希土類元素の埋蔵量は1兆リンギ相当=パハン大准教授

【クアラルンプール】 マレーシア・パハン大学のモハマド・ユスリ・ユヌス准教授は、放射性のない希土類元素(NR-REE)の国内埋蔵量は推定1,610万トンあり、1兆リンギの収入を国にもたらすことができると主張した。

代表的元素はプラセオジム、ネオジム、ジスプロシウムの3つで、電気自動車や風力タービン、家電のモーターに使われる強力磁石の生産に欠かせない。市場価格は1トン当たりそれぞれ57万7,212リンギ、59万3,336リンギ、196万リンギに上り、トレンガヌ、クランタン、ペラ、パハン、ケダの各州に埋蔵されているという。

鉱物持続可能性・資源回収センター長でもあるモハマド・ユスリ氏はウトゥサン・マレーシア紙の取材に対し、パハン州ゲベンにある豪州系ライナスの希土類加工工場の経験からマレーシアは学び、国産の加工工場を開発すべきと指摘。パハン州ガンバンや同州北部に埋蔵されている希土類元素は100年以上採掘が可能だとし、同州だけで毎年数十億ドルの収入になるため開発すべきと述べた。

アンワル・イブラヒム首相は最近、乱開発を避けるため希土類元素の輸出を禁止する方針を明らかにしている。希土類の採掘は森林保護区や環境上重要な森林では禁止されている
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、9月15日)

 

独自のカーボンクレジットの導入、ジョホール州が計画

【イスカンダル・プテリ】 ジョホール州政府は州議会に、州独自のカーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減証明)の導入案を提出した。一定の水準を超え二酸化炭素を排出する事業体に、超過分を税として納入することを求める内容だ。税収増が狙い。

提出に当たった気候変動災害対策特別委員会のアヌアル・アブド委員長によると、徴収した税は気候変動がもたらす災害への対策費として利用する。納税先は州政府に限定せず、連邦政府になる可能性もあるという。

アヌアル氏によると、特別委員会はまた、マレーシア気象局が州内全域に、気象データを自動的に集める測候所を設置できるよう、気象局に資金を出すことも提案している。
(マレー・メイル、9月14日)

プロトンが「X90」をリコール、配線の欠陥で発火の恐れ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは13日、今年5月に発売した同社初のハイブリッド車であるスポーツ車(SUV)「X90」について、配線の欠陥で発火する恐れがあるとしてリコールすると発表した。「X90」は8月末までに累計2,944台が販売された。

プロトンは、社内調査でアース接続の一つに問題がある事が判明したとした上で、「継続的に大きな電流が流れると接続部分が過熱し、防音材に近いため熱事故が発生する可能性がある」と説明。懸念の声が上がっていた車載の48ボルト・マイルドハイブリッドバッテリーが原因ではないと強調した。

「X90」の所有者には、プロトンのディーラーから個別に連絡があり、車両を検査のために持ち込むよう指示がある。必要に応じて、熱リスク排除のためにサービス・センターによる修理作業が行われるという。
(マレー・メイル、ポールタン、9月13日)

GSTの再導入前に、富裕層の補助金削減が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、物品・サービス税(GST)について、GSTは最も効率的かつ透明性の高い税制であると認めたものの、導入時期については、もう少し時間が必要だとし、まずは富裕層の補助金を削減しなければならないとの見解を示した

シンクタンクの米ミルケン研究所が開催した「第10回アジアサミット」において、ブルームバーグのインタビューに応じたアンワル首相は、マレーシアはアジアの中で補助金支出額が最も高い国の一つであるとした上で、政府は出来るだけ早く補助金を削減する必要があるとした。

一方で投資について、アンワル首相は、1990年代に成功した例を挙げて、誘致を確実にするため政策を明確にすることに重点を置いているとコメント。適切な政策と明確な経済政策により1990年代よりも良い結果を出すことができると述べた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、9月13日)

レアアース原料の輸出禁止、年内に開始する見込み=環境相

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は13日、希土類元素(レアアース)採掘の標準運用手順(SOP)について、年内に施行される見通しだと明らかにした。アンワル・イブラヒム首相が11日の下院議会で「国産レアアース原料の輸出を禁止する」と述べたことを受けてのもので、輸出禁止についてSOPに明記されると見られる。

ニック・ナズミ大臣は、レアアースに関するSOPは閣議ですでに承認され、10月2日に開催される鉱物資源産業開発調整委員会でSOPの全国展開に関して協議される予定だと述べた。SOPの一部は天然資源環境気候変動省とその傘下の鉱物地球科学局、その他の開発関連部分は経済省、投資貿易産業省などが管轄するとしている。
(エッジ、9月13日)

人工島のマラッカゲートウェイ、開発再開へ

【マラッカ】 430億リンギを投じマラッカ州沖に人工島を建設する「マラッカ・ゲートウェイ」の推進母体であるKAJデベロップメント(KAJD)は、「マラッカ・ゲートウェイ」の開発を再開すると発表した。

マラッカ・ゲートウェイは、2014年に建設が開始され、2025年までの完成を目指していたが、開発に参加していた中国電力建設が撤退し、2020年には工事の遅延を理由としてマラッカ州政府から建設中止命令が出されていた。KAJDは2022年3月に州政府の承認を得て、1島(PME1)の開発を再開。アンソニー・ローク運輸相も2023年3月、PME1の国際クルーズ船ターミナル(MICT)建設に向けて交渉を開始すると明らかにしていた。

KAJDのダイン・A・マレク会長は声明で、MICTからインフラ建設を再開するとし、MICTは国際クルーズ船やフェリーがマラッカに寄港する際の唯一の港になると言明。クルーズ船により、毎年約350万人の観光客が訪れることが期待できるため、地域経済に寄与しながら、世界で最も有名な観光地のひとつであるマラッカをアピールし、観光活動を増加させていくとしている。
(エッジ、9月11日)

レアアース原料輸出禁止へ、国内産業促進に向け=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11日の下院議会で、資源の流出を防ぎ国内産業を促進するため、国産の希土類元素(レアアース)原料の輸出を禁止する方針であることを明らかにした。ただ禁止時期については言及を避けた。

アンワル首相は、輸出禁止措置により資源の搾取と損失が回避され、国に最大の利益が保証されるとした上で、「国内での原料加工が促進され、国に追加の収入がもたらされるだろう」と言明。レアアース産業において上流、中流、下流部門を統合した詳細かつ包括的なビジネスモデルが作り出されるだろうとし、「レアアース産業が持続可能で環境に優しい非放射性レアアース(NR-REE) をベースとした新たな持続可能な成長源として浮上するだろう」と述べた。

アンワル首相は、レアアース産業が2025年までに国内総生産(GDP)に95億リンギの貢献をもたらし、7,000人分の新規雇用を創出すると予想されていると言明。また持続可能性と責任の原則に基づいて鉱業の包括的な発展を推進するため、国家鉱物政策を起草すると述べた。

マレーシアのNR-REEについては、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相が6月、推定埋蔵量が1,610万トンで推定市場価値は8,096億リンギに達すると明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、9月11日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、クチンにEV充電施設を設置

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、完全子会社であるジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)と提携し、電気自動車(EV)充電施設をサラワク州クチンに設置した。

設置場所はクチンの複合施設「ICOMスクエア」。充電器は3基で、そのうち2基は180キロワット(kW)のDC急速充電が可能となっている。9月中は試験運用を実施し、24時間365日運用する。

ジェンタリ・グリーン・モビリティは7月にEV充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)と提携し、3社の充電施設の横断利用を開始しており、クチンのジェンタリ充電施設利用者は、充電アプリの「セテル」と「ジョムチャージ」を通じて全国600カ所の充電施設も利用できるようになる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、9月7日)

プロトン、1ー8月の販売台数が10万台を突破

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、2023年1ー8月の合計販売台数が前年同期比19.6%増の10万4,602台となり、前年より1カ月早く5年連続で10万台を突破したと明らかにした。市場シェアは推定20.8%。

8月単月の自動車販売台数(輸出を含む)は、1万3,955台となった。総需要量が7万4,200台と見込まれることから市場シェアについては18.8%と推定している。

販売台数が最も多かったのはAセグメントセダン「サガ」の6,585台で、セグメントにおける2位を維持。年初8カ月では4万5,836台となった。2番目に多かったのはBセグメントスポーツ車(SUV)「X50」(2,558台)で、セグメントでトップ。年初8カ月では2万2,750台となった。3番目に多かったBセグメントセダン「ペルソナ」は2,028台となり、年初8カ月では1万6,561台となった。

最新モデルのDセグメントSUV「X90」は719台、Cセグメント多目的車(MPU)「イゾラ」が409台で、それぞれセグメント・トップとなった。年初8カ月ではそれぞれ2,944台、3,150台となった。このほかCセグメントSUV「X70」は1,002台(年初8カ月は7,999台)、Bセグメントハッチバック「アイリス」は654台(年初8カ月は5,362台)となった。

販売会社プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、最近セランゴール州シャアラムの社内試験施設が試験所や校正機関の正確さを認定する国際規格「ISO17025」の認定を受けたことや、電気自動車(EV)分野への参入が間近に迫っていることもあり、より良い製品とサービスを目指す同社の努力は今後も継続されるだろうと言明。通年での前年を上回る通年販売記録達成に向けて順調に進んでいると述べた。

韓国のNX3ゲームズ、クアラルンプールに地域本部を開設へ

【クアラルンプール】  韓国のゲーム会社NX3ゲームズは、来年までにクアラルンプール(KL)に地域本部を開設する見通しだ。

韓国を公式訪問中のファーミ・ファジル通信デジタル相が7日にNX3ゲームズの本社を訪問した際、同社経営陣から地域本部開設の意向を示されたという。NX3ゲームズは米国に拠点を構えており、マレーシアが海外進出2カ国目となる見込み。

ファーミ大臣は、NX3ゲームズとマレーシア・デジタル経済公社(MDEC)と間の協力関係についても検討が行われているとし、KL拠点には、ゲーム配信、研究開発、コンテンツデザインの3部門が設置される予定だとした。

NX3ゲームズのテレンス・キム最高コンテンツ責任者(CCO)は、マレーシア進出によりゲーム産業での大きな可能性が見いだせるとし、KLでの事業拡大のチャンスに興奮していると述べた。

ファーミ大臣はまた、韓国ゲーム会社のスマイルゲートも訪問し、マレーシアでの事業拡大を呼びかけたと述べた。スマイルゲートは3月に米サンフランシスコで開催された「ゲーム開発者会議2023」でMDECと会談し、協力関係強化について合意したという。
(エッジ、ベルナマ通信、9月7日)