マレーシア航空親会社、ブラヒムズの機内食部門買収を検討

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、先ごろ機内食サービス契約を打ち切ったブラヒムズ・フード・サービス(BFS)の経営権取得を選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。

マレーシア航空(MAB)は現在BFSの株式の30%を保有しており、ブラヒムズ・ホールディングス(BHB)が残りの70%を保有している。MAGグループのイザム・イスマイル社長は、BFS買収について同グループが機内食事業を継続する上での選択肢のうちの一つだと説明。BFSの残余株70%をBHBから購入することを検討していると述べた。

BFSの評価を行うために、すでにBHBとMABの両社により共同評価者としてデロイトが任命されており、2週間以内に評価作業が完了する予定。 これに基づきMAGはBFSの株式取得に関してBHBとの交渉を続行するかどうかを決定する。

イザム社長によると、MAGはこのほか多様な機内食サービス会社を採用することや、長期的に独自の機内食サービス会社を立ち上げることを選択肢として検討している。支配株を持つことを条件に国際的な機内食サービス会社との合弁設立にも前向きだという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、9月5日)

マレーシア航空、8月末で機内食のブラヒムズとの契約打ち切り

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、8月31日付けで機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシーズ(BFS)との契約を打ち切ったと発表した。

BFSは26年にわたり、マレーシア航空に機内食サービスを提供していた。英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」は今年6月、マレーシア航空が「都合による解約」条項を新契約に追加したことにBFSが反発し、契約の延長が危ぶまれていると報道していた。財務省が間に入り、交渉継続のため6月末から8月末まで、2カ月間の契約延長を求め、両社は合意していたという。

MAGはBFSとの契約終了で影響を受ける路線については、グループ企業の協力を得て代替の機内食を提供すると言明。空港ラウンジを運営するMASアワナなどから食料品・飲料を調達し、航空機地上支援会社のアエロダラット・サービシズが機内積み込み業務を行うとした。クアラルンプール国際空港(KLIA)敷地内に臨時配送センターも設置したという。その他の路線については、現在機内食を提供しているポス・アビエーションが引き続きサービスを提供するとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月31日、エッジ、8月30日)

フォレストシティの開発、完成しない可能性も=アナリストら

【クアラルンプール】 経営悪化が囁かれている中国の大手デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)がジョホール州沖の人工島で開発中の「フォレスト・シティ」プロジェクトについて、不動産アナリストは、不動産価値が下落しており、完成しない可能性もあるとの見解を示している。

シンガポールを拠点とするカリル・アディス・コンサルタンシーの創設者である不動産専門家のカリル・アディス氏は、カントリー・ガーデンの経営難がフォレスト・シティの流通市場を混乱させていると警告。フォレスト・シティの1ベッドルームのアパートは、当初2020年に1平方フィートあたり約1,200リンギ(257ドル)で発売されたが、現時点での転売価格は1平方フィートあたり541リンギ(116ドル)まで下落していると述べた。フォレスト・シティは15%しか完成しておらず、カントリー・ガーデンの経営難により開発計画がさらに遅れる可能性もあるとしている。
マレーシア不動産業者協会のタン・キエンアウン会長も、カントリー・ガーデンの経営難はフォレスト・シティの資産価値に「間違いなく影響を及ぼす」とし、プロジェクトが継続されても当初の計画通りには完成しないだろうと述べた。

フォレスト・シティはジョホール海峡を埋め立て造成した4つの人工島(面積は合計30平方キロ)に、20年かけ商業ビル、住宅を総合的に建設する総工費1,000億米ドルの大規模開発。中国政府が2016年に発表した資本持ち出し規制により中国人バイヤーのキャンセルが相次いだこと、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響などから経営に打撃を受けていた。アンワル・イブラヒム首相が先に救済措置の一環として、投資誘致に向け、金融特区を設けると発表していた。
(ベナル・ニュース、8月29日)

新産業マスタープラン2030を発表、330万人の雇用創出目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は1日、向こう7カ年の「新産業マスタープラン2030」(NIMP2030)を発表。目標達成に向けて7年間で推定950億リンギの投資が必要になると述べた。330万人の雇用創出を目指す。

「NIMP2030」は経済の複雑化、国内の産業連携の強化、世界のバリューチェーンにおけるマレーシア産業の上位位置づけなどの戦略を通じて、長期的かつ持続可能な成長に向けたマレーシアの産業能力と回復力を構築することが目標。投資の大部分をプライベートエクイティ(PE)、資本市場、金融市場からの民間投資で賄い、残り10%あまりをNIMP産業開発基金とNIMP戦略的共同投資基金を通じて、政府が支援する。

具体的には、製造業の付加価値を2030年までに6.5%増の5,875億リンギに増やすことを目指す。 (空白削除)「NIMP2030」により、電気・電子(E&E)、化学、電気自動車(EV)、航空宇宙、医薬品、鉱物・金属などの先端材料など影響の大きい分野において61%の増加を見込む。雇用に関しては、2023年から年率2.3%の成長が見込まれ、2030年までに330万人分の雇用創出を図る。これらの施策により、製造セクターの給与中央値が年率9.6%上昇し、2021年の1,976リンギから2030年には4,510リンギへ128%増となるとしている。

また目標を達成するため、▽経済の複雑性を促進し、産業を変革し、より洗練された製品を生産する▽テクノロジーやデジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れ、革新や生産性の向上に取り組む▽持続可能な実践と環境に優しい取り組みを通じてネットゼロを推進する▽サプライチェーンの安全保障を実現することで経済の安全性や包括性を守るーーの4つのミッションを掲げている。

「NIMP2030」のその他のインセンティブについては、10月に予定されている2024年度予算案で発表される。

スタートアップ企業、25年までに5千社の育成目指す=首相

【ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は、2025年までに新たに5,000社のスタートアップ企業育成を目指すと明らかにした。

28日に開催された国家デジタル経済評議会で議長を努めたアンワル首相は、産業界と政府機関の協力促進のためにイニシアチブ「シングル・ウィンドウ」を導入し、目標達成を目指すと言明。また、2030年までに世界のスタートアップ・エコシステム・ランキングでトップ20カ国入りを目標とし、クアラルンプールを域内のスタートアップ企業およびデジタルの拠点とすると述べた。

同日の国家デジタル経済評議会では、個人の生体的特徴を認証情報として利用する「国民デジタル・アイデンティティ(IDN)」システムの導入を加速することも合意した。システムの導入は国民登録局(NRD)が行う。これにより、柔軟性や安全性を兼ね備えたデジタル環境の中でオンライン取引ができるようになるという。
アンワル首相は、デジタル変革計画の推進を目指し、持続可能なデジタル開発を保証するために公共部門のデジタル化プログラムを強化し続けると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月28日)

フォレストシティ計画にカンフル剤、政府が金融特区を創設

【ジョホール州イスカンダル・プテリ】 政府はジョホール州の人工島プロジェクト「フォレスト・シティ」に金融特区を設ける。同シティに投資を呼び込み、経済活動の起爆剤とする考えだ。

来年度予算案について各州政府から意見、要望を聞くためのもので、財務省と州政府関係者との会合で、アンワル・イブラヒム首相が発表した。

フォレスト・シティは中国の一帯一路構想のもとで提案されたプロジェクトで、ジョホール海峡を埋め立て造成した4つの人工島(面積は合計30平方キロ)でコンドミニアム、学校、オフィスビル、ショッピングモールなどを総合的に開発する。
経営難にある中国の不動産開発大手の碧桂園と、ジョホール州政府と州のスルタンを後ろ盾とするエスプラネード・ダンガ88の合弁事業。

アンワル氏は、熟練労働者に対する特別所得税率(15%)や数次ビザなど、イスカンダル・マレーシアに与えている優遇措置をフォレスト・シティにも与えると述べた。

そうした措置によりビジネス経費は低くなり、隣接するシンガポールの経費が高いことを考慮すれば、投資をさらに呼び込めるという。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、8月25日)

投資開発庁、製造業の主要証明書3種をデジタル化

【クアラルンプール】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は28日、製造業における主要証明書3種をデジタル化したと発表した。

対象となったのは、▽製造許可証▽石油開発法に基づく許可証(PDA許可証)▽パイオニアステータス証明書ーー。マレーシア投資ポータル(https://investmalaysia.mida.gov.my)で申請が可能。 投資貿易産業省(MITI)トラストマーク(製造許可証、PDA許可証)とMIDAトラストマーク(パイオニアステータス証明書)を統合しデジタル証明書に埋め込んでおり、「1997年電子署名法」および「1998年電子署名規則」の規定に従い、文書のセキュリティを強化している。安全なQRコードも組み込まれ、検証ツールでスキャンすることで証明書の真正性を保証する検証手段も提供する。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、製造業証明書のデジタル化は、公共サービスの近代化、再考、再構築に向けた重要な一歩であり、投資家により包括的で、シームレスで、個別化されたサービスを提供できるようになるとコメント。MITIは、今後もMIDAを通じて、説明責任、透明性、サイバーセキュリティの向上を目指し、マレーシアの域内デジタルハブとしての位置づけの強化を図ると述べた。

MIDAのアルハム・アブドル最高責任者は、デジタル化により処理時間を短縮し、認可プロセスを改善すると同時に、将来のニーズを見据えたデジタルトランスフォーメーション(DX)目標も達成できると述べた。MIDAは今後も革新的であり続け、ビジネスを支援していくとしている。
(エッジ、8月28日、MIDA発表資料)

国家エネルギー移行ロードマップ第2期を発表、融資枠を設定へ

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は29日、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)第2期を発表。融資枠である国家エネルギー移行ファシリティ(NETF)を設定し、20億リンギを割り当てると明らかにした。

アンワル首相は、エネルギー移行における最重要課題は資金調達であり、2023ー2050年に少なくとも1.2兆リンギの投資が必要であると言明。今後10年間だけでも、公共交通機関の拡大、送電網インフラの強化、人的資本の再教育などに600億ー900億リンギが必要だとし、エネルギー移行プロジェクトに資金を供給するNETFに20億リンギを割り当てることを決定したと述べた。

NETFは政府の資金投入と民間融資との混合を目的としたもので、政府投入資金の3ー4倍の資金を調達することを目指す。投資対象分野は、電気自動車(EV)バリューチェーン、水素、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術などとなる。

アンワル首相はまた、NETR第2期では、NETRの進捗状況を監視する国家エネルギー評議会を発足し、余剰電力の収益化を可能にする再生可能エネルギー取引所を2024年までに設立すると言明。ソーラーパネル、EV充電設備、バッテリー・エネルギー貯蔵など、クリーンエネルギーへの移行は、サプライチェーン全体に大きなビジネスチャンスがあるとした上でエネルギー移行は投資機会の拡大や経済の再構築にもつながるとし、NETRは、マレーシアがエネルギー移行の域内リーダーを目指す上での方針を明確にするものだとした。

ラフィジ・ラムリ経済相は、アンワル首相の発表を受け、第1回国家エネルギー評議会を10月に開催するとし、同評議会ではアンワル首相が議長を、経済省が事務局を務めると述べた。会合では、NETRの実現に向け、ハイレベルの戦略的方向性や政策を定め、各作業委員会が進捗状況の報告を行うとしている。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月29日)

税務関連申請、9月より段階的にオンライン申請を義務づけ

【プトラジャヤ】  内国歳入庁(IRB)は22日、9月1日から段階的に税務関連の申請に関し、ポータルサイト「マイ・タックス」(https://mytax.hasil.gov.my/)の利用を義務づけると発表した。

IRBは声明で、「マイ・タックス」の利用義務化は、「フル・オンラインサービスの数を徐々に増やしていく」という政府の方針に沿ったもので、2024年1月1日までに完全なオンライン移行を目指すと述べた。

納税者識別番号(TIN)の登録、暗証番号のオンライン申請、納税申告書(BNCP)の提出、個人情報の更新などが義務化の対象となる。一方、税のオンライン支払いは強く推奨されるものの、義務化の対象外となる。義務化の詳細はこちら(https://www.hasil.gov.my/e-perkhidmatan/)から確認可能。

IRBはまた、納税者に対し、納税過程を安全かつ一元化するために、代理店を介在させず、オンラインなどでの直接納税に切り替えるよう勧告した。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、8月22日)

UMWホールディングスの自動車販売台数、7月は47%の大幅増

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 UMWホールディングスは21日、傘下のUMWトヨタ・モーター(UMWT)およびグループ会社のダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)の2023年7月の販売台数が、前年同期47%大幅増の3万6,780台となったと発表した。

UMWトヨタ・モーター(UMWT)の「トヨタ」と「レクサス」の両ブランドを合わせた販売台数は8,349台となり、前年同期から26%増加。Bセグメント・セダン「ヴィオス」とピックアップ・トラック「ハイラックス」、Cセグメント小型クロスオーバー車「カローラ・クロス」が好調だった。1ー7月の販売台数は、前年同期比8%増の5万7,008台となった。

一方で、プロドゥアの7月単月の販売台数は、前年前月比55%増の2万8,431台となった。サプライチェーンの改善により生産台数が増加したことが貢献した。年初7カ月では、前年同期比19%増の17万3,121台だった。

UMWホールディングスのアハマド・フアド社長兼最高経営責任者(CEO)は、需要が引き続き健全だったことで、7月の販売台数はUMWT、プロドゥア共に好調だったとコメント。年初からの販売台数も前年に比べて高い状態を維持しているとし、今後も顧客のニーズに応えるために競争力のある新モデルを投入し続けていくとした。