油混合比率を10%としたバイオディーゼル「B10」の使用義務について、対象を現行の運輸部門だけではなく、産業部門まで広げることを検討していると明らかにした。

ファディラ大臣は、最終決定がいつになるかについては明言しなかったが、混合比率20%の「B20」の導入も進めており、全国的に実施されれば、粗パーム油(パーム原油)の消費量が年間100万トン以上に増加するとした。

バイオディーゼルに関しては、アンワル・イブラヒム首相が8月に発表した「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」第2期に、2030年までの大型車への「B30(パーム油30%混合)」バイオディーゼル利用義務づけが含まれている。

「B30」に関しては、2020年2月に発表された「国家自動車政策(NAP2020)」で2025年を目標とする導入計画が発表され、2021年9月発表の「第12次マレーシア計画」でも再度言及されていた。
(ロイター、10月3日)

アストロのテレビショッピング、11日で営業終了

【クアラルンプール】 有料テレビ放送のアストロ・マレーシア・ホールディングスは、11日付けでテレビショッピングの 「ゴーショップ」チャンネル(CH111、CH118、CH303)を終了すると発表した。

アストロは声明で、テレビショッピング事業自体を終了し、事業への貢献度が高い事業分野に経営資源を集中すると述べた。

同社のテレビショッピング事業は、韓国GSリテール(GSR)との合弁会社(JV)アストロGSショップ(AGSS)が運営しているが、AGSSも11日で営業を停止する。AGSSはアストロの完全子会社アストロ・リテール・ベンチャーズ(ARV)が60%、GSRが40%出資している。アストロは、「ゴーショップ」のグループへの貢献度は低いため、2024年度(2023年2月ー2024年1月)の業績に大きな影響を及ぼすことはないとした。

「ゴーショップ」は2015年に開始。テレビで紹介した商品をオンラインで24時間365日買い物ができるようにしたもので、シンガポールとブルネイにも進出している。2023年度は、消費者心理の冷え込み、パンデミック後の実店舗への回帰などを受け、ARVの「ゴーショップ」への投資費用4,810万リンギは全額減損となった。

アストロの業績は悪化しており、2024年度第2四半期(2023年5ー7月)の純利益は、営業費用増加や為替差損により、前年同期の9,847万リンギから75.98%減の2,365万リンギにとどまった。
(エッジ、10月2日、アストロ発表資料)

米テスラ、サイバージャヤに本社を開設

【サイバージャヤ】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、セランゴール州のサイバージャヤに本社「テスラセンター」を開設した。2カ月の工期を経て完成した。

「テスラセンター」は2階建てで、面積は5万5,000平方フィート。2期に分けて開発されており、第1期は最新モデルを展示する小売エリア、第2期は、配送、アフターセールスなどのサービスを行う施設で構成されている。第2期開発部分は、モデル3「ハイランド」のフェイスリフト版の発表に合わせて年末までに稼働を開始する予定だ。

同施設では、運営、マーケティング、トレーニング、顧客サポートを1カ所で行う。サービスセンターには、高度な診断ツールが導入されている他、部品倉庫が設置されており、訓練を受けた技術者が常駐する予定だ。その他には、オープン・ワーク・スペース、顧客ラウンジ、社員食堂、最大で250人を収容できる講堂、急速DC充電器「スーパーチャージャー」なども併設されている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月3日、ザ・スター電子版、ポールタン、10月2日)