水素自動車は2024年以降注目される=自動車クレジット連合会長

【クアラルンプール】 自動車クレジット会社組合連合会のトニー・コー・チョンブーン会長は、バッテリーを使用する電気自動車(EV)よりも環境に優しい水素自動車が2024年以降、マレーシアで注目されるようになるとの見通しを示した。
コー氏は、生産コストの高さと政府投資の必要性という課題もあるものの、水素は国家にとって重要でクリーンでグリーンなエネルギー源であると指摘。「日本、米国、さまざまな欧州諸国などがこの方向に進んでいることを考慮すると、これは有望な選択だ」と述べた。

コー氏は、バッテリー廃棄問題や製造時の温室効果ガス排出量の増加など、EVの環境問題についても言及し、「EVは8ー10年でバッテリー交換が必要となり、バッテリーの廃棄は環境問題を引き起こす」と指摘。一方、水素自動車については、水素ステーションに関連する安全上の懸念に対処する重要性を強調し、水素漏れの検出、隔離、水素を安全に取り扱うための包括的なトレーニングなどの必要性を提唱した。

水素自動車については、自動車愛好家からは、特に電力を主に石炭と天然ガスに依存しているマレーシアにおける環境上の利点、トヨタ「ミライ」などのモデルを例に水素自動車の短い給油時間と航続距離の長さの利点が挙げられている。一方、水素の貯蔵と輸送のコストが高いことがマイナス点として指摘されており、EVに関する誤解を克服し、水素自動車の導入を促進するために、より積極的な政府投資と追加インセンティブが必要だとする声が上がっている。
(ザ・スター、9月27日)

独デリバリーヒーロー、マレーシア事業などをグラブに売却か

【ベルリン/ペタリンジャヤ】 フードデリバリーサービスを提供する多国籍企業のデリバリーヒーロー(本社・独ベルリン)は東南アジア事業の一部を売却する意向で、交渉を開始した。デリバリーヒーローはフードパンダのブランドで、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオスでサービスを提供している。

週刊経済誌の独ビルトシャフツ・ボッヘが消息筋の情報として売却交渉を報じたのに対し、デリバリーヒーローが交渉の事実を認めた。同誌によれば、シンガポールの同業者グラブが同7カ国の業務を約10億ユーロで購入する可能性がある。

新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制を背景に、デリバリーサービスは需要が急増したが、行動規制の緩和後は需要が低迷し、デリバリーヒーローは株主から利益確保を求められていた。

ニクラス・エストベリ最高経営責任者(CEO)は8月、「東南アジア業務では利益重視のため出費を控えた。このためわが社のサービスに満足できない客がいたと思う」と発言していた。
(ザ・スター、9月22日、フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)

アンワル首相、グーグル、ボーイングなど米巨大企業4社と面談

【ニューヨーク】 国連総会出席のため訪米中のアンワル・イブラヒム首相は、グーグル、ボーイング、メドトロニック、シーメンス・ヘルシニアーズの米巨大企業4社と1対1のビジネス会議を開催した。首相府の発表によると、4社からはマレーシアでの事業を拡大したいとの意向が示されたという。

企業側からは、グーグルのルース・ポラット最高財務責任者(CFO)、ボーイングのブレンダン・ネルソン グローバル社長、メドトロニックのジェフ・マーサ最高経営責任者(CEO)、シーメンス・ヘルシニアーズのティシャ・ボートマン グローバル社長らが出席した。

マレーシア側からは、アンワル首相のほか、テンク・ザフルル投資貿易産業相、ザリハ・ムスタファ保健相、ザンブリー・カディル外相の関係閣僚らと、マレーシア投資開発庁(MIDA)とマレーシア外国貿易開発公社 (MATRADE)の代表が出席した。

アンワル氏はまた、2001年にノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授とも面談。発展途上国の経済的ニーズについて意見交換したほか、サステナビリティを維持しつつ所得増や貧困撲滅を進めるための対策と戦略についても議論したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、ベルナマ、9月22日)

キャピタルAの整備部門、カンボジアでMRO事業設立へ

【クアラルンプール】 キャピタルAの整備部門アジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)は、カンボジアのコンサルタント会社シビライ・アジアとの間で合弁契約を締結し、カンボジアで保守・修理・オーバーホール(MRO)事業を開始すると発表した。

合弁会社(JV)名はADEカンボジアで、ADEが60%、シビライ・アジアが40%を出資する。ADEは、最大120万米ドル(560万リンギ)をJV設立前・設立後の2回に分けて出資する。内部資金で賄う予定。

キャピタルA傘下の格安航空会社エアアジア・アビエーション・グループ(AAAGL)が昨年12月、シビライ・アジアとの間でJVであるエアアジア・カンボジアを設立していた。エアアジア・カンボジアは今年11月に運航を開始する予定となっている。
(ザ・スター、9月21日、エッジ、9月20日)

スーパーマックスのゴム手袋、米国への輸出再開が許可

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・ コーポレーション(SCB)は20日、米国への自社製使い捨て手袋の輸出再開が18日付けで米国当局より許可されたと明らかにした。再開対象には▽スーパーマックス・グローブ・マニュファクチャリング▽マクスター・グローブ・マニュファクチャリング▽マックスウェル・グローブ・マニュファクチャリングーーの完全子会社3社が含まれる。

SCBがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、強制労働の項目で改善がみられたことを理由に米国税関・国境警備局(CBP)がSCBに対して出していた違反商品保留命令(WRO)を修正し、米国の法律に準拠していることを条件にSCBと子会社が製造した使い捨て手袋の輸入を許可すると発表した。

CBPは2021年10月21日、SCBおよび子会社の調査の過程で国際労働機関(ILO)が定めた11項目の強制労働指標のうち10項目で違反が確認されたとして、スーパーマックス製品に関するWROを発出。SCBはWROへの対応として、サプライチェーンにおいて指摘を受けた項目を是正する措置を講じたことをCBPに証明したとしている。
(ザ・スター、ザ・サン、9月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月20日、SCB発表資料)

カントリーガーデンの経営難、L&Gは合弁には影響ないと強調

【クアラルンプール】 中国の不動産開発大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)の経営難が懸念されていることに関連して、マレーシアの不動産会社、ランド・アンド・ジェネラル(L&G)は、カントリー・ガーデンと合弁で進めているセランゴール州セメニエのプロジェクトへの影響はないと強調した。

L&Gのロウ・ゲイテック社長は、プロジェクト全体の4分の3がすでに完成しており、またカントリー・ガーデンとは財務的に独立していると強調。カントリー・ガーデンの経営問題が同プロジェクトにマイナスの波及効果をもたらすのではないかとの懸念の声を一蹴した。

L&Gがカントリー・ガーデンと合弁で進めているのは、「ダイヤモンド・シティ」と命名された総面積167エーカーのタウンシップ開発で、2014年に開始された。L&Gが45%、カントリー・ガーデンが55%をそれぞれ出資している。

プロジェクトはA、Bの区画に分かれており、A区画はすでに完了。B区画は1、2、4期がすでに完成し、5期も建設予定の201戸の80%に当たる163戸が販売済みとなっているという。
(エッジ、9月19日)

ITコンサルの米アバナード、東南アジア初の生成AIラボを設立

【クアラルンプール】 米アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社でITコンサルに携わる米アバナードは、東南アジア初の生成人工知能(AI)ラボをクアラルンプール・オフィス内に設置したと発表した。

アバナードは声明で、ラボでは生成AIソリューションを実験・共創し、データからビジネス価値を引き出すことで、組織のAI対応を支援すると述べた。さまざまな職位の従業員の生産性向上を目指し、マイクロソフトのクラウド上で生成AIソリューションを開発する。また、データとの対話、顧客対応音声の分析、テキスト入力による画像生成などに関するワークショップやデモを開催し、顧客企業がAIソリューションを体験できる機会を提供する。

アバナードの東南アジア責任者であるババ・カプール氏は、AIが産業を再構築し、人とテクノロジーの関係を再定義する中、ラボは未来の仕事像を想像する場として機能し、「マレーシアと東南アジア地域の可能性を解き放ち、AI革命の最前線に位置づける」という同社の取り組みを強化すると述べた。

マイクロソフト・マレーシアのK.ラマン社長は、生成AIの出現により、組織はより創造的で生産的、効率的になり、有意義なイノベーションが促進できるとし、マレーシア国内外で組織へのAI導入を進める上で、アバナードと協業できることを嬉しく思うと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月19日)

プロトン、スマート車の現地組立生産に向けて覚書締結

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、中国のスマート・オートモービルとの間で、ペラ州タンジョン・マリム工場でのスマート車の現地組立(CKD)の可能性を探るため、覚書(MoA)を締結した。

プロトンは2022年1月にも、スマートとの間で東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるスマート車の販売の可能性を探るため契約を締結。同年8月にはマレーシアとタイにおけるスマート車の販売に向け、販売代理店契約を交わしていた。
新たに交わした契約により、両社はスマート車のCKDに向けて協議を行い、協力関係を新たなレベルに引き上げる。

一方で、スポーツ車(SUV)タイプの電気自動車(EV)「スマート#1」の予約受付が19日に開始された。「スマート#1」の販売は、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の中で初となる。バリエーションは「プロ」、「プレミアム」、「ブラバス」の3種で、保険なしの価格は20万から25万リンギ程度と推定されている。
(ポールタン、9月19日)

BMWマレーシア、年初8カ月のEV販売台数は1600台超

【クアラルンプール】 独系BMWグループ・マレーシアは18日、今年1ー8月に「BMW」、「MINI」、「BMW モトラッド」ブランドの電気自動車(EV)を1,600台以上販売したと発表した。昨年通年でのEV販売台数は1,557台だったため、すでにそれを上回ったことになる。

マレーシア公式オープンデータ・ポータルの8月末時点でのBMWのEV販売データによると、大型高級セダン「7」シリーズで初のEVとなる「i7」は今年150台を販売。スポーツ多目的車(SUV)「iX」は880台、SUV「iX3」は108台、5月に発売開始されたコンパクトSUVの「iX1」は291台、4ドアクーペ「i4」は120台がそれぞれ販売されている。

BMWグループ・マレーシアはまた、10月1日ー12月31日に「BMW」と「MINI」のEVを購入した先着200人に「EV充電無制限パッケージ」を提供すると発表。12カ月間、ジョムチャージ、チャージEV、ジェンタリが提供する全国のEV施設において、登録車両に対して無制限に充電ができるもので、料金は「BMW」では2,400リンギ、「MINI」では1,800リンギとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月19日、エッジ、ポールタン、9月18日)

今年のハラルショーケース、成約額が31億リンギに

【クアラルンプール】 9月12ー15日の日程で開催されたハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」で、成約額が目標額の25億リンギを24%上回る31億1,000万リンギに達した。

今年で第19回目の開催となった世界最大のハラル見本市であるMIHAS2023は、マレーシア貿易開発公社(Matrade)が主催するもの。マレーシアの輸出業者向けに2023年9月11日に開催された国際調達プログラム(INSP)と、9月12ー15日に開催された44カ国の出展者が参加する見本市の2つのプログラムで構成され、予備的計算によると、INSPの成約額は12億2,000万リンギ、見本市の成約額は18億9,000万リンギに達した。バーチャルINSP商談会は11月30日まで行われるため、成約額はさらに上積みされるとみられる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、「マレーシアのハラル産業マスタープラン2030では、ハラル産業の貢献度について2030年までにマレーシア国内総生産の11%に相当する2,660億リンギを目標としている」と述べた。
MIHAS2023には、100カ国以上から合計3万8,566人が来場し、当初予想の3万5,000人を上回った。うち2万9,090人が直接参加し、9,476人がバーチャルで参加した。 対面のINSPは、マレーシア企業469社と、11社のプレミアムバイヤーを含む44カ国の231人の海外バイヤーが合計2,788件の商談を行った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)