国内最高層ビル「メナラ・ムルデカ118」の点灯式を開催

【クアラルンプール】 国内最高層となるクアラルンプール(KL)の超高層ビル「メナラ・ムルデカ118」の点灯式が10日夜に開催された。

高さ678.9メートル、118階建てで、オーストラリアの建築家フェンダー・カツァリディスが設計を担当した。世界でもドバイのブルジュ・ハリファ(828メートル)に次いで2番目に高い超高層ビルとなる。

ショッピングモールが7階分を占めるほか、オフィススペース、5つ星ホテルの「パークハイアット・クアラルンプール」、東南アジアで最も高い展望台「ザ・ビュー・アット118」などを有する。国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の100%子会社PNBムルデカ・ベンチャーズが運営する。

点灯式に出席したアブドラ国王は、「メナラ・ムルデカ118」は、独立の紆余曲折を乗り越え、多様で多文化的な国家を築き上げたマレーシアの成功の象徴だと述べた。

PNBムルデカ・ベンチャーズは、1957年に開設され、2005年10月に国家遺産に認定されたサッカースタジアムのムルデカ・スタジアムも所有しており、今年第2四半期までに修復を終え、一般公開が再開されるとの見通しも明らかにした。同スタジアムは1957年にアブドル・ラーマン初代首相による独立宣言、1963年にマレーシア連邦成立宣言がなされた歴史的に重要な場所。修復に向け、2016年以降閉鎖されていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、1月10日)

ボルボマレーシア、昨年の販売台数は16%減の2694台

【クアラルンプール】 ボルボ・カー・マレーシア(VCM)は、2023年通年の新車販売台数が2,694台となったと発表した。前年の3,194台からは16%減少したが、電気自動車(EV)販売台数は37%増加した。

マレーシアでは、リチャージ(完全電動車とハイブリッド車を指すボルボ独自の呼称)の販売比率が71%と突出しており(全世界平均は38%)、リチャージ販売上位15カ国・地域にランクインした。EVのみの販売比率は18%だった(全世界平均は16%)。

VCMのチャールズ・フランプ社長は、2023年は、EVの未来に向けた転換の年だったとし、ボルボの完全電動モデルが同社サイトで直接オンライン購入できるようになり、購入プロセスの安全性や透明性が増し、手間もかからなくなったと言明。前年比での販売台数は若干減少したものの、新車種の発売がなかった上でシェアを維持できたことを誇りに思うと述べた。

VCMは2024年に電動スポーツ車(SUV)の「EX30」および「EX90」をマレーシア市場に投入する予定だ。
(ポールタン、1月9日)

海外投資を国内に回すよう政府系企業に指示=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、政府系投資会社(GLIC)や政府系企業(GLC)に対して、海外投資を減らしてその分を国内投資に回すよう指示したことを明らかにした。ただし必要性があれば海外投資を認める柔軟性を維持していくという。

9日の財務省会議に出席したアンワル首相は、「海外投資を行う理由が、国内投資に魅力がないというのであるなら、我々がマレーシアに外国投資家を誘致するキャンペーンを行う根拠はない」と言明。その上で、財務省とパンタウ・マダニに対し、GLICとGLCが「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」と「エネルギー移行ロードマップ」に沿って戦略的投資を実施できるよう、取り組みを調整するよう求めた。パンタウ・マダニは、政府の政策やイニシアチブの実施状況を監視するために2023年12月に設立された独立機関。官僚や専門家、非政府組織(NGO)の代表で構成される。

アンワル首相は、「GLICやGLCのプログラムが政策に則って実施されていることを確認するために、指導者と直接対話することも求めている」と言明。「例えば、エネルギー転換とデジタル変革はこの国にとって非常に緊急かつ重要であり、全員の関与が必要だ。教育システムや企業統治の変革がなければ、遅れを取ることになる」 と述べた。
(ザ・スター、1月10日、エッジ、ベルナマ、1月9日)

プラサラナ、来年から導入するバスをすべてEVバスに=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は9日、公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアに対し、今後電気(EV)バスのみを調達するよう指示したと明らかにした。発注済みのディーゼル・バスの最終ロット310台が来年3月に納入された後、新型バスはすべてEVバスとなる。

プラサラナのバス電化プログラムでは、15台のEVバスがサンウェイBRTシステムのフィーダーバスとして運行されている。また、2025年3月に運行開始予定の首都圏クランバレー軽便鉄道3号線(LRT3、LRTシャアラム線)でもEVフィーダーバス150台を導入予定となっている。

ローク運輸相はこれらに加え、年内にEVバス100台を購入する可能性があるとし、EVバス導入は「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」に沿った動きで、プラサラナは「2037年までにディーゼル・バスを廃止する」という目標を掲げ、2025ー2030年にEVバスを1,166台導入することを目指していると述べた。また、今年第1四半期にはバス・鉄道の駅・停留所など103カ所を対象として、NETRに沿った3つの取り組みを開始するとしている。75カ所にはソーラーパネルを設置する計画で、2027年までに発電容量13メガワット(MW)を目指している。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、1月9日)

ビントゥル港、6月をめどにサラワク州政府に引き渡しへ

【クチン】 連邦政府の管轄下にあるサラワク州ビントゥル港が、今年6月をめどにサラワク州政府に引き渡される見通しだ。2月にも覚書(MoU)が連邦政府とサラワク州政府の間で取り交わされる予定。

連邦政府運輸省とサラワク州インフラ・港湾開発省は8日の共同声明で、同日開催された連邦政府・州政府合同評議会で、半年内にサラワク州政府に引き渡すことが最終決定されたと明らかにした。同会議には連邦政府のアンソニー・ローク運輸相とサラワク州インフラ・港湾開発相を兼任するダグラス・ウガー・エンバス州副首相が出席した。

両者による決定を受け、運輸省は「1981年ビントゥル港湾局法」の廃止法案を今年の連邦議会に提出する方針。一方、サラワク州政府側は、「1961年港湾局令」に基づき、「ビントゥル港湾局(サラワク)」を設立する。ビントゥル港は、連邦政府議会が1981年に「連邦港湾法」によりビントゥル地区を連邦港として宣言した後に建設された。

サラワク州のアバン・ジョハリ州首相は、ビントゥル港を州政府が引き継ぐことで、州政府はサラワク州のすべての港の開発に関する基本計画を立てることが可能となり、各港が貿易とビジネスの促進において独自の特別な役割を果たすことが保証されると同時に、他の主要な国際交通・物流ハブとの船舶連絡も強化することが可能になると述べた。
(ボルネオポスト、1月8日)

キャピタルA、航空部門をエアアジアXに売却・統合

【セパン=マレーシアBIZナビ】 キャピタルA(旧エアアジア・グループ)は8日、グループ合理化及び資金調達策の一環として航空会社部門を傘下のエアアジアX(AAX)に売却・統合する方針を明らかにした。再建を目指すキャピタルAは、デジタル部門などの非航空部門に注力する。

キャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)によると、AAXはエアアジア・マレーシアおよびエアアジア・アビエーション・グループ(AAGL)と合併することになる。AAGL は、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジアのエアアジア子会社を傘下にもつ。キャピタルAは現在、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)より早期の財務改善を求められる「PN17」指定を受けており、資金調達が困難な状況にある。航空事業売却は、グループ内の航空事業の強化と共に非航空部門の成長を目論むキャピタルAが資金調達を目的として行うもの。

フェルナンデスCEOは、売買契約は2週間以内に取り交わされる見通しだとした上で、売却額を含む買収提案の詳細は近く発表されると言明。航空事業売却完了後、6月30日までにブルサ・マレーシアに対し「PN17」指定解除に向けた再建計画を提出すると述べた。

航空事業売却後、キャピタルAは▽テレポート(物流)▽エアアジア・デジタル・エンジニアリング(ADE)(航空機保守、修理、オーバーホール=MRO及び機内食サービス)▽エアアジア・ムーブ(旧エアアジア・スーパー・アプリ)(デジタルサービス)▽サンタン(外食)――の4部門に注力。本社をクアラルンプール(KL)のダマンサラ・ハイツに移転する。

一方AAXは、本社をクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル2に残したまま、エアアジア・アビエーション・グループ(AAG)に改称する。AAGは今後、カンボジアへの進出、保有機材とネットワークの拡大、貨物輸送能力の拡大に向けた戦略的取り組みを進める。保有機材については、2024年3月までに破綻したMYエアラインの機材を含めて206機に、2028年までに333機に増強する。またエアアジア・フィリピン(PAA)とエアアジア・インドネシア(IAA)の持株比率を100%に引き上げる計画だ。

ノースポート、過去最高となる取扱貨物量1140.5万トンを達成

【クアラルンプール】 コングロマリットのMMCグループ傘下で、セランゴール州クラン港で港湾サービスを提供するノースポート(マレーシア)は、2023年通年の在来貨物取扱量が過去最高となる1,140万5,000トンに達したと発表した。

前年比では2.6%増加した。世界経済の低迷にかかわらず、一般貨物が9.5%増加し、バルク貨物(ドライバルクやリキッドバルク)も増加した。RORO船(トラックが貨物を積載したまま運搬できる貨物船)部門では、電気自動車(EV)の取り扱いが大幅に増加した。2023年10月には、月間取扱量でそれまで最高値だった2022年5月の108万トンを上回る、過去最高の113万トンを達成した。

アズマン・シャー最高経営責任者(CEO)は、クラン港では土地が不足している状態だが、生産性の向上とプロセス改善によってそれを補うことができたと説明。新記録の達成は、2023年12月の港湾業務開始60周年記念式典と合わせ、ノースポートにとり特別な意味を持つと述べた。
(ザ・スター、1月5日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、1月4日)

ペナンの計画断水で工場が操業停止へ、数百万リンギ損失の恐れ

【ジョージタウン】 ペナン水道公社(PBAPP)が1月10-14日に大規模断水を計画していることを受け、マレーシア製造業者連盟(FMM)は4日、ペナン州内の多くの工場が操業停止を余儀なくされるとの見方を示した。数百万リンギの損失が出ると懸念されるという。

断水はスンガイ・ドゥア浄水場でのバルブ交換作業と、主要パイプライン数カ所での修理作業のためのもので、州内85%の地域への給水が停止される。

FMMペナン支部のリー・テオンリー支部長は、食品、化学、金属加工、研磨、メッキなど、大量の水を使用する工場が操業できなくなるとし、貯水槽の水はトイレや食堂用でそれも1-2日分しかなく、たとえ巨大な貯水タンクを有していても、タンクの水容量は工場操業1日分程度の量に過ぎないと説明。ペナン支部の会員企業500社だけではなく、消費者60万人も影響を受けると述べた。会員企業の大半は10、11日の両日、操業を停止するとしている。

リー支部長は、「2日間の操業停止は損失や出荷遅延を引き起こし、それを補うための残業も必要となるため、生産コストが上昇することになる」と述べた。PBAPPに対し断水に関する会議設定を依頼したが、反応がなかったという。可能な限り迅速な給水再開を望んでいるとしている。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、1月4日、ベルナマ通信、1月2日)

国民車プロトン、昨年通年の販売台数が9.3%増

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、2023年通年の販売台数(輸出含む)が15万4,611台に達し、前年比9.3%増となったと明らかにした。

販売台数が前年を上回るのは5年連続。2012年以降では最多となった。メーカー別では、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)に次いで、5年連続となる販売台数2位。2023年のマレーシアの市場総需要量(TIV)は79万4,948台と見込まれることから、シェアは推定19.4%となった。

車種別では、▽ペルソナ▽アイリス▽イゾラ▽サガ――の4車種の需要回復が昨年の売上成長を後押しした。ベストセラーはAセグメントセダン「サガ」で、2012年以降で最多となる7万184台に達した。2022年に半導体チップ不足に悩まされたBセグメントセダン「ペルソナ」及びBセグメントハッチバック「アイリス」は、それぞれ48.9%、33.8%増の2万4362台、7,639台に回復。昨年で生産を終えたCセグメント多目的車(MPV)「イゾラ」 も、4.6%増の4,473台となった。

X シリーズのスポーツ車(SUV)も好調を維持。BセグメントSUVの「X50」は3万1,829台、DセグメントSUV「X90」は4,815台、CセグメントSUV「X70」は1万1,200台となった。

工業認証機関シリム、充電式電池試験センターを設立

【クアラルンプール】 工業製品の規格認証機関である政府系シリム(SIRIM、マレーシア標準工業研究所)は13日、国立充電式電池試験センター(NRBTC)の設立により、マレーシアにおける電気自動車(EV)業界のエコシステムが完成したと発表した。これにより需給の両方を刺激することで、EV業界のバリューチェーンが大幅に改善されるとしている。

EVのエコシステムは、EV 充電システムのパターン承認、バッテリーのテスト、EV コンポーネントとシステムの認証で構成される。NRBTCは、大型高出力充電式バッテリーに対する高品質かつ公平な第三者によるテストや検証を提供する。

発表式典に出席したテンク・ザフルル投資貿易産業相は、EVはマレーシアにおける重点分野だとした上で、「マレーシアにおけるバッテリーテストと関連サービスに注目した産業の発展において重要な役割を果たすだけでなく、 マレーシアを EVバッテリーメーカーにとって最適な拠点として位置づけるのにも貢献する」と述べた。

シリムのカイロル・アヌアル・モハマド・タウィ会長は、EVエコシステムで未来を推進することは、マレーシアで高付加価値の雇用機会を創出し、国内の連携を強化し、新規および既存の経済クラスターの発展、環境・社会・企業統治(ESG)の慣行強化に寄与することになると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月14日、マレー・メイル、ベルナマ通信、12月13日)