サイパーク、再生エネ事業でセランゴールFCと提携

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)のサイパーク・リソーシズは、プロサッカークラブであるセランゴールFCの投資部門、RGFCベンチャーズと合弁で特別目的会社を設立すると発表した。合弁会社の資本金や設立日時、会社名などは明らかにされていない。

サイパークがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、合弁会社にはサイパークが80%、RGFCが20%出資する。サイパークはRGFCと、先に発表された「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」に沿って、セランゴール州内でのRE発電所の開発、ネットメータリング(NEM、太陽光発電と消費電力を相殺する仕組み)を通じた太陽光エネルギー住宅事業などの事業機会を探るための事業探求覚書(MOBE)を締結した。

両社はまた、セランゴール州内の環境・社会・企業統治(ESG)関連のエンジニアリング調達・建設の機会を模索し、太陽光発電所、廃棄物発電所、住宅用RE設備などのプロジェクトの実施を共同で行う意向だ。
RGFCにとっては、セランゴールFCがサッカー以外の収入を得ることで財政の持続可能化を図るメリットがある。
(ザ・スター、8月2日、エッジ、8月1日、サイパーク発表資料)

独ボッシュ、ペナンに半導体のテストセンターを開所

 【ペナン=マレーシアBIZナビ】 独系ロバート・ボッシュは、半導体とセンサーのテストを行うバックエンドサイトをペナン州バトゥ・カワン工業団地に開設した。投資額は6,500万ユーロ(3億2,320万リンギ)。さらに今後10年半をかけて段階的に2億8,500万ユーロ(14億リンギ)を追加投資する計画だ。
テストセンターの床面積は1.8万平方フィートで、主に半導体の最終テストを実施する。同社は現在、半導体の最終テストを、ドイツのロイトリンゲン、中国の蘇州、ハンガリーで行っており、同センターはボッシュにとり東南アジアで最初のテスト施設となる。2030年代半ばまでに最大で400人分の雇用創出が見込まれている。

ボッシュは、ペナンにはサプライヤーや半導体企業があり、半導体のエコシステムがあること、半導体に関する高レベルの知識を持った熟練労働者がいること、ビジネスパートナーや顧客との距離が近く配送時間を短縮できることなどから投資先にペナンを選んだ。

 1日に開催された開所式に参加したペナン州のチョウ・コンヨウ首相によると、ボッシュはこれまでにペナンで、自動車エレクトロニクス、電動工具、自動車のステアリングの生産施設を開設しており、今回開所したテストセンターは、4カ所目の施設となった。

マクドナルドマレーシア、100店舗に太陽光発電設備を設置へ

【クアラルンプール】 マクドナルド・マレーシアは、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の太陽光発電部門であるGSPARXと提携し、2024年12月までに100店舗に屋根置き太陽光発電(PV)設備を設置する計画だ。

同社は28日、GSPARXとの間で再生可能エネルギー(SARE)供給契約を締結した。GSPARXは発電容量2.5メガワット時(MWh)のPVシステムを管理する。これにより、マクドナルドは電気料金をおよそ700万リンギ節約できるようになるという。店舗へのPV設備の設置は、今年6月からスタートしており、39カ所の店舗に設置した。設置費用は300万から400万リンギ。

マクドナルドは2017年に、炭素排出量を削減するため5カ年計画を開始。PV設備以外にも太陽熱温水器、発光ダイオード(LED)街路灯などの設置を実施している。そのほかには廃棄物管理システムも導入しており、使用済みの食用油をバイオディーゼル燃料に精製し、配送トラックの燃料として利用しているという。

今後の取り組みとしてマクドナルドは、電気自動車(EV)充電ステーションの開発を計画しており、GSPARXと協力して2024年12月までに導入する計画だ。
(マレーシアン・リザーブ、7月28日)

「マダニ経済」基本計画発表、10年内にGDP世界30位目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は27日、10月13日の来年度予算案に先駆けて国民所得の増加や国家経済の再構築などを目指した新たな経済マスタープラン「マダニ経済:国民力の強化」を発表した。

同10カ年計画では、▽国内総生産(GDP)の世界トップ30位入り▽世界競争力指数におけるトップ12位入り▽従業員報酬のGDP比45%への引き上げ▽女性の労働参加率の60%への引き上げ▽人間開発指数におけるトップ25位入り▽汚職認識指数におけるトップ25位入り▽財政赤字の対GDP比を3%以下に引き下げーーの7つの指標について10年内の達成を目指すとしている。

アンワル首相は、マレーシアをアジアの経済リーダーにするための経済再編が主な焦点であると強調。2022年時点で世界37位のGDP(世銀発表)について、「現状でも今後4ー5%の成長を維持し続けるだろうが、懸命に改革を実行すれば、5.5ー6%の成長も可能だ」とした。

アンワル首相は、マレーシアが依然として高コスト、低競争力、低賃金という悪循環に陥っているため、「ワワサン2020」(2020年までに先進国入りする国家目標)の願望や過去の壮大な約束は達成不可能だとした上で、長年にわたる劣悪な統治、経済構造の亀裂、エリートによる支配からの脱却を必要としていると指摘。「国の衰退の一因となった悪しき慣行や政策を未だに擁護する人々がいることは非常に残念だ」と述べた上で、「我々は国民により正直に、より勇敢に新たな現実を受け入れるよう呼びかけたい」、「我々は新たな経済枠組みを必要としている」と述べた。

アンワル首相はこのほか、年収10万リンギ以下の中間所得層(M40)と低所得者層(B40)の成人(21歳以上)を対象に各100リンギをイーウォレットを通じて給付すると発表。給付額は総額10億リンギに上る見込みだとした。政府は先ごろ、18歳から20歳の若者約200万人を対象に200リンギの給付を発表しており、今回の給付はそれに続くもの。

アンワル首相はまた、130万人の公務員を対象とした300リンギの給付、100万人以上いるとみられる退職公務員への200リンギの給付なども発表した。

物価上昇はさらに鈍化する、エコノミスト予想

【クアラルンプール】 消費者物価指数(CPI)は6月、10カ月連続で前年同月を下回り、物価上昇圧力が弱まっていることが示されたが、上昇はさらに鈍化するとエコノミストは予想している。

鈍化傾向があまり見えなかったコアCPI(CPIから、物価変動の激しい生鮮食品と価格統制品を除いた数値)の上昇率も6月は3.1%と、5月の伸び(3.5%)を下回った。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ氏は「予見しうる将来、マレーシアは低率の物価上昇の時期に入る」と述べた。

上半期のCPI上昇率は3.2%で、バンク・ムアマラットのアフザニザム主任エコノミストは、燃料補助に大きな変化がない限り、下半期のCPI上昇率は2.7%に鈍化すると述べた。

ほかの多くの国でも物価上昇は鈍っており、エコノミストのマノカラン・モタイン氏によると、昨年はロシア・ウクライナ戦争や供給網の寸断が物価に影響したが、今年はこうした影響も弱まっており、物価上昇の鈍化につながったという。

アフザニザム氏は、物価上昇鈍化で金融引き締めの必要性は減じたと指摘。年内の利上げはないと予想している。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月25日)

ニシン、豪ブイモトの電動バイクを国内組立へ

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループは、豪州の電動バイクメーカーであるブイモトと提携し、同社の電動バイクのマレーシアにおける組立、販売促進、流通を検討すると発表した。

ニ・シンが24日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、完全子会社ニ・シンEVテック(NHEV)を通じ、ブイモトとの間で、電動バイクの組立、販売促進、流通を行うための事業協力に向けての覚書(MoU)を締結した。NHEVが有する、国内での企業対個人(B2C)、企業対企業(B2B)、企業対政府(B2G)販売チャネルを活用する。MoUの有効期間は2025年12月末まで。

NHEVのコー・チーコン社長は、両社の提携により国内二輪車EV市場でシェアを拡大できるとし、ブイモトが製造する高性能の電動バイクは、企業や政府機関などのセキュリティ強化に適していると言明。NHEVの取引先には、B2B、B2G分野の警察、軍隊、道路交通局、税関、港湾、警備会社などが含まれていると述べた。
ニ・シンによると、マレーシアは内燃機関二輪車市場として世界第12位であり、2014ー2022年に400万台が販売されているが、EVはそのうち1.7%に過ぎず、成長余地が大きいという。
(ザ・スター、7月25日、エッジ、7月24日)

英ロータスの電動SUV「エレトレ」、予約数が500件を突破

【クアラルンプール】 英系スポーツカーのロータス・カーズ・マレーシア(LCM)は、ブランド初の電動スポーツ多目的車(SUV)「エレトレ」について、4月の公式発表以来、500台以上の予約を受け付けたと明らかにした。

LCMは公式発表時に、マレーシア市場には200台が割り当てられており、そのうち140台が受注済みだとしていた。納車は今年第4四半期に開始されるが、注文が殺到しているため、時間を要すると見込まれている。

「エレトレ」は、5人乗りで、荷室容量は688リットル、後部座席を畳むと最大1,532リットル。112キロワット時(kWh)のバッテリーを搭載する。最大350キロワット(kW)のDC急速充電に対応しており、10ー80%の充電時間は20分。
バリアントは3種で、「エレトレ」が57万8,000リンギ、「エレトレS」が64万8,000リンギ、「エレトレR」が79万8,000リンギ。「エレテレ」と「エレトレS」の最高出力は605馬力(PS)、最大トルクは710ニュートンメートル(Nm)を発揮、静止状態から時速100キロメートル(km)までの加速時間は4.5秒、最高速度は時速258km、航続距離は600km。「エレテレR」の最高出力は905PS、最大トルクは985Nm、加速時間は2.95秒、最高速度は時速265km、航続距離は490kmで、ロータスによれば、デュアルモーター搭載の電動SUVとしては世界最速となる。

車体カラーは全6色。5年・15万kmのメーカー保証および8年・20万kmのバッテリー保証が付属する。
(ポールタン、7月24日)

製造業への50億リンギ以上投資で特別ビザを付与=MITI

【クアラルンプール】  投資貿易産業省(MITI)は24日、マレーシアの製造業に50億リンギ以上投資を行う投資家に対し、「居住者パスー技能(RP-T)」の特別版を提供すると発表した。

MITIの声明によると、今後発表予定の国家投資政策(NIP)および新産業マスタープラン(NIMP2030)で指定される製造業への投資が条件となる。企業のオーナーや経営上層部、主要意思決定者などが対象として想定されており、就労ビザの取得やマレーシア国内での就労経験は不要となる。投資家本人に加え、配偶者、扶養家族も最長10年までの滞在が可能。RP-Tの通常版と同様、タレント・コーポレーション・マレーシアが管轄機関となる。

MITIはまた、製造業におけるデジタルノマド(ITを活用し旅行しながら働く人)向けビザ「DEランタウ」の詳細を発表。マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)が昨年10月に導入した「DEランタウ」を引き継ぐもので、デジタルやテクノロジーに熟練した外国人材が配偶者や扶養家族とともに最長2年間マレーシアに滞在できるようにする。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、多国籍企業がグローバル・リスク分散戦略の一環として、サプライチェーンの安全性を重視する中、マレーシアへの投資を促進するためにRP-TやDEランタウは極めて重要だとし、高額投資や高度なスキルを有する専門家を惹きつけるだけでなく、現地労働力の競争力も向上させ、デジタル起業家精神を刺激すると述べた。マレーシアが高スキル人材を歓迎し、評価する国であるという世界的な評判を高めることで、人材や投資、国際協力の機会を引き寄せることになるとしている。
(ザ・サン電子版、エッジ、ベルナマ通信、7月24日)

通信マキシス、DNBとの間で5G卸売契約を締結へ

【クアラルンプール】 携帯電話サービスのマキシスは14日、政府系デジタル・ナショナル(DNB)から第5世代移動通信(5G)ネットワーク回線の卸売を受ける契約を締結する意向を明らかにした。

前政権が推進していた、5G回線卸売のDNB1社独占体制については、通信各社から異議が出ていたものの、最終的にマキシスを除く通信会社5社▽セルコム・アシアタ▽Digiドットコム▽テレコム・マレーシア▽ユーモバイル▽YTLコミュニケーションズーーが、昨年11月にDNBとの間で卸売契約を締結した。マキシスは、DNBの価格設定条件は商業的に実現不可能で、顧客のコスト上昇や普及率の低下につながる可能性があるとして、見直しを求めていた。

マキシスは声明で、現時点では他の選択肢がなく、卸売契約は自社の利益につながるため締結を決定したとし、契約により年間約3.6億リンギの営業費用が発生する見込みだと述べた。費用は内部調達と銀行借り入れにより賄うとしている。

DNB1社独占体制については、ファーミ・ファジル通信デジタル相が今年5月に見直しを発表しており、DNBが掲げている「2023年年末までの人口集中地区における5Gカバー率80%」という目標の達成後、第2期には別通信企業を公開入札により選定し、最終的には2社のネットワークにより5Gを提供するとしている。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月17日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、7月14日)

自由貿易協定のCPTPP、英国が正式に加盟

【クアラルンプール】 英国は16日、マレーシア、日本、カナダ、豪州などが参加する自由貿易協定「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」に正式加盟した。新規加盟は2018年の、CPTPPの前身であるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の発足以来。

参加11カ国は同日、ニュージーランドのオークランドで閣僚会議を開き、閣僚らが加入に関する議定書に署名し、英国のCPTPP協定加入を正式に決めた。
英国は欧州連合を離脱した後、一昨年加入を申請し、各国と交渉を重ねてきた。来年にも批准手続きがとられる見通しで、CPTPPは欧州にも広がることになる。これにより参加国の国内総生産(GDP)の合計は11兆8,000億米ドルから15兆米ドルに拡大する。

マレーシアを代表し会議に出席したテンク・ザフルル投資貿易産業相は「パーム油、ココア、ゴム、電気・電子製品など英国への輸出品の94%は関税ゼロになる」との声明を出した。

ザフルル氏によると、閣僚会議では、デジタル経済、グリーン経済の領域において協定の内容をさらに深めることを話し合った。

CPTPPには現在、中国、台湾など6カ国・地域が加入を申請している。
(ベルナマ通信、7月16日)