米マスターカード、KLにデータ&サービス拠点を設立

【クアラルンプール】 米マスターカードは9日、クアラルンプールにデータ・アンド・サービス(D&S)ハブを新設したと発表した。

サイバーセキュリティ、デジタルトランスフォーメーション(DX)、信用リスクなどの分野で、アジア太平洋地域の企業や政府に高度なサービスを提供し、マレーシアや近隣地域の人材にキャリアアップやスキル向上の機会を創出する。

開所式に参加したファーミ・ファジル通信デジタル相は、マスターカードの新拠点設立により、域内デジタル環境での役割強化や地元人材のスキルアップにつながるとコメント。今後も相乗効果を得られるよう、マスターカードへの支援を続けていくと述べた。

マスターカードのアジア太平洋地域担当責任者であるアリ・サーカー氏は、アジア太平洋地域の多くの新興市場がデジタル化を飛躍的に進めているため、専門知識を身につけた人材がより多く必要だとし、クアラルンプール拠点は、東南アジア、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの顧客に向けたサービスを提供していくことになると述べた。

D&Sハブの開設は、3月に発表されたマスターカードとマレーシア工科大学(UTM)の提携によるサイバー・イノベーション・ハブの設立に続くもの。サイバー・イノベーション・ハブは、マスターカードが有するサイバーセキュリティの専門知識とUTMの教育インフラを活用し、サイバーセキュリティ人材育成を目指している。
(エッジ、5月9日、マスターカード発表資料)

連邦政府、バヤンレパス軽便鉄道に追加資金提供へ

【ペナン州ブキ・メルタジャム】 アンワル・イブラヒム首相は6日、ペナン州のバヤンレパス軽便鉄道(BLLRT)プロジェクトについて、連邦政府が追加資金を提供すると発表した。

アンワル首相は、ペナン州のジョージタウンは首都圏に次ぐマレーシア第2の都市であるにも関わらず、これまで連邦政府が十分な資金を提供してこなかったとし、今後BLLRT建設費用に関してペナン州政府と協議するための会議を開催すると述べた。

首相発言に対しコメントを求められたアンソニー・ローク運輸相は、BLLRT建設は原則決定されており、連邦政府も資金提供に対して準備ができているとしたが、資金調達の具体的な方法について詳細な検討が必要だと述べた。ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、「ペナンの人々に対する贈り物だ」とし、喜びの意を表した。

BLLRTは、交通渋滞問題解決に向けた長期戦略「ペナン交通マスタープラン」の一部で、ジョージタウンの行政センターが入るコムターと空港や工業地帯のある南部バヤンレパスを結ぶ全長22キロメートル超の路線。将来的には、テルク・クンバル海岸沖の3つの埋立地への延長も検討されている。
(ザ・スター、5月7日、マレー・メイル、ベルナマ通信、5月6日)

マレーシア5Gのファーウェイ関与リスク、米とEUが警告

【ニューヨーク】 米国と欧州連合(EU)は、マレーシアが進めている第5世代移動通信(5G)ネットワーク計画の見直しについて懸念を示している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じた。

マレーシアでは国営デジタル・ナショナル(DNB)がスウェーデン系通信機器大手のエリクソン(マレーシア)の協力の下、1社独占で国内5Gの展開を行っているが、今年1月にファーミ・ファジル通信デジタル相がその体制の見直しを図るとし、第1四半期中に最終結論を出すと発表していた。それに対し、米・EUは、万が一再入札を行った場合、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が落札する可能性が高いため、国家安全保障上のリスクがあるとマレーシア政府に警告したという

米国はファーウェイをブラックリストに掲載し、ファーウェイ製品の米国内での販売停止および半導体・部品などのファーウェイへの輸出禁止措置を講じ、EUを含む同盟国に対しても5Gネットワークにファーウェイが関与することを避けるよう要求している。

DNBは2021年に5Gネットワーク整備に関する公開入札を実施。ファーウェイやZTE、シスコ、日本電機(NEC)、ノキア、サムスン、ファイバーホームなどが参加したが、同年7月にエリクソンが110億リンギで落札していた。
(マレー・メイル、ロイター、フリー・マレーシア・トゥデー、ソヤチンチャウ、5月2日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%に引き上げ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて3.00%とすると決定した。

BNMは長く3.25%で維持していたOPRを2019年5月以降、段階的に1.75%まで引き下げていたが、2022年5月以降、段階的に2.75%まで引き上げた。中銀はその後金利を据え置いており、今回も据え置き予想が支配的だった。

BNMは声明の中で、国内経済の見通しが底堅く推移していることから、金融緩和策の正常化に踏み出すのに適時であると判断したと述べた上で、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う危機に対応するために実施してた金融緩和策を撤回することを決定したと説明。金融政策のスタンスにおいて現在の金利水準は依然として緩和的であり、経済成長を下支え続けているとした上で、今後もインフレ率や経済成長の見通しとのバランスを考慮して金利を調整するとした。

国内経済については、昨年通年の好調な成長に続き、今年第1四半期もさらに成長が加速すると予想。輸出減速が見込まれるものの、内需が経済成長を牽引し続けるとした上で、失業率低下に伴う家計支出の拡大や外国人観光客増加による観光産業の成長、複数年にわたって実施されている大型プロジェクトによる投資活動の下支えが上振れ圧力となるとした。その一方で、世界経済の成長が予想を下回る可能性、世界金融市場の不安定さが成長リスクとなるという。

インフレ率については、今年は2.8ー3.8%と穏やかな上昇率にとどまるとの見込みを示した。

世界経済についてBNMは、力強い労働市場に支えられた内需や中国経済の力強い回復に牽引されたものの、コスト圧力の高まりや金利の上昇により圧迫されており、インフレ率の上昇率は緩やかになってきているが、今後も利上げが行われると予想。その上で、今後も地政学的緊張の高まり、予想を上回るインフレ率の上昇、急激な金融引き締めなどが依然下振れリスクとなるとした。

ペナン南部の人工島計画が正式承認、第3四半期にも着工

【ジョージタウン=マレーシアBIZナビ】 ペナン州政府が推進しているペナン島南部の大規模人工島建設計画、「ペナン・サウス・アイランズ(PSI)」プロジェクトが11日、天然資源環境気候変動省より環境影響評価 (EIA)に関する承認を得たことが分かった。同プロジェクトは環境保護団体や漁業関係者が環境への影響を理由に反対運動を進めていたが、これで連邦政府からの正式なゴーサインが出たことになる。

記者会見を行ったチョウ・コンヨウ州首相は、環境局からの承認文書には社会的影響管理計画(SIMP)とPSI エコロジー・オフセット・マスタープラン(PEOM)の策定を含む71の条件が含まれており、これらの条件を満たす必要があると強調した。

チョウ州首相はまた、州政府はプロジェクト推進パートナーを通じて州環境局の環境管理計画(EMP)の承認を申請している段階で、第3四半期にも承認が得られる見通しだとし、埋め立て工事の開始は承認後になると明らかにした。

PSIはバヤン レパス近くのペルマタン・ダマル・ラウト沖に総面積1,821ヘクタールのA、B、Cの3つの人工島の造成を中心とした開発計画で、総開発コストは100億リンギ。分譲で得られた資金を総額460億リンギの「ペナン交通マスタープラン」に充当することになっている。最初に造成するA島は面積930ヘクタールで、「ペナン・グリーン・テックパーク」となる予定。完成までに9年かかると見込まれている。B島は566ヘクタール、C島は324ヘクタールとなっている。

PSIのEIAリポートは2019年6月に一旦承認されたが、技術的問題から環境局の上訴委員会で却下され、昨年4月29日に新たなリポートが提出されていた。

伝統医療&生薬研究のガイドラインを発表=保健省

【シャアラム】 保健省は14日、世界初となる伝統医療及び補完医療(T&CM)の研究ガイドラインとハーブ(生薬)研究ガイドラインを発表した。
ザリハ・ムスタファ保健相によると、2つのガイドラインは、T&CMやハーブ研究の設計、評価、実施に関心のある関係者向けに策定したもので、伝統医療従事者やハーブ医薬研究従事者が補完および代替医薬品について科学的根拠に基づいた開発を進める上で役立つと期待されている。ガイドラインは保健省のウェブサイトから無料でダウンロードすることができる。

T&CM研究はT&CM関連の政策決定において、エビデンスに基づくアプローチのための情報を提供し、T&CMの実践と製品の安全性と有効性に関する情報の根拠を作るという重要な役割を担っている。一方、ハーブ研究ガイドライン従来の医学で定義された治療上の主張に使用されるハーブ製品を対象としており、品質、前臨床、臨床を含めハーブ製品開発に必要なデータについて包括的な情報を提供する。
マレーシアにおいて、伝統医薬は2016年伝統的および補完医薬法により規制されている。T&CM研究はまだ初期段階にあり、現代の臨床研究方法論を伝統医学の原則や理論と調和させるということが主な課題となっている。

世界保健機構(WHO)は、伝統医学を信念や経験に基づく知識、能力、実践の総体だとし、身体および精神疾患の予防、診断、改善、治療法であると定義している。
(マレーメイル、4月14日)

倒産を防ぐ2016年会社法改正案、5月に下院提出へ

【クアラルンプール】 フジア・サレー副国内取引物価相は13日、会社委員会(SSM)が起案した「2016年会社法改正案」を5月に下院に提出すると明らかにした。

企業再生に関する法的枠組みの改善が目的。財政問題に直面している企業が適切な企業再生プロセスにより事業を継続できるようにする。また、企業の実質的所有者情報の報告に関する方針を強化し、倒産を防ぐ。

フジア・サレー氏はまた、補助金を円滑に受け取れるよう、露天商などの小商人もSSMに自主的に登録するよう呼びかけた。屋台では調理油を大量に使用するため、調理油補助金を受け取れるSSM登録のメリットは大きいという。

連邦政府は2022年、補助金支給やビジネス支援に総額800億リンギを費やしている。そのうち飲食関連が663億リンギと最大で、ガソリン、ディーゼル、調理用液化天然ガス、調理油、電気、鶏肉、卵などを対象とした補助金を支給している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月14日、エッジ、ベルナマ通信、4月13日)

自動車サブスクのフラックス、二輪車の定額利用サービスを開始

【クアラルンプール】 自動車定額利用(サブスクリプション)サービスのフラックス・マレーシアは、国内初となる二輪車の定額利用サービスを開始した。

対象となるのは、ヤマハ「Y15ZR」、「135LC」、ホンダ「RS150R」、「ウェーブ125i」、伊ピアッジオ「ベスパLVX150」、中国・鲨湾科技(上海)(シャークガルフ・テクノロジー)の電動スクーター「R1」、「R1ライト」など。オンライン申し込み後7日以内に納車される。

 月額費用は契約期間と走行距離により決まり、契約期間は24カ月、36カ月、60カ月、走行距離は1,000km、2,750km、無制限から選択する。別途保証金が必要。月額費用には保険料や自動車税に加え、メンテナンス、消耗品交換(ブレーキパッド、ブレーキディスク、タイヤは顧客負担)、コンシェルジュサービス(道路税や保険を更新し、メンテナンス時期を通知するサービス)の費用も含まれる。利用期間中に別モデルや自動車に交換することも可能で、契約期間終了時には返却か購入かを選べるようになっている。
(ポールタン、4月6日)

3月に開催のMATTAフェア、来場者数と売上高が過去最高に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア旅行代理店協会(MATTA)が、3月17ー19日の日程でクアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催した国際旅行博覧会「MATTAフェア」の来場者が累計で18万人となり、過去最高となったと発表した。

タン・コックリャン会長によると、展示スペースの面積は3万9,000平方メートルで、過去最高となる1,416のブースが設置され、19の国・地域の観光機関、13の州観光機関、220の観光関連団体・企業が参加。旅行商品の売上高は3億リンギを超えて過去最高となり、そのうち国内旅行が3,400万リンギだった。また来場者1人あたりの平均支出額も増えたという。

観光関連団体・企業から集めたフィードバックによると、国内の人気の旅行先トップはサバ州、トレンガヌ州、ケダ州。極東アジア地域では、韓国、日本、ベトナムが上位を占め、遠距離地域では英国、スイス、イタリア、トルコなどの欧州勢が人気だったという。

2022年9月にプトラ・ワールド・トレード・センター(PWTC)で開催されたMATTAフェアでは4万3,000人が来場し、536のブースが設置された。

プロトン、2027年までにタンジョンマリムに完全移転へ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、セランゴール州シャアラムの拠点を2027年までにペラ州タンジョン・マリムに完全移転する。ペラ州のサアラニ・モハマド首相が12日に明らかにした。

サアラニ州首相は、プロトンの完全移転に伴い関連企業も移転するため、タンジョン・マリムにあるプロトン・シティのインフラ強化に向け、特別委員会を発足させたと述べた。拠点設置に向けた土地の提供や住宅、学校などの設置について検討を行う。プロトン従業員は約7,000人で、その家族も含めると2万1,000人が移住する見込み。

アンワル・イブラヒム首相の訪中に伴い、中国の自動車メーカー吉利汽車の親会社・浙江吉利集団がタンジョン・マリムでの「自動車ハイテクバレー(AHTV)」開発への投資を確約している。AHTVは、タンジョン・マリムの404.69ヘクタールの土地を次世代自動車ハブとして開発するもので、今後10年間で総額320億リンギの投資を誘致し、地元に数万人規模の雇用機会を創出すると見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月13日)