ボルネオ島初の大規模データセンターをサラワクに設立へ

【クアラルンプール】 ボルネオ島初の大規模データセンターがサラワク州のコタ・サマラハンに開設される計画だ。

サラワクを拠点とするTSGグループとシンガポールの技術パートナーであるサイクレクト・グループが参加する企業連合体フューチャーデータが運営主体となる。フューチャーグリーン地区の複合開発タウンシップに建設され、受電容量は200メガワット(MW)。カーボンニュートラルかつエネルギー効率の高い技術を活用する。入居企業の要望に添った設備を設計・建設・運営するビルド・トゥ・スーツ方式を導入し、国際企業の多様なニーズに応じてカスタマイズを行う。

TSGグループのクリス・チュン最高経営責任者(CEO)は、フューチャーグリーン地区は、医療や教育施設、クチン近郊でのセカンドハウスを求める外国人居住者向けの高級住宅などがグリーンインフラにより運営されるもので、循環型経済を実現し、各家庭でグリーンエネルギーを生産して電力網に戻すことを目指しているとコメント。サラワク版のグリーンなライフスタイルに向け、考え方や行動の変革が必要だと述べた。
(マレー・メイル、ボルネオポスト、6月22日)

宿泊料値上げや米ドル決済を検討すべき=ホテル協会

【クアラルンプール】 マレーシア・ホテル・オーナー協会(MAHO)は、同協会に加盟するホテルに対して、最低賃金の引き上げ、残業代の増加、電気代上昇によるコスト増の影響を軽減させるために、宿泊料金の値上げや、外国人観光客に対する米ドル決済を検討するよう呼びかけた。

テオ・チェンホン会長は、観光業とホテル業は新型コロナウイルス感染拡大に伴い打撃を受けたが、完全に回復しておらず、コロナ流行時に宿泊料金を30ー40%引き下げたままの状態で、料金を元に戻していないと言明。運営コストが非常に高くなっていることから、ホテルは収益を上げるために対策を取る必要があるとした。稼働率も45ー55%程度にとどまっており、回復していないという。

テオ会長によると、2022年5月に最低賃金が1,200リンギから1,500リンギに引き上げられたことで、人件費は最大で40%上昇し、2022年9月より週の労働時間が48時間から45時間に短縮されたことで、残業代も増加した。また一般家庭以外の電気料金が引き上げられたことで、電力コストも35ー50%上昇したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月21日)

新格安航空会社エアアジアカンボジア、第4四半期に運航開始

【クアラルンプール 】 格安航空会社エアアジア・グループの親会社であるキャピタルAは、今年第4四半期に新格安航空会社、エアアジア・カンボジアが運航を開始すると明らかにした。

キャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、同社の幅広いネットワークと強力なブランド力に基づき、東南アジア諸国連合(ASEAN)全域に事業を拡大しており、まだ航空会社を設立していない残りのASEAN諸国で新会社設立の機会を模索していると述べた。

フェルナンデスCEOによると、キャピタルA傘下の航空子会社(エアアジア・マレーシア、エアアジア・タイランド、エアアジア・インドネシア、エアアジア・フィリピン)の保有航空機数は今年第1四半期に157機となり、航空運賃の合理化、外部要因の安定により収益性が向上した。これまで新型コロナウイルス「Covid-19」の影響で休止していた229路線を再開しており、今年第4四半期までには290路線とすることを目標に掲げている。なお貨物・物流部門であるテレポートでは、発注していた3機の貨物機「A321F」のうち1機目が6月に納入される見込みで、輸送能力が拡大する予定だ。

またフェルナンデスCEOは、モバイル決済アプリ「スーパーアプリ」や決済サービス「ビッグペイ」で構成されているデジタル部門、エアアジア・デジタルの名称を、ムーブへと変更する承認を株主総会で得たと言明。配車サービスなどすべての旅行者のニーズに応えることを目指すとした。
(エッジ、6月15日)

マラッカ州、独企業向け工業団地をアイルケローに新設へ

【マラッカ】 マラッカ州政府は、アイル・ケローに独企業向け工業団地を新設する計画を明らかにした。

マラッカ州のアブ・ラウフ・ユソー首相によると、敷地面積は464.58ヘクタールで、独企業20ー30社を誘致する。州内で操業している半導体のインフィニオン・テクノロジーズ、ソフトウェアのミュールバウアーIDサービシーズ、産業用センサーのロイツェ・エレクトロニックの独企業3社が、今後2ー3年で36億リンギの追加投資を行う予定であることや、独企業3社が新規投資に関心を示しており、合計4億リンギを投資することが予想されることから、独企業向け工業団地の新設を決定したという。

アブ・ラウフ州首相はまた、来年開催される観光イベント「ビジット・マラッカ・イヤー2024(TMM2024)」に合わせ、来年4ー6月に1週間のドイツウイークを開催すると発表。ドイツから様々な産業分野の投資企業が参加し、ドイツの技術や文化、食などをアピールすると述べた。
(ザ・スター、6月15日、ベルナマ通信、6月14日)

9月開催のMIHAS、出展ブースの9割が埋まる

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社 (MATRADE) は、9月12ー15日の日程で開催される国内最大のハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「第19回マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」について高い関心が寄せられており、1,500の展示ブースのうちすでに90%が申し込みで埋まっていると明らかにした。8月までには全てのブースが埋まることが見込まれている。

モハマド・ムスタファ最高責任者(CEO)は声明の中で、MIHASは5兆米ドル規模とみられる世界のハラル市場への参入を検討する企業にとり主要なプラットフォームとなっているとした上で、展示ブースには、食品・飲料業の他、医療機器や教育、ファッション・ライフスタイル、電子商取引、小売・フランチャイズなど様々な分野の出展者がいると言明。MIHASではデジタルツールなどの革新的なソリューションも活用して、出展者をサポートした上で、今年は21億リンギの成約を目指すとした。

前回「第18回MIHAS2022」の成約額は、目標の19億リンギを大きく上回る23億6,000万リンギで、国内外の出展企業が16億5,000万リンギを占めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月10日)

米エクイニクス、サイバージャヤにデータセンター設立へ

【クアラルンプール】 データセンター運営の世界大手、米エクイニクスは11日、2024年第1四半期にセランゴール州サイバージャヤにデータセンターを新設すると発表した。

第1期では共同スペース1,300平方メートルに、サーバーラックを450ラック設置する。完成時にはスペースを2,630平方メートル、ラック数を900ラックまで拡張する。

エクイニクスは昨年、ジョホール州イスカンダルのヌサジャヤ・テック・パーク(NTP)にデータセンターを設立すると発表しており、マレーシア国内でのデータセンターは2カ所目となる。

アジア太平洋地域担当責任者であるジェレミー・ドイチュ氏は声明で、マレーシアは好調な国内経済や立地条件の良さなどから、デジタルインフラやデータセンター投資に適しているとし、ジョホール州に続き、首都圏にもデータセンターを設置できることを嬉しく思うと言明。現地企業や多国籍企業に向け信頼できるプラットフォームを提供し、基盤インフラを相互接続し、「マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)のデジタル拠点にする」という政府目標の達成も支援していくと述べた。

エクイニクスは、アジア太平洋地域では豪州、中国、香港、インド、日本、韓国、シンガポールの13都市でデータセンター51カ所を運営。マレーシアに加え、インドネシア進出も発表している。
(ベルナマ通信、6月12日、エクイニクス発表資料)

デロイト、KLに東南アジア地域能力センターを開設

【クアラルンプール】 会計監査法人デロイト・マレーシアは7日、クアラルンプールに東南アジア地域能力センター(RCC)を開設した。

RCCは、デロイトの5事業(監査・保証、コンサルティング、ファイナンシャル・アドバイス、リスク・アドバイス、税務・法務)において、東南アジアやアジア太平洋地域を中心に包括的サービスを提供することを目的としている。従来の監査・税務の専門知識に加え、データサイエンスやデータ分析、フォレンジック調査、サプライチェーン管理、デジタル変革、サイバーセキュリティ、クラウドコンピューティングなどといった、インダストリー4.0(IR4.0)に不可欠なスキルを有する人材を育成する。RCCは現在600人の専門家を擁しているが、年内に1,000人、今後3ー5年内に3,000人まで人員を増強する方針だ。

イー・ウィンペン最高経営責任者(CEO)は、東南アジアRCCの設立は、「地元の知識労働者に高価値な雇用機会を創出する」というデロイトの取り組みを強化するものだとし、世界レベルの専門サービスを国際的に輸出できる高度なスキルを持った労働力の育成につながることを期待していると述べた。RCCを通じて「2028年までにマレーシアを高所得国にする」という政府目標を支援していくとしている。

マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)のマハディール・アジズ最高責任者(CEO)は、デロイトの東南アジアRCCの設立は、マレーシアが高価値投資に最適な国であることを示し、また、MDECが掲げる「マレーシアを東南アジア諸国連合(ASEAN)のデジタル拠点にする」という目標の達成を後押しするものだとコメント。マレーシアの強固なエコシステム、デジタル人材、世界クラスのインフラなどが評価されたと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月8日、エッジ、6月7日)

第1四半期の業績、44.6%の企業が予想を下回る=アナリスト

【クアラルンプール】 2023年第1四半期のマレーシア企業の業績は低調で、44.6%の企業が予想を下回る結果となった。

RHBリサーチのリポートによると、トップラインの伸び悩みやコスト圧迫による営業レバレッジの低下、利幅の縮小が影響した。農園、石油・ガス(O&G)、ゴム製品、電気通信などの9部門が予想を下回り、2023年度業績は現時点で3.8%減少している。ビジネス環境は引き続き厳しい状況が続き、投資家心理も6州でまもなく行われる州議会選挙が終わるまで慎重な状態が続くと予想されている。州議会選挙の結果が連邦政府の財政改革に影響を及ぼす可能性が高いため、市場は選挙結果を注意深く見守っている状態だという。

パブリック・インベストメント・バンク・リサーチも同意見で、農園、ゲーム、メディア、電子機器受託製造(EMS)、手袋などの部門で取引額の減少や想定外のコスト増が発生したため、業績不振に陥っていると述べた。今後についても、世界経済が危機的状況にあるため景気後退に陥る危険性が高いとしこういった不透明なマクロ環境をうまく乗り切ることができるかどうかが国内企業の業績回復に大きく影響するとしている。
(マレーシアン・リザーブ、6月6日)

補助金削減は高所得層にのみに影響=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は6日の下院質疑で、現在検討されている補助金の削減は上位20%の高所得層(T20)に対してのみ影響すると述べた。

アンワル首相は、リンギ下落に伴う問題の解決に向け政府は補助金削減を検討しているが、電力補助金などは、大きな家を所有するT20世帯にしか影響を与えないため、90%の国民は影響を受けないと述べた。中小企業や食品産業に対する電気料金の値上げも行わないとしている。

T20に対する巡礼資金援助の廃止についても、大多数の国民には関係がなく、すでに大金持ちであれば巡礼資金は自力で賄えるので補助金の必要はないとし、不満を口にする人には断固とした姿勢で臨むと述べた。

アンワル首相は5月にT20に対する電力補助金や巡礼資金援助の廃止を検討していると発表。また、年内に完成予定の世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」の導入を通じて所得階層に応じて補助金の配分を調整すると述べた
(エッジ、ベルナマ通信、6月6日)

中国オンライン証券2社、マレーシア進出へ

【クアラルンプール】 中国系証券会社2社が、マレーシアのオンライン証券市場に近く参入する予定だ。

ナスダック上場企業である香港・富途が展開するネット証券「ムームー証券」は18日、東南アジアではシンガポールに次ぎ2カ国目となるマレーシア市場への参入を発表。現地法人が証券委員会(SC)から資本市場サービスライセンス(CMSL)を取得したと述べた。口座開設費が無料で、米国株などの国際市場取引を行える。リアルタイム相場情報、業界分析、最新金融情報なども提供する。同社サービスの月間ユーザー数は2,000万人を突破、昨年3月には豪州市場にも参入している。

中国・福米科技の「ウィブル証券」もマレーシア市場への参入を計画している。アナリストによる調査・評価情報、金融ニュース、取引データなどを無料提供する。シンガポール、豪州に続き、最近日本でもサービスを開始している。ディーリングのみのライセンスであるため、決済は地元業者と協力する必要がある。

SCは、英字紙「ザ・スター」の取材に対し、国内証券市場への海外プレーヤーの新規参入は、「デジタル化やテクノロジー導入を通じて資本市場を成長させる」という取り組みの一環であり、資本市場が投資家にとり魅力的かつアクセスしやすい状態を維持することを目指していると言明。SCは、革新的なデジタルビジネスモデルを歓迎するとし、新規外資系プレイヤーの参入は健全な競争をもたらし、幅広い選択肢や機会を提供することで国内投資家コミュニティが大幅に拡大すると述べた。その上で全プレーヤーに公平な競争環境を提供できるよう、関係者と緊密に協力していくとしている。

業界関係者は、中国国内での規制が厳しさを増しているため、中国のネット証券が投資意欲の高い東南アジアへ進出しているとし、新規参入は既存企業に脅威を与えるが、競争は顧客にとり間違いなく良いことだと述べた。
(ザ・スター、6月3日)