投資持株会社のLSH、4月からKLタワーを運営

【クアラルンプール】 投資持株会社リム・ソンハイ・キャピタル(LSH)は4月1日から、子会社を通じて、KLタワーの運営管理・保守業務に当たり、クアラルンプール(KL)のランドマークのさらなる活性化を目指す。

業務に当たるのは、完全子会社のLSHベストビルダーズが株式の7割を保有するLSHサービスマスター。昨年、首相府傘下の官民連携部門(UKAS)から、KLタワーの20年間の営業権を獲得していた。

タワーの運用コストは年間1,030万リンギと見積もられている。入場料の徴収などによる年間収益の15%を政府が受け取るという。イベント展開、小売スペースの開発なども許可されており、7,020万リンギをかけ新たな施設の建設を予定している。

KLタワーはもともと政府系通信大手のテレコム・マレーシア(TM)の通信塔として1996年に完成。2021年に観光を中心とした施設として運営されることになった際、所有権移転をめぐり不正問題が発覚したことから、政府所有になっていた。

LSHは21日、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のLEAP市場(有力起業家促進プラットフォーム)からACE市場への上場移行が予定されており、その一環でKLタワーの今後の運営計画を10日、発表した。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、3月10日、ザ・スター、3月11日)

ブルネイとまたがる鉱区で初の石油生産

【クアラルンプール】 マレーシア領海とブルネイ領海に鉱区がまたがっているグムスト・カカプ/ゲロンゴンジャグス・イースト第4期事業で初の石油生産・積み出しが行われた。石油・ガス資源の管理を国営ペトロナスに代わり行っているマレーシア・ペトロリアム・マネジメント(MPM)が発表した。

グムスト・カカプ油田はサバ州沖、ゲロンゴンジャグス・イーストはブルネイ領に位置している。生産に当たっているのはシェル子会社のサバ・シェル・ペトロリアム(SSPC)で、サバ州沖にあるシェルの浮体式生産設備が貯蔵・積み出しを行う。

生産井は3つで、2つはマレーシア側、1つはブルネイ側にある。2国間協力に基づく生産で、MPMとブルネイ当局が設置した一体化管理委員会が事業全体を管理している。グムスト・カカプは水深1,200メートルの深海鉱区。
(ザ・スター、3月11日、ベルナマ通信、エッジ、3月10日、ビジネス・トゥデー、3月7日)

B2Bに特化した新興アセンドエアウェイズ、年内に運航開始

【クアラルンプール】 B2Bビジネスサービスに特化した新興航空会社、アセンド・エアウェイズ・マレーシアが、ボーイング「B737-800型機」4機と「B737 MAX」型機8機で年内にも運航を開始する計画だ。

アイルランド・ダブリンに本拠を置く航空機、乗務員、整備、保険 (ACMI) 航空会社、アビア・ソリューションズ・グループ(ASG)の子会社である英アセンド・エアウェイズの支援を受け、ACMIに重点を置くという異なるアプローチを採用する。

季節的な航空需要に対応するため、マレーシアと英国の姉妹会社との間で輸送能力を季節ごとに移動させ、季節的なニーズを持つそれぞれの地元の航空会社をサポートする。これにより自社の航空機と乗務員の年間利用率を維持することが可能になる。チケットを乗客に直接販売するのではなく、クライアントである航空会社にACMIソリューションを提供し、ピークシーズンには航空会社に代わってフライトを運用して追加の需要を獲得する。

現在、マレーシア民間航空局(CAAM)に航空運送事業許可(AOC)を申請中で、マレーシア航空委員会(MAVCOM)から不定期航空サービスを提供する航空輸送業者に必要となる航空運送事業サービス許可(ASL)を取得し次第、運航を開始する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン電子版、3月10日)

移動通信のセルコムDigi、中国系2社と提携

【バルセロナ】 携帯電話サービス大手のセルコムDigiは、中国系通信機器のZTE(マレーシア)およびファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)マレーシアと協力覚書を、スペインのバルセロナで開催されたモバイルワールドコングレスの会場で交わした。最先端技術を取り入れる。

ZTEとの提携では新通話、ディープパケットインスペクション(DPI)、高度な保守など人工知能(AI)を活用したソリューションを提供し、通信の接続性を高め、企業業務のデジタル化を後押しし、マレーシアが推進するデジタル転換の加速に貢献する。

ファーウェイとの提携では、固定電話と携帯電話を融合した(FMC)通信ネットワークを構築する。ファーウェイのAI活用ソリューションをてこに、インテリジェント・オートメーション(AIとオートメーション技術を組み合わせ、業務を自動化する技術)やネットワーク最適化を提供する。FMCでは1つの端末や電話番号で、固定電話と携帯電話の両方の機能を利用できる。覚書締結式にはテオ・ニエチン通信副大臣が立ち会った。
(ザ・スター、3月7日、エッジ、ビジネス・トゥデー、3月6日)

エアアジア、国内線をスバン空港からKLIA2に移転

【クアラルンプール】 格安航空エアアジアは、4月7日よりセランゴール州スバンのスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)の国内線運用を中止し、クアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル2へ一本化する。スバン空港への乗り入れ再開からわずか7カ月での撤退となる。

エアアジアは声明の中で、「乗客の動向と業務上のニーズを綿密に評価しているが、KLIA2は効率とサービスの質を高めるための最適なプラットフォームを提供している」と説明。「コタキナバルやクチンなどの主要目的地を結ぶ乗客数は前年比16%増と大幅に増加しており、KLIAターミナル2に業務を統合することで増加する交通量をより効果的に管理できるようになる」とした。

エアアジアは昨年8月のスバン空港のナロージェット機乗り入れ再開を受けて、同空港への乗り入れを再開し、スバン空港とコタキナバルとクチンの2都市を結ぶ週14便の運航を開始していた。エアアジアの早々の撤退で、航空アナリストらはスバン空港拡張計画にも影響を与える可能性を指摘している。

スバン空港の拡張計画は、旅客取扱能力を3ー4年で年間500万人に、2030年までに800万人にそれぞれ増やすことを目指している

エアアジアがスバン空港からの撤退を決めたことで、同空港からジェット機を運航する航空会社はファイアフライ、バティック・エア・マレーシア、トランスヌサ、シンガポールのスクートの4社のみとなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、3月6日)

「メナラムルデカ118」への専用道ベルフィールドトンネル開通

【クアラルンプール】 超高層ビル「メナラ・ムルデカ118」に車でアクセスするためのベルフィールド・トンネルがこのほど開通した。ビルの高層階を占める5つ星ホテル「パークハイアット・クアラルンプール」のオープンを今年第2四半期に控え、クアラルンプール(KL)の新たなランドマークとして開業準備が進んでいる。

ベルフィールド・トンネルは、クラン川沿いのジャラン・サイード・プトラとジャラン・ダマンサラの2つの入口からアクセスできる。長さ約1キロで、ビルの地下駐車場に直結した2層式専用道になっている。地下駐車場には最大8,000台分の駐車スペースがある。このトンネルにより、ビル周辺の渋滞緩和も期待されている。

ビルを運営する、政府系投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の子会社PNBムルデカ・ベンチャーズによると、パークハイアットホテルに続き、来年6月にショッピングモール「118モール」も開業を予定している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月2日、ポールタン、3月5日)

ジョホールのアウトレットに500台の最大級EV充電ハブ

【クアラルンプール】 ジョホール州のジョホール・プレミアムアウトレット(JPO)に500台分の電気自動車(EV)充電施設が整備される。JPOを運営するゲンティン・サイモンは、一般利用可能な施設としては東南アジア初となる出力1メガワット(MW)の充電器など、エリア最大級の急速EV充電ハブを目指す。

設置されるのは、出力280キロワットから1MWのDC(直流)急速充電器。石油・ガス(O&G)のインソン傘下のチャージEVと、ジョホール州のバス事業者ハンダル・インダーの子会社DCハンダルが協力する。すでに両社で約30基の充電器が稼働しているという。

1MW充電器は主にEVトラック向けだが、JPOと公共交通機関や入国管理事務所などを結ぶシャトルバスのEV化が計画されており、その利用も想定されている。

さらに、時間単位から借りられるEVレンタカー業者もすでに営業所を開設している。

ゲンティン・サイモンのジャン・マリー社長兼最高経営責任者(CEO)は「JPOはマレーシアやシンガポールから多くの人が訪れており、EVインフラを備えることで、ネットゼロ(二酸化炭素排出実質ゼロ)に貢献していきたい」と語った。
(ソヤチンチャウ、2月28日、モタオート、3月2日)

イスラム開発局、外国のハラル認証3機関の認定を取り消し

【クアラルンプール】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)は2月28日、外国のハラル(イスラムの戒律に則った)認証機関3機関の認定を取消、これらが認証したハラル製品のマレーシアへの輸入を禁止すると発表した。

JAKIMのシラジュディン・スハイミー局長によると、JAKIMによる認定が取り消された外国の3機関は▽中国の中国イスラム協会(CIA)▽クロアチアのハラル品質認証センター(CHQC)▽フランスのリヨン大モスク儀式協会(ARGML)――で、これにより3つの機関が認証した外国製ハラル製品の輸入は即日禁止となる。

認定取り消し措置は3つの機関が問題を解決し、JAKIMの要求通りに改善するまで実施される。なおシラジュディン氏は「認定取消以前にマレーシアに輸入されたハラル認証商品については懸念はないが、必要に応じて国内取引物価省と協力して市場から撤去する」としている。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月28日)

南北高速道路に初のEVトラック対応の充電ハブ開設

【クアラルンプール】 高速道路で初となる電気トラック(EVトラック)対応の充電ハブが、ジョホール州北部の南北高速道路タンカック料金所近くのピットストップに開設された。

運営するのは、石油・ガス(O&G)のインソン傘下のチャージEV。北行きと南行きの両方からアクセスでき、乗用EVも含め8台分のスペースが確保されている。DC急速充電で最大出力は400キロワット。EVトラックでクアラルンプールとシンガポール間を安心して走行できるようになるという。周辺にはフードコートなども整備されている。利用料金は1キロワット時(kWh)あたり1.6リンギ。蓄電容量400メガワット時(MWh)のバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)も備えられている。
(ポールタン、2月27日)

高度医療の病院、KL中心部に隣国企業が開設へ

【ペタリンジャヤ】 シンガポールを拠点とする投資コンサルティング会社、ブラック・グループ・インベストメント・ホールディングはクアラルンプール中心部に最先端の医療施設を整備する。投資額は1億シンガポールドル(約3億3,145万リンギ)。9月の開業を目指している。

アラン・リー最高投資責任者によると、医療観光に軸足を置いた病院で、アンチエイジング医療  再生医療、細胞治療(欠損した細胞や病気の細胞を補うために健康な細胞を体内に移植する治療)などの高度医療サービスと、もてなしを組み合わせる。従来型病院とは異なるという。

高級サービスアパート用に建設された商業施設を買収し、医療ホテルに改装する。マレーシア参入に備えブラック・グループは1月、クアラルンプールを中心に商業不動産の売買、管理を手掛けるマレーシア企業ブラック・ダイヤモンド・アセット・マネジメントを買収していた。

リー氏は「このプロジェクトは医療業界の新たな基準になり、医療観光の目的地としてのマレーシアの地位強化になる」とした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、2月27日)